慢心王に憑依したオリ主が慢心王のロールプレイをしながら呪術廻戦の世界で戦う話。
尚、内心は焦りまくっている物とする。
「この我を差し置いて王とは、不敬であろう……雑種」
「小僧……誰に向かって物を言っている」
新宿……二人の王が顔を合わせる。
片や、呪術全盛の平安時代においてあらゆる術師が、総力をもってしても勝てなかったとされる史上最強の術師。
呪の王……両面宿儺。
片や、最古の英雄であり。ありとあらゆる英雄たちの王。
英雄王……ギルガメッシュ。
「ほう? 我に向かって小僧とは……思いあがるなよ、雑種!」
雑種……その言葉を口火して、ギルガメッシュの背後に黄金の波紋が浮き出る。
黄金の波紋……
「まぁいい……失望させてくれるなよ。小僧」
呪の王、両面宿儺がギルガメッシュに解を放とうと手を構えようとしたその時。
宿儺はそれを、咄嗟に体を傾けることでかすり傷程度で押さえた──
──筈だった。
事実、その槍はただ両面宿儺の腕を掠めている程度だった。
唯の槍なら浅い切り傷が出来るだけだろう……それが普遍的な槍だとしたのなら。
まぁ、
それはともかく、それが両面宿儺の腕を吹き飛ばしたのを見るに、その槍はただの普遍的な槍ではないであろうことは目に見えてわかるだろう。
では、その槍の正体は? ……となるだろうが。
……その答えは……
アイルランド神話に登場する英雄……クー・フーリンの持つとされる槍──
──その原典である。
……だが、ギルガメッシュはその槍の真名を開放する事は出来ない。
何時か赤髪の雑種が言っていたように、ギルガメッシュは王であって戦士ではない。一つの宝具を極める道を選んでいない。
されど、英雄の持つ宝具の原典である。
そんな代物が、並みの物と比べ物になら筈も無く──
「──っ!」
──呪の王の腕一本を吹き飛ばすに至った。
「存分に足掻くがいい。今から裁定を下してやる……雑種」
黄金の鎧を身に纏ったギルガメッシュが、天から両面宿儺を見下す。
「貴様……誰を見下している」
両面宿儺は失った腕を、反転術式で再生させる……
「許可なく我を見上げるなど、不敬であろう……雑種」
嘗て、自身の受肉体になった小僧に放ったセリフを自身に言われる宿儺。
その言葉、皮切りにして戦闘は始まる。
呪の王VS英雄王
ギルガメッシュの背後には十数個の、黄金の波紋が広がり両面宿儺へ宝具の原典を次々に射出していく。
宿儺はそれらを、自身の術式を用いて破壊または避ける。
「逃げ惑うだけでは見世物にすらならんぞ?」
つづけさまに
それら、全てを回避、破壊、撃ち落とす……両面宿儺。
両面宿儺は自身に向かって放たれ続ける宝具の合間を縫って、ギルガメッシュに幾度も解を放つ。
だが、ギルガメッシュには届かない。
「その程度か……!」
ギルガメッシュは、自身に放たれる攻撃を前に不動の構え。
対して、両面宿儺は放たれ続ける宝具の雨をしのぎ続ける。
このままでは埒が明かないと悟ったのか両面宿儺は、とある掌印を作った。
……それは閻魔天印。
閻魔天印を作りながら両面宿儺はその言葉を吐いた。
「領域展開──
死後の供養や、病気・災厄からの回復を願う祈願として用いられてきたそれは、その願いとは裏腹に新宿に出現する。
──伏魔御厨子」
新宿に不可視の斬撃が吹き荒れた。
もはや、新宿には嘗ての景色は無い。呪の王と英雄王の戦いの余波で、あたり一帯は破壊の後だけが刻まれていた。
倒壊してみるも無残な姿となったビル群。奇麗に舗装されていた道路は、クレーターまみれで人が通れる場所では無くなっている。嘗ては、人で栄えていたとは思えないような光景である。
そんな事を気にせず、相手に逃げ道を作る代わりに、領域範囲を二百メートルまで拡大した領域が猛威を振るう。
そして、ギルガメッシュに不可視の斬撃が襲い掛かる──
「その程度か? 雑種」
──だが、必中の斬撃はギルガメッシュに届かない。
その黄金の鎧が、ギルガメッシュに傷を付けさせることを許さない。
例え、真名を開放していなくても
ギルガメッシュは両面宿儺の領域の中にいることを、気にせず王の財宝で宝具の射出を続ける。
両面宿儺は攻撃を搔い潜りながら、ギルガメッシュに向けて"解"の構えをとった。
ギルガメッシュはその構えを見ても動じない。
──その程度では、王を動かすに値しない。
放たれる"解"もやはり、ギルガメッシュを傷つけることはかなう事無く、黄金の鎧に阻まれる。
「思いあがったな! フ、ハハ、ハハハハハハハ!! 貴様程度の斬撃なぞ、この鎧にすら傷をつけれぬわ!!」
大声をあげて笑うギルガメッシュ。それを見て両面宿儺は一つの方法を思いつく。
奇しくも、それはもしも自分が五条悟と戦っていた世界線で、五条悟を殺した手段。
世界を断つ斬撃……それであれば幾ら堅牢な防御力があろうとも関係なく切ることが出来る。
別の世界戦で五条悟の無限を破ったように、空間を切り裂いてしまえばいくら堅牢な防御を持っている物も関係なく切り裂いてしまえる。
この世界線に見本と言える
だが、それは見本なしで完全に使える者ではなかった。
そのため両面宿儺は自身に縛りを結ぶ。四つある腕の内の三本を使って掌印と術式の指向性を決め、呪詞を発する……と言う縛りを。
「面白い。……貴様、縛りを結んだな?」
「興が乗った、来るがいい。貴様の全力、この我が審判してやろうではないか!」
両面宿儺の呪力が膨れ上がっていく様を見て、ギルガメッシュが愉快そうに笑う。
「こい……エアよ」
そして、手元に出現させた王の財宝からある者を引き抜く。
「何だ、それは……!」
王の財宝から引き抜かれた武器に、目を見張る両面宿儺。
ギルガメッシュが手に持った武器は今までの物とは、比べ物にならない力を内包していた。
それを両面宿儺は感じ取ったのだろう、額に汗を浮かばせて武器の正体を問う。
「フ、ハハハハハ!! エアの正体なんて気にしている暇なんてあるのか? 雑種……先程言ったはずだぞ? ……この我が審判してやると」
ギルガメッシュが慢心の笑みを浮かべて、エア……と呼んだ武器を片手で構える。
それに両面宿儺は、無言で掌印を作る。
「龍鱗」
両面宿儺は呪詞を唱える。
「反発」
それにギルガメシュは慢心を崩さず、エアを持っている腕を上へ振り上げる。
「番の流星」
両面宿儺の呪力の高まりが最高にまで到達。
「解……!」
ギルガメッシュに放たれるは世界を断つ斬撃。
それにギルガメッシュは乖離剣エアを軽く振り下ろした。
それは幼子が木の棒を振り回すが如くのろまなスピード。……だが、その威力はギルガメッシュが今まで放った攻撃とは比べ物にはならない。
乖離剣エアから放たれる風圧だけで周囲のビルの悉くは崩れ落ち、崩壊の一途をたどる。
片や両面宿儺の掌印、呪詞……そして領域の中と言う、両面宿儺にとって最高以上の環境が整った中で発動される……世界を断つ斬撃。
片や天地創造の時に世界を切り裂いたとされる神造兵器であり、最も強力な宝具。
やがてその二つはぶつかり合う。
……そして
周囲一帯に大爆発を起こしながら、この世に存在するものすべてを吹き飛ばすような暴風が辺り一面に吹き荒れるのだった。
^^^
「どこだ……ここは?」
目が覚めたら知らない天井で混乱するが、それを何とか収めてあたりを見渡す。
視界に広がった光景は、一般的な家の内装。
「何でここに……?」
こうなる前の記憶は皆無。知らない場所での目覚め。もしや誘拐か!?
……いや。まて……
誘拐などと考えたが俺にその価値はあるのか?
俺は一般的な高校生だ。裕福な家系に生まれたボンボンと言う訳ではないし、俺に特別な何かは無い筈だ。
それに、誘拐しておいて何も拘束せずにそこらへんに置いておくものだろうか?
感覚的には何かに拘束されている感じはしない。
普通、縄か何かで拘束するものでは?
「それに何かおかしいような気が……」
そう。目が覚めた時から、何かは分からないが違和感があった。
何時もより、目線が低いような。
それに身体がいつもと違う気が……
「まさか……な」
そこまで考えついて、俺は一つの考えに至った。
「いやいや……そんなことが、あるわけないだろ!」
いつもより声がだいぶ高い気がするが気のせいだ! 風邪引いてるだけの筈……
「そんな非現実的な事!」
それから、見慣れない家を散策して鏡を見つけた。
「うそ……だろ」
予想を否定するため、息を吞んで鏡の前に立った俺はそれを見た。
……見てしまった。
そこに映っていたのは、いつもの自分ではなかった。
頭髪はアジア人の特徴ともいえる見慣れた黒ではなく、キラキラと光る金。
同じく黒色である、瞳の色は真紅の赤に染まっている。
顔は日本人離れしたイケメンであるし、年齢も小学生ぐらいの子どもになっている!?
「うそだろ────!!」
突然叫んでしまったのも仕方ないだろう。
如何やら……俺は、見知らぬ誰かに憑依してしまったようだ。
何故!? 俺は死んだのか?
そんな事を考えるが記憶に、そんな所はない。
ならなぜ?
それから俺は色々考えて、やがて──
「もういいやー……何も考えたくない」
──思考をシャットアウトした。
うん! ……きっと明日の自分が何とかしてくれる。
現実逃避?
……何の事かな!
そうして、俺はこれからの事に目をそらしてフローリングに寝転がる。
「ひんやりして気持ちいい……」
今はフローリングの感触だけに集中したい気分である。
俺はそのまま目を瞑って、意識を手放すのだった……
「ギルー! そんな叫んでどうしたのー!」
㎰どうやら、俺の憑依先の名前はギルと言うらしい。……まさかね……
この2人難しい!!