妖刀六工が一振り、刳雲の異界録。
※注意!※
:原作とは異なる異世界モノです!
:妖刀が異世界に現れます!
:原作とは異なる妖刀契約者が現れます!
端的に言って妖刀をオリ主が振るいます!
:刀はいつも使い手を見ているそうです!
:原作知識持ち主人公です!
知ってる範囲は妖刀が五振り出たとこらへんまでです!
:妖刀のオリ解釈・オリ『本領』が出て来ます!
:原作ネタバレの可能性があります!
:敵役へのアンチ・ヘイトがあります!
:以上を踏まえてよければご覧ください!
「……んぅ……」
薫る風に目を覚ました。
「…………、……⁉︎」
がばっと起き上がる。
そこは森……、……いや林?の中だった。
見覚えのない。
「えっと……、俺は」
……。
俺は。
……誰だ?
「……思い出せない」
記憶を引き出せないのとは違う、頭の中に思い出すのを阻害する不透明のガラスを入れられたみたいな感覚。
……とりあえずこんな林の中にいる理由はない、はずなのにその理由が分からない。
「……えっと……」
カチン、と。
手が何かに触れた。
「……?」
見てみると。
そこには刀。
「……⁉︎」
……⁉︎
なぜ刀⁉︎
でもこれ、なんか見覚えが……。
「……、あっ」
ガラスが一枚、取られて消えた。
この刀……。
「…………」
……改めてじっとその刀を見る。
飾りっ気のない外見。
唯一、雲を象った鍔がその刀の飾りといえる部分だった。
「…………」
慎重に手に取り、持ってみる。
……刀なんて初めて持つからこれが重いのか軽いのかも分からん。
いや、緊張している。
「…………」
……鞘を持ち、刀を抜く。
すらり、と恐ろしく美しい、凶器としてのかたち。
「…………すぅー……」
……もしこれが。
俺の思う通りのものなら。
……ただの一言で分かってしまう。
……だから息を吸って、落ち着いた。
いや、落ち着いたとした。
そして。
「
言霊が……。
「……うわっ⁈」
バチバチバチッ‼︎ドーン‼︎と
……それは林の木々にまき散らされ、火を放った。
「うわっ⁈
あわてて今度は
……でも火は消えない。
「じゃない、
……そうしてようやく消火にぴったりな
「…………」
……でも、水の勢いが弱過ぎて中々火が消えない。
「…………ふぅー……」
ようやく終わった時にはなんか疲れてまた倒れ込んでしまった。
……これが
「…………」
……顔を横に向け、改めて、刀。
……いや、
「
それがこの『
漫画・『カグラバチ』に出てきた戦争の行方さえ左右する強大な刀、それが妖刀。
妖刀は
刳雲の場合は三種類。
雷を放つ『
氷を放つ『
水を放つ『
序盤の悪役・
……ってのはいーんだけど。
「……なんで俺が持ってんの?」
……いや、俺の近くに転がってただけか……。
…………いやいや、なら。
「なんで俺と転がってたの?」
全く分からん……。
……そもそもカグラバチで刳雲は紆余曲折の末、真っ二つに折れ、消滅したはずだ。
こうして完品であるのがおかしい……。
……いや、漫画のものが現実……現実?にあるのがおかしいけど。
「…………、……あー」
……で、思い出した……?
なんかそーいう奴があった気がする。
別の世界に特殊な力を持って、行ったり生まれ直したりする奴。
……なんだっけなー……。
頭ん中のガラスが外れないからうまく思い出せない……。
とにかく俺もそーいう事なんじゃないだろうか。
刳雲を持って、別の世界に落とされた。
……いや、ここが俺の知らない遠く離れただけの林って可能性もあるけど。
「…………、……‼︎」
と、ここで。
……マズい事を思い出した。
妖刀には『
妖刀の力は命滅契約を結んだ契約者しか振るえない。
例え契約者から妖刀を奪っても、契約者が死ぬまでその妖刀は使えない一種のセキュリティだ。
……セキュリティかな?
……が、この機能。
複雑なものだったので、カグラバチの過去にあった戦争までに六本一つ一つに付けるのは間に合わず、最も強力な『
……そのせいで、『真打』……
……刳雲は、勾罪に結ばれた五本のうちの一本だ。
「やべえやべぇー‼︎」
「こ、こうしちゃいられねぇっ‼︎」
そして俺は……、……上手く思い出せねぇけど少なくともカグラバチみたいな剣戟アクションはできなかった!はず‼︎
つまり勾罪の奴も同じような戦えない奴かもしれないし、勾罪のヤベー力使ったら問答無用で殺されかねねぇ‼︎
「とにかく、人っ、人里だ‼︎」
こんな山ん中いられねぇっ‼︎
情報だっ‼︎
「結局、他の妖刀なんてなかったんだけどな」
田舎ではありふれた家の、畑に面した縁側で、若い男が語る。
土と枯葉の匂いが風にそよいで漂って来る。
「淵天、勾罪、
「ああ。……もう長い事経ったんだから、一本ぐらい折れてろよって思うけどなー……。……飛宗とか罅入ったんだから良いだろ」
その隣には抜き身の刀。
切っ先は土の中。
……目を凝らせば微かに雷を纏っている。
その向こうには若い女。
男には親しそうに話してる。
……男は、疲れ果てていた。
「アンタ……」
「…………背負いきれやしねえんだよ、国の行く末だとかさ……。……一人には重過ぎんだよ……。背負いてえ奴が勝手に背負ってろよ……」
「…………」
「……
かつて楽しんでいた物語に。
乾いた思いを抱くくらいに。
「……やめるつもりは?」
「あいつらも、
「……分かったよ」
「お前はできてる方だよ、……それだけだけどな」
刀を手に、立ち上がる。
鞘を持ち、刀身を差し入れる。
男は、去って行った。
精強無比、常勝不敗を称する帝国軍は。
「
……三年程前から、その将兵を削られている。
今しがた、雷撃に穿たれ沈む。
『うわあぁっ⁉︎』
『なんだ、何事だ⁉︎』
『人影が見えたぞっ‼︎奴だ、──』
「
飛行戦艦の効かない小回りを補う筈だった、生き残りの爆撃機と戦闘機も氷の礫に撃たれ。
落ちて行く。
「己ぇ!薄汚い革命家風情があ‼︎
「
ぁっ、⁈」
堕ち行く飛行戦艦の甲板に這い出た妖兵隊大佐は帝国にまつろわぬ下劣な罪人への悪罵に時を使う。
そのせいで、妖術を振るう事も出来ずに水の刃に上下真っ二つにされた。
「…………」
それを成した男は。
バサバサと。
装束で音を立てながら落ちて行く。
「…………」
それは男を地べたの染みに変える。
速度と高さであったが。
弾むように男の勢いは殺され。
ばしり、と降り立った。
……同時に、三隻の飛行戦艦が堕ち。
地響きと巨大な
そして、爆炎を吹き上げた。
「……、……」
バチリ、とサーチライトが幾つも灯った。
『見』
『事』
『だ』
『っ』
『た』
『ぞ』
『ク
レ
グ
モ』
「…………」
無数の人影が、幾重にも男を取り囲んでいた。
その一つ一つが一語ずつ。
連ねて音を出し、一つの文章を口にする。
『我』
『が』
『帝』
『国』
『軍』
『新』
『鋭』
『の』
『飛』
『行』
『戦』
『艦』
『隊』
『が』
『ま』
『る』
『で』
『紙』
『屑』
『だ』
「…………」
『だ』
『が』
『役』
『目』
『は』
『全』
『う』
『し』
『た』
『な』
「…………」
『奴』
『等』
『は』
『我』
『ら』
『「
『
『の』
『敵』
『を』
『示』
『す』
『警』
『報』
『だ』
「…………」
彼等……、否、『それら』は。
「
帝国妖兵隊最精鋭の小隊・「
無機なる
無数の物量を一手に担う妖術師である。
『終』
『わ』
『り』
『だ』
『ク
レ
グ
モ』
並みの妖術師が百人対峙しても擦り潰される。
軍勢を前に男は一言。
「……だから負けるんだよ」
『…』
『…』
『何』
『?』
「おかしいとは思えねえのか。自分の都合よく敵が来る事を」
『…』
『…』
『…』
『…』
男が刀を抜く。
「人形」は男が降って来た上空を見やる。
『…』
『…』
『‼︎』
悪天候では無かった筈の上空に、雲が溜まっている。
『マ』
『‼︎』
「
雲間から。
「
龍が覗く。
「…………」
帝国臣民の矛にして盾と謳う帝国軍は。
大多数の人々にとって圧政者であった。
生活の枝葉末節に入り込み、働き手を奪い、暴力を振るい、金品を巻き上げ、食糧を取り上げ、家々を荒らす。
逆らえば連行され、見るも無惨な拷問を受け、見せしめとして晒され、処刑される。
「…………死んだか」
列島を襲った不作が故に人々は限界であった。
各地で革命軍が結成された。
……が、革命軍の大多数は生活の枝葉末節に入り込み、働き手を奪い、暴力を振るい、金品を巻き上げ、食糧を取り上げ、家々を荒らす。
逆らえば陰惨な拷問の末に殺される。
……人々にとって帝国軍と何一つ変わらない。
「…………」
その癖して帝国軍が来れば一目散に逃げ、戦えば妖兵隊が出るまでも無く負ける。
革命軍とは、端的に言って民衆救済を謳った野盗・犯罪者の類であった。
人々を苦しめる帝国軍と革命軍、これらはいつしか『
そしてそれは戦力に勝る帝国軍の勝利に終わり、圧政は覆されないものと。
人々は絶望した。
「『扉』を」
「はっ」
……潮目が変わり出したのは三年前からだ。
千葉府より、不逞の帝国軍や革命軍が斃され出す。
分隊、小隊、中隊、大隊、連隊……。
それらがまとめて、一日以内に全滅する。
ついには帝国軍の要、その全ての人員が妖術師で構成された妖兵隊の一個小隊が派遣される。
妖兵隊一個小隊は陸軍一個連隊・海軍重巡洋艦一隻を制圧出来る強力な戦力と目されている、圧政の原動力だ。
「…………」
……だが、あっさり返り討ちに遭った。
それ以来「その男」は全国を転戦し、陸海の帝国軍に損害を与え続け。
昨夜、群馬府
それは前代未聞の変事である。
「…………」
通常喧伝されない『扉』の動向公開を以って誘い出し、絶縁体・耐冷・防水仕様で
……その計画が破られた。
しかも基地諸共潰された事で死に辛い筈の「人形」まで死んでいる。
……帝国軍支配に於いて「人形」が落ちるのは余りにも痛手だ。
「…………」
「『扉』、集結致した模様です」
「そうか」
……そして野盗に等しき革命軍が駆逐され、人々の意を汲む革命軍が確固たる力を付けている。
熊本、徳島、岐阜、新潟、津軽・函館の各軍。
……それら首脳部の内心がどうあれ、最早無視出来ない戦力だ。
特に帝都・東京府の目と鼻の先に有りながら茨城府にまで進出し、各地革命軍の繋ぎ役として勢力を増し続ける『千葉府革命軍』が目障りだ。
……「その男」との繋がりも、『千葉府革命軍』は確実に有しているだろう。
「…………」
帝国軍、その支配者の顔は無表情だ。
……それは突き抜けた激情に身体が追い付かなかった故の事。
「その男」は出身・経歴・本名の全てが不明。
だがその佩剣の名か、僅か三年で伝承となりかけている活躍を知らぬ者は、最早列島に居ないだろう。
「雷鳴は天の使者、帝国軍を倒してくれる」
「冷気は天の使者、悪い革命軍を捕えてくれる」
「雨音は天の使者、飢える畑を助けてくれる」
「クレグモ……ッ‼︎」
故にその男は、時に喜びを込め。
時に憎悪を込め。
妖刀たる佩剣の名で呼ばれる。
【クレグモ異界録】
【「その男」】
…戦いを繰り返す三年の間に擦り切れてる。
倫理観とか道徳とか遵法精神とかはどっかに行った。
自分の名前始め思い出せない事はまだまだある。
もっぱら『クレグモ』、『クレグモさん』と呼ばれる。
が、親しい人は『アンタ』、『お前』、『彼』など人名を特定しない人称で呼ぶ。
【刳雲】
…「その男」は三年の戦いの中で肉体的に強くなり、刳雲の力を引き出して来た。
使い手によって引き出される妖刀の更なる力、“本領”にも至っている。
「
「
本来繋ぎの技である「
【「
…「その男」が引き出した刳雲の“本領”。
晴天の空にも『雲』が起こる。