大昔に書いた小説。変なところがあっても無視してください。
長い廊下をパタパタと走る少女。
「こらっ走るのをやめなさい!」とすれ違ったマクゴナガル先生に注意されるも、駆足を止めようとしない彼女に先生は溜め息だけを零した。
少女は急いでいた。
だって今日はあの人が生まれた、きっと私の大切な日。
片手に友達と一生懸命に選んだ彼のプレゼントを握り締め…彼がいる闇魔術の暗い部屋に飛び込んだ。
ツキン、と鼻を掠めるニンニクの匂いも大分慣れたものだと私は小さく笑った
周りを見れば、ちらほら次の授業でいるであろう上級生がいる。
上級生は特に珍しいという目線を向けることはなかった。
だって私と彼との噂は学校中に知れ渡っていたし…
追い掛ける少女と逃げる先生…そう囁かれている噂。
私は全く構わないのだけど、彼はげんなりとしている様子だったと数日前を思い出して、私は彼がいる部屋の扉を勢い良く開けたのだった。
「っみ、みみみMiss、?!いいきなり入って…こ…こは、一般生徒立ち入りを断ってい、いまして」
中にいたのはターバンを巻いた、細長い男。
一応闇の魔術に対する防衛術の先生…そのくせ生徒に対し、このドモリ具合で…授業ではかなりの不評だ。
それでも私は彼が好きなのである
「まぁ、ケチケチしないでください。いつも入って来ているし、いい加減慣れましょうよクィレル先生?」
「し、しかしですね…っ」
どうやら不満が沢山あるらしい、しかし私は遮るようにプレゼントの袋を彼の手に置いた
「こ、これは?」
袋をひっくり返したり、降ったりするクィレル先生に苦笑。
「双子みたいに悪戯しませんから…開けて大丈夫ですよ」
そう言えば渋々と袋を開けて中身を取り出し…
「ね、ネクタイ、ですか?」
呟いた声に私は満足げに頷いた
そして先生の近くに行き、ニッコリと笑う
「誕生日おめでとう御座います、先生!」
「え…」
クィレル先生は驚いた表情で固まってしまった。
しかし次第に表情が緩んでいき
「あ、そ、そうですね今日は生まれた日、でした…ね。あ、ありがとうございます」
笑う先生に、久しぶりに笑顔をみたと私も嬉しくなり「いいえー」と元気よく首を振った。
「お礼はお体で」
「っえ?!」
「あはは、嘘ですよー」
嘘には聞こえませんでした、先生の小さな呟きを無視し私は時計を見やり時間だと分かると、扉に手をやり部屋から出ようとした…その時
「あ、あの、ネクタイをだっ男性に送る意味ってわかりますか?」
突然の質問に、振り返り先生を見れば何やら真剣な瞳。
私は滅多に見られる顔じゃないと、その瞳をジッと見つめて笑った。
「勿論、わかりますよ?」
分かったから贈ったんですよ?と言えば顔を真っ赤にして俯いたクィレル先生。
可愛いなぁ、ニヤニヤしつつも次の授業に間に合わなくなるので私は「失礼しました」と部屋を出た。
一人残されたクィレルは自分が好きだという女生徒から貰ったネクタイを握り締め、そして可笑しそうに笑う。
「縛りたい…か」
「インカーセラス!…なんてね」
廊下を急ぎ足で進みながら、杖を空に向けて振った。
あの人を縛れたらいいのにな。