魔王様は義理の娘と冒険者になって旅に出ます   作:Revak

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第43話

 

堕天使ウァサゴの目的は一つ。

神に己の献身を認めてもらい、天界に復帰すること。

ウァサゴは自らの意思で堕天使に落ちた訳じゃない。

いつまでも思考が凝り固まったままで昔の考えで動こうとし、アンデッドを駆逐しようとした結果天界から追放されたのだ。

 

ウァサゴは空を飛ぶ。

向かう先はネクロポリス。アンデッドの都市。

 

「アンデッドが街をつくるなど、汚らわしい……!」

 

街の空の上でウァサゴは身震いした。

そのまま急降下。結界に当たる。

この世界の都市は基本街には結界が貼られている。モンスターの侵入を防ぐためだ。

その結界と直接衝突しーーウァサゴが勝利し一部破った。

 

落下地点は計画通りの場所だ。

 

ウァサゴは何も闇雲に破壊して回っている訳ではない。

儀式魔法の発動の為に決まった地点を破壊し、ポイントをマークしているのだ。

それらが積み重なることによってこのネクロポリスを消し飛ばす魔法を発動しようとしているのだ。

 

ウァサゴが店の天井とぶつかる五秒前。

 

「おんどりゃぁ!」

 

横っ腹に斬撃が来た。

斬撃の主はもちろんカレンだ。氷帝剣で斬りかかった。

突然の攻撃にウァサゴは回避も防御も出来ず受けてしまう。

 

空中で回転しながら体勢を正そうとする。

 

「な、なんだお前は!」

「私はかーーじゃなかった。冒険者!この都市を守るために雇われた冒険者よ!」

「冒険者か……私を止められるとでも!」

 

ウァサゴは気合を入れて特殊能力(スキル)を行使した。

右手に魔力で出来た剣を生成し握る。

 

街の空で堕天使と冒険者が対峙する。

 

<捕縛結界>(ビンディング・バリアフィールド)

 

地上に控えているエルミナが魔法を唱えた。

 

「この魔法は……」

 

ウァサゴが使われた魔法が神聖魔法であると感づくと同時にカレンが斬りかかる。

ウァサゴも剣で迎撃するも、攻撃速度と威力共にウァサゴの方が下だ。

数激の攻防の末、ウァサゴは押されていく。

 

「くっ……<空気破裂>(エアロ・バースト)!」

 

ウァサゴは魔法を唱えた。

空気が破裂しカレンに襲い掛かるもカレンはその身で耐えた。

 

「なにっ」

 

ウァサゴが驚愕に一瞬止まる。

その隙をデヴォンは見逃さなかった。

 

デヴォンが背後からバックアタックをしかけ、翼の片方を切り落とした。

 

「なぁぁぁぁぁああ?!」

 

ウァサゴは飛行能力を失い地上へと落下した。

 

<拘束>(バインド)!」

 

落下したウァサゴにエルミナがすかさず拘束魔法を唱えた。

<拘束>(バインド)は対象一体を拘束する魔法だ。相手に光の縄が生まれそれで拘束される。

 

地上へとデヴォンとカレンが降りる。

 

「で、こいつどうする?」

 

カレンがエルミナに問いかけた。

 

「まずは領主様に聞きましょう」

「ま、それもそうね。<念話>(テレパシー)

 

カレンが魔法を行使しアトラシアに繋げた。

 

「領主様、件の襲撃犯を捕まえました。場所はーー」

 

そうしてカレンが場所を伝えると城から文字通りアトラシアが飛び出してくる。

 

すたっと地面に着地し、アトラシアが鬼の形相でウァサゴに問い詰める。

 

「貴様か!わらわの街を襲撃してくれおった腐れ外道は!公開処刑しその首を壁に飾ってやろうか!」

 

言ってることは過激だが実際そうされても文句は言えないぐらいの事はしている。

 

「くっ、汚れたアンデッドめ!私をどうにか出来ると思うな!」

 

ウァサゴはそう威張る。

 

「ふん!貴様は牢獄にぶち込んで公開処刑してやる!」

 

アトラシアはそう息巻く。

 

「まぁ、これで事件解決……かな?」

 

カレンがそう呟き武器を収めようとする。

 

「いやー、それちょっと待ってほしいんだよね」

 

途端空から声が聞こえてきた。

全員の顔が空に向く。

そこに居たのは一人の堕天使だ。

身長は百六十センチ程度。紫色の髪に瞳。黒いコートを纏っている。

背中には堕天使の証である黒い翼が生えている。

 

「ルシフェル……何用じゃ」

 

アトラシアが怪訝な目でその堕天使、ルシフェルに問いかける。

 

「いやー、一応そいつ知人だからさ、処刑するのは勘弁してほしいなって」

「ルシフェル様……!」

 

ルシフェルの台詞にウァサゴが感動したような眼をする。

 

「いくらお主の知り合いだからって減刑は出来んぞ」

「まぁ、そうだろうね、だからーー」

 

ルシフェルは右手に魔力を貯める。

なにを、と行動に移すより早くルシフェルが魔力の光線でウァサゴの頭部を消し飛ばした。

 

「仮にも神に仕える存在だった者が公開処刑されるより、堕天使()の手で死んだって方がまだましだよね」

「……まぁ、今回はそれで済ましてやる」

 

ちっとアトラシアはわかりやすく舌打ちをした。

 

「ああ、助かったぞ黒風の者たち。報酬を渡すので城まで来てくれ」

「あ、はい」

 

 

こうしてカレンたち一行は事件を解決した。

 

 

これからもカレンは様々な依頼を受け、達成し、冒険を続けるだろう。

アンデッドを倒したり、悪魔を倒したり、サタニストを打倒したり。

そうした冒険はいつまでも続くのだった。

 

 

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