たぶんヴァンデールは燃えない。

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あたま空っぽにするかエーテル病でぼけてから読んでください。




 

 

 

「妹はね!あなただけを愛する、とってもキュートで万人に愛される存在だよ!とーっても純粋で愛おしくて大切な妹――私を愛してくれる?」

「万人に愛される?なら私たち2人は例外ね。あなたのことを全く知らないし」

 

 とある薄暗い洞窟の中、青髪で陶器のように白い肌の美しいエレアの娘と緑髪の男性エレアの前で、同じく緑髪でおさげを垂らした妹が喚いていた。

 

「何言ってるの?私はラーネイレお姉ちゃんの、()()()()()()()()()()()()()()()だよ!お姉ちゃん、私のことを忘れちゃったの?」

「初めて出会ってから一日も経っていないのにこいつは何を言っているんだ」

「緑髪のくせに妹に成れなかった出来損ないのロミアスは黙ってて!」

「何を言ってるんだ?」

 

 緑髪の男は両手を上げ、理解不能のジェスチャーをする。

 妹はさらに、女性エレアに詰め寄った。

 

「だから、私を()()()()()()旅に連れて行って!お願い!」

「ペット?どういう意味かしら」

「ラーネイレ、変態の言うことを真面目に聞く必要はないぞ」

「ロミアスはペットで何を想像してるの?キモいよ」

「決めつけないでもらえないか?!」

「ペットっていうのはね、ノースティリスでは信頼のおける仲間って意味なんだよ、ラーネイレお姉ちゃん!」

「へえ、そうなのね。じゃあ、仲間として私たちの旅に同行したいということ?」

「そういうこと!正確には、妹として だけどね」

 

 妹は目を輝かせながら、バァァン!!と胸を張った。

 ノースティリスに詳しい案内人というのは、ラーネイレがちょうど求めていたものだ。

 ヴィンデールの森の民――エレアの2人組という、このイルヴァの大地において厄ネタにしかならなさそうな彼らは、金を積んでも案内人を雇いにくい。それに加えて、仲間の反対を振り切って王都パルミアへの使者を志願した彼女は、手持ちが少々心許ない。

 そんな彼女らにとって、妹の提案は有り難いものだった。

 

「妹というのはよくわからないけど、いいわ。私たちの旅に同行してもらおうか。ロミアスも、それでいい?」

「おいおい冗談だろう?」

 

 緑髪の男はやれやれといった表情で首を横に振る。

 彼とは幼い頃から付き合いがあり、その仕草が必ずしも否定を意味しないことを知っているラーネイレは、静かに微笑んだ。

 

「ダメだ」

「………」

「イダダダダダッ!?わかった!!わかったっ、連れて行こう!!だから足を踏まないでくれ!!」

「そもそも私たちのお金が足りないのは、あなたがパーティーで浪費するからでしょうがっ!」

「なっ!?バレていたのか。ではヴェルニースの看板娘にそそのかされて残りの旅費全てを叩いて買った金塊が実は途方も価値のない錆びた偽物の金塊だったということも―――」

 

*ゴッ*

 

「――ヒェ…ロミアスが飛んだ」

 

 

「私達に残されている時間は少ないわ。こうしている間にも、ザナンの皇子の計画は着実に進んでいる… 出発しよう、アニー」

「えっと、ロミアスはあのままでいいの?」

「そうね、忘れていた………また巡り会う時まで、ロミアス、あなたに風の加護のあらんことを」

「置いてくの?!」

「彼は最初から仲間では無かったわ」

「えー」

 

 青髪のエレアと緑髪の妹は、荷物をまとめ洞窟を後にした。

 

 

 

 

*お姉ちゃーん**お姉ちゃん!*

 

 

 

 

 青髪の女性エレア、妹、泥まみれの緑髪の3人は、炭鉱街ヴェルニースに続く交易路に沿って歩いていた。

 このまま進めば、1時間とかからずにヴェルニースへ到着するだろう。

 

「街の外では、盗賊団や妹団に気をつけてね」

「妹団?…聞いたこと無いわね」

「徘徊する不審者集団だよ。初めて出会った相手を自分のお兄ちゃんやお姉ちゃんだと決めつけて襲ってくる自称妹たちが交易路に出没するんだ」

「つい最近聞いたような設定だな。君が鏡を見れば妹団とやらに会えるんじゃないか?」

「私は"ラーネイレお姉ちゃんの妹"だもん。誰彼構わず襲ってる妹団とは一緒にしないで!」

「あなたの姉になった覚えは無いのだけれど」

「でも、お姉ちゃんは妹が何か知ってるでしょ?」

「…ええ」

「じゃあ、私はお姉ちゃんのことを知ってるし、お姉ちゃんには生き別れた血の繋がっていない妹がいる。だから私たちは姉妹なの!」

「そういうもの…かしら?」

「ヴィンデールの森の外の常識だから、お姉ちゃんが知らないのも無理ないよ」

「…ラーネイレ、おそらく騙されてるぞ」

 

 腕を組みながら、妹の話に口を挟むロミアス。

 そんな彼の前に、茂みの奥から妹と瓜二つの存在が現れた。

 

「お兄ちゃん?もしかしてお兄ちゃんかい?」

「…まさかコイツが妹団か?」

「ロミアス、頷いちゃダメだよ!もし頷いたら、彼女たちに*ピー*や、*ピー*や、*ピー*なことをされちゃうからね!」

「え、怖」

「ねえ、あなたはロミアスお兄ちゃんなのかい?」

「違う、絶対に違うぞ!!」

「略してロミ兄ス?」

「だから違うっ、あと勝手に略すな!」

「そんな、今度こそお兄ちゃんだと思ったのに!」

 

*ザッ**ザッ**ザッ**ザッ*

 

 緑髪の少女が絶望したような声を漏らすと、周囲の茂みから彼女と瓜二つの少女たちが、次々と現れる。

 

「私は妹団の頭領のミシャデリア!」

フハーン!ワタシは妹団の用心棒のオディリスだ!フハハハ!

「あ、あたしは妹団の術師のジリア!あんたのために自己紹介したわけじゃないんだからね!」

「…僕は妹団の殺し屋のクミミ……お兄ちゃん?」

「マニは妹のマニーだマニ。よろしくマニ」

「私たちは、妹団!お兄ちゃんを愛し、お兄ちゃんを信仰する者たちよ!!」

「見た目がほぼ同じなのに、頭領以外のキャラが濃すぎるんだが」

「*チッ*、気を付けてラーネイレお姉ちゃん、ロミアス!頭領以外は、お兄ちゃんへの信仰を捨てて力を得た、妹の風上にも置けない奴らだよ!」

「お兄ちゃんへの信仰ってなんだよ」

 

 ロミアスたち3人と、妹団が互いに睨み合う。

 ラーネイレは愛用する短剣を、妹は赤い包丁を、ロミアスは背負っている弓を取り、構えた。

 

「かかれえええ!」

 

 頭領の掛け声とともに、妹たちが一斉に動き出した。

 妹団の術師が放ったファイアボルトが、草木を燃やしながらラーネイレの元へ向かう。彼女はそれを短剣で弾き、いなすと、素早くアイスボルトを唱えた。

 やがてアイスボルトは妹団の術師の元へとたどり着き、彼女を凍らせる。妹団の術師の氷像は粉々に砕け、跡形も無くなった。

 

 ロミアスを弓使いだと見るやいなや、地面を蹴って素早く接近した妹団の用心棒と頭領。彼女たちは放たれたロミアスの初撃を躱し、包丁を構える。

 しかし、ロミアスが飛ばした矢には紐がくくりつけてあった。彼がそれを引っ張ると、紐がしなり、頭領と用心棒の足に絡みつく。

 体勢を崩した彼女たちはそのまま地面に倒れ、ロミアスは弓を引いて、2人にトドメを刺した。

 

 妹団の殺し屋と、妹のマニーは、ラーネイレの妹―アニー―と相対していた。

 殺し屋が、袖に隠した銃を取り出し、発泡する。しかし、発射した数発の弾丸は全て避けられ、アニーの投擲した赤い包丁が彼女を貫いた。

 

*ドサッ*

 

 最後に残ったのは、妹のマニー。彼女は目を閉じ、余裕そうな笑みを浮かべている。

 

「マニたちがあっという間にやられちゃうとは…さすがマニ。でも、ここまではマニの計算通りマニ」

「…語尾のマニを外して喋ることは出来ないの?」

「これはマニ信者の仕様マニ」

「えぇ…」

「まにか文句があるマニか?ひとの信仰にケチをつけるのはオススメしないマニ」

「…お兄ちゃんへの信仰を捨ててまで機械のマニを信仰するあなたの気持ちが分からないよ」

「俺は兄を信仰しようとする君たちの気持ちが理解できないがな」

「*ちっちっ*、おマえたちは一つ勘違いをしているマニ。マ二はお兄ちゃんへの信仰を失ってはいないマニ」

「…信仰の対象は1つしか選べないよ?私たち妹の信仰の対象は、全員お兄ちゃんかお姉ちゃんのどちらか。そして、妹ギルド第110条:一度お兄ちゃんを裏切ってしまったなら、二度とお兄ちゃんを信仰することは出来ない」

「妹ギルドってなんだよ」

「とある館の伝説の妹をトップとした、妹の妹による妹のための相互協会、略して妹ギルドだよ!」

ロミ・ラー「「??」」

「……ロミ兄スは黙って聞いてろマニ。…マニはお兄ちゃんへの信仰を捨てた後、新しいお兄ちゃんを見つけたマニ。だから、お兄ちゃんを今も信仰しているマニ」

「…まさか」

 

 アニーは息を飲むと、大きく目を見開いた。

 

「そうマニ。…マニのお兄ちゃんは、あのマニ様なのマニ!!」

「なっ…!?」

 

 ドヤアァァ!!とかいう効果音が聞こえそうなほど、妹のマニーは胸を張って宣言した。

 それを聞いたアニーは、奥歯を噛みしめる。

 

「妹はお兄ちゃんを信仰してこそ真価を発揮する。そしてお兄ちゃんへの愛と神からの恩恵の両方の力を得た妹の力は未知数ッ!」

「君たちは何を言っているんだ?」

「ふっふっふ、マニの力をよく見ておくマニ!!」

「…くっ、まずい!」

「…ラーネイレ、この状況を理解できない俺がおかしいのか?」

「私が分かるのは、ヴィンデールの外はまともじゃないということだけよ」

 

 やがてマニーは何かをこらえるように踏ん張ると、勢いよく地面を蹴って駆け出した。お兄ちゃんへの愛による脅威の初速と、マニの加護による超加速により、マニーは一瞬音速を超える。

 アニーの元へたどり着いたマニーは勢いに乗って拳を振り、アニーを粉々に砕いた。

 

 

 

 

 なんてことはなく、

 

*ドスッ*

 

「マにっ!?」

 

 のろのろと駆けってきたマニーは、腹をどつかれ、地面に倒れた。

 …知ってた。

 

「まにに……これは、予想外の結果マニ」

「そもそも機械のマニの恩恵って微妙なやつばっかりじゃなかったっけ?少なくとも、戦闘用ではないでしょ」

「………」

「否定しないんだ…。それに、機械のマニの恩恵は銃スキルでしょ?どうして格闘技で挑んだの?」

「…銃を使おうと思ったマニけど、銃は妹団の殺し屋の得意分野マニ。キャラ被りを避けるという意味でも、マニは格闘技で戦うことを決めたマニ」

「そっか」

「そうマニ」

 

「……」

「……」

 

「…マニの負けマニ。マニがマニ様を信仰してもう長いマニけど、おマえはずっとお姉ちゃんを信じ続けていたマニね。おマえのその思いが、マニのマニ様への思いよりも強かった、それだけマニ」

「ごめん、良いことを言おうとしているのは分かるんだけど、マニがノイズ過ぎてよくわからないよ」

………改宗しようかな

「え?」

「なんでもないマニ。こうなったら、奥の手を使うしかないマ…ニね」

「おいこいつ語尾をマニにすることをためらってるぞ」

「うっさいマニ!おマえらはこれで吹き飛べばいいマニッ!」

 

必殺、★マニの切り札の宝玉っ!

 

「うわぁ!ラーネイレお姉ちゃん、ロミアス、あれやばいよ!早く逃げないとっ!」

「もう遅いマニ!もうすぐ、マニ様の衛星兵器によってこの一帯は焼け野原になるマニ!」

「……ッ、なんですって!アニー、ロミアス、私の側に!」

「愉快愉快!マーニマニマニマニッ!マーニマニマニマニッ!」

「マニ信者の笑い方ってみんなこうなの?!恩恵に対するデメリットがでかすぎるんだけど!?」

「ノースティリス…恐ろしい場所だ」

「おいそこ!聞こえてるマ二よ!!」

「アニー、ロミアス、準備はいい?!いちかばちか魔法を使う!」

「な、逃げるマニか!?卑怯マニ!大人しく攻撃をま――」

 

時空の女神よ、どうか祈りに応えて。【帰還】!

 

 やがて、気まぐれな時空の女神によって、3人の前に大きな時空の裂け目が開く。

 青白い光を放つそれに3人が飛び込むと、後にはマニーだけが草原にぽつんと残された。

 

「…………はっ!攻撃中止、攻撃中止マニ!停止ボタンは!?無いの!?え、は?嘘でしょ!?」

 

 

 

「………………あー、うん(絶望)」

 

 

 

「…ま、

 

 

 ………ま、

 

 

 

 …………マニ様のポンコツうううううううう!!!」

 

 

 直後、赤色のビームが草原に降り注いだ。

 

 さようなら… 遺言は?

「ダメぇ!」

 




…本当に読んでしまったのか?
実は再投稿だったりします。

・姉妹の世界『アニー』
種族 妹
性別 女性
職業 妹
身長 131 cm
体重 39 kg
信仰 お姉ちゃん
所属 妹ギルド
持ち物 ルビナス包丁
備考 異名を選ぶのに10分もかかったのはナイショ。

・風を聴く者『ラーネイレ』
種族 エレア
性別 女性
職業 魔法戦士
持ち物 ★エーテルダガー
備考 ヴィンデールの森の箱入り娘。常識が欠けており、人間を紐でくくったり乗馬したりしない。

・異形の森の使者『ロミアス』
種族 エレア
性別 男性
職業 狩人
持ち物 ★異形の森の弓
備考 みんな大好き緑髪。パーティーでの浪費が発覚してから、所持金はお小遣い制に変わった。

・妹
備考 あなたの妹。空から落ちてくるし、畑からも生えてくるし、群れで襲ってくる。
   あなたを愛し、愛される存在。

・看板娘
備考 尻

・機械のマニ
「お前も体を機械化したらどうだ?」

※続かない

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