これは雄英試験、その2時間前のことである。
<試験官視点>
なんだこいつらッ!なんで試験官の俺を狙うんだ!
「おい逃げるなよ、怪我したくないだろう?」
はぁ、はぁっ。俺は走ってここまで逃げたがこの先は行き止まりである事を知っている。
ここに逃げたかった訳じゃないのに上手く誘導されてしまった。
物に潜り込む個性と強く発光する個性の二つの個性を持った男と個性を見せない男。
二つの個性を持つ奴がとても厄介で物に潜り込んで俺の近くまで来て発光し、視界を悪くする。
そのせいで何度も方向転換を余儀なくされた。
なぜ二つも個性を使えるんだ、複合個性という訳じゃなさそうなのに。
こうなったら戦うしかない。俺の個性は手を熱くするだけの個性で戦闘は出来ない。
だが、たまたま受験生が暴れた時に鎮圧するためのスタンガンを持っていた。
これで戦うしかない。
「おい近寄るな!感電したくなければな!」
俺はスタンガンを前に出して威嚇した。
「おい窃野。」
「あぁ分かってる。」
何を言ってるこいつら…ッ!何ィ!
俺のスタンガンはいつの間にか俺の手から離れ窃野と呼ばれていた男の手の中にあった。
「おいこっちに来い。殺されたくなければな。」
「く…くそ。」
スタンガンを当てられて消えていく意識を俺はなんとか保ち会話を盗み聞く。
「おい、 …野、…えが …ンからもらった個性……ハックの使い方…分かっ……るのか?」
「その話は……だするな。こ……。まだ起きてる。」
「そうだな……生か……とく意味…るか?」
「いや、……ろしとくか。」
「分かっ……」
俺はそこで完全に意識を無くし、もう起きる事はなかった。
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「試験終了!」
試験会場に響き渡るその声を聞いて全員が油断したその瞬間、逃げ出した者がいた。
試験官である。いや、正しくは試験官に変装した窃野である。
彼はこの仕事をするため、『彼』からハックの個性を授かっていた。
それを使い、雄英本部や周りに設置された仮の治療所などに
フェイク動画を見せ続けロボットの暴走を隠し続けた。
この仕事は前払いで有用な個性をもらえ、達成し終わると多額の報酬を貰えるという仕事で
明日の飯にも困るような窃野にとってこの仕事を受けないという選択肢はなかった。
この後集合場所で仲間と集まり、アジトまで戻れれば
窃野は安全に海外に逃げて悠々自適な生活を始められる、
はずだった。
走って逃げようとする窃野は後ろから接近する彼に気づけなかった。
「グハッッ!」
急に車に轢かれたかのような衝撃を受けて窃野は倒れ込む。
振り向くとそこには
般若のような顔をしたこの国の平和の象徴がいた。
そして彼にもう一度殴られ窃野は気絶してしまった。
平和の象徴はスマホを取り出し電話をかける。
「根津校長、やはりあの映像はフェイクだったようです。
0ポイントロボットをどうにかして操り、受験生を襲った者、
そして試験官を襲い、試験官になりすましてフェイク動画を流した男の2人組だと思うのですが…
もう1人はもういません。
逃げたのでしょう。」
『なかなか大変な事態のようだね…』
「この事は公表するのですか?」
『……いや、公表しないのさ。公表出来ないと言った方が正しいのだけれどね。』
「それはどういう意味で?」
『ヒーローの名門校である雄英の試験が乗っ取られ、人が死にかけた…
そんな事実が世に出るより、ロボットのただの暴走ですました方がメリットが多いのさ。』
根津校長は続ける。
『入学して雄英生になってからなら隠蔽出来なかったかもしれないが、まだ彼らは雄英生じゃないし、
そしてヴィランは幸か不幸か彼らに姿を見せていないのさ。
だからこの事は隠蔽するのさ。』
反論を許さないような声で根津校長はそう話した。
「分かりました根津校長、あなたが言うなら…」
この事件は闇に葬られる事になった。
ども!シュガーマンです!気づいた人もいたかもしれませんが昨日別の小説を投稿してみました!
並行線上の彼ら彼女らという題名で投稿していて、大体3話くらいで終わらせる予定の短編小説なので
時間があったら読んでみてください!今日2話も投稿しました!
あんまり見られてなくてショックを受けた僕の心を癒してください………
https://syosetu.org/novel/393437/1.html
↑これが二作目のです。