彼の名前はレイと言う。彼は普通の高校に通う学生で…少し、変わった彼女も居る。彼はそんな青春を謳歌していた。
だが…そんな彼の青春に変化が訪れ始めていた。
青春?⋯そんな甘ったるいものでは無い。
この物語は⋯⋯最低最悪な
「俺の名前はレイって言うんだ、よろしくな」
「うん知ってるけど、レイくん急にどうしたの?」
今は登校中、そして俺の隣を歩いているのは俺の彼女、ルナだ。⋯ちょいとヤンデレ気味だけどな。
春休みが開けて新学期が始まった。そう、高2になったんだ!つまり⋯『後輩』が出来る!
その事に、俺はとても胸が高まっている!
「何か急に自己紹介したくなってな?」
「⋯なら私も自己紹介する。⋯私の名前はルナ、レイくんのものだけの彼女だよ!」
「『もの』は辞めてくれって、前に言ったはずなんだけど⋯」
そう言うとルナの雰囲気が少し重くなった。
「⋯何で?レイくんは私のものでしょ?だってレイくんも私をレイくんだけのものって言ったし、身も心も捧げるって言ったじゃん」
「⋯言ったな」
「⋯やっぱり⋯⋯何で私の事不安にさせるの?⋯レイくんは私が嫌いなの?⋯⋯答えてよ⋯」
⋯やってしまった。こうなると話が通じない時があるからどうしようもできないんだよなぁ。
ならいつも通り⋯ん?いつも通りってなんだ?⋯まぁいいか。兎に角、ルナの機嫌をもとに戻さないと⋯流石に始業式から遅刻はしたくない。
「⋯嫌いじゃない、好きだから⋯好きだからこそだよ」
「⋯良かった⋯私の事嫌いなったんかと思ったんだよ?」
「嫌いになんかならないさ。さ、早く行かないと遅刻するぞ!」
俺は早歩きで行く。ルナを見ると⋯。
「⋯何で⋯私を置いていくの?⋯⋯行かないでよ⋯」
⋯。
「⋯はぁ⋯ほらよ」
俺はルナの手を取って、歩き出す。⋯こうしないとルナは動かないからな。
「あっ⋯⋯レイくんの手⋯温かい。学校も行かないで⋯ずっと、このまま⋯」
「⋯」
俺はもう⋯⋯何も言わん⋯。
あの後、何とか遅刻する事なく学校に着いた。そして始業式は各教室でするみたいだから俺たちはクラスに向かう。それと、俺とルナはクラスが一緒だった⋯これは俺も嬉しい。
教室に着いたのでドアを開ける。黒板に席の指定が書かれていたので、指定された俺の席の名前を探す。
「俺の席は⋯っと、あったな。ルナはどのせ⋯」
俺は自分の席を見つけたので、ルナはどの席なのか聞こうと振り向くと…。
「⋯なんで⋯⋯なんで、隣の席じゃないの?⋯⋯レイくんの隣は私のものだけなのに…?」
「ルナ、仕方ないさ」
「⋯仕方ないって何?レイくんは私の隣が不満なの?」
「⋯いや、そもそも隣の席は異性にならないって先生が決めたろ?」
そう、そもそもとして去年からだが隣の席は絶対に異性にはならない。
⋯でも、ルナはそれが嫌なんだろうなぁ⋯⋯俺もルナの隣がいい。
「⋯異性も先生の決まりなんて関係ない。私がレイくんの隣じゃないといけないの⋯⋯他の誰でもない私が…」
⋯あー⋯どうしよ…こんな時、あいつが居ればいいけど、今年も同じクラ。
「あっ、ルナ〜!」
⋯同じクラスみたいだ。
「⋯何、今レイくんの事考えてたのに」
「あははっ⋯」
今、苦笑いしているこいつの名前は『ミナ』。金髪の女陽キャ⋯あれだ、自称ギャルってやつだ⋯多分。因みにルナの友達だけど⋯ルナはかなり酷い態度を取る。
もう一度言う⋯『友達』だ。
あと、ミナが居る場所はルナの前ではなく自分の席から話し掛けている⋯いや、近くに来いよ。
「⋯ミナ、レイくんの前で端ない格好は辞めてって言ったよね?」
「え〜だってこれが私のファッションなんだもん」
そう言ってミナは、くるりと回転する。ミナの服装は主に胸ボタンを
⋯ミナの胸は巨の部類に入り、ルナは貧の部類に入る。勿論ルナの方が好きだぞ?⋯触ったことはないが。
そんな事を思っていると、急に視界が真っ暗になった。
「⋯何処見てるの?⋯⋯見ちゃダメ」
⋯ルナに目を塞がれたようだ。たまにこれをやるから慣れてしまった。
「⋯ミナ⋯⋯レイくんを誘惑しないで」
⋯多分、睨みつけてるな。
「別に〜?⋯あっルナの隣、私だからルナの席はここだよ」
ミナは隣の席を叩きながら言う。
⋯それにしてもルナの隣はミナか、
⋯おっと、もう時間が無いな。
「ルナ、先生が来るから席に着くぞ」
俺がそう言うとルナは俺に振り返って、笑顔で思いもよらぬことを言った。
「うん、一緒の席に着く!」
「あぁ⋯ん?」
「え⋯ルナの席、ここなんだけど⋯?」
なんか、ルナが言った事おかしくないか?⋯ほら、ミナも困惑してるし?
「⋯ルナ、今の言葉もう一度言ってくれないか?」
多分、聞き間違いだ。流石にルナもそんな事は言わ。
「レイくんの隣の席に座るって言ったんだよ?」
ない、筈。⋯⋯言ったな、ならこういう時は⋯。
「⋯ルナ、ルールは守れ」
「えっ、うっ⋯⋯うん、分かったよレイくん⋯」
強めに言う事だ。ルナは意外と気弱なんだ、だから強めに言えば良い時もある。
⋯悪い時もあるけど。
そうして、俺たちはそれぞれの席に向かい⋯座る。
因みに、俺の隣の席の奴は⋯。
「よっ!」
「⋯久しぶりだな、ルイ」
こいつはルイ、俺の友達だ。てか去年も隣の席だったよな?
「久しぶりって、会ってないの春休みの間だけだろ?」
「⋯あー確かにそうだけど⋯なんかルイを見るのが懐かしく感じてな?」
本当に春休みの間だけなのに、何故か懐かしく感じた。
⋯俺、おかしくなってないよな?
「⋯ま、俺もだな。レイとは3カ月ぶりな気がするし」
「そうなのか?」
「そういうもんだ。ところで⋯」
俺たちはそのまま先生が来るまで談笑し合うのであった。
一方ルナたちはと言うと⋯。
「許せない⋯」
「る、ルナ?」
「⋯レイくんが⋯⋯私以外と、話すなんて⋯」
「⋯いや、仕方ないでしょ?隣の席だし、友達だし」
「⋯友達?⋯⋯レイくんには⋯私以外要らないの⋯⋯」
「⋯いや、ルナも付き合」
「⋯そうだ⋯⋯ミナをレイくんに見れば⋯隣の席だよね?」
「⋯え、いや、レイは」
「ねぇ⋯レイくん?」
「⋯(誰か助けてー!?この娘、話通じないよー!?)」
「⋯んで⋯ルナ、ミナはどうしたんだ?」
特に何事もなく始業式とホームルームが終わり、休憩時間となったからルナに話し掛けたんだが⋯意気消沈してるミナを見たら、流石に気になったので聞いた。
「⋯ん〜?さぁ?⋯それと、他の女の名前⋯⋯呼ばないで⋯」
⋯まただ。名前を呼ばないよう気を付けてはいるんだが、名前を言わずに呼ぶのは難しくて無意識で、つい言ってしまう。
ルナの気持ちをどう落ち着かせようか考えていると、先程まで意気消沈してたミナが話し掛けて来た。
「⋯ルナ、レイ」
「⋯ミナ、だからレイく」
「ルナ待て⋯」
俺はルナを静止させて、ミナを見て目を細める。何故ならミナの顔が何時になく、真剣な顔をしていたから。
「もうそこまで⋯話が早くて助かるよ。実は⋯嫌な予感がするの」
「嫌な予感?」
嫌な予感⋯正直、もっと大きなものかと思ったけど⋯⋯いや待て、そんな簡単に決めていいものなのか?⋯もう少し聞こう。
「そう、嫌な予感。⋯レイたちに、ね」
「俺とルナか⋯分かった」
俺だけなら良かったが、ルナも入るなら話は別だ。
「⋯念の為言っておくけど、この予感は必然。それと⋯忠告ではなく警告だって事を覚えておいて」
「⋯ミナがそこまで言うんだ、肝に銘じるよ」
「⋯ありがと」
ミナがここまで真剣なのは見たことが無い、警戒はしておくか⋯新学期、楽しくなると思っていたんだがな。
⋯ん?なんか忘れてい。
「⋯んふふっ」
「「あっ⋯」」
ほんの数十秒なのに、ルナは待てなかったようだ。
⋯うん、どうしようか。
ミナを見ると目が合う。
「⋯何処⋯見てるの?」
「⋯そろそろ休憩時間がおわ」
いつもの
「⋯レイくん⋯⋯休憩時間はまだ少しのこっ」
少し残ってる⋯そう言おうとしたルナだが、休憩時間の終わりが分かるチャイムが鳴った。
時計を見ると、その時間に針が指されていた。
「⋯授業なんて⋯⋯無くなればいいのに」
ルナはそう言うと、俺の肩から手を離してくれた。
ふむ⋯。
「⋯」
「おーい、レイ、どうしたー?」
少し考えているとミナが話し掛けて来た。
「何でも無い。ただ⋯チャイムが鳴るのが早いなって、思っただけだ」
何時もこの時間にチャイムが鳴るのだが、俺はチャイムが鳴るのが少し早く感じた。
⋯けど時計の針は、何時もの時間に指されている⋯気の所為か?
「⋯気の所為だと思うよ」
「うん、ミナの言う通りレイくんの気の所為だよ」
「そうか⋯なら良いんだが⋯」
「先輩、よろしくです♪」
「⋯よろしく」
⋯授業と言ったが正確には、後輩との交流会だ。
この高校には、ある恒例行事があった。
それは⋯春休み明けの始業式の後に、体育館に集合して後輩との交流会。3年生には無く2年生だけに有る。去年は俺が後輩の立ち位置だったが、今回の俺は先輩の立ち位置だ。
⋯だが、俺に話し掛けて来た後輩は少し⋯いや、かなり癖が有りそうだ。
まず、言葉遣いが⋯。
「せんぱーい、考え事ですかー?」
かなりお調子者だ。俺の偏見だが、メスガキに地雷を混ぜたような奴だ。
⋯正直苦手だ、関わりたくない。でもこれは交流会、我慢し。
「もしかしてー、サナちゃんの事考えてますー?先輩ダメですよー?サナちゃんを先輩のものにしたいなら〜、そうですね〜⋯サナちゃん可愛いって、1000回言っ」
「それ以上近づかないで」
ルナが俺と後輩の間に割り込んで言う。助かった⋯我慢出来そうになかったからな。
因みに後輩が言っているサナとは、後輩自身だ。⋯本当に関わりたくない。あ、後輩の顔が笑顔?から不機嫌な顔になった。
「⋯なに、この女⋯急にサナちゃんと先輩の間に割り込ん来て、近づかないで?⋯ふ〜ん」
「⋯ジロジロ見ないで⋯私を見て良いのはレイくんだけ。それと私はレイくんの彼女だから」
「⋯それが何?サナちゃんは今先輩と話してたの、彼女だか何だか何でもいいけど邪魔しないで」
「⋯話してた?独り言じゃなかったの?」
「⋯」
「⋯」
⋯火花が見えるのは気のせいだろう。それより⋯。
「二人とも、ヒートアップし過ぎだ。今は交流会の時間だ、ルナはどうなんだ?」
「⋯後輩なんて要らない。レイくんだけ居れば良い⋯」
ルナが俺の手を取って、後輩を見ながらそう言う。
「⋯ふんっ!」
急に後輩がそっぽを向いたと思えば、俺に振り向いて笑顔で⋯。
「またね⋯せ、ん、ぱ、い⋯♡」
気持ち悪い声でそう言って、走り去った。
「⋯気持ち悪い」
「ルナ、俺も思ったが口には出すなよ」
「分かってるけど⋯」
「はぁ⋯もう帰るか?」
「!」
ルナは嬉しそうな顔で頭を何回も縦に振る。周りを見ると、みんな仲良く談笑している。
帰ると言ったが、交流会は何時でも帰っていい。
「帰ったら、何する?」
ルナがそう聞いてくるので答える。
「ルナといちゃつく」
「⋯//」
照れた⋯可愛い。
そう思いながら歩き出す。ルナも隣を歩いて俺の手を握っている。
⋯嫌な予感、か⋯あたらなければいいが⋯。
俺はミナが言っていた事を、ふと思い出しながら帰るのであった。
「はぁ〜疲れたー」
私、ミナは自室のベッドにダイブする。
「これじゃあ、後輩じゃなく舎弟ができそうだよ⋯」
「このイベントがスキップ出来たら早くて楽なんだけどなぁ⋯」
「レイ⋯どんどん知能が上がっている⋯早く、何とかしないと⋯」
「私が⋯私たち『プレイヤー』が⋯」