残響騎士:エコーナイツ - 2059 -   作:九十九 章

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練習・試作を兼ねた短編です。

メインストーリーは、鋭意製作中です。




番外短編集
短編:ブードゥー・タクシー 其の壱


 

-001-

 

ある日突如、平和な世界に、外の世界(宇宙)からお友達(宇宙人)がやって来て、地球()が、地球(母国)が、大ピンチッ!?

 

そんな、異能・SF作品におけるコテコテの定番設定。

或いは王道シナリオと言える其れに、今更文句をつける不届き者は居ないだろう。

 

況してや、其れが本当の事だと認識する愚か者などいない筈だ。

 

そう。あくまで架空の設定、架空の世界の出来事として楽しんで。

一コンテンツとして愛し、消費し、経済を回しているうちは。

其れこそが、正しい在り方、オトナの対応、社会の常識だと、そう思い込んでいるうちは。

 

 

──事実、(アタシ)もそうだった。

 

しかしながら、この世界(if)においては、そうした作品特有の謳い文句(この物語はフィクションです)に、一つだけ嘘が混じっていた。

 

お友達が実在している(ノット・フィクション)、という酷く血腥い現実が。

 

 

 

-002-

 

──遥か古代。

 

人類が文字や言葉を操り、物語を紡ぎ始めた時から現代に至るまで東西南北あらゆる場所で紡がれた、神話、伝承、寓話、風説、叙事詩。

或いは都市伝説に至るまで。

 

どれを取っても、其の作品のメインとなる登場人物と関わりがある、人/神/精霊/怪物。

その殆ど全てが、文字通り。

”外宇宙からやって来たお友達(寄生体)ないしは其の良き隣人(感染者)”である事は、紛れもない事実である。

 

 

──外宇宙から隕石と共にやって来たV.O.A.寄生体(寄生蟲)

 

其の感染者(感染体)となって順応し、手にした異能を振るう事で祖国を救った事で英雄(領主)となる。

 

或いは呑まれて怪物(反英雄)へと堕ち、倒錯的で刺激的な生存競争(権力闘争)に明け暮れる。

 

そうして、人類史/古代史において英雄(怪物)と呼ばれ、後の英雄(怪物)譚に記録された人類史の1ページは、後の王侯貴族の祖先信仰となると同時、その血を継いだ者たちによる王権神授説(領土拡大)証明譚(正統化)として利用され、幾度と無く生まれ出づる戦争や紛争。

或いは内戦を招く引き金となっては、現代にまで其の爪痕を残していた。

 

だからこそ、現代に迄記録(ログ)が残っている世界各国の伝承の登場人物達。

 

現代人にとって歴史上の登場人物である、

 

王に連なる者。

(土地)神に連なる者。

怪物に連なる者。

美醜、賢愚、有能無能、適格不適格。

 

まるで作品人物の様に、くっきりと分かれた才能を有し、偉人/変人/愚者/怪物の何かの道を辿った英雄/反英雄達の其の子孫達にして、貴族ないしは豪族(ブルー・ブラッド)として、大陸全土へと普及(人間種が大陸を制覇)する事に成功した彼等彼女等の全盛期と言うべき前近代という時代は、後世において度々、作品や議論/批評の対象となっていた。

 

故にこそ其の末裔の一人にして一国の王妃となった女性。

特に後の帝国/公国女王にして、ヨーロッパの祖母と迄呼ばれた賢女達が納めし近代の更に先。

 

民主主義の名の下。

貴族という存在が絶滅危惧種となる程に血が薄まり、怪物の殆どが家畜化されるに至った現代において。

 

ハーフ・フィクションであった嘗ての英雄譚(過去)は、古代のSF小説(オール・フィクション)として半ば扱われる程に、其の信仰・神秘性は薄れ、或いは統計学・科学に置き換わり。

 

同時に、社会性動物である(群れを成す)人間の社会において嫌厭される、特質した個人。

 

嘗ての時代に居たとされる強大な異能(チカラ)を持った英雄(怪物)達。

或いは、彼等彼女等を想起させる程、強い異能を保有した”個人”は、早々に社会的(同調)圧力によって排斥/隔離されるか、はたまた血を薄める方向へと舵が切られた。

 

だからこそ、こと現代に至っては、余程特殊な家庭にでも生まれぬ限り、大衆は、嘗ての地方豪族や貴族の血を、己が内に僅かに引いていようとも、あくまで過去。

或いはフィクションの産物として文字通りのアイデンティティの一部。

ないしは、コンテンツの一つとして消費する事はあっても、其れを殊更気にする事は無く。

 

何事も無い平和な日々を、”防護壁(ユリカゴ)”の中で懸命に生きていた。

 

──少なくとも、私は、そうある事が、善良な市民の模範解答であると、今日、この日迄、表の世界で生きていたのだ。

 

だから自分の目の前で、異能を発現させた兄。

 

街中を闊歩する怪物から私を庇うが為に、英雄の子孫として異能を使用し、蠢く屍体となって尚、怪物と相争う兄だったモノを前に、私は理解が追い付けず。

 

私は燃え盛る街、炎の海の中。

兄の手によって隠匿された瓦礫の下で。

私は兄の指示通り、息を殺し(浅い息遣いで)小さく蹲り。

只々、其の地獄の様な光景を、瓦礫の隙間から覗き見る事しか出来なかった。





今回の様な短編を、これからもちょくちょく投稿するつもりです。
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次回投稿は来月18日の同時刻の予定です。
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