イルとダイの大冒険   作:NBRK

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間隔が開いてしまい申し訳ありません。
少し体調を崩していました。また週1ペースに戻せるよう頑張ります。


第17話 選んだ

 

 ゾーマにより光を奪われたことで、再び世界はパニックに陥った。

 

 その犯行の現場を目撃していたロモス王とアバンらは、事態の沈静化のためにすぐに各国へと連絡をし、ロモスにて世界会議が行われることとなった。

 

 円卓に着いたのはロモス、パプニカ、カール、ベンガーナ、テランの人類5国の王たちと、それと同数の魔族の長たちだった。世界が統一されたことで魔族との交流が生まれたのは、ロモスだけではなかったらしい。

 

 議題はもちろん、新たに現れた大魔王、ゾーマについてだった。その間、ダイ達は別室にて会議が終わるのを待っていた。

 

 『勇者』一行に与えられたのは、その肩書きに相応しい豪勢な客間だった。一方で、状況を考えれば当然ではあるが、部屋の雰囲気は硬かった。

 

 

「やっとデスタムーアを倒したのに、またすぐにあんな強敵が現れるなんて・・・。」

 

「ううむ。幸いこちらもまだ万全とはいえ、こうも連続すると次を考えてしまうな。」

 

「おっさん。気持ちはわかるけどよ、まずは目の前の敵のことだろーよ。あのゾーマって野郎、とんでもねえ魔力をしてやがった・・・ひょっとすると、バーン以上かもしれねえ・・・。」

 

 

 ポップの言葉に、クロコダインはすまない、と首を振った。だが、クロコダインの態度も無理はない。ダイが打ち倒したオルゴ・デミーラという大魔王を含めれば、実に3体もの大魔王が立て続けに現れているのだ。故に今回を乗り越えたとしても、次があるのではと心配してしまうのは当然のことだと言えた。

 

 

「・・・ま、クロコダインの心配についちゃあ、そこまで気にするこたぁねえと思うぞ。今までと違ってあいつが居るのは敵の本拠地なはずだ。ゾーマを倒して、『狭間の闇の王』をぶっ倒したらそれで終わりなはずだぜ。」

 

「・・・『狭間の闇の王』?」

 

「あ、悪い。こっちの話だ。」

 

 

 ヒュンケルのとぼけた反応を見て、ヴェルザーは己の発言を取り下げた。

 

 イルの細工は自分の存在だけではなく、同じく外の世界からの干渉者である『狭間の闇の王』にも及んでいた。この事実を知りヴェルザーとダイは、ゾーマの打倒をもってイルがこのシナリオを終わらせようとしていることを察した。

 

 世界を闇に陥れた魔王は倒れ、世界は歪に整えられた形のまま残る。その真犯人の存在は世界から忘れられ、やがて歪な形に疑問を抱く者は一人もいなくなるのだろう。

 

 もはや、ダイがイルに直接剣を向ける必要も無くなった。ゾーマを打ち倒し世界が平和になることで、ダイは人類、魔族、竜族の全てから認められることとなるだろう。この状況は、ダイの心に仲間殺しの傷を残さないために、イルが打った策であった。

 

 竜の騎士を呪い続けてきた強さへの偏見も、今や問題ではない。なぜなら、この世界では力を持つ魔族が当たり前のように人間の隣人として佇んでいるのだから。

 

 考えれば考えるほど、ダイは世界の大きな流れに身を委ねたい衝動に駆られた。それと同じくらい、委ねたくなかった。でもその思いを言語化することができない。そうする時間もない。

 

 答えは出ないまま、その時はやってきた。ガチャリ、と音を立てて、アバンが会議の結論を述べにやって来た。

 

 

「先生、どうなりましたか?」

 

「予定していた通り、敵の本拠地に攻め込むことになりました。明日、ダイくんを中心とした少数精鋭であの城に乗り込みます。」

 

「明日!?それに少数精鋭って・・・これだけの国が集まってるんですし、以前みたいに連合軍みたいなのは作れないんですか!?」

 

 

 アバンの回答を聞いて、ポップが慌てた様子で問いかける。その問いかけに、アバンは目を閉じ首を振って答えた。

 

 

「暗闇とは私達が想像する以上に人の神経を擦り減らします。これ以上の混乱を避けるためには、一刻も早い解決が必須です。」

 

「にしたって!・・・せめて援軍くらいは!」

 

「確かに、味方の存在は心の支えにはなります。しかし残念ながら、今回はむしろ足手まといになるだろう、というのが、敵の城を偵察した魔族隊の意見です。あの城を守る魔族は数は少ないようですが強敵ばかりで、少なくとも私くらいの使い手でなければものの数にもならないとのことです。」

 

 

 アバンの言葉に言い返せず、ポップは歯噛みしてダイの方をちらりと見やった。心配のこもったその視線を受けて、ダイが口を開く。

 

 

「・・・おれはそれで大丈夫です。」

 

「ダイ!?だ、だけどよ・・・。」

 

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫だよ。説明するのは難しいけど・・・あそこで待ってる相手のことはよく分かるんだ。多分、邪魔はしないと思う。」

 

 

 ダイはそう言って立ち上がり、壁に立てかけていた『ダイの剣』を背負った。そしてアバンの隣を通り抜け、扉から外へ出る。

 

 ポップ達の声を背中に感じつつ、ダイはひとり廊下を進む。

 

 

「行くのか。」

 

「うん。」

 

「そうか。」

 

 

 廊下を進んだ先では、腕を組んだバランとヴェルザーが待っていた。バランの問いにダイが短く答えると、バランは頷いてダイの隣に立った。

 

 同時に、ヴェルザーがダイの肩に止まる。

 

 

「ま、最後まで付き合うぜ。オレもこんな姿のままじゃ格好つかねえ。あの小娘に一言文句くらい言ってやりてえもんだ。」

 

「うん、本当にそうだね。」

 

 

 ダイは選んだ。真の魔王に向き合う道を。

 

 最後の戦いが、始まる。

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