【速報】ブルマ寝取ったったwww【悲報?】 作:粗品もんすたー
惑星シャーツは未開の地だった。
規模は地球の3分の2ほど。季節は夏が2ヶ月で、秋が5ヶ月、冬が1ヶ月、春が4ヶ月。全体的に温暖で、水源も豊富だった。異常気象も確認されておらず、例え地球人でも快適に生活できる環境だ。
にも関わらず主に生息している動植物に動物類がほとんど含まれておらず、海に魚類が少なく、貝類が豊富で、陸地には綿毛を生やした巨大な樹木が、惑星シャーツの陸地全域に乱立していた。
調査によって判明したのは、現地霊長は虫型の生命体であり、知能レベルは地球人で言う原人よりはマシな程度。住処は綿毛をつけた巨木で、感情ではなく昆虫的な本能で活動しているようだ。
以上を踏まえて出した結論は、シャーツの住民達との理性的な対話は不可能であること。
地球人達は彼らにとって縄張りを荒らす害虫であり、駆逐するべき敵としか見られなかった。
地上に降り立ち、対話を試みた隊員達は現地民に危害を加えられそうになった。負傷者はいないが、自己防衛のためという大義名分を振り翳し、無為に現地民へ危害を加えるのは本意ではない。艦長判断で水の補給と、幾らかの資源サンプルを回収後、本艦は惑星シャーツより撤退した。
報告用に映像データ、音声データ、資源サンプルの研究成果を添付して地球へ送る。
「チッ。あんな虫けらに配慮してやる必要があったのか? 使えん奴らなら駆除して、シャーツを第二の地球にでもすればよかったものを」
第七船団の旗艦、主要な
忌々しそうに過激な思想を吐き出したのは、緑の肌が特徴的なナメック星人ピッコロだった。
一理ある。艦長を務めるバイオレット『大佐』は、主君の養子に等しい弟子の発言に、一定の合理があるのを認めた。口には出さないが、それもまた是とされるべきなのは否定できない。
知能レベルが原人程度の虫型人類を殲滅したとしても、地球から遠く離れたこの地でなら隠蔽は極めて容易である。仮に露見しても害虫として駆除したと発表すれば、地球にいる人々からの反感も最小限に留まるのが簡単に想像できた。なにせ虫なのだ、虫に人権を見いだせる人間は少数派だろう。
惑星シャーツの環境は素晴らしい。地球人類の人口が増えすぎた時、第二の地球として扱おうというのは合理的だ。位置関係的にも中継地点に最適であり、シャーツ人を根絶やしにするのは
流石、法師様の直弟子。残虐なようでいて、しっかり合理的思考に基づいた物言いだ。
バイオレットは内心ピッコロの意見を高く評価したが、生憎『正義の味方』として落第である。
「お、おいおい、言い過ぎだぜピッコロ。俺達は別に侵略者じゃねえんだ、そんな酷い事できねえよ」
「そうだよ。霊仙様ならこんな星、放置するに決まってる。シャーツをフリーザ軍が襲ってくれたら、その非道を喧伝するのに利用できるんだからね。寧ろ発信塔の一つぐらい置いていって、フリーザ軍が見つけやすくしてやった方がよかったんじゃないかな。クリリンもそう言いたかったんでしょ?」
「え、ええ……俺そんなこと言ってねえよ……」
クリリンが過激なピッコロを窘めた。しかし超能力をメイン武器にするチャオズが、同意しているようでより酷薄な台詞を口にするとドン引きする。チャオズの言は的確だが、余りに無情だからだろう。
チャオズの意見もまた有りだ。寧ろその通りにしない方がナンセンスだと言えるかもしれない。
しかしそんな真似をしては、あの御方に警戒心が薄いと呆れられるだろう。宇宙は未知の領域なのである、過去を視られる超能力者や、心を読める読心能力者がいない保証はないのだ。万一事の真相が露見した際の危険性もケアする必要がある。よって、何もしないというのが最適解だった。
慎重過ぎると嘲られるかもしれない、臆病過ぎると笑われるかもしれない、だがそれぐらいで丁度いいのだとバイオレットは考えている。責任を負う立場の者は、想像し得る限り熟慮を重ねて、有事に対してあらゆる線を追い備えるものだ。それがあの御方に信任して頂いた立場の者がやる事である。
よってチャオズの意見には理があると認められるにしても、まだまだ視野が狭いと評価せざるを得なかった。無駄に甘いわけじゃないだけ、バイオレットからすれば高評価に値するけれど。
対してクリリンは甘い。彼はまだ十六歳で、今後は評価が変わることもあるだろうが、現時点ではあくまで現場の一兵士の域を出ないだろう。だがそれでいい。あの御方の構想が実現するまで、BE機関及び地球は瑕疵一つない、清廉潔白な正義でなければならない。今の機関にとって、クリリンのような甘さは美徳だ。減点対象にはなりえない。このまま酸いも甘いも経験すれば、よい兵になれるだろう。
「チャオズの言う通りだとは思うが、オレ達が考えるような事じゃあない。そういうのは霊仙様やバイオレット大佐の領分だ、余計な気を回す暇があるなら修行でもしていた方がマシだろう」
「だな。なぁピッコロ。おめぇは故郷だっちゅー星に早く行ってみてぇんだろうけど、急いだってすぐ見つかるもんでもねぇだろ? どうしても気が逸るってんなら、憂さ晴らしに付き合ってやるぞ」
「……フン。貴様の口車に乗るようで癪だが、くだを巻いていても不毛なのは確かだな。いいだろう、孫悟空。貴様の足腰を立たなくして、二度とオレ様に歯向かえないようにしてやる」
弟分の意見を肯定していながら、思考を放棄しているとも言える言葉を吐いたのは天津飯だ。
眼窩の二つと額の一つで、三つの目を持つ禿頭の青年である。エージェントの中でも2トップを張るピッコロや孫悟空には一歩劣るが、独特な技を駆使するタイプの武人肌の存在だ。
器用なクリリンと系統が似ているが、技術と身体能力では完全に上位互換である。しかし精神性だけ見ると、柔軟さがあるクリリンと比べると頑迷な一面があり、総合的にはクリリンに一歩譲るだろう。
そして、孫悟空。十五歳の少年とは思えない矮躯だが、彼はサイヤ人である。人種的な特性として、少年期までは非力な子供の姿を保ち、戦闘に適した年齢になると一気に大人の姿まで成長するらしい。
後は老年期に入るまで容姿が劇的に変わることはないらしく、人種を鑑みても有力な戦闘員になると見込みが持てた。純粋な戦闘屋として見るなら、戦略に興味を持たないのもマイナスにはならない。
この両名は適性的に戦士にしか成り得まい。半端な戦士なら要らないが、いずれ突出した戦力になるとあの御方は仰っている。規則を破り、規律を乱しても少しは融通を利かせていいだろう。
「……」
彼らが雑談に興じる光景は、養成校でも見慣れたものである。和気藹々としていて微笑ましい。
しかしここは宇宙だ。北の銀河の太陽系を離れて、宇宙の海を旅する船の中である。ちょっとでいいから緊張感を持てと、何も知らない人間が見れば叱り飛ばしてしまうだろう緩さであった。
が、バイオレットは叱責しない。
それは何も、見知った顔ぶれを甘やかしているわけではなかった。
政治的な存念で、バイオレットだけ軍籍を持ち大佐の階級に就いているが、養成校で教師もしていた時期がある。彼らは座学面の教え子でもあるのだ、性格的なものについても理解していた。
ガチガチに縛りつけ統制下に置こうとすれば、却って発揮されるパフォーマンスは低下する。彼らに十全の能力を発揮させるには、ある程度自由にさせておいた方が良いのだ。
(それにしても……)
バイオレットはふと思う。
(孫悟空。ピッコロ。天津飯。クリリン。チャオズ)
精鋭だけを集めた第七船団の中で、五指に入る精鋭達がここにいるのだが、ものの見事に三蔵法師の教え子しかいない。全員が二十歳に満たない子供でも、純粋な戦闘力で彼らに敵う大人はいなかった。
常識で考えれば有り得ないだろう。冷淡なバイオレット大佐も信じ難い気分だ。だが地球での常識はこれからの時代だと通用しない。新たな世界観に適応する、最先端の現場がこの第七船団なのである。
「……お喋りは済んだな。ではさっさと下がれ、仕事の邪魔だ」
「はーい」
艦長席に着いたままバイオレット大佐がそう言うと、若者達を代表してクリリンが返事をした。
この中で唯一大人と言える体躯まで成長しているピッコロですら、鼻を鳴らして反抗的な態度をみせながらも、抗命まではしないで素直に指示を聞いている。今はバイオレットの方が強いからだろう。
彼らが艦橋から退室したのを皮切りに、艦橋のクルーが口々に報告を開始してくる。
「艦長、物資生産プラント艦フードから報告が来ました。惑星シャーツから得た資源は⸺」
「⸺探査大隊から入電!」
「星間航行戦艦キッチンより要請。気功銃、先行配備型強化外骨格プロト・セルの定期整備の為、旗艦から整備員を派遣されたしとのこと」
「⸺科学班より試算データが⸺」
「物資輸送船団レーゾコより報告……」
今まで子供達が艦橋にいたのは、惑星シャーツで見聞したことを報告させるためだった。
彼らも調査隊に加わり、環境や原住民に関して調べさせていたのである。
それが済んだ以上はやらせることはないに等しい。さっさと退室させるに限った。
バイオレットは上げられてくる膨大な情報を処理していった。
彼女は人造人間の先駆け的な存在、アーキタイプである。脳の情報処理能力はドクター・ゲロのコンピュータに比肩し、常人なら百人掛かりで受け持つ過酷な事務も片手間で片付けられた。
しかし口は一つしかないため、一々口頭で対応するのは非効率的だ。故に能率を上げるために手元のコンソールで文字を打ち、取得した情報をもとにして次なる指示を各所に送りつける。
(法師様はヤードラット星という惑星、そしてナメック星の二つを重要視されておいでだった)
仕事の傍ら、頭の片隅で思い返すのは、彼女が最も尊ぶ主人から与えられた知見。
ヤードラット星。超能力としか言えない技能を数多く修めているという、ヤードラット星人達。彼らと接触した暁には、そこで最低でも悟空やチャオズに瞬間移動という異能の習得をさせたいらしい。
ナメック星。ピッコロや地球の神の故郷。ここにはドラゴンボールという秘宝があるらしく、温和な彼らナメック星人と、恒常的な友好関係を築くのが必須だと三蔵法師は言っていた。
バイオレットにとって、これらの情報の出処はどうでもいいことだった。
大事なのは主人の命令を完璧に果たすこと。それ以外は極論、何もかもが瑣末事だ。
(そして、
と。そこで大佐の思考は打ち切られた。
報告が上がったのだ。
星域のマッピングのために無人探査機を打ち出していた大隊から。
「艦長、探査大隊より緊急の報せです」
「⸺繋げ」
オペレーターは命令通りコンソールを操作し、艦橋の中心にある巨大モニターを開いた。
するとそこに映し出されたのは、黒い肌とスキンヘッドが特徴の、厳つい顔立ちの軍人である。
「ブラック少佐、何事か?」
『大佐。ブルー少尉の管轄下にある無人機が有人惑星を発見しました』
ほう、と息を漏らす。
宇宙船の性能からして、経過時間から逆算すると、既に第七船団は地球から太陽系の端までの距離を航行している。先行した探査艦隊は太陽系から銀河系の中心の距離、約二万七千光年は先にいる筈だ。
仕事が追加される事実に船員達はうんざりした様子だったが、続く少佐の言葉に雰囲気は一変する。
『未確認星は現在
「……確かなのか? 内戦ではない確証があってのことなんだろうな」
フリーザ軍。その名に、実戦の気配を感じて息を呑む面々を尻目に、大佐は淡々と事実確認をした。
かつての地球のように、国同士が別れて覇権を争っている状態も、今の地球では内戦と定義される。
内戦であるなら介入は慎重にしなければならない。どこかの国に肩入れして、統一国家樹立に向けて支援し、地球に友好的な勢力を作るのも一つの手ではあるが、独断でやれる事ではなかった。
だが少佐はフリーザ軍、ないし宇宙からの侵略であると断じている。
彼は無能ではない。きちんと裏取りをしてから報告してきていた。
『事前に周知されていたフリーザ軍の戦闘ジャケット、及びスカウターを装備した者が当該惑星を攻撃しています。まず間違いないかと』
「理解した。当該惑星の座標を送れ、後はこちらで対応を決定し行動する」
『了解』
敬礼した少佐に答礼し、モニター映像を消させた大佐は、一同を見渡して指令を発した。
「聞いていたな? 指定座標に急行する。戦闘準備を整えろ」
了解! と唱和されるのを聞き流し、バイオレットは思案する。
宇宙に出てからの、初の実戦だ。エージェント達……あの若者達を、どう動かそう。
作戦目標を決めて、後は好きにやらせてみようか。良い経験になるかもしれないからな。
バイオレットは内心そう呟き、宇宙に瞬く星屑へと目をやった。
⸺その先で孫悟空が運命的な出会いを果たす事になるとは、バイオレットも想像はしてなかった。