※クリア後微ネタバレ
※n番煎じ
※捏造設定、独自設定、自己解釈
※やまなしいみなし
pixivにも掲載しています。
ポケモン勝負が強いと言えばあの子。
大口を叩く以上の実力がある。
ミアレの未来を背負っている。
彼女に救済された。
自分達の手中に収めたい。
この街の住民達に彼女──ミアレの救世主・セイカの話を聞くと、皆これらのような言葉を口にする。けれど、少し踏み込んだ質問──例えば、彼女の過去について尋ねてみると。お決まりのように、
知らない。
考えたこともなかった。
どこから来たんだろう?
どうなんでしょう。
調べても出てこない。
そういう返答しか返ってこない。
一部では何やら無根拠な噂を立てる者達もいた。やれ前科持ちだの元ジムリーダーだの他地方の組織の幹部だの、信憑性のないものばかり。
本人に聞こうにも昼はワイルドゾーンでオヤブン狩り、夜はバトルゾーンで無双を毎日ずっと繰り返していて中々じっくりと話す時間を取らせてくれない。
バトルゾーンで遭遇した際に『私が勝ったらあなたについて教えてくださいよ』と要求する者達も多く居るが、無敗の彼女に膝をつかせることができる者などこの街にはいない。
誰も彼女の核心に触れることができていない。触れたいのに触れられない透明な壁がそこにはある。
とある日、そんな状況に痺れを切らした者が2人現れた。
1人はサビ組のボス・カラスバ。
もう1人はミアレソシアルバトルクラブの代表・ユカリ。
「なにが楽しくてオマエなんかと一緒に行動せなあかんのや」
「まあ!そんなつれないことおっしゃらずに♡目的は一緒なんですから♡」
話は小1時間前に遡る。
2人は同時にホテルZに到着したが、先を越されるのが癪だと感じたカラスバが『勝った方がセイカの部屋に行って洗いざらい全てを吐かせる』という条件で勝負を仕掛け、残り1体まで粘った末に勝利したのはユカリ。
ところがユカリはカラスバに「せっかくなら2人で追い詰めましょう?」と提案してきた。その時の表情は狂気そのもの。コレを単独でセイカに会わせるのはマズい!何されるかわからへん!と判断したカラスバはその提案を呑み、今に至る。
2人はホテルZの玄関をくぐった。
「「お邪魔しますわ!」」
ひぃっと青ざめるデウロ。顔には出さないが怯えるピュール。一気に冷や汗を垂らすガイ。攻撃の構えをとるフラエッテ。
2人は何も気にせずチェックインカウンターへと歩いていった。ユカリはガイの顔を覗き込むように、
「セイカさまはいらっしゃる?」
と言った。
ガイは、『どうしようこれ、いますって言ったらセイカがどんな目に遭うかわからない』『でもユカリさんの目が怖い、嘘をついたら自分も酷い目に遭うかもしれない』と焦っていた。
一瞬黙り込んだ途端、
「まあここにいるのはわかってるんやけどな」
とカラスバの更に怖い援護射撃が飛んでくる。
「と、当ホテルは宿泊者以外の客室フロアへの入場は禁止されてい「宿泊しますわ!ペンを貸してくださる?」
シングルで2部屋ね、と付け足される。
ガイは震える手でペンを渡した。チェックインシートにセレブに相応しい美しい字体でさらさらと名前が書かれた。
「宿泊代はわたくしが出しますから♡」
ユカリはカラスバの方を振り向き言った。
カラスバはあまりのスピード感に『おう……』と言葉を失った。
エレベーターに乗り、2階へ。
今日は珍しくセイカが自室に帰ってきていたのだが、それが今日であってしまったのが運の尽きだと言えよう。
セイカが宿泊している202号室は施錠されていなかった。
カラスバがドアを蹴破るように開けた。
「……!!」
2人はそのまま入室し、カラスバは室内の椅子に腰掛け、ユカリはセイカに迫るようにベッドに乗った。
「な、何の用ですか」
「単刀直入にお訊きしますわ!わたくしたち、あなたの正体を知りたいんですの!」
めっちゃいきなり言うやん……とカラスバは心の中で思った。
「なんですか急に」
「自分これからワイルドゾーン12番に……」
「逃しませんわ!!」
セイカがドアに向かってジリジリと移動しようとしているのに気づいたユカリはユカリゾーンを発動した。
「えっ、ちょっと……」
気づけばユカリは更にセイカに詰め寄ってセイカの右腕をぎゅうっと握りしめている。カラスバも反対側の肩にポンと手を置いた。
「観念しぃや、セイカ……」
セイカは こんらん した!
「……ハァ?記憶がない?」
乱闘に似た激しい抵抗の末にセイカが語ったのは、衝撃的な事実だった。
曰く、言語や服の着方といった手続記憶こそ残っているものの、自分がどこで誰から生まれたのか、どんな生活を送っていたのか、どうしてミアレに来たのか、そんなエピソード記憶が全て抜け落ちているとのこと。
唯一の手がかりはメモ帳の表紙の『セイカ』という記名と『ミアレシティに行く』というメモだけ。
自分が誰なのかもわからないままミアレに来て言われたことをただただやっていたら救世主になってしまったのだという。
なんなんやそれ、とカラスバは密かに困惑した。
「はい。……誰にも教えてなかったんですよね」
「そんな重要なこと「でもこんなこと“救世主”が言ってもだーれも信じやしないでしょう」
そんなことは、と反論したくなったがセイカの暗い顔を見て思わず黙り込む。
次にユカリが口を開いた。
「いつからなんですの?」
「どうだろう……気がついたら空港にいてミアレ行きの電車のきっぷを手にしていたので……」
その前に何かあったのかしら……とユカリは悩む。
「あの、もう話せることもありませんし、そろそろゾーン解除していただいても……」
「イヤですわ」
「どうして!?」
「オマエ、目ェ離すとすぐバトルしに行って何日も帰ってこんくなるやろ」
「関係なくないですか!?」
「関係ありますわ!セイカさまがゆっくり休養をとるまではユカリゾーンから出しませんから!」
ヤダーッと叫ぶとセイカのポーチの中から怒ったメガニウムが飛び出してきた。
「あら?では眠くなるまでわたくしたちとバトルといきましょうか!」
「絶対寝かすからな」
「2人がかりはひどくないですか!?嫌だ〜〜〜!!!!」
fin
オリ主でシリーズものも書きたい