〔――ふむ、両方受けるのか〕
〔両者の目的が同じならばそういう選択肢も出てくるか〕
〔企業から受ける依頼とは勝手が違うな〕
〔俺は反対しない。ランナーの人脈が増えるのは歓迎する〕
〔俺の方でも育成プランを練っておこう〕
〔後は当日に彼女達と情報をすり合わせて決める〕
〔愉快な遠足になりそうだ〕
バトルロイヤル・アリーナで起こった唐突な番狂わせ。上位ランカーとして名前は上がらなかったものの、AC単騎でホロメンを二人撃破した話はそれなりに話題になった。
「ほほー、フレアが撃ち抜いた相手ってそんなに話題になってたんですねぇ」
ソファーに座ってダラダラしながら話しているのは、上位ランカーの一人であり宝鐘海賊団を率いる船長の宝鐘マリン。向かいに座るのはランナーを墜とした上位ランカー、ハーフエルフの不知火フレアだ。
「そうなんだよ。みこちだけじゃなくておかゆ先輩までやっつけてたみたいだし、ちょっとびっくりだよね」
「ここにきて、強力なライバル登場ぺこだなー」
話に入ってきたのは、三つ編みに人参を刺した独特の髪型とうさ耳が特徴の兎田ぺこら。彼女もまた上位ランカーの立場を守り続けている玄人だ。
「おー、ぺこちゃんこんぬいー」
「こんぺこー。で、その人の事をみこ先輩がなんかごちゃごちゃ言ってたけど、いつだかぺこら達にナンパっぽい事してたっぽいよ」
「そうだっけ?んまぁ~マリンの魅力にメロメロになっちゃう人は多いからね……罪な女だよ、私……」
「そうだね、檻に入ったら?」
「おおいっ!?反応が冷てえなあっ!?」
悦に入ってくねくねしていたのも束の間の話、フレアの冷淡な返しに大袈裟に突っ込んだマリンを見て部屋が笑いに包まれる。
「……団長、仕事してるんだけど。そもそも、ここが団長の部屋だってコト忘れとらん?」
「えー、固い事言うなよノエルぅ。私達の仲だろー?」
「ノエルだっていつもうるさいじゃん。お互い様よ」
「もー……」
唯一、机に向かって書類仕事を片付けていた白銀ノエルが、ジト目をしながら苦言を呈すも軽くあしらわれてしまう。それでも、追い出そうとするどころか困ったように笑って滞在を許してしまうのが、仲の良さを表していた。
「んで、そのナンパ?ってのはそんなに問題だったの?」
「んー……覚えている人はチラホラいたんだけど、しつこく付きまとったりとか迷惑行為はしてなかったみたいでね。まあ、みこ先輩が空回りしてただけかな……」
「ほーん」
「なんか、ヤリチンじゃなくて童貞だから安心していいよ、とかホロメンに言ってたらしいよ」
「おい余計な情報回してんじゃねーよ!」
「どうしよ、もし会っちゃったら『この人童貞だ……』って頭の中に出ちゃう」
「ヤメロ!想像させんなバカ!!」
悪ノリし始めたマリンを黙らせてぺこらは頭を抱えた。もしかしたら、学園でひょっこり会うかもしれない相手に変な先入観を覚えてしまった。
ぺこらは与り知らないことだが、童貞カミングアウトは自分からしたのが尚救えない。余計な悩みを増やしてごめんなさい。
「そのランナー君……本名は跳駆君っていうんだけど、二週間くらい学園に来てなかったみたいなんだよね」
「それがどうかしたの?」
「その空白の二週間からの動きがちょっとね……気になるの」
ノエルの話に全員が耳を傾ける。
「まず、家を引っ越したみたいでね」
「引っ越しぃ?それまたどうして……」
「それなんだけど、その後にACの操縦ライセンスを取ったみたい」
「……なんかキナ臭い話ぺこだな」
「彼、ゲームでもACを使ってたけど……もしかして、本物も持ってるの?」
「そりゃ、ねぇ……乗らないのに免許取ったってしょうがないでしょ」
「うん。それにみこ先輩が言ってたんだけど、彼がアリーナに出た理由が『独立傭兵として名前を売る』ことだったみたいなんよ」
「……穏やかじゃありませんねぇ」
「それじゃ、家を引っ越したのはAC用のガレージでも欲しかったからぺこか?」
「たぶん……」
嫌な雰囲気の沈黙が広がる。学園だけでなく、街の安全を守るのが仕事のノエルにとって歓迎できないイレギュラーが発生していたので、無理もない。
「でも、うん……ホロワールドを楽しんでくれているみたいだし、しばらくは様子見で良いんじゃないかな」
暗い気持ちを誤魔化すようにノエルは結論付けた。ホロライブ学園が誇る大規模オープンワールドゲームであるホロワールド。皆に楽しんでもらいたいという気持ちを込めて作られたゲームを遊んでもらえるのは、ノエルにとっても喜ばしい事であるのだ。
「ノエルがそれでいいなら、そうするけど……」
「うん、そうして。みこちとおかゆん達がホロワールドに誘ったら、OK貰ったみたいだし」
「警戒心なさすぎんだろ……まあ、ゲームの中ならどうこうされないだろうけどさぁ」
「なんだか、船長も気になってきましたよ。私達もそのうち誘ってみますぅ?」
「生贄になりてーんなら一人で行けぺこ」
「ぺこらぁぁぁぁぁ!!なぁんでそんな事言うのぉぉぉぉぉ!?」
「あーもーうぜぇぇぇ!!かまってちゃんかお前ぇ!!」
「…………やっぱり叩き出そうかな」
「あ、あはは……」
――――――――――――――――
バトルロイヤルで負けてしまった白上たちは、結果を見届けてから白上の自宅に集まっていた。いつもだったら打ち上げでどんちゃん騒ぎする予定だったものの、今回は早々に脱落してしまったので、打ち上げというよりは反省会みたいになってしまった。
ゲマズのみんなで序盤からチームを組めたのは良かったけれど、まさか一機のAC相手にあんなに引っ掻き回されるなんて思っていなかった。白上たちはレベルも充分上げているし、どんな相手がきても早々崩されはしない、なんて考えは油断だったんだろうか。
「あ゙~~~ぐや゙じい゙~~~!!」
特に真っ先に倒されたおかゆの癇癪が酷かった。涙目でベッドに身を投げて、そのまま手足をバタつかせて悔しさを主張している。おい、そこ白上のベッドだぞ。ぐちゃぐちゃにするな。
「何はともあれ、今回もおつみぉーん。プリンでも食べよっか。ほら、おかゆもこっちおいで」
「……たべるぅ~」
ミオが買ってきてくれたプリンをみんなで食べると、おかゆの機嫌も治っていった。みんな、元々切り替えは早いほうなのだ。白上たちだってゲームで常に勝ってきたわけじゃない。むしろ、負けた回数の方が多いんじゃなかろうか。数えてないから分かんないなぁ。
「おがゆ~、美味しいねぇ~」
「そうだね~ころさん」
「良かった良かった。……それにしても、あんなに早く負けちゃうなんていつぶりだろうね?」
「今回は上位ランカー入り逃しちゃったなぁ」
「白上も無念です……うう、賞金で買おうと思ってたゲームがあったのに……!」
「フブちゃんドンマイ」
「ああ~~~~」
ころねに頭を撫でくり回され、ささくれ立っていた気持ちが落ち着いていく。悔しいのはおかゆだけじゃない。勝ち取った賞金で買ったゲームには、自分の中では普通に買うより価値が出るのだ。
気持ちが静まってくると、気になってくるのはあのAC乗りのプレイヤーさんだ。アリーナには初めて参加したと言っていたけれど、あの戦いぶりは新人さんとは思えなかった。
独立傭兵と名乗っていたけれど、そういう設定でゲームを遊んでいるんだろうか?キャラになりきるのも一つの遊び方だもんね。
なんかみこちゃんがリアルのあの人についてメッセージを送ってきていたけど、白上は特に覚えていなかった。一回声をかけられたくらいじゃねぇ……。
「誰か、あの人について詳しく知ってる人いるー?」
「うーん、うちは知らなかったなぁ」
「こぉねも~」
「僕も知らなかったよ~。だから、連絡先見つけちゃった」
「……は!?」
おかゆのフットワークの軽さに驚いた。いや、さっきまであんだけ悔しがっていたのに、もうリベンジの事を考えているとは……。
「え、おかゆ、リアルで会ったの?」
「ううん。あの人、独立傭兵ランナーって名乗ってたでしょ?だから、その名前で検索をかけてみたんだ~。そうしたら、ドンピシャで連絡用のサイトを見つけたんだ~」
「独立傭兵って本当だったんだ……」
「お、おがゆ連絡するの?こぉね、ちょっと怖い……」
「平気平気、ちょっとゲームに誘ってみるだけだからさ」
ミオが驚き、ころねが不安がっているけれど、おかゆは気にしないでメッセージを送っていた。うーん、まあ普通に学園に通っているし、身元は分かっているから不審者ではないと思う。何かあったらノエル団長に相談すればいいかな。
しばらく皆でお喋りしていると、おかゆの端末から音が鳴った。どうやら返事がきたようだ。
「どうだった、おかゆ?」
「えーと、『誘ってくれてありがとう。実はみこちゃんからも誘われているから、一緒でもいいなら良いよ』……だって。文章はもっと固い感じだけどね」
「おー、向こうも乗り気なようですな」
「みこみこも一緒なら、安心……安心できるかな……?」
なんかころねが失礼な事を言ってるけど、白上たち以外の人もいるのは心強かった。そうしてみんなの予定が空いている日を指定して、その日に集まることになったのでした!まる!
――――――――――――――――
「にゃっはろー!今日はよろしくにぇー」
『ああ。誘ってくれて感謝する』
「あはは、そんなに固くならなくても大丈夫だよ」
「キミにはリベンジしたいけど~、それは次のバトルロイヤルまで取っておくよ~」
『そうしてくれると助かる』
そして迎えた約束の日。ホロワールドのとある場所を集合場所に指定して、独立傭兵とホロメン達は二度目の出会いを果たす。
『そうだ、共に行動するにあたってお前達に紹介しておこう。共有回線を開く』
「?」
〔――独立傭兵ランナーの支援AI、チャティ・スティック・jrだ。父の呼称と分けるために、俺の事はjrを付けて呼んでくれ〕
ランナーによって繋がれた通信から、機械的な男の声が聞こえてきたホロメン達は目を丸くした。
「えーと、jr君っていうの?その、お父さんもAIなのかなぁ?」
〔肯定。俺は父のデータをベースにして生み出された。この集会を機に、俺の会話パターンを増やす協力をしてもらえるとありがたい〕
「白上たちとお喋りしたいってことですか?ええ勿論良いですよ!というか、遊んでる最中はずっと喋っているようなものですからね!相手が増えるのは歓迎ですよ!」
「でも、大丈夫?みこちゃんと話してたらバカがうつっちゃったりしない?」
「おいバカってなんだバカって!みこはエリートなんだぞ!」
〔人間の知能指数は会話によって伝染するものなのか〕
「みこの事ウイルスみたいに言うな!」
『俺のAIを混乱させないでくれ。割と死活問題になるんだ……』
「みこちゃん今日は静かにしてよっか~」
「おぉい折角みこが遊びに誘ってやったのにそりゃないだろ!!」
『黙っていろとは言わないさ。……じゃあ、改めて今日の予定を確認させてもらうぞ』
「おっけー」
「はーい」
場を仕切り直したランナーは視線が自分に向いたのを確認して、事前にjrと決めていた予定を話し出した。
『今日協力してもらいたいのは、ACのOS強化の為のログハント・プログラムだ』
「あ、白上は知ってます!ホロワールドの特定エリアにいるボス級の敵を倒せばいいんですよね?」
〔話が早いな。ランナー単騎でも不可能ではないだろうが、極力手早く済ませるためにお前達の力を借りたい〕
「なるほどにぇ。みこ達はランナーが倒しやすいように体力を削ればいいんだにぇ?」
「待ったみこち。確か、チームで組んでログハントを成功させるには条件があったよね?」
〔そうだ。チームで挑んだ場合のログハント・プログラムの達成には二つの条件がある。一つは対象の体力をランナーは6割以上削る必要がある事。そしてランナーの攻撃でトドメを刺さなければならない事だ〕
「ふんふん、こぉね達が全部やっちゃ駄目だって事だね?」
『そうなるな。手間を駆けさせて悪いが、付き合ってくれ』
バトルロイヤル・アリーナの時とは違い、ホロワールドでは知り合いのプレイヤー同士でチームを組む事が出来る。仲間内でアイテムを譲ったり、フレンドリーファイアが無効になるなど利点があるが、説明されたログハント・プログラムのように制限がかかることもある。安易な姫プレイを抑制する意味があるのだろう。
『あと、お前達に渡す報酬の話だ』
「報酬?」
『ああ。チームプレイでの撃破報酬はチーム全員に配られるのは知っているが、今日の俺の分の撃破報酬を全て換金して、お前達に均等に渡そうと思う。アイテムのまま欲しい物があるなら、それも加味して配ろうと思うんだが、それでいいか?』
問題が無いか確認を取ろうと見回すが、ホロメン達は微妙に困った表情でランナーに視線を送っていた。
やはり足りなかったか。そうランナーは結論付けて追加報酬をどうするか考える。
『……足りないか。まあ、上位ランカーに依頼する報酬としては低すぎたな』
「いや、そうじゃにぇーよ。お前、ちょっと窮屈だっての」
『……どういう意味だ?』
ACの体をガンガン叩くさくらみこ。ダメージは発生していないが、揺らされる感覚がランナーの身に起こる。
「みこ達はホロワールドのプレイヤーとして先輩なんだよ?後輩相手にがめつくなる気なんて無いって言ってんの」
「仕事基準で見てるのは、傭兵らしいのかな?でも、うち達も遊びに来てるだけなんだから、そこまでキッチリしなくても良いと思うよ」
「報酬独り占め~、なんて態度されたら思う所もあるけど。一緒に遊ぶ人同士なんだから、気を遣いすぎないでほしいな~」
『……うーむ』
「こぉね達は沢山ホロワールド遊んでるからねぇ。報酬云々より、新しく来たランナー君が楽しく遊んでくれたら、こぉね達も嬉しいんだぁ」
〔俺達には無い価値観だ〕
「一緒に遊んでいるうちに分かるようになりますよ、きっと」
言葉を止め、しばらく考え込んでいる様子のランナーを待つホロメン達。
『…………後輩、か』
頭に浮かぶのは、ルビコン3で出来た独立傭兵の後輩の姿。自分よりも強かったが、積極的に連絡を取ってきて仕事に連れまわされた記憶が蘇る。今思えば、あれは頼られていたのかもしれないと思った。
『そうだな……じゃあ、先輩方の好意に甘えさせてもらうよ』
心なしか、ランナーの口調に柔らかいものが混ざっているのにホロメン達は気付いた。あえてそれを指摘するようなことはせず、ただ笑って受け入れるのであった。
――――――――――――――――
〔全員、ターゲットは見えているな?あれが最初に狙う『重装機動砲台ジャガーノート』だ。正面からの攻撃に対する耐性は99.9%。背面から攻撃しなければダメージは通らない〕
「でも今は6人いるから楽勝だねぇ。こぉね達が注意を引いておくから、ランナー君はガンガン攻撃していってね」
「ジャガーノート……相手するのは久々ですね!前に10人コラボ企画で、全員ACの両肩両腕ガトリングで正面からゴリ押しで倒せないか試した時以来ですよ!」
『……弾代が恐ろしくて現実だと試せないな……。だがそうか、ゲームだからこそ試せるアセンブルもあるのか』
「期待の新人傭兵君の懐具合、もしかして厳しいの~?」
『最近新居に引っ越しててな。ACの維持費や学園に通い続けるのに必要な金もいるし……余裕があるとは言えないな』
「ACを持ってるってことは、リアルでも危ない仕事してるんだね……」
『その分、金払いはいいからな。こっちはルビコン3に比べたら秩序は保たれているから、荒事の依頼数は少ないのが……いや、住んでいるお前達にとっては良い事か』
「ノエちゃん達が頑張ってる証拠だにぇ」
ジャガーノートを前にして会話を弾ませている様子を見て、大神ミオは内心ホッと息を吐いていた。強大な武力を個人で保有している独立傭兵に対して警戒していたのだが、それを解いても問題ないと感じたからだ。
自分達ゲーマーズは獣人であるが故に普通の人間よりは強いのだが、流石に機動兵器を相手にして戦える程ではない。もしもランナーが自分達に対して害意をもっていたとすれば、リアルでの生活にも悪影響を及ぼす未来も充分に考えられる。もしそうであれば、彼とは早々に縁を切らなければならないとも考えていた。
が、実際に接してみてその心配は無いだろうと結論付けていた。自分達に対する報酬の話を自分から申し出たり、こちらの話を尊重する意思を見せたことで闇雲に武力を振り回す人物ではないと判断できたからだ。
「ランナー君、ウチがバフを撒く係になるから効果が切れたら言ってね」
『ああ、感謝する』
「固いなぁ。そこは、ナイス、って軽い感じで返すのが良いと思うよ」
『それくらいは好きに言わせてくれ』
もっとも、あのおかゆが自ら接触を図ったのなら、余計な心配は無いだろうとも思っていたが。色々な意味で危なっかしい言動が絶えない彼女だが、不思議と本当に危険なラインは超えないのだ。
「それじゃあ、まずは僕が囮になるね~」
チーム全員にバフがかかったのを合図にして、おかゆが投げナイフで攻撃する。攻撃が弾かれた固い音と共に、ジャガーノートのヘイトがおかゆへと向いた。
『……あの敵を見ていると、壁越えを思い出すな』
「壁越え?もしかして、傭兵の仕事の話?」
『ああ……あの時は後輩と二人で組んで対処した。今回は人数も揃っているし、楽になりそうだ』
おかゆに注意を引きつけられ、背を向けたジャガーノートに向けてランナーは火器を撃ち出した。アサルトブーストで一気に近づくランナーを追って、フブキ達も攻撃を加え始める。
「白上たちも始めましょうか!」
「アイツにばっか良い恰好はさせないにぇ!」
「いやさせて良いんだってば。今回はランナー君に花を持たせてあげないと」
「……そうでした」
――――――――――――――――
一日かけて行われたログハント・プログラム達成ミッションは恙なく終了した。カンストプレイヤー6人と一緒に進めていたのだから、当然と言えば当然なのだが。特務機体カタフラクトやC兵器シースパイダーといったルビコン3で戦った経験のある機体もわんさか出てきたのは驚いていたものの、ACが再現されているのだからと特に気にしなかった。
〔これでOSの強化は最大まで完了した。助力に感謝する〕
jrの言葉が合図になって、協力プレイは終了となった。
『長い時間、付き合ってくれてありがとう。これで次のアリーナにも力を入れられる』
「ふっふっふ~、どういたしまして~。次はそう簡単にはいかないからね~?」
「戦場では情け無用だよ!今度はこおねの拳でノックアウトしたげるから!」
「君が良きライバルになってくれる日を楽しみに待ってますよ~!」
「あはは、今日は楽しかったよ。おつみぉーん!」
「また一緒に遊ぼうね!おつみこー!」
思い思いの言葉を投げかけてログアウトしていくホロメン達を、ランナーは手を振って見送っていた。
〔皆、好感が持てる人物だったな〕
『ああ、そうだな。良い友人になれたら、良いと思う』
〔同感だ。とはいえ、まずは金銭の問題を解決しなければならない〕
『先は長そうだ……』
――白銀聖騎士団・執務室――
「ノエルー、話聞いてきたよー」
「お疲れ様フレアー!それで、どうだった?」
「一日ホロワールドで遊んでたけど、普通に楽しかったってさ。性格面で特に問題は無いみたい」
「そっか。そっかそっか……じゃ、思い切って誘ってみよっか!」
「いきなり踏み込みすぎな気もするけど……ただジッと待ってるのはノエルらしくないかもね」
「団長だって考えとるんよ?特に最近は、怪しい噂も増えてるからね」
「確かに……。AC持ちの傭兵君に力を貸してもらえれば、確かに心強いけどね」
「よーし!連絡は団長に任せといてな!イチコロのスピーチかましてあげる!うおーーーー!!」
――とある場所の地下室――
「総帥、下調べが完了したでござる」
「うむ、ご苦労だったなサムライ。それで結果はどうだった?」
「こちらの睨んだ通り、個人でアーマード・コアを所有しているのは間違いないでござる」
「そもそも別に隠してなかったみたいだよ?」
「それと、別惑星への渡航歴は確認できなかったわね。もし本当にルビコン3に行っていたとしても、まともな手段ではなさそうね……」
「あっちの星系だとコーラルっていうエネルギーが確認されてるんだって。コヨ、ちょっと気になる~!」
「博士の欲求は後回しにしろ!」
「ふえーん」
「で、こんな事調べてどうするつもりなの?」
「ふふん、知れた事だ。吾輩達holoXの活動基盤を高めるために、新たな人材をスカウトするのだ!!」
―――――――――――――
新着メッセージ2件
――白銀ノエル――
「こんまっする~!白銀聖騎士団団長の白銀ノエルだよ!バトルロイヤル・アリーナでちょっとだけ会ったんだけど、覚えてるかな?」
「単刀直入に言うね。実はランナー君と業務提携を結びたいと思って連絡させてもらったの」
「私達白銀聖騎士団は治安維持活動を主にして動いている組織なんだけれど、ここ最近は怪しい噂も多くて人手が欲しいんだ」
「傭兵稼業の一環として、団長達の活動を一緒にやってくれたらありがたいな~、なんてね」
「報酬については期待してくれていいよ!良い仕事してくれたらボーナスも付けちゃるから!」
「あ、でも一つ注意事項ね。団長の依頼を受けた後は、怪しい依頼を受けるのは出来れば避けてね?」
「街の人を不安にさせるような真似は見逃せないから、そこは分かってほしいな」
「最初の依頼は私達との共同戦線!フレアがマークしてる真っ黒な企業に一緒に殴り込み!簡単でしょ?」
「良い返事を期待してるね!おつまっする~!」
「刮目せよ!吾輩の名はラプラス・ダークネスだ!秘密結社holoXを創立した偉大なる総帥だ!」
「独立傭兵ランナー。吾輩が貴様に声をかけたのは、他でもない貴様の腕を我がholoXで存分に振るってもらおうと思ってな」
「これまでも地道に活動を続けてきたのだが、知名度は上がらず資金難も続き……正直つらい」
「ゴホッゴホン……!ま、まあ一種のテコ入れとしてな!?新しい風でも吹かせてみようと思い至った次第だ」
「アリーナの戦いぶりは見させてもらった。貴様の今後にも期待できるし、所謂先行投資というもの……え、違う?細かい事は良いんだよ!」
「どうだ?名前の格を上げたい貴様にとっても悪い条件ではないと思うぞ」
「……それと報酬の話だが……さっきもチラッと言ったけど、資金難が続いていてそんなに金は無いんだ……」
「だ、だがその代わりに分厚いサポート体制は整えているぞ!」
「貴様のACの整備は博士にやらせるし、飯も幹部が美味いのを作ってくれる!戦力が必要なら新人と侍がいるからな!」
「まずは手始めに幹部が目を付けていたブラック企業を襲い、吾輩達の名声を高める手伝いをしてもらいたい」
「ウチからは新人と侍……沙花叉と風真を連れていけ。強いからきっと役に立つはずだ」
「吾輩からは以上だ!良い返事を待っているぞ!」
〔選ぶのはいいことだ。選ばない奴は団員にもぷらすめいとにもなれない〕
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白銀聖騎士団の依頼を受ける(金目当て)
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holoXの依頼を受ける(福利厚生大事)