今回で最終話となりますが、感想、評価、お気に入り、ここ好き投票をしてくださってありがとうございました
11月の間に終わらせようと思っていた短い話にはなりましたが、最後まで書けて良かったです
黒竜が死に、竜の谷の竜も狩り尽くされて、訪竜問題が起こることもなくなったこの世界は、少しは平和になったのかもしれない。
闇派閥を根切りにしたゼウスとヘラのファミリアにより、オラリオの治安も改善されて、生活を便利にする為の魔道具開発も活発に行われるようになり、最近開発された魔石2輪車をフレイヤが購入していたりもした。
「ちょっと乗ってみてくれないかしら」
フレイヤからそう頼まれて、実際に乗ってみた魔石を燃料として動く2輪車。
原付バイクみたいな感じだなと思いながら運転していると、突然止まった魔石2輪車に困惑する俺。
ギアが勝手にニュートラルに入っているのか、スロットルを回したが前に進まない。
しかもスロットルを回している最中に、ギアが1速に勝手に入ったようで、突如ウィリーしながら暴走した魔石2輪車。
転倒することまではなかったが安全性には問題がありそうな魔石2輪車は、危険な乗り物だ。
「動かなくなったからアレッと思って、ギアいじってないのに、勝手にロー入っちゃってもうウィリーさ」
「ふふっ!」
俺が言った言葉を聞いて思わずといった様子で笑っていたフレイヤという女神。
そんなことがあったりもしたが、時は過ぎていき、ミアさんが脱退して酒場を始めたり、ゼウス・ファミリアのクラネルが、ヘラ・ファミリアのメーテリアにあっちの意味で食べられてしまったりもして、メーテリアが子どもを産んだ。
ベル・クラネルと名付けられた赤子は可愛がられていたが、メーテリアに手を出されたと勘違いしたヘラが怒り、巻き起こったゼウスとヘラのファミリアの抗争。
傍迷惑な抗争の最中に俺が飛び込んで、ゼウスとヘラのファミリアの団員達へと、フレイヤの手料理をおみまいして鎮圧したりなんて出来事もあったオラリオでの日々。
オラリオ生まれでオラリオ育ちなベル・クラネルは、病も無く元気だが素直で純粋な少年として育っていた。
アルフィアとメーテリアとは治療の為に顔を会わせることも多く、ベル少年とも会うことが少なくはなかった俺は、何故かベル少年に凄まじく懐かれていたことは確かだ。
癒しの水の効果を更に高める【アクアエッセンス】という新たな魔法が最近発現した俺は、それを用いてアルフィアとメーテリアの病を完治させることに成功。
医神ですら癒せなかったアルフィアとメーテリアの不治の病を完治させたことが偉業と判断されたのか、Lv9へと到達した俺。
「ありがとうイズミさん」
母親であるメーテリアが健康になったことを知り、病を完治させたのが俺だということも知ったベル少年は、俺に感謝を伝えてきた。
家事が基本的にはいまいちなヘラ・ファミリアよりも、ちゃんとした料理が作れるザルドとかがいるゼウス・ファミリアにベル少年の食事は任せられていたようだ。
そんなある日、今日は朝からザルドが珍しく不在であるそうで、まだ食事を食べていない様子のベル少年が、俺に会いにフレイヤ・ファミリアのホームにまで付き添いを連れてやって来る。
「おはようイズミさん」
「おはようベル、付き添いはアルフィアか」
朝の挨拶をしていた俺とベルを見ていたアルフィアは「この子を1人にすると、良からぬ輩が近寄って来る」と忌々しそうに言っていた。
「ベルは朝飯を、まだ食べてないみたいだから、用意しとくか」
「待てイズミ。お前は料理を作れるのか?」
信じられないことを聞いたような顔で俺にそう聞いてくるアルフィア。
「まあ、料理上手なミアさんに教わったんで一通りは作れるよ」
正直に答えた俺に対し、まだ信じられないものを見るような目を向けていたアルフィアは、破壊的な料理を作るフレイヤが俺の主神なだけに、俺が料理ができることを信じられていないらしい。
その後、俺が作った朝食を毒見するかのようにアルフィアが先に食べて、俺がちゃんとした料理を作れることを知ったアルフィアが何故かショックを受けていたりもしたが、そんなアルフィアの隣で俺が作った朝食を食べていたベル少年は、俺の料理を気に入っていたみたいだ。
そんな朝の一時があったりもして、腹一杯になったベルが眠くなっているようだったが、しっかりと歯を磨かせてから眠らせておき、寝ているベルを抱えて帰るアルフィアをヘラ・ファミリアのホームにまで送り届けた俺。
フレイヤ・ファミリアのホームにまで戻ると、フレイヤが待っていて「貴方とベルの間に挟まる為には、どうすればいいかしら」と真剣な顔で言い出したフレイヤ。
それはそんなに真剣な顔で言うことなのかとは思ったが、何故そのようなことを言い出すのかを聞いてみると、俺とベルの間に挟まれたら幸せな気持ちになれそうな気がしたからという答えが返ってきた。
ちょっとよくわからないですね、と思ったが一応主神の願いを叶えてみようかと考えた俺は、後日、ベル少年に協力してもらって、俺とベル少年でフレイヤを挟んでみると「オッフ!」と言いながら倒れた美の女神。
倒れたフレイヤの顔は、とても幸せそうだったのでフレイヤは満足していたのかもしれない。
なんてことがあったりもしたが、いつも昼寝しているベンチにまで行き、昼寝をしてみると女神ヘファイストスが管理している物件に居た俺。
また女神ヘファイストスに拉致されたのかと思って辺りを見渡すと、見知らぬ女神様が居る。
「あっ、起きたのかい」
俺が起きたことに気付いて話しかけてきた女神は、ヘファイストスではなくヘスティアという女神であった。
どうやら女神達の間では、俺を連れて帰ると何かしら良いことがあるというのは有名になっており、それで最近地上に降りてきてヘファイストスを頼っていたヘスティアも頑張って俺を連れ去ってみたようだ。
とりあえず俺は、連れ去られることには慣れていたが、お決まりの言葉を言っておく。
「いや、こら拉致だよ」
「ごめんよっ!」
ちゃんと俺に謝ってきた女神様はヘスティアが初めてだが、かなり善良な女神ではあるらしい。
ヘファイストスに頼ってばかりな現状を、どうにかしたいとは思っているようだったヘスティアの手助けをしておこうと考えた俺は、しばらくヘスティアの生活環境を整えることに時間を費やしてみたが、何故かザルドとアルフィアとベル少年がヘスティアのファミリアに入ることになったりもした。
仲良く元気にやっていけそうなヘスティア・ファミリアなら、きっと大丈夫だろうと思った俺は、フレイヤ・ファミリアのホームに戻ってみたが、俺までヘスティア・ファミリアに入るんじゃないかと考えていたフレイヤが、その日は1日中引っ付いてきて離れなかったな。
翌日、ベル少年と手を繋いでフレイヤ・ファミリアのホームに戻ってきたフレイヤが「連れて来ちゃった」と笑顔で言い出した時、俺は口を開いて言った。
「いや、こら拉致だよ」
ちなみに拉致されたベル少年は、イズミが責任持ってヘスティア・ファミリアに帰しに行きました