シングルファザーローランくん 作:なめなめろう(旧名:ELDERSIGN)
エイプリルフールネタです。リンバス9章ネタを含みます。ゆる〜く読んでくださると嬉しいです。
「ふぁ〜〜……ん?」
いつも通りに起床し、身体をググッと伸ばす。が、違和感があった。なんか……なんかいつもと違う。
「てか、なんで俺スーツ着てるんだ? 寝る時は寝巻きのはずなんだけど」
酔っ払って寝た時はそういう事もあるけど、昨日は普通にアンジェラに絵本を読み聞かせてから寝た。布団に入るまでのこともしっかりと思い出せる。まあ、些細なことではあるし図書館ではたまによくわからないことが起きるから気にしたら負けだな。とりあえず歯磨きと髪のセットをして朝の身支度を終わらせるか。
「……は?」
洗面台の鏡。そこに映っていた姿は明らかに俺ではなかった。
いつもより高い身長。いつもよりシュッとした顔立ち。まだ剃ってないのにヒゲの一つも見当たらないほどにツルツルな肌。黒髪に混ざる白のメッシュ。
「な、なんだこりゃああああああ!!!!!!」
クソ! 叫び声もいつもよりなんだかいい声だぞ!誰なんだよこいつ!
◇◇◇
「作戦会議を開始する」
テーブルに集うは全ての指定司書たち。彼らの殆どは俺の顔を見てニヤニヤと笑っている。
「言っておくけど、これは本当に大問題なんだからな? お前らは娘にまじまじと顔を見られた後に「誰ですか……?」って不安そうに言われる父親の気持ちがわかるか? マジで膝から崩れ落ちたぞ」
「ローラン、喋らないでもらっていいかしら。いつもと声が違いすぎて違和感がすごいわ。貴方が喋るたびに笑いそうになるのだけど」
「…………」
泣きそうだ。俺は発言すら許可されないのか。人権はどこだ? あ、都市には元々そんなものなかったな、ハハハ。
「でも安心して。ちゃんと原因はわかったから。結論から言うと、今の貴方は帰属した人差し指代行者のページが干渉してエラーが起きている状態よ」
「待ってください、アンジェラ。今までそんなことが起きたことはないはずです。それが本当なら今後ページを帰属することにも慎重になる必要がありますが……」
イェソドの発言をアンジェラが手で制止する。まだ話し終えていない、というようなポーズだった。
「そうね。ただ今回の件は事故みたいなものよ。そもそも私が光を手放した時に図書館の力はかなり弱まったわ。そんな時に外郭に追放されたものだから、図書館の修復と定着にリソースを割いた。結果、元々親和性の高かった人差し指のページとローランが干渉を起こしてしまったみたいね。今は図書館の修復も終わったから、こんなことは起こらないはずよ」
「なんだ、じゃあ俺に帰属したページを外せばいいだけじゃんか」
「どうやらそう簡単にはいかないらしい」
ケブラーが煙草の煙を吐き出すと共にそう呟いた。
「流石は都市の意志と言うべきだろうな。お前のページから帰属したページを剥がそうとしたら、「指令が未達成です」だとさ。指令を完遂するまではどうやら外せそうにないらしい」
「嘘だろ……俺があの意味のわからない人差し指の指令を遂行しないといけないだって?」
「でもそうしないと元に戻らないならやるしかないよ!」
その時、胸元のポケットから、ピピッと音が鳴った。
「……どうやら私たちが見てきた人差し指達とは指令の伝達方法が違うみたいね」
「確認……するか。頼む……まともに遂行できるやつ来い!」
「身体の欠損程度なら後で治してあげるから。さっさと確認しなさい」
胸ポケットから端末機を取り出す。そこに書いてあったのは……
「『Furioso-Replicaを再現しろ。期限はなし。』……何言ってんだ? 普通にFuriosoすればいいのか?」
「とりあえず何もわからないし、やってみるしかないよね」
まあFuriosoを使うなら黒い手袋を嵌めてっと……ん?
「どうしたの、ローラン」
「……こいつ、俺より手が大きいせいで手袋がつけられないんだけど。武器も取り出せないんだけど」
「……ふっ」
どいつもこいつも俺を馬鹿にして……今回はたまたま運が悪くて俺が被害に遭ったけど、本当ならお前らだってこんな目に遭ったかもしれないんだぞ……。
「手掛かりが無くなったようだね。一先ず、其の誰とも判らぬ身体になったんだ、其の身体が持つ物を調べてみるのが佳いだろう」
ビナーの助言に従って、服のポケットを全てまさぐってみる。
「ん……? なんだこれ」
ズボンのポケットから出てきたのは金属の棒のようなものだった。中には何やら黒い液体らしきものが入っている。
「おお、凄いなこれ! 面白いぞ!」
「特異点に似た技術みたいだね? 液体の形に合わせて質量も硬さも自由に変わるみたいだ」
金属の棒を振るうと、中から黒い液体が飛び出して様々な武器を模る。そしてその武器は振うたびに変わっていく。手斧、スティレット、バスタードソード、鞭……
「なるほどな。出てくる武器は全部で9種類ぽいな。これでFuriosoをしろってことか?」
「とりあえず何とかなりそうですね」
「まあな。でもこれ死ぬほど使いづらいぞ。特に鞭と鎌。鎌なんてあのキチガイしか上手く使ってるところ見たことないんだけど」
確か……こうやって、こう? こんな感じで振り回してた気がするな。
「案外、様になってるわよ。見てて全然違和感はないわ。流石ウェポンマスターね」
「うぇ。そんな風に呼ばれたの初めてなんだけど」
「さて。問題は戦う相手がいないという点だな。どうする」
「其れがそうでもない。外を眺めてみると佳い」
皆が外に視線を移す。すると、図書館から少し離れたところから黒く蠢くものがこちらに向かってきていた。
「鳥鴶人。凄まじい繁殖力と凶暴性を持つ人ならざる者。嘗ての私が自ら此の手で放逐したこともある。丁度飢えて此方に向かって来ている。佳い機会だ。始末するとしよう」
「良かったわね、ローラン。Furiosoを使う相手ができて」
「…………」
キモい。でも贅沢は言ってられないか。
「さーてと。じゃあ、久しぶりの接待と行きますか!」
このあとめちゃくちゃFurioso-Replicaした。接待が終わった後は元に戻った。良かったぁ……。
都市の意思:自分の二次創作キャラを元ネタキャラに被せたクソキモいやつ。普通に消えて欲しい。
ローラン:娘から怖がられた憐れな父親。
リアン:故人。蘇れ……
鳥鴶人:身の程知らず。数千体が3分で全滅した。