【完結】旅する物語 白百合異聞   作:masuda028

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【鬼滅の刃/煉獄杏寿郎】
無限列車編のその先に。

※本作は『鬼滅の刃』の世界をベースにした二次創作です。
※キャラクターには独自解釈・改変を含みます。
※原作をご覧のうえでの閲覧をおすすめします。

◆ヒロインは名前固定&設定強めのオリジナルキャラクターです(夢主=“あなた”形式ではありません)。
◆「夢小説」タグは広義の意味で使用しています。不快に感じる方はご注意ください。


19抑止力編6〜10

●6

 

 ──唇を重ねれば、何か関係がかわると思った。

 

 身体を重ねれば、昔のように心を通わせることが出来ると思った。

 

 結婚すれば誰にも邪魔されず、ずっと2人でいられると思った。

 

 宇髄に抱きすくめられる君をみて、誰かにとられるのではないかという気持ちを、これから先もずっと抱き続けねばならないのだと思い知った──。

 

「なんだよ煉獄、そんな余裕のない顔をして。らしくないぜ」

 宇髄が笑って言う。

「ユリは俺の妻だ。

 他の男の腕の中にいることを許容してやる道理はない」

「そうはいっても、感動の再会なんだが?」

「2度は言わん。その手を離せ。彼女を解放しろ」

 やれやれといった様子で宇髄はユリを手放そうとしたが、

 

 ──ひどい耳鳴りがした。

 

 パキパキと周囲が氷つくような音がする。

 

 月明かりの下、異常なまでに他者とは違う気配。

 

 ぼんやりと人型をした真っ暗な影、暗闇のようなものが瓦礫の上にこちらの様子を窺うようにしてあった。虚な穴が2つ不気味な眼のように向けられている。

 

「!?」

 俺も宇髄もそれに即座に警戒した。

 しかし、向こうは何もしてこない。何か事を起こすような気配も感じない。

 

『──とうとう来たか』

 懐の蜥蜴姿の赤龍がぽつりと言った。

『おそらくあれが世界の目、監視者じゃろう。向こうもこういった事態に遭遇するのが初めてで、どうすることが最適なのかこちらを観察しているように見えるな』

 知っているのか?

『知っているかいないかでいえば知ってはいるが、余が直接経験したことではないからの。縄張り争いやら、売られた喧嘩をかっていった過程で、たまたまそういうことを知っていたものを取り込んでおるだけじゃ』

 赤龍もある程度そういうことに詳しいのかと思ったが、そうではないらしい。

『さて、どうしたものかな。空間が切り取られておるから、逃げることも出来ん。あいつを倒すか、逃がすかしなければならん。

 ただ逃がすのはあまり勧められれんな。あれは学習していく類のものだ。経験させた分、次が恐いぞ』

 

「あれはなんだ?」

 宇髄が声をあげた。小声ではあったが、この静かな空間で奴にも届いたらしい。

 

 

「──その娘をこちらに。それはただの娘ではあらず。この世界の理を乱す異物である」

 

 

 監視者から発せられた言葉は重く、心に直接響くような不思議なものだった。

 

 

「いま取り除くべきはその異物のみ。従うのであれば

、お前たちは解放する」

 

 

 宇髄の視線がこちらに説明を要求してきている。

『あの男も利用すれば良いのでは? 側にユリがいるのだし、ユリに説明させればいいじゃろ』

 しかし──。

 ユリも俺の方を見ている。どうしたらいいか彼女も迷いがあるようだ。

 迷いに迷って、俺はこくりとうなづいた。

 ユリが宇髄の顔に手を添える。

「うん?」

 宇髄がユリの様子に気付いて身を屈めた。

 彼女が他の男と唇を重ねている姿など見たくなくて強く目を瞑っていたが。

『おい』

 懐の赤龍が首のあたりをペチリと叩く。

『接吻などしとらんが』

 驚いて目を開くと、確かにユリは宇髄と額を合わせているだけで唇は触れ合わせていない。

「なるほどな。そういうことか。ならあいつの核を破壊しないといけないな」

 宇髄がユリから離れ、監視者に近づこうとした。

『まずい!』

 ユリの足元にあった影が広がり、彼女の姿がその影の中に落ちた。理解するよりも早くユリに手を伸ばそうとしたが間に合わない。

 

 監視者の側にユリ1人を閉じ込めた影が現れ、その中でユリは影に浸食され苦しそうにしている姿を確認した。

『早く救出せねば力の全てを奪われて──』

 

 炎の呼吸 壱の型 不知火

 

 身を低くして地面を蹴り、抜刀の後にユリを閉じ込めていた影を斬る。

『──消えてしまうぞ!』

 赤龍が言い終わる頃には、ユリは俺の腕の中にいた。

『むう。なかなかやるではないか』

 今までの常識は通用しない──即座に身を翻してユリを抱いたまま距離をとる。

 

 赤龍が人型に戻り、ユリを俺から取り上げた。

『いきなりで驚いたであろう。余がその身体を蝕む影を取り除いてやる』

 ちらりと赤龍がこちらに視線を向ける、監視者の相手はお前らでしろということらしい。

 

 

「それを庇うか。ならばお前らも異物として扱おう」

 

 

 影が姿を変え、先程まで戦っていた鬼の姿のように形状を変化させる。影が姿をかえただけなので、夜闇に紛れて先程戦った本物よりも姿が見えづらい。

『先程の鬼たちはお前らに倒され世界に還った。ともすれば、お前たちとの戦い方を知るには最適と判断されたようだな』

 

「一度戦って勝った鬼と、また戦うことになるとは! 面白い!」

 宇髄が俺の背後に立った。

「背中は任せな。ド派手に行くぜ!」

 

 

●7

 

 限られた場所での戦闘。

 四方に見えない壁があり、足場にすることさえ出来る。

 

 外の様子を見ることも出来るが、誰も彼も動きを止めて微動だにしていない。まるで時が止まっているようだった。

 

 この中でずっと戦い続けたら、爺になったりするのかねぇ──。

 

 音の呼吸 伍ノ型 鳴弦奏々

 

 既に俺と煉獄で両方の首を何度か斬った。

 だが、いつの間にか切断された首は元に戻っており攻撃の手が止まることがない。

 

 それに相手は影が元になっているせいか、こちらが斬っても手応えがほとんどないのだ。

「そのくせ、こっちに傷を負わせることが出来るってのは厄介なもんだぜ」

「あぁ、まったくだ」

 

 戦い方の癖や、技は本物とかわらない。

 特に蚯蚓女の方は感情的にならない分、やりづらいところもある。

 

「先ほどユリから教えてもらったが、どうやら核を壊さないと終わらないらしいな」

 俺がユリと呼び捨てにすると、煉獄は何か言いたげな視線を向けたが何も言わなかった。

「核らしきものはさっき見つけたぜ、蟷螂の方の胸のあたりに球体状のものがあった。轟をあてた時に割れるような音がしたから、今もひび割れているはずだ」

 更に斬撃を与えて破壊するか、いっそ手でも突っ込んで握力で壊すか。

 

「ここはひとつ、連撃いくか。初手は譲るぜ?」

「いや、あれと戦うのは俺の役目だ」

「そうかい。なら──この俺が、お前のために道を作ってやるよ!!」

 あいつらも再び体勢を整えて、こちらに向かってくる。

 

 音の呼吸 肆ノ型 響斬無間

 

 煉獄に目配せした。技の終わりに煉獄が次の技を繰り出す。

 

 炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄

 

 蟷螂鬼の身体目掛けて煉獄が斬り込んでいった。

 

 ○ ○ ○

 

 胸部から球体が露わになる。

 ひびが更に入るが、大きく割れたところで衝撃があり日輪刀が弾き飛ばされた。

 

 身体も飛ばされそうになるところをなんとか踏ん張り、右手で核を掴み雄叫びを上げながら握り潰す。

 

 大地が──いや、世界が震えた。

 

「煉獄! 様子がおかしい!」

 宇髄の声が上げるのと同時に、周囲に散りつつあった影が俺の右腕を包むように球状に集まり──

 

「!?」

 

 右腕ごと核を奪われた。

 

 

 ──世界が元にもどる。

 

 

 止まっていたものが動き出し、周囲をかこっていた見えない壁も音も立てずに消失した。

 

「──」

 片膝をつく、右腕が肘のあたりから無くなっていた。早く止血をしなければ──。

『逃げられたな。しかし、初戦で失ったものが腕ひとつなら安いものか』

 頭上から赤龍の声がする。

 ユリが俺の前に降り立った。心配そうに覗き込むその様子は、再会した時のことを思い出させた。

 

 淡い優しい光が俺の身体を包む──。

 

 

●8

 

 両手でユリの身体を抱きしめる。

「杏寿郎──ごめんね。私がいるせいで」

 腕の中でユリは静かに涙を流していた。

「いいんだ。君がいるせいとか、そういうことはもう関係ない。

 俺は君と共に生きると決めた時に、戦うことを決めたのだから。君はただ俺を頼ってくれればいい」

 唇で涙を拭う。

「君こそ大丈夫なのか? 力はどれだけ失われた?」

 俺の身体の疲労感、細かい傷はまだ残っているようだった。いつもならば全快させることは容易なことであるはずなのに──。

 普段よりもユリの顔色は悪く、頬に触れてもひんやりとしている。どこか苦しそうな様子も、普段は彼女が見せたことのない表情だった。

「うん……大丈夫。天元の怪我も治さないと」

「あまり無理はするな。生きていさえすれば傷は治る。君がいなくなってしまう方が──」

 

 そして、俺はあの時のように急速に近づいてくる気配に気付いた。

『やれやれ、また新手か慌ただしい』

 空間が元に戻ったので、赤龍は蜥蜴の姿になりユリの服の中に身を隠す。

 赤龍は新手と言ったが、この気配には覚えがあった。無限列車の時に闘った上弦の参のものだ。

 

 再び、刺青を入れた鬼が俺の前に現れた。

「──なぜ生きている杏寿郎。未だ人の身であるお前が」

「こたえてやる義理はない。なぜというならお前はなぜここに来た」

 ユリを背後に庇いながら、宇髄に目配せし日輪刀を取り戻す。

「強い鬼が時間をかけて闘うということは、そこに柱がいるということだ。俺は上弦と戦った柱にとどめをさしにきた。お前ら全員、疲弊しているようだな。

 まずはお前から相手になるか? 杏寿郎」

「いいだろう。

 今度こそ、お前の首を斬らせてもらう──」

 

 ○ ○ ○

 

 杏寿郎との戦いの最中。

「どういうつもりだユリ」

 俺の前に両手を広げ、背中を向けた女が不意に現れる。まるで杏寿郎から俺を守るように割って入ってきた。

 先程、杏寿郎が背後に庇っていた女のようだが。

 まるで行動の意味がわからない。俺にとって不愉快な行動だった。

「杏寿郎、大丈夫だから」

「何が大丈夫だというんだ!! 君が拳を受けてもおかしくはなかったぞ!!」

 ユリと呼ばれた女の身体がふらりと倒れそうになり、咄嗟に支えてしまう。

「なん──ユリを離せ!!!!」

 杏寿郎が激昂する。

「ユリからその、汚い手を離せと言ってるんだ!! 今すぐに!!」

 

 炎の呼吸 壱ノ型 不知火

 

 激昂しているせいか太刀筋がよみやすい。女を抱き上げたまま上空に飛び。屋根の上に乗った。

 

「転移しろ!! 早く!!」

 転移? この女に言っているのか。俺は杏寿郎が気を許したこの女に少し興味を持った。このまま女を連れ去れば、杏寿郎が追いかけてくるのではないかとも思えたからだ。

 

 ○ ○ ○

 

 ユリを連れた鬼の後ろ姿か遠ざかる。

「いいのかよ。追わなくて」

 宇髄が俺に声をかけた。

「彼女はまだ意識があった。転移できる魔力ぐらいは残っていたはずだ。

 ──だとしたら、あれは彼女の意思だ」

 深く息を吐く。

「俺は追いかけるぜ」

「あぁ、行ってくれ」

 宇髄の姿がきえた。瓦礫に腰を下ろす。

 

 ──気が狂いそうだった。

 

 ユリ、どうしてあんなことを。

 君には何が見えていたんだ──。

 

 

●9

 

 女を抱き上げて連れ去ってきてしまった。

 先ほどから苦しそうな呼吸をしていることが気になって仕方がない。

 渓流を見つけ近くに降り立つ。女はひとまず地面に寝かせた。

 渓流の水を舐める。

 近くに落ちていた大きめの葉を拾い、洗って水を汲み女のところへ戻り差し出した。

「飲めるか?」

 身体を起こそうとするので、手を差し伸べ背中を支える。

「あ、りが、とう」

 女が水を飲む様子を黙って見守っていた。

 

 ──なんだ? なんで俺は。

 

 先ほどからこの女を見ていると、何かが引っかかる。

「……あなたは、優しい人ね」

「何を言っている!? 俺は鬼だぞ!?」

 かけられた言葉にひどく動揺した。

「──あなたは、なぜ強くなりたいの?」

「なぜ? なぜそれを聞く?」

「忘れて、しまっているのね。

 私は、あなたを大事に思っている子を知っている。

 あなたがこの手を取るのなら、その子のことを思い出させてあげます」

 女が俺に手を差し伸べた。

「お前はなんだ? 記憶をどうこうできる力がお前にあると?」

 人の身でそんなことが出来るはずもない。一瞬触って腕を捻り上げてやればいい。ほら出来ないじゃないかと笑ってやればいい。

「いいだろう。お前の手を取ってやる」

 女の手に俺の手が触れる。

 

 

 ──ひどく懐かしい気配を感じた。

 

 

『狛治さん』

 初めて出会った頃の彼女を。

 

『狛治さん……』

 少し照れたように笑う彼女を。

 

『狛治さんを悪く言わないでください!』

 俺のために怒ってくれた彼女を。

 

『──狛治さん』

 2人で初めて見上げた花火を瞳に映した彼女を。

 

 俺のことを認めて、愛してくれた彼女を。

 

 

 ──思い出した。

 

 

 感情と共に声が溢れる。

 

 俺は、今までなんてことを──。

 

 どうでもいい。そう思って鬼になることを受け入れてしまった。そんな気持ちでなっていいものではなかったのに──。

 

 ふと我に返ると、あの女……確かユリといったか。

 彼女は意識を失って倒れていた。

 うわ言のように時折、杏寿郎の名を口にしている。

 

 何かを思うより先に身体が動いていた。

 彼女を再び抱き上げて山林を走る。

 

 既に太陽は昇りはじめていた。

 この森を抜ければ容赦なくこの身を焼くだろう。

 

 

 だが──それがどうした。

 

 

 森を抜けて大きく飛んだ。

 この身体が消える前に、一歩でも先に。

 杏寿郎の近くへ向かわなければ。

 

 腕の中の彼女が、陽光を浴びて消えかける俺の頬に手を伸ばしていた。恋雪の顔と一瞬重なって見える。

 

 

『狛治さん──』

 

 

 ○ ○ ○

 

 

 ──夜が明けた。

 

 

 宇髄はその後、帰ってきていない。ユリと鬼の様子を監視しているんだろうか……。

 途中、伊黒が駆けつけてくれたが。俺の消沈している姿を察して、隠たちの事後処理を指揮してくれている。

「!!」

 ユリの気配を感じて、俺は立ち上がると周囲を見回した。

「あれはなんだ!?」

 伊黒が驚いてこちらに駆け寄ってくる。太陽のように光輝くものが、空を飛んでこちらに向かってきていたのだ。やがてそれがユリを抱いて跳躍した者だということに気付いた。

 

 ──そして俺の前に降り立つと、頭を垂れてユリを差し出す。

 髪は黒く、顔にあった刺青もなくなっていたが着ている服から察するに、こいつは上弦の参。先ほどユリを攫っていった鬼だ。

「彼女の力を利用して、鬼から人に戻ったのか?」

 陽光の中にいても、目の前のこいつは平然としている。

 ユリの身体を乱暴に奪い取った。彼女は既にひどく衰弱し、体重も普段よりはるかに軽く感じた。

 色々なものが込み上げて、一度しっかりと抱きしめた後に抱きかかえる。

「伊黒、すまないが俺はいま彼女のことだけ考えたい。こいつの見張りを頼む。

 ──もし彼女がいなくなるようなことがあれば、お前の肉の一片血の一滴すら炎刀で焼き尽くしてやる」

 鬼だった男は何も言葉を返すことなく、頭を下げ続けていた。

 

 

●10

 

 鬼舞辻無惨、この物語における黒幕。

 

 ──我々には我々の美学がある。

 

 物語の最後はバッドエンドが望ましいが、それはその物語の中で行われるべきだ。

 

「はぁ、ようやく話しを聞いてもらえるんですね──」

 僕もう殺されすぎて身体バキバキですと、就職して初めての仕事がこれという不幸な彼が横でぼやく。

「わかっているとは思うけど。お客様の前では、そういうことは言わない方がいいよ。耳の良い方もいるからね」

 小さな声で彼にアドバイスする。

「はい。すみません」

 私の部下は素直な良い子だ。

「早く先輩みたいに余裕のある一社員になりたいっす」

「余裕があるように見えるかい? それならいいんだが」

 

 コツコツと部屋に近付いてくる靴音が聞こえる。

 2人で姿勢を正した。なに、まずは話しを聞いてもらえさえすればいい。そして私たちはただ顧客の要望を聞いて、それにこたえればいいだけなのだから──。

 

 ○ ○ ○

 

「──なるほど、君たちがこの世界とは違う場所から来たという話しは信じよう」

 鬼舞辻無惨はまっすぐに私の目をみて言葉を返した。

「ありがとうございます」

「君たちがある種の不死性を持っていて、何度も私の前に現れたこと。その特殊な能力があってなお、私に協力したいというのはなぜだ?」

「はい。協力とはまたちがうのかもしれませんが。私共はあなた様に、この世界における強者となっていただきたいのです」

「ほぅ?」

 僅かに眉が動く。

「我々の会社はそれぞれの世界で最も才能がある方を見つけだし、その才能が遺憾なく発揮されるようにお手伝いしているんです!」

 うん。ちょっと胡散臭いぞ。少し黙っているように片手を向けて、

「我々にも商売敵というものがありまして、それが鬼舞辻様を狙う鬼殺隊に関与しているようなのですよ──。

 ここ最近、今までにない出来事が起きていませんか?」

「……」

「もし、心当たりがあるとすればそれです。

 ──お返事は急ぎません。ただ、今回はお近付きのしるしとしてひとつ手土産を持って参りました。君」

「はい!」

 彼がトランクケースを開けて手を突っ込むと、意識のない刺青の入った人物を引き摺り出した。

「!?」

「弊社は冥界ともコネクションがございまして。商売敵が関与して倒したり戦闘不能になった駒を追加することが出来ます。こちらは上弦の参、猗窩座様ですね? 目覚めれば以前のように使えますので、是非ご活用くださいませ。

 我々は求めてさえいただければ、求めにおこたえ出来るだけのものがございます。

 ──しかし、求めていただけなければそれまでなのです」

 鬼舞辻無惨と再び視線が合う。

「どうぞ今という時期を逃すことのないよう。お気をつけください──」

 

 ○ ○ ○

 

 信者から人を惹きつける神楽を舞う娘の話しを写真や映像を見せられながら聞いた時は、たいして興味を持たなかったけれど──。

 

 無惨様からこの女を知っているかと、その姿を見せられた時にあぁあの神楽の娘とよく似ていると気付けたのは運が良かった。

 

「この間の神楽を舞う巫女殿とは連絡はついたのかな?」

 信者は慌てたように状況を話してくれる。

「なるほど。そこに住んでいるわけではないんだね。時間はかかってもいいから、一度でも会ったりすることは出来るだろうか?

 

 うん。その神楽というのにも、巫女殿にも興味があってね。君たちを煩わせるのは申し訳ないが、お願いしたいな」

 教祖様の頼みとあらばと、信者たちはとても素直にいうことをきいてくれる。

 

 実際会ったらどんな娘(こ)なんだろう。

 

 ──美味しい娘(こ)だといいなぁと俺は思った。

 

 あぁでもまずは無惨様に会わせないといけないんだよね。でも味見ぐらいなら出来るかな──。




ここまでご覧いただきありがとうございました。

●メインはpixivで活動しています。
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