「毎日生命線を彫刻刀で延ばしてる俺が死ぬわけないだろ」「手相以外の知識を捨てて来たのは分かりました」   作:遺書の切れ端

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高校3年6月01日 木曜日
可愛さ余って感度3000倍


 

【シーニャep2】

 

「なかなかのロゼッタストーンが出来上がった」

 

 俺は文芸部で黒歴史の1ページにまた踏み込んでしまう。

 満足感と公開の後悔が押し寄せてくる、まさに海の波、航海。こじつけ、孤児漬け。

 孤児の漬け置きは少量に限る。たくさんでは食べ切れない。

 

「まだ書いてたんですね、その食品。1ミリも続きが気にならないほどテンプレに染まりましたね」

 

 柊家ではノートが食べ物なのか。

 後輩は俺が書いた食べ物を読みながらそう呟き、途中で雑に投げ返してくる。キャッチ。

 

「目標は有害図書指定されることだからな」

 

 芥川と言わなかっただけ成長成長。

 

「頑張ってください」

 

 無気力な相槌。だがここで真剣に応援されてもプレッシャーに応えられないので雑なのが実質真剣な応援なのかもしれない。つまり応えられない。

 

「投げやりメダリストめ! あけましておめでとう!」

 

 確か大晦日が過ぎて正月だったはず、拍手しながら柊を褒める。お立ち台というやつだな。

 

「6月です、あけてません」

 

 5月は死んだ! もういない!

 

「じゃあ、もう暑すぎて路上で目玉焼きが作れるってことか……」

 

 俺は落ち込みながら(いく)つ物の目玉を(うれ)う。

 

「季節感が上ブレと下ブレしかないんですか……? それにああいう動画は絶対にあのあと食べてませんよね」

 

 フライパンを事前に温めるだけの前提条件を隠したスゴ技映像系は見たいものしか見ない現代人には適している。

 

「文芸部として馬鹿みたいなショート動画を撮りまくろう」

 

「文芸に親でも殺されたんですか」

 

「あれは童貞卒業に因習村へ「そうなんですね」

 

 これは金メダル不可避。

 

「しくしく……もう何も喋れない……」

 

「普通のトークテーマを持ち合わせましょうよ」

 

「例えば?」

 

「……好きな食べ物とかですかね」

 

(園児かよ)

 

「流石、紙が主食の先輩だけあって身体的差別ですか」

 

「喋ると伝わらないのに喋らないと伝わるんだ」

 

 言語以外の情報の前後把握。

 

「まぁ、食べ物は季節に依るかな」

 

「……っち」

 

 対面舌打ちをされた。近くにイラついている人が居ると縮こまって泣いちゃいそう。

 

「何がじゃなくて誰が作ったかが問題だと思うんだ」

 

「今ウザいゲージ120です」

 

「MAXは?」

 

「10ですね」

 

「つまり可愛さ余って感度3000倍か」

 

「そんなクソみたいなことわざ存在しませんよ……」

 

 適当に適度に敵に。

 

「漢検17級の俺を舐めるなよ、相手になってやる(敵)」

 

「それはもう言語障害では?」

 

 簡単に障害という言葉が飛び交う部活名が文芸部。

 

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