「毎日生命線を彫刻刀で延ばしてる俺が死ぬわけないだろ」「手相以外の知識を捨てて来たのは分かりました」   作:遺書の切れ端

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高校3年6月19日 月曜日
目に井戸を掘ろう


 

 俺は落ち込みながら文芸部へ向かう、今日は平日なのをちゃんと確認してから行ったので褒められたい。

 

 それが当たり前だと言われたら、そうだよ。

 

 通称、誰も来て欲しくない日が来てしまった。とぼとぼと文芸部へ上を向いて歩こう、涙が零れないように、そして目に井戸を掘ろう。

 

「って話を書きたかったんだけど、文芸部らしい活動をしそうになった」

 

 俺は昨日のエピソードトークを披露する、久しぶりに文芸部らしい活動構文を使い、使われた。

 

「最後のは、それで『馬鹿野郎ー!早く掴まれー!』とはならなくないですか?」

 

 後輩が支離滅裂なことを言い出してる、相変わらず柊の言う事はよく分からないな、文芸部部員らしく文学的に話すべきだよ。人間なら言葉を大切にしろ。

 

「なんの話してるの?夏祭り楽しかった?俺の居ない祭りなんて祭りじゃないって噛み締めたんだよね?噛んでいいよ、噛まれたいんだ、噛み千切られたい、咀嚼されたい、身体の一部になって永遠に一緒に居ようね、でも柊の身体は住みづらそうだからこっちから願い下げだ」

 

 気を遣って話題を変えとこう、わっしょいわっしょい。どどどーすんの、どーすんの??まじでどうするんだよ、俺はどんな姿、形で教室に行けばいいんだ?

 

「ええ、理奈とも遊べて楽しかったです」

 

 ホクホクしてる、嬉しくて堪らない様子。最近、俺の言葉は飲み込まれていない。

 

「そっか……俺が別の女におぶられている間にそんなことに……」

 

 自分が居ない間の時間も時間が動いているなんて中学生まで知らなかったぜ。己が死んだら世界が終わると思いました、世界はセピア色に死んでいる。だからキミはまだ白と黒しか知り得ない。

 

「そうです、このままでは先輩のただでさえ少ない存在価値という名のレゾンデートルが摩耗(まもう)していきますね」

 

 厨二の尾を引いてるな。(たい)で海老を釣り続ける。

 

「無くなったら教えて、足しとくから、それでウチは代々やってるからね」

 

 お客さん、写真と私語は禁止だから。食べたらすぐ帰って。

 

老舗(しにせ)の秘伝のタレは衛生面終わってるので良くありませんよ」

 

 一昨日の自分の過ちに気づく、どこで気づけたんだ俺。

 

「終わってるのは俺なんだよ!!! そんな簡単に負けてたまるか!」

 

 対抗心メラメラ、言い訳はツラツラ、パンダはタオタオ。

 

「確かにその点、先輩は最初から最後まで終わってます。負けてないです、つよつよです」

 

「フッ……!解っているなら良いんだ、じゃあなキキララ」

 

「二人居ませんよ」

 

 キラキラと言おうとしたら噛んだ。

 

 それより、間違いなくマインドコントロールが俺から離れたことにより解けてきている……! モラハラと体罰のバランスが保てていない。

 

 このままでは後輩が!百合になってしまう!もうそれでいいや。

 

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