「毎日生命線を彫刻刀で延ばしてる俺が死ぬわけないだろ」「手相以外の知識を捨てて来たのは分かりました」 作:遺書の切れ端
五月雨は偶数に限る
今日は文芸部へ行く気分ではない。あの後、中井さんの鶴は窓際に飾って置いた、俺のパクパクはゴミ箱の底に飾っといた。適材適所。
隣の隣の教室からユウキの強奪を試みよう。
「佐川!さんを僕に下さい!」
ジューンブライドの季節に合わせて発言。ヨーロッパではかつて3月から5月まで結婚を禁止しており6月に解禁された影響で出来た文化だが、何故日本にまで在るのかは謎。
「哲也だぁ、今行くねぇ」
鞄を肩にかけながら終盤の帰宅準備をしている親友。
「周りの生徒が蜘蛛の子を散らすように去って行ってるのは気のせいに近いな」
問題児は自クラスに集められているために比較的、結城のクラスは常識人で占めている。なにせ、こっちには宮川と長谷部が居るからな。
飯塚さんは1年の時はクラスメイトだったが常識人判定を食らって2年からは別クラスだったはず、今どこだ、興味ねえな。
「蜘蛛に捕まりきたよ〜お待たせぇ」
そういう意味なんだろうか?
「救いの糸も蜘蛛の糸らしいから絡めながら昇降口に向かうか」
ユウキの背中を抱きしめながら押していく、ゲットした。
「暑いよぉ」
腕の下から苦情が届いたので糸は切った。助からない。
*
昇降口で何故か鶴の恩返しが発生している。
「それでは帰りましょうか」
おかしいな、
「柊さんと二股なんてやるねぇ」
顔の下で糸を再
「中井さん、俺はこいつとさよならバイバイする約束してるから。文芸部で、一人で上履きを脱ぎ出して
人を売りやがった後輩を売る、これぞ人身売買売買ファイト。
「佐川結城先輩でしたよね? 下校を共にしても、よろしいでしょうか」
俺はユウキの頭を抑え込み首を横に振らせる。
「いいよぉ〜多い方が楽しいもんねぇ」
「身体は正直なのに……」
「私達の仲じゃないですか、西藤先輩」
どんなだ、折り紙したか、仲良いのかもしれない。
*
仲良し3人で並んで帰る。通学路だけあって広めに作られており、対向で人が来ていても1人か2人が後ろか前に行けば当たらない。
「なんで傘を差してるのぉ?」
「今朝は雨が酷かったからな」
水溜まりだらけだ、現在は太陽さんがぐっとあふたーぬーんしている。
「止んでますよ西藤先輩」
「病んでるのはてめえだ」
「二人ともでしょぉ〜?」
遂にこの傘を使い倒して愛着が生まれるか限界を迎えて壊れるかのチキンレースを開催した。
「日傘という概念を知っているか?UV、通称紫外線から肌を守ってくれるのだ、俺スベスベ、お前らシワシワマンジュウガニ」
シワというか、シミとソバカスが出来る、メラニンは人類の敵だ。
「私は日焼け止めを完備していますので、この通り」
中井さんは自分の頬に手を当ててアピールをしてくる。カニと言ったのは訂正しよう、キャニー。
「日焼け止めは紫外線を吸収してダメージを弱らせる働きで、傘は吸収せずに物理的に紫外線カットをしている、つまり俺の勝ちなのは明白、生半可な気持ちで日傘界隈に入ってくるな!!」
UVカットと日焼け止めは表記されているが、実際は100%カットされるわけでは無い。奴等は売る為なら勘違いを上手く使う、嘘はつかない。つけない。
「完全な日焼け止めを使っておりますよ?」
「完全な!?」
いくらぐらいだろう、普段使いを俺でも出来る値段なのか?うずうず。
「二人とも美容意識高いねぇ、全然興味無いやぁ」
「ユウキはその割にトリッカルモチモチほっぺじゃない?ストレスフリーなの?真面目に生きてる?」
「……これでも最近辛いことがあったんだよ〜〜」
がっくり
「どうせゲームだろ」
「されどゲームなの〜」
「佐川先輩もゲームをするんですね、何系でしょうか?」
「ユウキ呼びでいいよぉ〜、うーんとーMOBAだね」
二人で盛り上がっている、友達の友達は友達じゃない現象だ。
「そうなると一番有名どころの「悩み相談タイムは!!!!」
「俺は!!ずっと懺悔室で神父しているのに!お前らなんて神に召されろ!!」
「あ〜ごめんごめん〜」
「西藤先輩は思っていたより我儘なのですね」
中井さんの目つきがクソガキを見るような目に変わる、その内先輩呼びも外されるかもしれない。
「そうだよ!俺は元気印さ!」
元気印って日本語を今後使う機会は無さそうだな。
お
水溜まりに
「僕ちょっと苦手ぇ」
ユウキもゲコゲコを見つけたらしい。
「
(強気だ)
「踏んで潰してえええ!!!」
「哲也すてい〜」
ユウキが俺の制服のワイシャツを掴む、俺も夏服スタイルになったので掴みやすい、反メンヘラ学会の犬として誕生している。
「…いい」
なんか中井さんが微笑んできた、怖い。
「普通に触るだけだから離してトリッカルベストフレンド」
「潰したら走って逃げるからね」
噛んで含めるような言い方、間延びしていない言い方なのでガチめだ。
俺はおそろおそろ近づく、逃げるな……!逃げるなよ……!
なでなで
「ぴょこぴょこしてるぜ」
「よく触れますね」
好んでは触りたくないらしい。
「まぁ、汚くはあるな、寄生虫も
長く住まわれると遺伝子が狂って突然変異で足が増えたり目玉がデカくなったりしてしまう、カマキリみたいに脳みそが操られて溺死させられないだけマシか?苦しいぐらいなら終わらせたいか、それでも生きたいか、ぴょこぴょこお前はどっちだ。
「…私も距離を取ります」
苦手なモノは特にありませんとは。
「あー!!!手が滑ったー!!!!」
俺はカエルを後ろの二人に向かってナックルボールで投げる、シンカーにはなれなかった。
「哲也あああああああぁ怒るよおおおおぉ!?」
ユウキが怒ってる。
「……止めていただきますか、汁が飛んできています」
雨水か粘膜か、やたらビチャビチャしているカエルだった。
「古池や
蛙飛び込む
水の音」
心の松尾芭蕉が口から出た。宣言通り走って帰宅した結城と、どう見てもやり返しに道端の石を
GPSがあるから家まで追いかけて来て窓を石で割るんじゃないかとビクビクして夜を過ごした、肩強。