「毎日生命線を彫刻刀で延ばしてる俺が死ぬわけないだろ」「手相以外の知識を捨てて来たのは分かりました」   作:遺書の切れ端

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高校3年7月07日 金曜日
記憶喪失VS記憶喪失VS記憶喪失


 

 どおりで去年の俺は死んだはずだ、今年の俺も殺そう。自分を殺してレベルアップさえしとけばいい、レベル制に(すが)るようでは末期。

 本当の末期患者な人に失礼、あー、思考がうるさい、いちいち思考に泊まるな、外泊しろ。

 

『てっつーはさ! そんなグチグチ何も考えなくていいんじゃないかな! 生きる糧なんて無くても生きていけるから! だっててるき生きてるからね!?』

 

 去年辺りに言われた言葉を反芻(はんすう)する。階段縛りホスト狂いのくせにたまには芯を食う、宮川は宮川で今見えているお前が今までの全てじゃない、ようやく辿り着けたモノだと知りたくなかった。人の苦労なんて聞きたくない。

 

「ユウキ……俺、生きたいよ……」

 

「えっとぉ、指何本に見えるぅー?」

 

 目が覚めた頃には保健室で一泊していた。

 病院が良かった、今からでも遅くない病院希望。

 

「33-4」

 

「大丈夫そうだねぇ」

 

「当日に駆けつけろよ、何学校来るついでにどころか休み時間の合間に来てるんだよ!!! 冷やかしカマ野郎! 差し入れよこせ!」

 

「僕、柊さんの靴下持ってないよぉー」

 

「貴様ァ!!! たった今俺は親友を失った!! お前は親友内定候補に降格させる!!!!」

 

 女騎士染みたことを言い放ち、孤独で生きていくことを胸に刻む。

 靴下を擬人化させてレースさせる足袋(たび)娘プリティータービー作ってやる、旅と足袋(たび)でダブルミーニングだ。

 

「また下がっちゃったぁ」

 

「こんなに悲しいのなら苦しいのなら友達なんて要らない……!」

 

「沙代里先生またサボりぃー?」

 

「ランチタイムぐらい学校に居たくないってさ」

 

「わぁー」

 

 相変わらずほのぼのとしていて、5分アニメみたいなやつだな。

 あのあと窓が割れる音が通話越しで聞こえながら『雷ー?』と言っていたらしい。

 後輩は廊下の台車まで俺を引き摺りながら保健室に突っ込み、あとは想像の通り。教師は保身に走り保健室で目が覚めた、つまり西高は底辺。

 

「あっ先輩、おはようございます」

 

 がらがらと保健室のドアをスライドさせて足袋娘が侵入してきた、させるな。

 

「助けてユウキ殺される」

 

 ユウキの胸に泣きつく。

 

「おはよぉ~」

 

 使えなさそう。

 

「本当にあの先輩に友達が……」

 

 ろんろんもフレンドなんだけど、判定は何処(いずこ)

 

「僕も柊さんが実在していると思っていなかったから哲也にも春が来てたんだねぇ」

 

「えっ夏ですよ? やっぱ頭沸いてます? 警戒心上げときます」

 

 ユウキがフレンドリーにうんうんと声をかけたら後輩は『うへぇー』という顔をしたのでこいつの交友関係の少なさが垣間見れる。

 

「うっ、頭が……俺は誰だ、この足クサ女は……いったい……?」

 

「臭くありません、事故にみせかけて仕留めるべきでしたね、後悔してます」

 

「僕だよぉ、思い出してぇー」

 

 ゆっさゆっさと首をがっくんがっくんとさせられる、余計に忘れた。

 

「記憶喪失だから二人とも帰ってくれない? お見舞い出来る人間性を身に着けてから会いに来て」

 

 寄せ書きの一つぐらい持ってこい。

 

「この場合、その……こっちのナヨナヨしてる先輩はどう対応するんですか?」

 

「ううっ……僕も記憶喪失になりそうぅ……」

 

 メソメソしてどうかしている。

 

「一緒にこの記憶あるやつを追い出そうぜ」

 

「あのあと大変だったんですよ、誰が窓ガラスを片付けたと思ってるんですか?」

 

「美術部」

 

「……私も記憶喪失です」

 

「そうそう、なんか窓割れたらしいねぇ~」

 

「この人、通話繋がってませんでした?」

 

「運命の糸って繋がっていると思うんだ」

 

「会話不能二名ですか、帰ります」

 

 帰っていった。

 

「あいつ何しに来たんだ? とどめ?」

 

「柊さんも心配だったんじゃないぃー?」

 

「お前は柊の何も知らない!!!!! 足を舐めさせて靴下を口内に押し込む自称美少女JKカス後輩だぞ」

 

「でも生きてて良かったねぇ」

 

「そう言えば死に忘れてた」

 

「違うよ、哲也が哲也らしく生きれてることが僕は良かったって思うのぉ」

 

「親友にしてやろう」

 

「いえーい」

 

 ハイタッチした。

 例え俺が居なくなっても問題ないだろうに。

 




A
「ギリギリの名前ですね」
「プリティータービーで話を書いても怒られるか試したくなるな」
「話的に難しくないです?展開もまんまだと流石にですし」
「走りながらお互いの靴下を脱がし合う競技にするか」
「それ走る意味ありますかね……」
B
「この時、結局何用?」
「そうですね……先輩が心配で仕方なかったのです」
「唯一の友達と口論して別れたっきりで教室でのソロ飯に耐えられず保健室に行く感じで用があるアピールをして昼休みを乗り切ったのか」
「先輩、次からはちゃんと上手に死んでください」
「変わった心配だな」
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