「毎日生命線を彫刻刀で延ばしてる俺が死ぬわけないだろ」「手相以外の知識を捨てて来たのは分かりました」 作:遺書の切れ端
AはBだが、BはAではない。
次の日ぐらいの放課後、恒例の俳句査定の時間の為に俺は文芸部へ駆けつける。絶対に今度こそ才能ありで特待生へ昇格してやるぞ。目指せ句集デビューと気合を入れてノートを渡した。
「って話を書いたんだけど、文芸部らしい活動を以下略」
早く感想を聞きたくて略した。普段は全然略さないんだからねっ、ふんっ、勘違いしないでよねっ、別にアンタの為なんかに生きてないんだからねっ、それはそうだな。
「もしかして文芸部らしさを求めて私に闘争してるんですか、死んで欲しいです」
そんなアーマードなコアな話はしていない。
「悪かった……俺、これでも反省してるんだよ……」
帰宅したら犬がお気に入りのクッションを噛み千切った後に、ご主人様の前で反省のポーズをアピールしているように
「自分から言ってる時点でしてませんよね」
犬は喋らないから成立しているらしい、人間は不利だ。ww?ww!
「あの後、まさか柊家の夕飯をご馳走してもらえると夢にも思わなかった」
思い出はいつも綺麗だ。人も揚げると魚みたいに目が白くなる。不利なのは人間だけじゃない。
「ご馳走してません、夢です」
そんな……夢オチと爆発オチは法律で禁止されているはずだ。
「柊の肌の感触も温もりも全部夢だった……?」
消した落書きも、いつか輝く何かになれたと後悔するぐらいなら何度でも書き直せ、書いている瞬間は消えてないのだから。
「悪夢です」
英語にするとナイトメアか。結局は耳元で御両親への御挨拶をシミュレーションしていたら停戦協定が結ばれたので、お互いに離れた瞬間、SIMに柊が飛びついたので停戦協定は即刻破棄された。
俺は家に入る前にガチャガチャ確認していた窓の位置から脱出。物的証拠は壊れたドアチェーンぐらいだろう、と考えながら帰宅した。玄関を確認していないが中井さんなら人を1人2人殺したとしても問題ないだろう。
そんな元花嫁を主犯にしようと考えていたら、いつも使っている柊の鞄(やあ)からガサゴソしだしてる。手品かな? 鳩が出る度に鳥インフルエンザを持っていると期待していた自分へ。
「その手に持っているのは何?」
後輩は黒くて
「警棒です」
「そっか、ずっと警察官になりたいって言ってたもんね……叶ったんだね……」
俺は思わず拍手を贈る、感動で怒りを収めてもらわないと文芸部で生涯の幕が閉じそう。
「ええ、私は警察であり裁判官です、貴方に判決を下します」
あっ、これ神経衰弱で習ったところだ。
「意義あり!!!」
「聞きません」
(しゅん……)
頑張って逆転しようとしたが無理だった。
「では判決を言い渡しま、んっ!?ちょっ!」
唇をゴシゴシ擦って驚きを隠せない表情をする後輩、泥水で洗うのか?俺も同時のタイミングで唇をゴシゴシしている、部室の空気の流れが変わる節目。
「今、なにしましたか……?」
照れや戸惑いじゃない、戦慄をもう隠せてはいない。
「女の口を塞ぐ時は、キスで塞げって親の教育で」
「はい、一家処刑です」
知らない判決が出てる。
「というより待ってください、先輩は私のことが好きじゃないんですよね?」
家族の話は二度目は無いと言ったけど、判決は家族の話のカテゴリーとしてカウントしていいのか迷う。日々、己に問おう。
「もち&ろん!一発ツモ!裏ドラ!
「ロンとツモは両立しません、そもそも鳴かないと嶺上開花にならないんですから先にカンしてください」
(麻雀詳しいなオイ)
「そうそう、好きと言ったら長谷部さんだよ。どうやったら付き合えると思う?」
俺は麻雀の奥深さを忘れて恋バナがしたい。だって女の子だもん。違かった。
「まだその話生きてたんですか?というか先輩死にたかったんですよね?
バリバリ殺意ナンバーワン。
「さっきキスした時に一瞬肺呼吸は止まっていたと思うよ」
つくづく会話は合気道だと思う、相手の力を利用して受け流し、自分の力を入れずに無効化する、格闘技では珍しく受けて成立する武道なのだ。会話は会話だろうが黙れ。
「わかりました、次は心臓を止めてあげますね」
「りょ、料理包丁の種類が!!出刃から刺身に変わってる……だと……!?」
使いやすい家庭用出刃包丁を捨てて刺身包丁に変化。これは骨ごと美味しく頂こうという
「そうです、これも先輩を殺す為に出費しました、後で清算してください」
俺に請求されるんだ、領収書を残せば事務所を通して経費で落ちるのかな、まず始めに事務所に所属するところから頑張ろう。
「最後にもう一回抱き地蔵しない?」
別の48手でもいいが、慣れ親しんだ体位の方が心理的ハードルが下がるという気遣い、キチガイではなくキヅカイ。
「しません、してません、そんなにしたいなら右半身と左半身に捌いてあげますよ、それで一人で抱き合っててください」
「ヒラメかよww」
「何笑ってるんですかァ!」
冷たい刃先が右肩にグサりと食い込む、刺さった刃先は冷たいのに身体が熱くなってくる、人体は不思議ばかりだ。
これをヒートアイランド現象と名付けよう、エアコンを使えば使うほど、原子力発電所が稼働されて地球温暖化が進む、つまりエアコンは実質的に地球を温めてくれているのだ。風力発電?そんなの知らない、明日の地球より今日の自分の心配をしたい、どうして俺は俺の心配をしてくれないのか?
俺は疑問と不確かな──
「…………」
柊貴音が言葉を飲み込んだまま固まっていた。初めての報復に、現実感への逃避、いや、俺と目が合っている、視線で抱き地蔵か?とんだロマンチストだな。
「えっ?1回で満足したの?」
首を傾げて呆れる、一本で満足できるほど今をどう生きるのか。認めろよ。
「してませんよ!!」
またもや右肩にグサリ、というかグサッと来た。わざわざ同じ個所にありがとう。一度刺してある事により二回目はスムーズに肌の中に入って来れてる、偉い。この包丁偉いよ。
でも、どうしよう、そろそろ神経がピリピリしてくるターン、後遺症とかになっちゃう。
俺がもし甲子園を目指す野球少年だったらスイッチヒッターに転向しないと……今から練習してもレギュラーは取れるものなんだろうか?
そもそもこの高校に野球部が在ったっけ、サッカー部に力入れていて野球部は おざなりになっていた気がする。
「先輩……どうして私に、なんで構うんですか……」
しょげないでよベイベー。
「えっ?殺すんじゃなかったの?殺さないなら保健室で止血してくるけど……」
俺を殺す用事が無いなら、別の予定をズラして新しく押し当て
「どうして私が頭を狙わないか、分かりますか?」
はは
「右肩に心臓が在ると思ってるから!」
「へええええええ」
三回目、次こそは頭と思ったが、また右肩か。もういい。これには俺も血を流し過ぎた、そう?そうか
──頭が地面とぶつかり痛みの後に倒れたことを知った
「先輩!大丈夫ですか!」
(お前が刺したよね?)
心臓の鼓動の速さが遠くで響くのを感じ取る、最後の心配そうな顔は見なかったことにしたい、どうか目を覚ましませんように、そう思いついて意識を断ち切る。
《思いつきで喋る前に脳味噌で考えようよ、それとも考えれないのかな?wその脳みそ機能してる?w》
おっしゃる通りで
▽
保健室のベッドで微睡みの中で想起する。
(ボクは小説が嫌いだ、文学を味わってるとソイツの頭の中を覗いてるような気分で吐き気がするから、他人なんて理解したくない。だからこそ価値があるのかもしれないが。嫌な事は逃げても逃げても消えてはくれない。小説を書きたい。でも嫌いだから短歌から始めよう)
スマホを左手でスワイプしてメッセージを飛ばす、中井さんの心当たりに短歌をプレゼントした。
『知らねえポエム送んな』
「……ぉ」
この時間なのに珍しく返信が来て驚く、だが素っ気ない文章が来たので
『子供騙しだなカス』
すぐ
「というか、どうして保健室なんだよ……。普通は殺人未遂事件なんだから病院だろ!この学校の隠蔽体質すげえよ!!俺が言ったからなのか!?保健室で止血と言ったからいけないのか!?!?」
保健室で喚く、そうするときっと誰かに届く。
「黙って。」
結果は隣のカーテン越しから苦情が届いた。俺に届くんかーい。
「ごめんなさい」
謝れる良い子な俺、子じゃなかった、成人成人聖人君子。