無下限、六眼持って転生したけどサイタマが居ない   作:一般通過ドブカス

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お久しぶりです。ある程度プロットは完成しましたが、修論に時間を取られてなかなか執筆することが出来ませんでした。ひとまず生存報告も兼ねて一話だけ書きましたので、次話の投稿は今しばらくお待ちください。


13話

数週間後

 

 「先生、やはりあれはキングのようです」

 

 五条とジェノスはスーパーで食材を購入した帰り道、偶然にもS級七位であり地上最強とも呼び声の高いキングの前にG4と名乗るロボットが立ちふさがっている場面に遭遇していた。

 ジェノスはキングの強さを測ろうと考えて様子見することに決めたが、キングはロボットと何か会話を交わした後にトイレへ行ってしまった。

 

 「……トイレに行きましたね」

 

 「あー、ジェノス。ちょっと用事思い出したからさ、あのロボットが暴れだしたら倒しておいてくれない? 荷物は僕がパパっと家に運んどくからさ」

 

 「わかりました! お任せください!」

 

 五条はそう告げると、ジェノスから荷物を受け取り空へと飛び上がった。そして、ロボットに見つからない位置まで移動してから蒼を用いて即座に家に帰ると、荷物を部屋に放り込み一瞬で元の地点へ戻ってキングの後を追跡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 キングが現実逃避を兼ねて恋愛ゲーム"どきどきシスターズ"をプレイし始めて数分、五条はキングが入ったマンションを空中から観察しており、キングの部屋を見つけることに成功していた。

 

 「お、ちゃんと窓も開いてるな」

 

 五条が開いていた窓から部屋に侵入したが、キングはゲームに集中していて気がついていない。

 

 「……このキャラクターも棒読み? 先行きが不安だなぁ」

 

 「イラストは力入ってそうだけど、声優は初心者ばっかり起用したのかな?」

 

 キングがものすごい勢いで振り返り、後ろに立っていた五条を見て無量空処を喰らったように硬直した。

 

 「やぁ、キング。一度会ったことがあるけど改めて。B級ヒーローの五条って者だ、よろしくね」

 

 「え、あ、あぁ、よろしく?」

 

 キングは唐突に自身の部屋に現れた男に困惑していた。五条が行った軽い自己紹介で、目の前の男がA市が消滅した際のS級会議にいたB級ヒーローであることを思い出したが、その情報を得たところで困惑は深まるばかりだった。

 

 「───オ兄チャン! コレカラヨロシクネ!」

 

 奇妙な沈黙が部屋を包む中、驚くほど棒読みな少女の声が部屋に響き渡った。

 

 「っおおお!? な、なんだこのゲーム! 恋愛ゲームだったのかよ間違えて買っちゃったよ!」

 

 キングは冷や汗を流しながら怒涛の勢いで言い訳を捲し立て、即座にゲームの電源を切った。

 再び沈黙が二人を包み込むなか、五条はキングへ向けて容赦なく話を切り出した。

 

 「キングってさ、実は強くなかったりする?」

 

 「な、なな、何を言っているんだ。お、俺は地上最強の男、S級ヒーローのキング───」

 

 「なら、なんでさっき逃げたんだい?」

 

 キングがむせた後に黙り込んだ。

 重低音がキングを中心に部屋に響き渡る。キングエンジンと呼ばれるキングの鼓動の音を現実で聞いた五条が興味深く思い観察していると、外から警報が鳴り響いた。

 

 「緊急避難警報! M市上空に巨大怪鳥出現! 災害レベル鬼!」

 

 このタイミングでの警報に覚えがあった五条が外を見ると、ちょうど巨大な怪鳥が今いる部屋に突っ込んできた。

 

 「うわぁっ!」

 

 あまりの驚きに部屋の隅まで飛び退いたキングに対し、五条は無限の壁にて怪鳥の嘴を受け止めていた。

 

 「俺、実は……」

 

 キングは五条のことを普通のB級ヒーローだと思っている。故に、今ここで正直に言わなければ自分も五条もこの怪鳥によって殺されると思い、今まで秘密にしていたことを五条へ打ち明けた。

 

 「赫」

 

 キングは覚悟を決め、目をつむりながら叫ぶようにして秘密を吐露したため見ていなかったが、五条の赫によって怪鳥はあっけなく弾け飛んでいた。

 

 「あー、やっぱりそうだったか」

 

 「な、え、鳥は……」

 

 無傷で佇む五条を見て愕然とするキングだったが、五条の無下限呪術を発動した余韻により僅かに発光している瞳を見て、自身の左目に三本の傷を刻んだ怪人を倒し、自分を助けてくれた男のことを思い出していた。

 五条にとっては無下限呪術の練習をするために倒した無数の怪人のうちの一体だったため覚えていなかったが、五条は気づかぬうちに原作のサイタマ同様キングを何度か救っていた。

 

 自身を助けた男が目の前にいることに気がつき涙を流すキングに対し、五条はキングが本当は弱いということは知っていたので、改めてその事実を聞かされたところで動揺せずに笑いかけた。

 

 「それはついてなかったな。……いや、それでS級ヒーローとして認定されてるんだから逆についてるのか?」

 

 「怒らないのか!? 俺は、今までみんなを騙してっ……」

 

 「別に怒らないさ。まぁ、キングが本当に強かったら僕としては非常に助かったんだけどね」

 

 それは五条の本心だった。仮に五条がこの世界に生きるただの一般人だったら、その事実に怒りを抱いていたかもしれない。しかし、原作を知る五条からすればキングが本当は弱いのは当然の事である。

 もしサイタマがいない代わりにキングが本当に強かったら、五条は驚愕した後に思わぬ助っ人に大喜びしていたことだろう。

 

 「それで、キングはこれからもヒーロー活動を続けていくのかい?」

 

 「う、それは……なかなか決める度胸が……」

 

 五条の問いかけに対し、キングは俯いて返事を濁していた。

 

 「それなら、強くなろうか」

 

 「……え」

 

 そんな五条の言葉に、キングは思わず顔を上げて五条を見つめた。

 

 「キングは強くなる才能があると思うんだ。多分」

 

 「お、俺が? それに、多分って……」

 

 キングは喧嘩もしたこともない一般人にもかかわらず、S級7位地上最強の男として祭り上げられている現状に本気で悩んでいた。故に、五条のその言葉が気になった。最後に保険を掛けるように付け加えられた言葉も気になったが。

 

 「キングエンジンだよ」

 

 「え? ……あれは、俺が臆病すぎるだけで」

 

 「いくら臆病だろうと、どれほど鼓動が高鳴ろうと、普通は周囲に鳴り響くほどに心臓が脈動するなんてことはあり得ないんだ。それを平然と行っているキングの心臓は並外れて強靭な可能性がある。そして、心臓が強靭ならば、ある程度体を鍛えればとんでもない身体能力を獲得できる。……かもしれない」

 

 五条の脳裏によぎるのは、原作においてバングが使用していた爆心解放拳だ。そもそも、様々な漫画の中で心臓は身体機能において重要な部位として扱われているため、心臓が強靭と思われるキングは強くなれる可能性が十分にある。

 そのうえで、この世界ではバングが生み出した爆心解放拳という最高峰の武術まで存在するため、キングが強くなれる下地は整っているように思えた。とはいえ、あくまで仮説でしかないため、五条は最後に保険をかけていた。

 

 「な、なるほど! どうやったら、俺は強くなれるのかな」

 

 キングのその言葉からは前向きな意思が感じられた。そもそもキングは、原作において強くなろうと一念発起してバングに強くしてくれと申し出るほどの行動力があった。

 そして現在、災害レベル鬼をあっさりと倒した自身の恩人に強くなれる(かも)と言われ、キングは現状を変えるために動き出そうとしていた。

 

 「筋トレだ!」

 

 「……え?」

 

 「だから、筋トレだ!」

 

 「……あ、うん。いや、なんか、もっと凄い特訓とか、一気に強くなれる特別な修行とかは……」

 

 五条が提示したあまりにもシンプルな答えに、漫画やアニメのようにあっという間に強くなることを期待していたキングは動揺していた。

 

 「とりあえず基礎がなさすぎるから筋トレをお勧めしたいところだけど、あっという間に強くなれる可能性がある方法も一応存在するよ」

 

 「あるの!? じゃあそれを───」

 

 「怪人の前に放り出すから、ひたすら死ぬ気で戦うんだ。大丈夫。僕が見ていてあげるから死にはしないさ! 何度も死にかけるかもだけどね!」

 

 「───筋トレでお願いします」

 

 キングの返事は早かった。酷く真剣な透き通った瞳で、五条に対して真摯に訴えかけていた。

 

 「わかった。とりあえず、今から軽く一緒にやろうか」

 

 「え、今から? あ、いや、やります!」

 

 この日から、キングの生活の一部に筋トレが加わった。

 果たしてキングは強くなれるのか。その答えは神すらも知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 「B級5位ヒーロー五条! 出てきなさい! B級1位ヒーロー地獄のフブキ様から話がある!」

 

 五条が日課の鍛錬を終えて家でくつろいでいると、外からそんな声が聞こえてきた。

 

 「フブキが来たのか。そういえば、キングの話の直後くらいだったか」

 

 ヒーローの衣装に着替えるのも面倒だったので部屋着のまま玄関の扉を開けると、そこには案の定、フブキ、マツゲ、山猿の三人が立っていた。

 

 「えーっと、こんにちは?」

 

 「はじめまして、新人の五条さん。私は地獄のフブキ……と言えばわかるかしら?」

 

 フブキは、胸の下で腕を組みながら鋭い眼差しを五条へ向けていた。

 

 「さすがに知っているよ。地獄のフブキといえば有名だからね」

 

 五条のその言葉は前世の記憶における原作キャラとして有名という意味合いで発せられたものだったが、そんなことは知る余地もないフブキは気分を良くして鷹揚に笑った。

 

 「ふふっ、それなら挨拶に来なかったことは見逃してあげるわ。その様子なら、ヒーロー業界に色々な派閥があることも知っているかしら?」

 

 「まぁ、そうだね」

 

 実際にはフブキ組以外の派閥なんて知らないが、どうせ勧誘されて断ることまでは確定しているので五条は適当に頷いた。

 

 「そう、それなら話が早いわ。私の傘下に入りなさい」

 

 「悪いが、遠慮しておくよ」

 

 五条が即答で断ったことで、自信満々に告げたフブキの顔から表情が抜け落ちた。

 

 「……そう、理由を聞いてもいいかしら。他の派閥から声が掛かっているとしたら、今からでもフブキ組に乗り換えることをお勧めするわ」

 

 「単純に僕にメリットが無いんだよね。あ、そうだ。僕はB級にとどまる予定はないから安心してよ」

 

 フブキの顔が引きつり、その瞳に敵を見る鋭い光が宿る。それと同時に、フブキの後ろにいたマツゲと山猿が腰を落として構えた。

 

 「マツゲ! 山猿!」

 

 「「はっ!!」」

 

 フブキの呼びかけに応じて阿吽の呼吸で五条に襲い掛かった二人だったが、五条が死なないように加減して放ったデコピンによってあっけなく吹き飛んでいった。

 

 「……そう。あなたは私の邪魔をしようというのね」

 

 フブキが身につけている服やネックレスがはためき始め、その背後では風が小石を巻き込みながら渦巻いていた。

 

 「これが超能力か。家を壊されるのは困るし、外でやろうか」

 

 五条は、一切の躊躇なく風の渦巻く路上へと飛び降りた。

 

 「馬鹿にしてるわね」

 

 五条を追うようにフブキもまた外へと踊りでる。そして、石や砂利を多く含んだ竜巻を五条を飲み込むように展開した。

 

────地獄嵐!!

 

 風が五条を包み込むと同時に、無数の石が五条へと襲い掛かった。

 しかし、常に無下限呪術を発動している五条に石などが届くわけもなく、当然のように無傷で佇んでいた。

 

 「これだと普通に物理攻撃なんだよね。もっと超能力特有の攻撃はあったりしない?」

 

 「無傷っ!?」

 

 竜巻の中から平然と歩いて出て来た五条を見てフブキは思わず声を上げた。

 それでも動揺したのは一瞬で、即座に次の攻撃に移る。

 

 「はあっ!」

 

 未だ五条の元で渦巻いていた竜巻が形を変え、五条の頭上から叩きつけるように無数の石が降り注ぐ。そしてフブキは、五条の腹部を弾き飛ばすように念動力で全力の衝撃を生み出した。

 

 「お!?」

 

 軽く後ろに飛ばされた五条は、驚きから思わず声を出していた。無論、フブキの全力程度の出力では全くもってダメージにはなっていなかったが、フブキが生み出した衝撃は無下限呪術による防御をすり抜けて五条の腹部で発生していた。

 

 五条が棒立ちで原因を推察している間にも、フブキは追い打ちをかけるため無数の石を自身の周囲に展開していた。

 フブキが無数の石を叩きつけるように放つが、その石たちはやはり無限の壁に阻まれ五条には届かない。

 

 「死になさいっ!」

 

 無数の石を布石として小型のナイフを手に五条へと接近していたフブキが、そのナイフを五条の顔へ向けて思いっきり振り抜いた。

 

 「───きゃっ!?」

 

 五条がフブキの腕を掴み、自身に引きよせながら背後へ飛びのいた。

 次の瞬間、上空から降ってきたジェノスが地面を砕きながらソニックへと飛び掛かっていった。

 

 「ちょ、ちょっと! いきなり何を……」

 

 五条へ抱えられることとなり抗議の声を上げたフブキだったが、ジェノスとソニックの戦闘音に気がつき目で追えない速度の戦闘を呆然と眺めていた。

 五条もまたその戦闘を見ており、原作とは違い流水岩砕拳の動きでソニックの体術と渡り合っているジェノスの様子に、体術を習わせたのは間違いではなかったと感じてほっとしていた。

 

 「先生! すみません、あのネズミは俺がすぐにでも仕留めますので」

 

 「いや、せっかくだから僕が相手しておくよ」

 

 「! 先生のお手を煩わせるわけには!」

 

 「大丈夫大丈夫、ソニックの動きも見ておきたいし、ここは僕に任せてよ」

 

 五条の存在に気がついたジェノスは、一度戦闘を中断すると五条のそばに着地した。そして、ソニックの相手は五条がすることに決まった。

 そのやり取りを見ていたフブキは、五条がジェノスと平然と会話していることが信じられない様子だった。

 

 「あ、あなた……S級と繋がりあるの!?」

 

 「そうだね、繋がりがあるっていうか……」

 

 「俺は五条先生の弟子だ」

 

 五条が最後まで言うまでもなく、ジェノスが五条の弟子であることを告げる。

 

 「で、弟子? S級がB級の……」

 

────爆裂手裏剣!!

 

 「おっと」

 

 そんな会話をしていると、ソニックの放った手裏剣がジェノスへ当たり爆発を起こしたため、五条はフブキの肩を引くことで爆発を遮った。

 

 「五条! よく見ておけ! 弟子をスクラップにしたら次はお前の番だ!」

 

 ソニックが五条たち三人の前に降り立った。その殺気を受け、フブキだけが戦慄する中で五条が前へ踏み出した。

 

 「いや、僕が直接相手してあげるよ」

 

 「……そうか。この時を待っていた」

 

 五条とソニックが相対する。

 ソニックの体に緊張が走り、一度ゆっくりと息を吐き出すと、刀を抜いて構えた。

 

 「究極奥義!! 十影葬!」

 

 ソニックがその速度と特殊な身のこなしによって十個の分身を生み出した。

 それに対して五条は、自身を取り囲む十体のソニックが振り抜いた刀が当たる寸前までその動きを観察していた。

 

 「蒼」

 

 ソニックの刀が五条に触れる瞬間、本物のソニックの後ろに移動した五条による一撃でソニックはあっさりと意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 ヒーロー協会本部で行われている幹部会議において、幹部たちが円卓を囲みながら盛り上がっていた。

 

 「S級ヒーローランキング14位ジェノス。それと、B級ヒーローランキング5位五条。二人のヒーローネームはコレで決まりでよろしいかな?」

 

 「異議なし!」

 

 幹部たちは、実に二時間もの時間をかけてジェノスと五条のヒーローネームを決めていた。

 

 「ジェノス君のヒーローネームは"鬼サイボーグ"」

 

 「目が特徴的だし、時折目が光っているようだから、五条君のヒーローネームは"ピカっと青目"」

 

 幹部たちが見ていたモニターには、五条が深海王を赫で倒す際に目がぼんやりと光っている姿や、街中で怪人を蒼で倒した際に目がぼんやりと光っている姿が映っていた。

 

 「これで彼らも一人前のヒーローになったようなもんだ」

 

 「ははは、これを聞いたら喜ぶでしょうね」

 

 ガロウへの対策の話は一分もかからず終わらせた幹部たちは、五条たちのヒーローネームを決め終えると、今度は自分が注目している新人ヒーローという話題で和気あいあいと盛り上がり始めた。

 

 ───なお、通達を受けた五条は自分のヒーローネームのダサさにキレ散らかした。




現段階の主人公のヒーローネームは煌大様が提案して下さった"ピカっと青目"を採用させて頂きました!提案して下さった皆様、誠にありがとうございます!バカ目隠しが一番人気でしたが、書き始めた時にヒーローネームの事まで頭が回らず差別化も兼ねて目隠しつけてない設定にしちゃったんですよね...それにバカと言われる要素もあまり取り入れませんでしたし...。

ちなみに五条悟の目が術式発動中に光っているようなシーンはありますが、普通に光らないシーンもあるのであれが演出なのか仕様なのか分かりませんでした。そのため、本作中ではいい感じのシーンでいい感じに六眼が輝いているような認識でお願いします。
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