久々過ぎて書き方が変わりまくってるかもしれません。矛盾も多いかも……。
それでも楽しんでいただけたら幸いです。
では、本編どうぞ!
2試合目、瀬呂vs轟の決着がつくのは一瞬であった。
瀬呂は正面からの真っ向勝負をするタイプではない。
しかし、轟相手ではどれだけテープを切り離して行動範囲を狭めようと、氷結で覆い隠されれば全て機能しなくなる。搦め手が通じる相手ではないことは確かだった。
得意分野である立体的な機動力も、ある程度の高さの建造物があってこその芸当。地上での移動速度は同等といったところ──。
《START!!》
本人もそれを十二分に理解しており、不意打ちこそが唯一の勝機だと確信していた。開始と同時にテープを射出し轟の両手両足を拘束、ハンマー投げの要領で何もさせないままの場外を狙った。
「────悪ィな」
しかし、轟の体から放たれる冷気は、自身を巻き取っているテープを導線に瀬呂を襲った。気道確保のために頭部だけを避け、彼の全身を包んで背中から生えるように作り出された最大規模の氷塊は、スタジアムから見える快晴の一部を覆い隠し、射線上の観客席に座る人間に冷えた匂いを嗅がせた。
瀬呂は行動不能、轟は2回戦進出へと至った。
圧倒的な実力差がゆえに先手を取らずとも勝ててしまった轟。勝敗が最初から決まり切っていた。そう結論付けた人々は拍手喝采を起こさなかった。代わりに、瀬呂に対する同情心が"どんまいコール"として、観客のヒーローたちの間に広がっていく────。
「キャーーー!! なんですか今の!? すごい・天才・最高!! なんて素晴らしいんですか貴方って人はーーーッ!!」
その時、数々の『どんまい』を押しのける発狂まがいの黄色い声援が、覇気のない空間の中で彼女の存在を惜しげもなく主張した。
抑えきれない興奮のままに、
誰かの力を必要としない圧倒的な『個』としての強さ。
それを持って生まれた
褒めるべきだ! 称えるべきだ! だってそうされると嬉しいでしょう! ええ、そうでしょう!
自分がしてもらって嬉しいことは他人にもするべきですよね!
勝ち進めばいずれ交差する相手の更なる実力に、心が強く揺さぶられた。冷たくて、甘くて、強かで、けれども若さゆえにいとも簡単に崩れてしまいそうなシャーベットみたいな貴方を、口いっぱいに頬張ばってしまいたい。待ちきれない思いに反応した『心臓』が貴方に抗うために熱を作り始めている。
無意識にべっとりとした視線で彼を見ていた。受取人は一瞥もくれなかったが、長いこと待つ必要も無いだろうと思い、腰を椅子へと戻す。
楽しさ胸一杯に足をぶらぶらと揺らしながら、じくじくと痛む自身の手へと目線を落とす。興奮気味に手すりへと叩きつけていた手の側面に、赤い色が溜まっていっている。どうやら内出血を起こしているようだ。
(いささか……脆弱すぎるような?)
リカバリーガールの元へ訪れたことはない。元々、傷が治りやすい体質であり、いくら殴られ蹴られても"アザ"として長く残ったことは無い。
ここ最近分かったことでは、幻想体との"融合"解除時に負傷が綺麗さっぱり消えるのもあって、わざわざ足を運ぶ必要も無いのではと考えている。
(いずれかの試合で治るでしょうし、放っておきましょう)
次の試合は私の出番だが、轟さんが創り出した氷山の片づけに時間が掛かるようなので、あまり急がなくてもいい。とはいえ、今ここに用事があるわけでもない。
「では行ってきます!」
皆に一言声を掛けてから席を立ち、スキップでゆっくり向かうことにした。
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「ふんふふ~♪」
前世の記憶に刻まれている"会社の警報音"を鼻歌で奏で、一人朗らかに雲の上を歩くような軽い足取りで通路を進んでいく。
この世界の人間が持つ〝個性〟は、枝瑠職に
一番最初の
「楽しみ~~~!」
正義を騙る鋭利な暴力を、自分自身の価値を存分に発揮できる最上の日。
どろりと瞳の奥が輝いた。
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《第3試合!! 万能創造! 推薦入学とあってその才能は折り紙付き! ヒーロー科 八百万 百!
八百万は、己の心情と反比例している歓声を背に受けながら、正面に立つクラスメイトを視界の真ん中に収めた。
──枝瑠職 三鳥。
様々な武器を生み出し、自身の手足のように操るクラスメイト。柔軟な思考と体、素早い動き、怖いものなんて無いみたいな実行力。体格では優っているとはいえ、正面から無策で戦って勝てる相手では無い。
枝瑠職のに比べて『創造』は作れるものに制限はない。相手が近距離・中距離・遠距離全てに対応できるとはいえ、それはこちらも同じ。たびたび見せている"様相の変貌"が気になるところだが、常時使っていない所から考えるに、そう易々とは使えない奥の手……だと思いたい。
──そして、かろうじて判明している弱点らしきものについて考える。
騎馬戦で上鳴さんの放電を受け、他の方より復活にまで時間がかかっていた。おそらく電気は有効打に成り得る。遠距離武器を出されれば盾で耐え、近づかれるようなら最初にテーザーガンを創る。
(万全とは言えない……。しかし、今の最善ではあるはず)
懸念事項が数多くあるが、それでも勝たなくてはならない。
《START!!》
開始とともに枝瑠職は走り出し、『抽出』で生み出したのは【銀河】*1。夜空の髪と同じ模様をしたジャケットを身に付け、右手に現れた棒の先端に星雲の水晶玉が取り付けられたメイスを握り締め、八百万めがけて地面を駆ける。
武器の形状から遠距離の類ではないと判断した八百万は、急ぎテーザーガンを手の中に創り出す。申し分ない生成速度ではあったものの、創り終えた時にはすでに相手は目と鼻の先にまで到達していた。追加で何かを創る余裕は無く、武器1つでの対処を余儀なくされる。
八百万の創り出したワイヤー式テーザーガンの射程は5~6m。カートリッジは無く、仮にあったとしても交換する暇もないほどに接近されている。外せば終わり、正真正銘の1発限り。
互いの表情を確実に把握できる距離──有効射程はギリギリといった間合いの中、焦って引き金を引くようなミスを、八百万は犯さなかった。相手の実力を見誤っていなかったからこそ、想定内という安心感が一縷の冷静さを残したのかもしれない。
(枝瑠職さんは素速い。この距離でも躱される可能性がある……。ですから──!)
カウンター前提。横なぎで振るわれるメイスを左腕で受けたと同時、迷い無き動作でトリガーが引かれた。
射出された2本のワイヤーは、細い首元────白い石のネックレスの辺りへ突き刺さった。
「いッ! ……ギィヤッッッ!!」
ゼロ距離射撃を避けることは叶わず、電極から流れる電流が身体を走る。枝瑠職の手足の筋肉が言うことを訊かず、受け身を取れぬままその場へ仰向けに倒れ込んだ。
電流が流れる時間は約4秒。そこから体を動かし始めるにはさらに時間がかかる。しかし、相手は枝瑠職。何をしてくるか予想不可能な存在であるが故、油断せず金属の棒を武器として、今しがた攻撃を受けズキズキと痛みが走る
いける。勝てる。そう思った時────。
──ぼろっ……。
「え……?」
《ああーっと! 八百万の武器がボロボロに崩れちまったぞ!! どういう理屈だコリャア!?》
「あはっ☆」
八百万の焦りを見透かし嘲笑う、けれど無邪気に情を揺るがすような笑い声が鳴った。
声の主の首元にかけられた白い石が仄かな光を醸し出すと同時、八百万の足元に横たわっていた身体がバネのように跳ね起き、彼女の顔を覗き込んだ。
──笑みを、幼い子どものような笑みを浮かべていた。
だが、その大きな瞳の奥に、こちらを見下す異物の驕りがあることに気付いた八百万は、"自身の命の危機"という本能的な恐怖を覚えた。逃げ出したい、けれど絶対に逃げ切れることはできない予感あるいは確信が、行動を起こすことに無意識の歯止めをかけた。
「かはっ……!」
攻撃を受けたことによる衝撃と苦痛。反射的に腕で押さえようと姿勢を崩した八百万の頭部へ無慈悲な追撃が襲いかかる。大きく振るわれた横なぎは、その肉体をステージへ倒れ込ませる。
──立つ者、倒れる者の構図が一瞬にして逆転する。
現代で平和に幸せに生きる者として、未だ経験したことも無い痛みが八百万の肉体に残り続け、聡明な思考判断を妨害する。
何度も何度も、彼女は防御のために『創造』によって道具を作ろうとしていた────が、いくらやってもガラクタが体の表面から浮き出るだけに終わる。"HE"クラスの【黒属性】が彼女の抵抗を絡めとり、抱きしめて決して放そうとしなかった。
「痛いですか!? 私も痛かったですよ! お揃いですね! 嬉しいですか!? 嬉しいですね!」
楽しそうに笑う。嬉しそうに笑う。幸せそうに笑う。まるで人生の絶頂期を迎えているかのように笑って……少年は鈍器を振るい続ける。
柔らかい肉を殴った感触に、一抹の罪悪感すら感じなかった。見出したのは懐かしさと底知れぬ歓喜。とびきり濃くてウザったいほど甘いミックスジュースに浸された理性が、どろどろに蕩けて、ぐちゃぐちゃに混ざって、頭蓋から漏れ出て、体表に染み出て……別物になっていくようで────。
じわじわと皮膚に"夜の星空"が侵食していることすら枝瑠職にはどうでもいいことであった。ただただ、2人だけの特別な時間に至極夢中で、それ以外は眼中になかった。
激痛に悶え、身体を胎児みたいに丸くしている姿が、どうにも愛おしい。
貴女を見たい、聴きたい、触れたい…………知りたぁい……だって、貴女が悪いんだから!
貴女が
貴女が私を引き付けるから!
私……は、貴方が!
………………愛し合いたい。2人で満天の星空を眺めながら、手を繋いで、一緒に歩いて、ただそれだけで……。
────涙が止まらなかった。
「よっ……! おつかれ……試合……なっ!」
先の試合に勝った私が、A組の皆さんが待つ会場席に戻ると、ちょっと複雑そうな表情をした上鳴くんが、億劫そうに出迎えてくれた。些かしどろもどろに視線が揺らいでいたのが気になったが、特にその真意を深読みすることなく、私は感謝を返した。
「はい! ありがとうございます!」
席を立つ前に比べ、わずかに低く戻った声で伝えれば、「お、おう」と微妙そうな顔に変わった。きっと上鳴くんも、もうすぐ出番なので緊張しているのでしょう。緊張しすぎて表情筋にまわされる電流が詰まってしまったのだろう。そうに違いありませんね。
私がそう解釈を終えたところに、一人の声が横から入ってきた。
「──でも、ちょっと怖かったわ。さっきの枝瑠職ちゃん」
思ったことを包み隠さず言う、蛙吹さんの端的な言葉に、私の心臓がびくりと跳ね上がる。揺らいだ心を抑えきれないまま、聞いたことを耳から口へとそのまま質問した。
「こ、怖かったですか……!? 私が!?」
「ケロ? そうよ」
彼女の率直な意見に、チクチクとした胸の痛みを感じる。心の不調を紛らわせるため、私は急かされるように言葉を紡いだ。
「いえ……! いえ違いますよ蛙吹さん! あれはそう……カッコいいってやつですよ! ──強く気高い精神を兼ね備え、圧倒的な実力を行使する、まさに選ばれし正義の味方ではないですか!」
「その強く気高い精神ってとこ、残念だけど備えてないと思うわ」
「ィやばにゃっ!!」
──鋭利な白属性が、剥き出しの心に刺し込まれた。『
「ひっぐ……ぞんなっ、ごど……ないもん……っ! わたしっ……わだし負けで、ないから……がっごいいもんっ!」
──結果、何時かのように、大きな瞳から溢れる大粒の涙が抑えきれなくなって、頬を伝ってボロボロと地面に落ちては消えていく。
必死に両手で目元を押さえているが、その小さな手では器としては不十分で、端から次々に零れていってしまう。
親に叱責され納得のいかない子供のように、口下手な反論を喚き続けている。
事態を黙して見ていた障子からしてみれば、これはすでに二度経験した出来事。そのどちらも自分が対応している。加えて、枝瑠職という人間がどのような人物であるかも、決して長い付き合いとは言えない数か月の間に掴みかけていた。
この場合、場を収めるためには……────。
「枝瑠職……次は飯田の出番だぞ」
「────私このためにインスタントカメラ持って来たんですよ! 天哉くんの武勇を全て収めるために! わはは!」
まるで泣いていた事実が抹消されたかのような変わり身。記憶の中にある元気な姿を張り付けたかのように、目元は赤くも、腫れ上がってもいない。
そのことに深い疑問を持たぬまま、みな心の中で障子に親指を立てた。
第4試合。
天哉くんの活躍のすべてを余すことなくこの目に収め、それを想い返すために用意したインスタントカメラ。現像したチェキを枕下に敷いて寝たらきっと健やかな安眠が約束されるに違いない。もっと身長伸ばしたいのでたくさん眠りたい! 幸せな夢も見たい。
手すりに身を預けて彼の見せ場が来るのを今か今かとワクワクしていましたが、対戦相手の桃髪の方のマーケティングに散々利用されるだけの時間が延々と続き、そのまま試合が終わってしまいました。
もっとこう……敵を蹴り飛ばすところとか! 攻撃を華麗に避けるところか! そういうのを私は望んでいたのですよ! 断じて企業向けの実践プレゼンを見たかったわけではない!
巨大ディスプレイに映されたトーナメント表に目を向ける。私たちの名前から伸びる太線が、1人しか通ることができない同じ道を目指している。
「次は私と……! わはははは!」
「委員長の事
「──はははははぅヤべばッ!!?」
「なんて??」
有頂天となった気持ちのまま高笑いしていると、背中から芦戸さんの声がし、その内容に頭のリソースの100%を持っていかれてしまった。
びっくりしましたよ! 私、今は男の子ですが、改めてそう言われたらドギマギしてしまいますええですはい。
────どうしたらいいのでしょう……。この気持ちに嘘はつきたくないですが、だからと言って私から言うのはちょっと……。
欲しがりは嫌われる。欲しがりは疎まれる。私はそれを知っている。
でも天哉くんはそういうところに疎い気もしますね!? 真面目な方、特に天哉くんはソッチ関係に奥手そうですし~……。
「うぅぅぅ……」
『心臓』の鼓動が速くなっている時は感情が高ぶって大胆な行動ができる。
だけど、今の私は臆病だ。
望みの薄い勝負に挑むことが、とても怖い。
命令されたい。ただ「そうあれ」と望まれたい。私は私を抑圧できる。
「……戻りたいなぁ」
過去の自分に、負け知らずの私に。
『死』を知らない、"特別な私"に。
簡単に思い出せるからこそ、私は過去に取り憑かれている。
次の試合。
上鳴くんと髪の毛が植物のツルになっている方の試合。B組の方の事はよく分かりませんが、上鳴くんはとっても忌々しい……もとい強い〝個性〟の方ですので、結構勝ち進むのではと思っていましたが……。
「うぇ……い」
「与えられたチャンス、無駄にせずに済みました」
気の抜けた顔のまま大量のツルでぐるぐる巻きに縛り上げられています。あれでは脱出できませんねぇ。ブッ放しで「速攻終わっちゃうから」みたいな事言ってましたが、フツーに通じず、フツーに負けてしまいました。
なんでも叶える券は上鳴くんのものではないようです。
あちゃーですよ、あちゃー!
まったく、油断大敵ですよ上鳴くん!
やっぱり一芸だけに頼っているようではダメですよ!
私を見習って下さい! わ・た・し・を!
わはははははは!
次、常闇くんとキラキラくんの試合。
両者ともに相手に近づかない・近づけさせない遠距離タイプの方々。
キラキラくんが放つおへそビームは、影の幻想体が防ぐことで常闇くん本体には届かない。緑谷くんの騎馬をやられていた際の流石と言うべき防御力に一抹の感嘆さえ覚える。
──と、今更ながらに気付いたのですが、影の幻想体くんの目は金色でした。
それに気付いたせいで、ちょっと苦手気味だったがもっと苦手になってしまった。黒い鳥っぽいのは辛うじて許容できていましたが、加えて金色の目をしているのがどうにも受け付けない。常闇くんみたいな赤い目をしていたら好かったのにー……────。
私がそんなことを考えている間に勝敗が決まったようだ。
膠着状態だった勝負の行方は最終的に、青キラくんが副作用の腹痛に襲われてコンディションを崩した際の隙を突き、影の幻想体がお腹のベルトにグーパンチすることが勝因。壊れたアイテムでは〝個性〟を使えず、キラ山くんは泣く泣く降参。両者スタートの位置から全く動かずに勝負が終わった。
もし、常闇くんが私と戦うことになったらちょっと嫌ですね。
さて次は────。
「切島くんとー……鉄哲くんですね!」
熱い戦いを繰り広げそうな両人、きっと面白くなるに違いありません!
切島くんは特訓の成果を是非見せてください!
鉄哲くんは頑張ってください!
銀河の子とは似ているようで似てない兄弟みたいだね。
セリフが少ないのはお許しを……。キャラ造形を練り直しております。
次話は……頑張っております。
オリ主のイメージ像欲しい?(絵下手な奴がマウスで描いた)
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寄越せ
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いらん
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どけ!私が描こう
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自己補填できてるので大丈夫です