八雲紫と射命丸文の過去の話

※以前別の作品の一話として投稿していたものを分けて単体で投稿することにしました。

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むらさきだちたるくものほそくたなびきたる

ゆかあやです。ゆかあやを流行らせたい!!




私の下っ端時代。

あの人がただのどこにでもいる妖怪であった時代。

いつだったか、私はあの人に出会った。

私は天狗社会で生きていたけれど、彼女は良くも悪くも一人だった。

 

「ここは私達の領地よ。」

 

ある日、天狗の領地に入ってきた一人の妖怪に声をかけた。

 

「領地…。私は自分の領地にしかいられないというの?」

 

彼女の瞳に吸い込まれそうで思わず言葉を失ったことをよく覚えている。

 

「ええ。だから私もここにしかいられない。」

 

ここから外に出れば人間の領地だから。

 

「じゃあ私、どこにもいられないわ。」と笑う。

 

自虐的な笑みだった。私はなぜ笑ったのか分からなかった。

 

「自分で作ればいいじゃない。」と私が言うと、驚いたように目を開いた。

 

「そうだけど…そんなところあるかしら。探してみることにするわ。」と言って去って行った。

 

 

 

「ねえ、私は射命丸文。貴方は?」

 

彼女が領地を探す間、私達は毎日話をしていた。

 

「私はただの妖怪だもの。名前なんて無いわ。」

 

「じゃあ私が考えてあげる。」

 

妖怪にとって名前を持つということはとても重要なことで、当時の私はそのことを理解していなかった。

 

「うーん。瞳がが紫色だから、(ゆかり)はどう?」

 

「紫!いい名前ね。ありがとう、文!!」と笑った。

 

きっと私はあれ以上の笑顔に出会うことは生涯ないだろう。

 

次の日から紫の妖力は増えていった。

そこら辺の妖怪にすら勝てなかった少女が、今や私と同じぐらいの強さになっていた。

 

 

 

「ねえ文。私決めたの。私、自分で世界を作るわ。そのためにはこんなところで立ち止まってちゃいけないと思うの。」

 

ある日紫が言った。

その時私は離れてしまうことへのさみしさと目標ができたことへの嬉しさが混じった笑みを浮かべたのだと思う。

 

「うん。いいと思う。紫ならきっと実現できると思うな。」

 

「だからもうしばらくは会えない。もしかしたら今日が最後かもしれない。それでも文は私を送り出してくれる?」

 

私はしばらく考えた。引き止めたい気持ちが強かった。けれど紫の為には送り出してあげなければならない。

 

「送り出すよ。」

 

「ありがとう。」と笑って紫は去った。

 

 

 

 

「久しぶりね文。」

 

「っつ!!紫、どういうことよ『幻想郷』って!」

 

私は先日天狗長から、妖怪の山は『幻想郷』の中に移ったことを聞いた。

そしてその『幻想郷』の長は『八雲紫』だと。

もしかしたらあの『紫』かもしれないなと思っていたけれど…。

 

「あら、忘れてしまったの?自分だけの世界を作りたいと私が言ったことを。」

 

「忘れるわけないじゃない。」

 

「嬉しいわ。じゃあ私がここに幻想郷を作ったことの意味が分かる?」

 

分からない。私が首を振ると、

 

「貴女が言ったのよ、文。自分の領地でしか生きていけないと。天狗は天狗の領地でしか生きられない。つまりは天狗の領地で生きているものは天狗のものってことになるわよね?つまり、私の領地にいる者は全員私のものってことにならない?」

 

??まあ確かにそうなるかも...?

 

「だから今、貴方は私のものなのよ。貴方を私のものにするためにここに作ったの。待たせちゃってごめんなさいね?」

紫はあの時とは違う、強者の妖怪の笑みを浮かべた。

 





タイトルについて
・「春はあけぼの」ですね。意味は「紫がかっている」です。

その他設定
・妖怪にとって名前を付けられることは意味を持つ、と言う設定をどこか二次創作で見かけて、それが印象に残っています。

・ある日のこと、友人と東方のマイナーCPを考えよう!!となって(なぜそうなった)考えている中で生まれたCPです。ぜひ流行らせてください!

・八雲という性は色々なところに行っていた中で自分でつけたのでしょう。

・当時の天狗の里は人間が住まうところの近くにあるという設定です。

・文さんは下っ端で、当時の大天狗に仕えているという感じで、紫は身寄りがなく放浪している妖怪でした。

・2人とも200歳くらいで、紅魔郷時点では4桁いってるくらいの年齢設定です。

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