井芹仁菜の鏡像は何を見る? 作:鏡合わせ
ノートを開く力も読む力なんてこの手には僅かに残されていない。
長野に……軽井沢に帰っても私の居場所はない。
帰るということが意味するのは、今までこの手で守って来た信条を曲げることに繋がる。
意志なんてとっくに刃毀れしているくせにまだ打ったばかりの刀だと思い込んでいる自分が滑稽に見える。
最初から分かり切っていた。
私が蕎麦屋でバイトをしている時点で運命という糸に吊り下げられるだけの傀儡。
神奈川に来て選んだバイト先は蕎麦屋だった。私は逃げることが出来なかった。
ノートを見れない理由もそう。
開けば、すぐに私が軽井沢から逃げ出した理由が乗っている。無駄な自問自答の末の答えが一番最初に乗っている。これは私にとって自己暗示でしかなかった。
『私は貴方に成功体験を感じていただけです』
本音そのものだ。
井芹さんにあり得たかもしれない可能性を見出していた。もしかしたら、私も井芹さんみたいに雁字搦めにされていた未来を変えることが出来るかもしれないと信じていたはずなのに、刃は折れてしまった。
もう二度と鞘から抜くことすら出来ない。
絶望なんてなかった。最初からそうだったはずなのに、ずっと見て見ぬふりをしていた。私は蕎麦屋の家を継ぐことしか出来ないことぐらい、知っていたはずなのに……。
同調圧力なんかに屈したくなかった。
屈したくないはずだったのに、今目の前に見えているのは蕎麦屋『朱鷺乃』を継ぐという地獄しかなかった。
『椿ちゃんは偉いねぇ。お店の手伝いを毎日してるなんて』
軽井沢に居た頃、実家の蕎麦屋の手伝いをよくしていた。
母を失った頃から、父の店の手伝いをするようになっていた。老舗の歴史のある店だった。いつからやっていたの?なんてよく聞かれることが多くて、その度に明治って答えていた気がする。
当時の私は14歳になるまでこの店を継ぐのは自分なのが当たり前だという認識を覚えていた。
しかし、周りの圧力によって私の中で大団円ごっこは終わりを迎えていた。
14歳のときだった。
ちょうど思春期になり始めた辺りで私は家を継ぐということに対して抵抗感があった。
『椿ちゃんはこの家を継ぐんでしょ?』
『老舗のお蕎麦屋さんを継げるなんていいわねぇ』
雑音がしていた。
お店を手伝う度に私にとっての目覚まし時計のようなアラームが耳元で鳴り響く。
『テレビで取材を受けた事もあるそうよ、将来は安泰ね。あら、椿ちゃん?お店を継ぐなんて偉いわね』
『え?は、はい……』
戸惑いながらも返事を返す。極めつけはこれだった。
うちのお店は歴史ある蕎麦屋だったし、信州そばらしさ溢れるしっかりとしたコシに喉越しはツルっとしていた。そんじょそこらのエセ信州そばとは違う。だからこそなのか、取材を受けることが多くてその度に……。
『いやぁ、凄いね椿ちゃんだっけ!?』
『将来はやっぱりお店を継ぐんだよね!?こんな可愛い子ならまた人気になるだろうねぇ』
なんて言うのを取材の人から言われることなんてザラでしかない。
何処か女だからという視線で人気になるという視線が舌打ちをしそうになった。
私の未来を勝手に語るな。
お前らが私の未来に触れるな。憎悪と怒りが私の中で生み出されて、記憶という弾丸はどんどん弾倉に詰め込められていった。あーでも、一つだけいいと思えることはあった。すばるさんに出会うまで記憶ごとこの辺の記憶は全部封印していたけど……。
『椿さんでしたっけ?』
『え?はい?』
出会ったことがあった。
すばるさんの祖母である大女優の安和天童にドラマの撮影ということもあって奥に引っ込んでいるつもりだったのにスタッフさんが娘さんも言われたと頼まれて私も出ることになった。
『貴方、中々の立ち振る舞いでしたよ』
『孫と上手くやれていない私が言うのもよくないだろうけど、真っ直ぐ育っているようね』
『え!?あ、ありがとうございます……!』
少ない言葉だったけど、すばるさんのことにも触れていた。
あの安和天童に褒められたということは光栄のことだったのかもしれない。
あれ?でも、今にしてみれば安和天童さんって京都の人だよね……?
まあ、いいや。そんなことはあのすばるさんのお祖母ちゃんだし、あんまり嘘という方便はしなそうだし……。
あーダメだ、逃れるために話が逸れてしまった。
自傷行為の自己暗示に戻ろう。
「将来か……」
将来はお店を継ぐことになるなんて紹介の仕方をされるのが嫌でしょうがなかった。
なんで?って気持ちとどうせ継がなくちゃいけないなんていう諦めの感情があったのは事実。私には兄弟も居ないから、自分が継ぐことしかなかった。そんなこと分かっていたはずだった。
自分しかいない重圧とそれに応えてくれるであろうと思っている周りの圧力に私は押し潰されそうだった。
『お父さん』
この店の主である父に声を掛けることもあった。
この店を継いだ方がいい?と質問をしようとしていたときもあった。
『椿、そこの蕎麦持って行ってくれるか?』
『分かった……』
聞き出すことは出来なかった、父はいつも継げとは何も言わなかった。
どれだけ楽だっただろうか。この店を継げって言ってくれていたら、反抗的になれていた。何も言わないからこそ、私は私で息が出来ないほど自分の首を絞めることになる。
いつもいつもそうだった。
周りは私に期待をして、父は何も言わない。その沈黙を破ってくれたらどれだけ楽になれただろうか。
『音楽でも聴こう』
鬱屈した人生に希望なんてないと実感する。
それでも、希望と言う安易なものに縋りたい私は自分の部屋に入る。机の上に置いてあるスケッチブックを視界に入れながらも、私は曲を探し始める。
そんなときだった。
「空の箱」というタイトルの曲を見つけることに成功する。
『これだ……』
手に持った鉛筆が止まらない。
アナログなんて今どき流行らないけど、私の世界を満たしてくれていたのがこれだった。
なによりもあの楽曲だった。
私の手は最初の時点でリピート再生に手を伸ばす。惹き込まれていたんだ、当時のダイヤモンドダスト。桃香さんが居た頃のダイヤモンドダストに……。
それからのことは言うまでもなかった。
私の人生に色が添えられた。この歌があれば、私は何処へでも歩いていける。自分が届く範囲の力で足を延ばして、舗装されていない荒れ果てた土地を耕すことが出来るのかもしれない。
『椿ちゃん、最近お店の手伝いしてないわよね?どうしたの?』
『お父さんが悲しむわよ?』
『きっと思春期なのよ、可哀想ねお父さんも』
言わせたい奴には言わせればいい。
私はもう同調圧力には屈しなかった。親の蕎麦屋の手伝いも非協力的になって、自分のやりたいことばかり優先していた。学校ではほとんど居場所がなかった私にとって、居場所になるのは音楽を聴いてるときと自然に囲まれているときしかなかった。
これからの未来はきっと砂利道だ。
舗装された道を歩くことが出来ると信じようとしているときのことだった。
『嘘でしょ?』
桃香さんがダイヤモンドダストを抜けたという報せが私のところに入って来た。
ダイヤモンドダストはメジャーにデビューした瞬間、周りから何故か評価されることの方が少なくなった。というよりは、わざわざ見に来る人がいないのが正しかった。
そりゃあそうなのかもしれない。
どれだけ新しいお店の蕎麦屋でも老舗の蕎麦屋で人気店に勝てる訳がない。ダイダスは自分達の力をなんとか証明しようとして頑張ろうとしていたはずなのに、負けた。現実を受け入れられない訳じゃない。
桃香さんが脱退だけならまだ納得できた。
その数ヶ月後、私の中で心が空虚よりも怒りに身を任せそうになる事態が起きる。ある日、私が目にしたのはダイヤモンドダストがアイドルバンドに変貌している姿だった。
『は?』
自分の部屋の中でスマホを持つ力が徐々に強くなっていった。
頭では理解できている。今までのバンドじゃ売れなかったから、路線を変更して売れ線を目指すというのは……。理屈を分かっても、頭が拒む。私を助けたバンドのくせにそうやって斬り捨てようとするのか。
ふざけんな、ふざけるな。
桃香さんが居てこそのダイダスだった。アイドルバンドに成り下がったダイダスに用なんかない。雪に積もった死体なんかに、遺骨なんかもうどうでもいい。私は心の底から軽蔑したくだらなく雑菌まみれになったバンドを……。
それからのことは鮮明に覚えている。
まだ1年前のことだから。
『椿ちゃん、高校生になったんだって!?』
『そうですね』
『いやぁ、こりゃあまた看板娘として一躍有名になるね』
『ありがとうございます』
『ねぇ、椿ちゃん……』
『お父さんのこと心配じゃないの?その態度?』
『チッ……』
何の躊躇いもなく、舌打ちをする。
話しかけるな。私はもうお前らの圧力なんかに屈しない。お前らがそうやって期待の眼差しで見つめてくるなら私にだってやり方はある。
『な、なんだねその態度は……』
『うるさいんだよ、勝手に期待して勝手に家を継ぐと思って継ぐわけないでしょ?こんな家なんか、私はもう出て行く……』
自暴自棄になっていたのは認める。
ダイダスという成功体験を失った私にはイラストを描くという力すら無くなっていた。高校生になって、私は自分が大人になったと自覚しているつもりだった。何にでもできるこんな同調圧力に屈しない。
私はこんな古びた小屋の中で終わってたまるか。
髪を染めた。結んで黒かった髪は短めな銀色の髪へと変わり果てた。自分の意思を強硬にするためにだった。
そして、ある日親に何も言わずに……。
家を飛び出した、学校も退学した。
都内に出れば誰も私のことを知らない、上京なんて言葉が相応しいのか知らない。あのときはただ檻から出ることだけを必死に考えていた。
後先考えずに東京をすっ飛ばして川崎まで来て、困り果てていた。
あまりにも馬鹿すぎる。その結果が途方に暮れた。高校生だからネカフェとかホテルも無理。どうしようとなってるときに……。
『あら?お嬢ちゃん?一人かい?』
周りをキョロキョロしていたからなのか話しかけてくれた。
都会の透き通った喧騒の中で一人私に声をかけてくれた人がいた。
『あの……すみません。お金必ず払うんで』
年老いたご年配の女性の方が声をかけてくれてる。
その上に喫茶店でコーヒーとサンドイッチを奢ってくれた。遠慮しまくったのにお婆ちゃんはいいと言ってくれて、私は何も言うことができずに、ご好意に甘えた。
人の好意に甘えてしまうなんて嫌だったはずなのに、断れなかった。
悪循環を抱えながらも、どうすることもできない私はお婆ちゃんに全てを打ち明けた。
『実は私……大家をやっててね。一部屋空いてるんだ』
『お父様には私から話しておくから、暫くの間こっちにいるかい?』
周りの期待が嫌で逃げ出したこと。
軽井沢には出来れば、帰りたくないことも話した。
不思議な気分だ、人の優しさに触れたからなのか気分が穏やかなっていた。全部話してしまうなんて情けない話でしかなかったはず。人に話して気分が楽になるなんてこういうことを言うのかもしれないなんて思いすら抱いてた。
『すみません、必ず恩は返しますので』
部屋の鍵を開けてもらって、お辞儀をする。
『お父さんには伝えてあるからね?』
『は、はい!すみません、本当に何から何までありがとうございます!家賃、絶対遅れないように払うので!ありがとうございます!!』
何度も感謝の言葉を述べる。
家賃に関しては元々は親が払って貰うという取り決めになりそうになったのを拒否した。親の協力を得たくなかったからじゃない。此処まで大家さんにお世話になったのに、また誰かの協力を得るのは嫌だったからこそバイトを始めた。
それが蕎麦屋というのはなんとまあ……皮肉なことだろうか。
バイト自体も上手く出来ていたのも含めてもそうだった。
なによりも、日常というものを手に入れて柵すら無くなっていた。
川崎での日常が抑圧されることなく楽しいとなれているときだった。
川崎駅前の東口前を通過をしようとしたときのことだ。
出会えたんだ、あの歌声に……。
今でも耳に残っている。
バイト先に向かおうとしていた私の足を止めて初めて遅刻をしてしまうほどに惹かれていた。その日からだ。日記をこまめに書くようになったのは……。
読まなくてもタイトルを覚えている。
タイトルは『原点』
意味するのは私という人間が川崎に来たことを不安に感じていたことを井芹さんは物の見事に吹き飛ばしてくれた。焦がれてしまうほど好きになれた井芹さんのことが本当に本当に好きだった。
成功体験なんて言って本人には言ってしまって逃げてしまったのは感動したのは事実。
なのに、私はあの場で居られることなんて出来なかった。だって私は……。
ダイダスとの対バンに行かなかった。
語る資格もない。トゲナシトゲアリのことを……。
例え、理由があっとしても行かなかった理由は何も変わらない。
後悔という2文字が私の中で残る中でどうすることもなく、ようやく辿り着いた。
『朱鷺乃』
看板が目に入る。
此処まで来ている時点で疲弊してしまっていた。戻って来てしまった、数週間ぶりに……。
「あら?椿ちゃんじゃない!?帰って来たの!?」
「はい……」
店の前に立っていると、常連客の人に話しかけられる。
心配そうな声を出しているけど、どうせ私より家のことしか考えてない。裏口から入れば良かった。後悔先立たずとはまさにこのことでしかなかった。
「お父さん、心配してたわよ?」
「知ってますよ……」
変わることはない。
どれだけ年月が経とうとも、私が店を継ぐと勝手に信じ込まれている。自分の心を守るために、店の中に入る。足取りは重かったのに覚悟をする体力もないのに足を進ませるしかなかった。
そんな中で通知が鳴る。
通知を無視して、私はお店の中へと……。
入って行った……。
私達は車で長野を目指そうとしている。
智ちゃんの方に目を向けると、未だに長野に行くのは反対という意志表明を見せている。
『一個人のファンのために行くつもりなわけ?』
『言っておくけど……!あんな子をいつまでもファンにさせておくよりも振り落とした方がいいに決まってるわよ!』
まだ車で移動する前のことだった。
桃香さんの家の前で智ちゃんが私に抗議をしていた。
桃香さんも同じことを言っていた。
すばるちゃんも言うことはしていなかったけど、同じ気持ちだったに違いない。
智ちゃんや桃香さんが言っていることはきっと真っ当な意見だと思う。
たった一人のファンと自分を重ね合わせて、共感して助けたいなんていうのは傲慢なのかもしれない。これから先、一々共感して行くつもりなのか?なんて問われたら、何も答えられない。
それでも……。
『私は行く、椿ちゃんを助けたいから』
止まる気はない、間違ってないから。
私が桃香さんの歌に助けられて、椿ちゃんが私の歌に助けられたという感情があるならまだ間に合うはず。届けることが出来るはず、私の歌声を……。
『ファンの為にわざわざ長野まで行くなんておかしいわよ!』
『知ってるよ智ちゃん!それでも私は行きたいの!椿ちゃんは私にとって大事なファンだから!!私の歌を聴いて、背中を押されたなら私はまた手を伸ばしてあげたい!』
意志を曲げるつもりはない。
此処で曲げたりしたらたった一人のファンを見捨てることになる。私の歌が大好きだった椿ちゃんのことを見捨てることになる。
『智ちゃんが行かないって言うなら、私一人でも長野に行ってくる』
『おい、場所分かってるのか?』
桃香さんが一人で駅の方に向かおうとしている私を止めて来る。
分かりもしない。何も確固たる証拠がないのに無謀なことをするなと忠告を受けてる。桃香さんはこんなことを言い出しても、逆効果なのを知っている。私のことを試しているんだ。
『はぁ……本気で行くわけ?』
『行くよ……!』
智ちゃんは家の前で溜め息を吐いていた。
全く曲げようとしない私を見て根負けしているようにも見えた。
『分かったわよ!その代わり……!言っておくけど、あの子のためにやる訳じゃないから!!』
『ライブを成功させたいだけだから!やるからには本気でやるわよ!!』
『結局、こうなるわけか。仁菜は言い出したら止まらないもんね』
「マジか」って声を漏らしているすばるちゃん。
すばるちゃんも折れて長野に行くことを決意してくれた。
『全員満場一致みたいですね、運転は私でいいですか?』
両手を叩く音が聞こえた。
ルパさんが全員の意見を聞いてから、了承と取れることを言ってくれる。これで、これで全員揃って長野に行くことが出来る。それに、桃香さんの運転も回避することが出来る。全部の条件が揃て、私は一目散に車に乗り出した。
「椿さんの御蕎麦屋さん、軽井沢でしたっけ?」
今は高速道路、長野に向かって走り出している。
頭の中で車に乗る前のことを思い出していると、ルパさんがふと桃香さんに話しかけて来る。
「ああ、すばるの御祖母さんが前に軽井沢で朱鷺乃って蕎麦屋に行った事があるらしくてな」
椿ちゃんのところに行くに決まっていたが、何処へ行くのかが全く決まっていなかった。
あんなにも桃香さんの前で断言していたのに、SNSを見てもやっぱり軽井沢に住んでいたと言うぐらいしか情報が乗っていなかった。
「まさか、お祖母ちゃんが椿ちゃんのところに行ってるとは思わなかったんだけどね。調べたら、ばっちり椿ちゃんのことも入ってるし」
「ほ、本当だ」
「あの子、結構の有名人だったのね」
すばるちゃんがスマホを見せてくれる。智ちゃんが反応をしている。
番組の公式SNSっぽいものには古そうな建物の蕎麦屋「朱鷺乃」が映っている。投稿の概要には父と娘の絆が作り上げる一族の店という紹介をされている。
「父と娘に絆に迫るか、如何にもって感じのタイトルだよね。そりゃあ、中退するわけだ」
「え?ど、どういうこと?」
「椿ちゃん、汚いとか醜いとか言ってたんでしょ?だったら、周りが勝手に期待をして老舗の蕎麦屋の跡取りなんて祭り上げたとかあり得るんじゃない?ってこと」
すばるちゃんの投稿の一部を読み上げる。
今は完全に吹っ切れてバンドに居るって言ってくれているすばるちゃんだからこそ……。大女優の娘だと色眼鏡ばかりで見られてきたすばるちゃんだからこそ出た発言なのかもしれない。
「跡取り……」
椿ちゃんは長野のことは何も言っていなかった。
お蕎麦屋さんのことも、自分のことも……。私みたいに親との間で溝があったのかもしれない。もしそうだとしたら、私は椿ちゃんを連れ戻すことは出来るだろうか。
「桃香さん、椿ちゃんは見てくれますかね?」
私は前に進むことは出来た。
椿ちゃんがそうだとは限らないこそ、桃香さんに聞いてしまった。
告知はした。
軽井沢駅付近でライブをするということは……。
「さあ、どうだろうな?本当に覚悟を決めているなら見ないかも知れないし、決まってないなら見るかもしれない」
「そこは椿次第じゃないか?あいつの意地が勝つか仁菜の奴が勝つか……」
「勝負って奴だな、アタシ達のロックが通じるか」