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■まえがき
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
※ 奈落家のいつもの設定確認
・設定は戦国時代なのになぜか現代の要素が入る。
(今回はキャンプ。田舎のスーパーにも寄ります。
「ヒロシのぼっちキャンプ」のテレビ番組を参考にしています。)
・奈落家の服装は、原作通り。
・奈落さんと分身たち皆、生存していて
人見蔭刀に仕えて奈落と一緒に
人見城に一緒に住んでいる設定です。
・季節は特に記載が無ければ、
投稿された日と同じです。
(今回、投稿された日よりはもっと前の初秋です)
ストーリーのジャンル:ほのぼの・家族愛
では、このまま下へスクロールして本編どうぞ。
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前方には緑の山々が連なり、
青い空、白いもくもくとした雲が広がっている。
神楽はいつものように奈落と言い合いになり、
負けず嫌いをこじらせた結果、
ついに仕事を放り出して
人見城を飛び出してしまった。
羽飾りの後方に荷物を積んで
ひとり空へキャンプに向かっていた。
昼過ぎ1時。
キャンプ場近くの田舎の小さなスーパーに寄る。
レトロで穏やかな少しふわふわ感がある
暖色系のカラフルな外観だった。
荷物はそのまま羽飾りに乗せて上空に浮かせ
待機させておく。
神楽だけ降り立ち、手動の引き戸を開けて中へ。
クリーム色とオレンジが基調な
商品の並びがどこか田舎っぽいスーパーの内装。
通り過ぎる背の低い少し腰の曲がった
おじいちゃん店員とあいさつを交わす。
新鮮なお刺身が良い部分を
多めに安く売っているので
とても買いたかったが、
鮮度の問題があるのであきらめた。
次に来た時に買おう。
コロッケやメンチカツなど
揚げ物がとても安い気がしたが、
奈落がいつも行っている
郊外の大きなスーパーの方が
もっと安いことに神楽は気づいていない。
とても買いたかったが
キャンプらしくない気がしたのであきらめた。
これもまた次に来た時に買おう。
「やっぱ、キャンプはキャンプらしくしたいねえ」
にんにくと牛肉と安い焼肉のたれ、
小さめの瓶のインスタントコーヒーに
割り引きされているシンプルなクリームパンを買った。
レジのおねえさんの丁寧な接客がとても良かった。
*
キャンプ場に降り立って。
"今日の居場所"にだいたいの見当をつけ、
荷物を脇に、テントを立てる前に草原に寝っ転がる。
「ふうっ、せいせいした」
奈落の束縛からの勝手な一時の自由である。
初秋のキャンプ場は暑くも寒くもなく
優しい太陽の光と涼やかな風が心地良かった。
鳥たちのピヨピヨという鳴き声と
近くの小川の静かなせせらぎもいい。
日頃の不満が風に薄まっていく感覚がした。
しばらくゆったりとした後、
テントを張ったり薪を集めたりする。
そうこうしているうちに夕食づくりの時間。
風の力を操る応用で酸素濃度を高めて
たき火の火をつけやすくしたり、
弱めの風刃で食材を切った方が早いが、
それをしないのがキャンプの醍醐味である。
風の妖術は使わずいつもの扇であおいで
たき火の火を強めていく。
小さなフライパンで買った牛肉と
切ったにんにくを焼いていく。
普段は奈落に野菜を食べろ、肉ばかり食うな、
ごはんをもっと食えと言われ、
女の嗜みとしてにんにくも
早々たくさんは食べられない。
──今日は違う。今日は自由だ。
「ふうっ、せいせいした」
本日二度目。
キャンプで食べるメシは
なんでこんなウマいんだろう?
そんなことを考えながら
たくさん牛肉とにんにくを食べた。
家族(奈落)が普段買って来るのとは違う
焼肉のたれで食べるのも良い。
キャンプ用の平べったいナイフと
フォーク・スプーン兼用の先割れスプーンで
食べるのもまたイイ。
それから小さな片手鍋に湯を沸かし、
インスタントのホットコーヒーを淹れる。
ホットサンドメーカーでクリームパンも焼く。
"ぼっちキャンプ"のテレビ番組でやっていたので
一度やってみたかったのだ。
クリームパンは少し焦げたが、それもまた良かった。
それからしばらく、ランタンの小さな灯を脇に、
たき火のパチパチとほとばしる炎を見つめ続ける。
秋の虫たちがそれに呼応するように静かに鳴いていた。
*
次の日。
鳥たちが朝の歌を歌っている。
スマホに奈落から電話がかかって来た。
──ヤベッ。これ、怒られるやつじゃん。
だが、出なかったら出なかったで
もっと怒られるやつである。
出た。
心配だから早く帰って来いとのこと。
それ以上奈落は何も言わなかった。
神楽も余計なことは言わず、
静かに了承の返事をして
彼女に似合わず、
どこか"昔の神楽"を思わせる
柔らかい声で電話を切った。
一杯だけコーヒーを飲んでから
キャンプの片づけを始める。
冬とは違う
優しく冴える涼やかさの薄水色の朝の中で飲む
ホットコーヒーはとてもおいしかった。
それから神楽は荷物をまとめ
羽飾りに積んで
奈落の待つ人見城へと
静かにキャンプ場を後にする。
奈落は帰って来る神楽や
他の分身たちのために
人見城で焼き芋をせっせと作っていた。
おわり
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
ほんとに終わりです。