三つの領域の浄化後、ゲヘナの支配が弱まったことに焦った青龍の策略により、幻獣兵ゾルダの攻撃は、これまでの数百倍に激化した。
街の中心部が、まるで戦場のように荒れ果てていた。
ニャーレンジャーの5人は、大量のゾルダの波に飲み込まれそうになっていた。
「数が多すぎる!コアが浄化されたことで、奴ら、焦って総攻撃をかけてきたんだ!」
レッド(吼輔)が叫ぶ。
「青龍の計算だ!奴は、王を救う私たちを、徹底的に消耗させようとしている!」ブルー(蒼真)は、ゾルダの動きを解析するが、計算外の多さに圧倒される。
ピンク(愛)は「パンサーシールド!」で仲間を守ろうとするが、ゾルダの波状攻撃にシールドが軋み、汗を流していた。
イエロー(樹菜)とブラック(雄夜)も、覚醒した力を駆使して戦うが、疲弊の色が見え始める。
-------------------------------------------------------------------------------
モニターには、窮地に陥る5人の姿が映し出されていた。
橙野司令は、苦渋の表情で、自身の胸に手を置いた。
「戦局が悪化している。このままでは、彼らが青龍の策略にはまって、消耗し尽くしてしまう。」
彼は、基地の緊急ハッチから、装甲もなしに戦場へと飛び出していった。
-------------------------------------------------------------------------------
街の中心部。大量のゾルダを前に、疲弊しきったレッド(吼輔)が、目の前に立つ司令の後ろ姿を見て叫んだ。
「司令!危ない!なぜここに!?」
橙野司令は振り返らず、強い決意の声を上げる。
「すまない、吼輔。だが、ここからは俺の戦いだ!」
彼は胸のオセロットエンブレムに手をかざし、変身コードを叫ぶ。
「Wild Change!」
ゴオオォン!
橙色の光が彼を包み込み、光が収束したとき、そこに立っていたのは、オセロットの装甲を纏った、第六の戦士だった。
「あれは…!?」
レッドが驚愕の声を上げる。
-------------------------------------------------------------------------------
幻獣殿の、暗く巨大なモニターが並ぶ作戦室。青龍の他、白虎、玄武、そして次のターゲットである朱雀が、戦場のライブ映像を見ていた。
白虎:「バカな!あれは神帝の目(しんていのめ)のエンブレム!近衛隊長が、自ら前線にだと!?」
玄武:「近衛隊長が、自ら戦場に…幻獣帝国の最高戦力が、ついに動いたぞ。」
朱雀:(モニターに映るニャーオレンジを見て、一瞬、心が揺らぐ)
「オセロットの光…隊長まで出てこなければならないほど、彼らは追い詰められていたというのか…」
青龍は、不敵な笑みを浮かべる。
-------------------------------------------------------------------------------
「ニャーレンジャー!ここから私が、『神帝の目』として戦局を統括する!青龍の策略に乗りすぎるな!分散し、的確に処理しろ!」
オレンジは、冷静な指示を出すと同時に、両手にエネルギーを集中させ、治癒とサポートの力を放出した。
「オセロット・サポートフィールド!」
橙色の光のフィールドがニャーレンジャーを包み込み、5人の装甲の損傷と疲労を瞬時に回復させる。
「力が戻る!司令が…戦っている!」
ピンク(愛)が歓喜の声を上げる。
オレンジは動かない。
しかし、その視線はゾルダの群れ全体を瞬時に解析していた。
「戦術統括、実行。ターゲット座標、0.003秒後の交差点!」
次の瞬間、彼は鋭い一歩を踏み出すと、オセロットの爪(クロー)から、5本の橙色の光線を扇状に放った。
シュッ!シュッ!シュッ!
その光線は、縦横無尽にゾルダの群れを貫き、敵の装甲の最も微細な継ぎ目や、連携が崩れる一瞬の座標のみを正確に貫いた。
大量にいたゾルダの群れは、光線が収束するコンマ数秒の間に、まるで糸が切れたかのように一斉に崩壊した。
オレンジの参戦により、戦局は一気に有利に傾いた。
彼は、戦闘には不必要な動きを一切せず、ゾルダの連携の弱点を突く精密な攻撃と、的確なサポートで、ニャーレンジャーを導いた。
-------------------------------------------------------------------------------
時空間の狭間にある、光すら呑み込むような黄金の装甲を纏った黄龍皇帝が玉座に座している。
彼は、透明な盤面で幻獣帝国の駒を動かしながら、青龍の報告を聞いている。
青龍:「神帝の目の介入は、想定外でした。彼は戦術の要です。彼が前線に出ることは、我々にとって…」
黄龍皇帝: (駒をそっと動かしながら)
「想定外だと?…青龍。近衛隊長は『帝国の守り』だ。
その守りが、己の役割を破ってまで出てこなければならない状況。それは、私にとって完璧な『勝利の証明』ではないのか?」
黄龍皇帝:「彼らは助けを求め、オセロットは応じた。その『絆』こそが、朱雀にとって最も重い足枷となる。救いの手は、朱雀の魂を疑念で縛る鎖だ。すべては、盤面の計画通り。」
-------------------------------------------------------------------------------
オレンジの精密な戦術により、ゾルダの群れはあっという間に掃討された。
戦場に静寂が戻る。
「…司令。」
レッドは、まだ驚きを隠せない。
「あなたも…戦士だったんですね。」
橙野司令は、装甲を解きながら静かに答えた。
「私は、王の近衛隊長として、そして麒麟の親友として、お前たちを守り、導く責任がある。」
「だが、私が前線に出ることは、青龍に新たな策略の材料を与えることになる。今後、私が変身するのは、戦局が極めて悪化した時のみだ。」
橙野司令は、改めて指令を出した。
「青龍の策略は、朱雀を孤立させることにある。朱雀は、次の戦いで、王への忠誠と、お前たちとの情熱の板挟みに遭い、最大の葛藤に陥るだろう。」
「ニャーレンジャー。お前たちは、朱雀との接触を試み、彼の魂を救う機会を探せ。戦いは、物理的な力だけでなく、情熱と葛藤の勝負になる!」
—第12話 戦局崩壊!橙色の閃光 完—