幻獣殿の奥。
四方武将の一人、白虎は自室で静かに瞑想していた。
しかし、その心は乱れていた。
「忠誠心の炎」の体現者であった朱雀の「裏切り」、そしてその死の直後に現れた、世界の秩序を超越した真炎装。
青龍の報告する「秩序のための処刑」という言葉の裏に、白虎は拭い難い矛盾を感じていた。
白虎の心の声:(朱雀は、私の知る限り、黄龍皇帝への忠誠心において私を上回る。彼が命を賭してまでレッドに託した炎が、本当に秩序を乱す毒なのか?青龍は、真実を隠している。)
白虎は、密かに信頼する配下を使い、朱雀の最期の行動と、青龍が用意した処刑場の詳細なデータの調査を開始した。
その頃、青龍は、白虎の微かな疑念を察知していた。
青龍:「白澤。白虎が動き始めた。奴の感情的な忠誠は厄介だ。ニャーレンジャーと白虎、互いに不信感を抱かせ、内部から崩壊させよ。これが、最も効率的な支配の手段だ。」
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レスキュー基地。
ニャーレッド(吼輔)が司令塔につき、時河はるか(ニャーゴールド)と時河かなた(ニャーシルバー)が解析システムを稼働させていた。
「警報!未確認の時空間ノイズが都心部に集中しています!」
橙野指令の声に、焦燥感が滲む。
「ノイズのパターンは、ミノスとは全く異なります。物理的な力ではなく、情報の攪乱を意図しているようです!」
かなた(シルバー)が報告する。
橙野指令:「敵、確認!幻獣将『コヨーテス』!情報操作と幻影を得意とする武将です!この幻獣将は、過去に幻獣帝国の機密情報を改ざんした前科があります!」 「情報操作だと?」
吼輔が眉をひそめる。
橙野指令:「みんな、慎重に行動しろ!コヨーテスの目的は、戦闘ではなく、俺たちの判断を狂わせることだ!」
「任せて。私たちの科学解析で、幻影の偽りのエネルギー法則を打ち破るわ!」
はるか(ゴールド)が力強く宣言し、ブルー(蒼真)、ピンク(愛)、イエロー(樹菜)、ブラック(雄夜)、シルバー(かなた)と共に出撃する。
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都心に到着した6人を待ち受けていたのは、コヨーテスの生み出した無数の幻影だった。
幻影は、朱雀の姿をとって彼らを罵倒したり、ゴールド&シルバーが「青龍と裏で繋がっている」という偽の証拠をちらつかせたりする。
コヨーテス:「貴様らの中に、裏切り者がいる!信じるな!」
コヨーテスは、幻影と共に嘘の情報をメンバーの脳内に直接送り込む。
ニャーブルー(蒼真):「ゴールドとシルバーが、本当に青龍の罠ではないのか?彼らの技術は人間界のものだ…。」
ニャーイエロー(樹菜):「嘘よ!私たちは一緒に戦ったじゃない!でも…どうして幻影がこんなにリアルなの?」
コヨーテスの真の狙いは、白虎が調査している「朱雀の処刑データ」を、ニャーレンジャーに偽の情報として送りつけ、彼らの行動を予測不能にすることだった。
その裏で、白虎が派遣した調査員は、コヨーテスの情報攪乱の余波を受け、「ニャーレンジャーが白虎の調査員を攻撃している」という偽の映像を白虎に送ってしまう。
幻影と情報操作に苦しむ6人だったが、ニャーピンク(愛)が能力を発動する。
「違う!幻影に惑わされないで!私たちが信じられるのは、この場所で共にある魂の絆だけよ!」
ピンクの浄化エネルギーが、コヨーテスの生み出す幻影のエネルギー法則を一瞬だけ乱す。
「今よ、かなた!幻影が消えた一瞬で、本体の位置を特定して!」
愛の叫びに、かなたが呼応する。
「解析完了!本体は、建物の影、地上から20メートルの座標にいる!」
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ニャーシルバー(かなた)の精密な情報に基づき、ニャーブラック(雄夜)が影から飛び出し、ジャガーの剛腕でコヨーテスを掴み出す!
ニャーブルー(蒼真)が超速の剣を、イエロー(樹菜)が野性の連撃を叩き込み、コヨーテスを撃破した。
戦闘は終結したものの、全員の心には「不信感」の種が残った。
一方、白虎の元には、「ニャーレンジャーが、朱雀の真実を追う我々の調査員を攻撃した」という偽の報告が届き、彼は激しく動揺する。
白虎の心の声:(ニャーレンジャーは、真の王を救う光ではないのか?奴らは、朱雀の真実を闇に葬ろうとしているのか…?)
白虎は、信頼していた希望と、彼が定める絶対的な忠誠心との間で、深い苦悩に陥った。
この誤解こそが、青龍の仕掛けた恐ろしい内部崩壊の仕組みだった。
そして、遠くからその様子を監視する、闇の探求者・鋼牙(ダークファング)の冷徹な視線があった。
鋼牙の心の声:(…青龍殿のやり口は相変わらず姑息だ。我らが白虎様の行動を予測不能な『感情的な不信感』で揺さぶるとは。しかし、この策が白虎様の信念をどう試すのか、興味深い。)
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その頃、幻獣殿の奥。重厚な装甲を纏った玄武は、青龍の動向、白虎の苦悩、そしてニャーレンジャーの活動を、巨大な水のスクリーンに映し出し、冷徹に監視していた。
彼は、青龍の派手な行動や、白虎の感情的な忠誠心とは一線を画していた。
玄武の心の声:(青龍は、秩序の維持のために『動』の手段を選び、白虎は感情的な忠誠に囚われている。だが、「絶対的な支配(黄龍の支配)」は、『動』でも『感情』でも崩れない。最も堅固な守りとは、『静』の力にある。)
玄武は、静かにスクリーンを消し、不動の姿勢で告げた。
「今はまだ、動く時ではない。この『不動の守り』を破れる者が現れるまで、私はこの場から動かぬ。」
彼は、最も堅固な守りを破れる者が現れるのを待つ、生きた壁として存在し続けていた。
—第19話 疑念の西方武将 完—