白虎が青龍に拘束されて以来、鋼牙はレスキュー基地の一室で、漆黒と紫のダークファング装甲のまま、膝を抱えていた。
彼の周囲には、崩壊した「絶対の掟」のエネルギーの残骸が、冷たい空気となって漂っている。
ニャーレッド(吼輔)が入ってきた。
「鋼牙…」
「近寄んじゃねぇよ、ニャーレッド。」
鋼牙の声は、深く沈んでいた。
「俺は…絶対の掟を失った。黄龍皇帝への忠誠も、白虎様も守れなかった俺に、もう戦う理由なんざねぇんだ。忠誠も、冷徹な掟も…全てがクソ喰らえだ…。」
その時、基地の警報が鳴り響く。
青龍が、新たな幻獣将『リンドブルム』と大部隊を送り込んできた。
「青龍の奴、白虎を捕らえたことで勢いづいてやがる!」
「行くぞ、みんな!」
吼輔は、鋼牙を一瞥するが、何も言わずに出撃を決意する。
「鋼牙…お前のことは、今はいい。俺たちが、お前の代わりに真の道筋を見つけてきてやる。」
ニャーレンジャー7人は、鋼牙を残して、戦場へと飛び立っていった。
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ニャーレンジャーは、リンドブルムの重装甲と広範囲の竜巻攻撃に苦戦を強いられていた。
白虎拘束のショックが残る中、7人の連携は精彩を欠く。
リンドブルムはニャーレッドに集中砲火を浴びせ、真炎装の炎が弱まる。
「くそっ、このままじゃ…!」
その戦いの様子が、基地のモニターに映し出される。
鋼牙は、それを無表情で見つめていた。
鋼牙の心の声:「クソが、無茶苦茶な攻め方しやがって。理屈に従えば、あいつらはすぐに敗れる。俺の論理があれば、この戦闘は10秒でカタがつく…だけど、もう俺には、その絶対の掟がねぇんだ…」
しかし、劣勢の中でも吼輔は叫び、蒼真は盾となり、愛は傷ついた仲間に駆け寄る。その情熱と絆の力が、鋼牙の凍り付いた心を微かに揺さぶり始める。
「どうしてだ…絶対の掟がないのに、なんであいつらはへこたれねぇんだよ…!」
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リンドブルムの最大の一撃が、ニャーレンジャーを直撃しようとした瞬間、基地のモニターに映る劣勢を見た鋼牙は、ついに立ち上がった。
鋼牙の心の声:「冷徹な掟なんかじゃ…ねぇ。大事なモンを守りてぇ、この熱い魂こそが…本物の力なのかよ…!」
鋼牙は、全身を覆う闇の装甲に、己の絶対の掟を超越した力を集中させる。
装甲の漆黒と紫のラインが激しくスパークし、掟の抵抗を示すように軋む。
「闇の絶対の掟だぁ?てめぇはここで終わりだ!」
鋼牙は、装甲を、自らの意志で内部から粉砕した! 砕け散る黒と紫の破片が、基地の床に音を立てて散らばる。
装甲の下のから、人間体の姿が現れる。
その姿は、純白の髪に燃えるような金色の瞳、そして引き締まった肉体の上に黒の革ジャンと白いTシャツをまとい、腰には刀を差している。
偽りの掟から完全に解放された、清々しい決意がその顔には宿っていた。
「待ってろ、ニャーレンジャー。今、行く!」
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リンドブルムの攻撃が、ニャーレッドたちに到達する、まさにその瞬間。
戦場に一台の高速車両が突っ込み、その攻撃を間一髪で回避させる。
「誰だ!?」
リンドブルムが警戒する。
車両から降り立ったのは、私服姿の鋼牙だった。
彼は、生身で幻獣将の前に立つという、絶対の掟を完全に無視した行為に出た。 「誰だ!?」
吼輔は、突然現れた白髪の青年に、驚愕に目を見開く。
ニャーレンジャーの誰もが、彼の正体を知らない。
鋼牙は、新生への決意を込めて、力強く叫んだ。
「Wild Change!」
眩いばかりの純白の光と、解放された野性の力が、鋼牙の身体を包み込む。
それは、黒と紫の冷徹な装甲とは対照的な、白とゴールドを基調とした洗練されたフォームだった。
「な…!その姿…!鋼牙なのか!?」
ニャーレンジャー全員が、その劇的な変身と、装甲の色、そして圧倒的な力の奔流に、息を呑む。
彼らの知るダークファングと造形は同じだが、色が違う、しかし発するエネルギーは遥かに清らかだ。
「無限のウンピョウ!ニャーファング!」
ニャーファングは、リンドブルムの一撃を片手で受け止め、理屈を破るほどの強大な力で跳ね返す!
「なんだと!? 闇の戦士が、光の力を…!」
リンドブルムが驚愕する。
「てめぇの理屈なんてモンは、この無限の可能性でぶっ潰してやる!」
ニャーファングは、モードWildの圧倒的な力を、これまでの論理の知識と融合させ、一瞬でリンドブルムの弱点を突き、窮地を脱する。
「鋼牙…!ニャーファング!」
吼輔の目に、涙が滲む。
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戦いの後、基地に戻った鋼牙は、人間体に戻り、深々と頭を下げる。
「ニャーレッド、そしてみんな。俺に、あんたたちみてぇな『真の仲間』ってヤツを教えてくれ!」
吼輔は、一瞬静寂した後、鋼牙の肩をガシッと掴み、力強く顔を上げさせた。
「馬鹿野郎…何を今さら言ってやがる!」
吼輔は、怒っているのではない、溢れる感動と喜びの表情だった。
「お前はもう、俺たちと同じ道筋を歩いてる!誰が何と言おうと、この炎がそれを知ってる!」
ニャーブルー(蒼真)が静かに頷く。
「お前が、絶対の掟を打ち破り、自分の意志で俺たちを助けに来た。その時点で、俺たちの仲間だ。理屈じゃない。」
ニャーピンク(愛)が、泣き笑いの顔で駆け寄る。
「ようこそ、鋼牙くん!…ううん、おかえり!」
ニャーイエロー(樹菜)は、鋼牙の胸を拳でドンと叩いた。
「やったね、鋼牙! もう理屈なんかどうでもいいよ!最高の『ワイルドパワー』ゲットだね!これから8人のアツい絆で、全部ぶっ飛ばしちゃおう!」
ニャーブラック(雄夜)は、口元に穏やかな笑みを浮かべる。
「鋼牙。お前は、絶対の掟から解放され、初めて無限の可能性を手に入れた。その力を、俺たちは信頼する。ようこそ、ニャーファング。」
鋼牙は、胸が熱くなり、言葉を失う。
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基地の奥にある指令室では、橙野指令が、壁面の大型モニターでこの一部始終を静かに見守っていた。
「これで、8つの輝きが揃ったか…」
彼は、優しい微笑みを浮かべ、静かに頷く。
「いよいよ、この時代を乗り越える時が来たようだな。」
そして、ニャーレンジャー全員が、ニャーファングとなった鋼牙を取り囲み、全員で、熱く拳を突き合わせた。
ニャーファング(鋼牙)を迎え入れた8人体制が、ここに正式に始動した。
—第25話 鋼牙の決意 完—