こんにちわ、ハイドです。今日俺はお仕事がお休みだったので、ピクニックに洒落こもうか等と考えていました。実際天気はよく、青空と日光が燦々と輝くその姿はまるで平和そのもので……テンペストのあるジュラの森は、天気が変わりやすい様です。
本日の天気…晴れのち、
「……すまんなハイド、休みだったのに巻き込んでしまって…」
「いえ………」
「なぁなぁ!お前は魔王になろうとしたりしないのか?」
「……しねーよ」
さて、来日したるわ災厄級の魔王ことミリム・ナーヴァ。リムルさんより遥かに強く、リムルさんが蜂蜜で手懐けることができた見た目と性格だけならば完全に子供な魔王である。しかしスカート履き忘れ。
かなりマイペースな性格らしく、今もランガさんの上からリムルさんに話を振っていた。いやぁ…逆らえない、って気持ちしかねぇ。
「え、だって魔王だぞ?格好いいだろ?憧れたりするだろ?」
「しねーって」
「じゃあ何を楽しみにしているのだ!!?」
「そりゃあ色々だよ、やる事が多くて大変なんだぞ?」
「でも…魔王は魔人や人間に威張れるのだぞ?」
「………退屈なんじゃないか?それって」
「━━━━━━ッ!!!!?」
どうやら退屈だったらしい。というかそもそも、彼女は威張ることを楽しみにしてるようなタイプではないだろう。なんと言うか、かまって欲しいから威張っているというか…そんな感じがする。こういう手合いは手下や部下よりも、同格存在と戯れてるのが一番楽しいと感じる……と俺は思う。実際問題威張るのが楽しいと思っているのなら、そもそもリムルさんに事実上従ってるこの現状は楽しくないはずである。
「おまっ…お前ッッ!!魔王になることより楽しいことしているんだろう!ズルいぞ!ずるいずるい!!もう怒った!!私も仲間に入れろ!!入れるのだー!!」
……の割には、楽しそうなことに飛びつくこの感じ。威張るのを自慢する割に今『仲間』に『いれろ』ときた。やはり仲間が欲しいのだろう。
《まぁ…同格の存在はいるにはいますが、それと遊んでない時点で察するところはあるでしょう》
だよね。可哀想に…親御さんや保護者は彼女の躾をサボっているのだろうか……いや、まともな親がいたら魔王になんてさせないだろうし…これはあれだな、保護者も似たような感じだと推測する。
「わかったわかった……俺達の街を案内してやるから」
「本当だな!!?」
あ、ソウエイさんが消えた。きっとリグルドさんに報告しに行ったのだろう。仕事人である……と、その前に…いいのだろうか…彼女を街に入れて。リムルさんがいいのなら、別に止める理由もないが……
「えー…じゃあ、お前のことはミリムと呼ぶ。お前も俺のことはリムルと呼んだらいい」
「む……いいけど、特別なのだぞ?ワタシをミリムと呼んでいいのは仲間の魔王達だけなのだ」
「はいはい、ありがとうよ……じゃあ今日から俺達も友達だな」
「……と…友達……!!」
嬉しそうな顔をする魔王ミリム。やはりというかなんというか…同格存在と戯れてる、と先程は例えたけど…遊び相手が欲しかったんだな。そうなると同格存在はどちらかと言えば同僚なのだろうか……
「……ホラ、ついたぞ。ようこそ、
その顔は、言われているような魔王の顔ではなく…好奇心旺盛な子供のようにしか見えなかった。初めて見るものばかりと言った、そんな小さな子供のような顔…あぁ…俺にもあんな時があった……のか?何か一人称視点の記憶と俯瞰視点の両方があるぞ?深く考えないようにしとこう。
「とりあえずこれだけは約束してくれ。まずウロチョロしないこと、それから俺の許可無く暴れないこと」
「うむ!!わかったのだぁ!!」
「ダメですリムルさん、あれ暴走特急列車3歳児です」
「おいいいいい!!!」
あ、リムルさん追いかけてった……いやぁ、可能なら手伝いたいけど俺の直感センサーがビンビンに反応している。貧乏くじ引かされるのはリムルさんだけだから着いてっても何も出来ないぞ、って。
《実際、もう既にほかのメンバーは解散してます》
あ、ほんとだ。シオンさんもベニマルさんももう居ねぇ。ランガさんは基本的にリムルさんの影だから別にいいけど…特にシオンさんが離れるのが予想外だった。きっと彼女も嫌な予感が働いたのだろう。
《1度ここから離れて仕切りなおして休みを満喫する準備をしておきましょう、このあとすぐにでもこの件について話が出るでしょうから》
だな、説明しないとすぐにでも凄惨な事故が起こりそうだ。主に被害者はゴブタ君だが……あ、なんか凄まじい音が向こうから鳴ってる。
《音速のジャブです》
怖すぎるなぁ魔王。まぁ高みの見物ならぬ低みの見物としゃれこもう…どうせ相手するのはリムルさんが中心だろうから、俺があれこれ考えても仕方ない。とりあえず…帰るか!!
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2度目のこんにちわ、ハイドです。案の定あの後リムルさんからのお話があり、ここテンペストの中央都市リムル…そこにて一同に介した皆々がリムルとその後ろにいる人物に注目していた。
……が、皆がやけにざわざわしている。聞こえてくる声に耳を傾けると、何かを疑うような声……って、もしかして有名人?名前だけなら伝わってるとかそんなレベルじゃなくて?
《はい》
フットワークが軽い厄災級魔王って…人間からしたらとんでもないな。嵐も嵐、大嵐だよ。とは言っても、恐れられてる感じでは無さそうなので…完全に悪者という訳ではなさそうだ。
《自然災害は恐れられはするものの、あくまでも生活を営む者達から見て恐れられているだけですからね…基準を作るのは、いつだって弱者でも強者でもなく…多数の方なのです》
あぁ…なるほどな。人間がそうってだけか。確かにこの感じ…魔物達からしたらある程度英雄扱いっぽいのは見て取れる。まぁ弱肉強食が基本の魔物からしたら、確実な強者だしそらこんな反応にもなるか……
「━━━ミリム・ナーヴァだ、今日からここに住むことになった!よろしくなのだ!!」
「!!!!?!」
「なんと!!」
「ミリム様〜!!」
「可愛い〜!!」
………マジで?住むの?あの魔王様?いやでも、リムルさんに成り代わるとかじゃないなら…かなりいいのだろうか?どうなんです?先生。
《……虎の威を借る狐、という諺がありますね?》
あぁ、大雑把に言うと『強者の権威をかざして威張り散らかしてるやつ』みたいなのだろ?
《あれの虎の全面協力版です》
……あぁ、要は『守ってやるから住まわせろ』みたいな感じか。けれどその住まわせろ、もリムルさんやこの街に興味を示したうえでの話である。そしてリムルさんに成り代わるとか私に従えとかそういうのが出ないあたり、リムルさんとの約束はきちんと守るつもりのようだ。
……うん、いい子だ。魔王と言う割にはほんとに無邪気な子供のようにも思える。
「うむ!私とリムルは友達だから、何かあったら私を頼ってもいいのだぞ!」
……奥でリムルさんが頭を抱えているが、貴方がどうこうできない問題は、この街ではもう誰にも解決できない問題な気がする。なので頑張って彼女を制御してください……と俺は頭の中で考えるしかないのだ。
「━━━
「……親友?」
「…!?違うのか!?」
「なっ、なーんてね!冗談だよ冗談!俺達はマブダチだ!!」
「だろ?お前も人を驚かせるのが上手いのだ!」
……一瞬の機嫌を損ねることが、この街の崩壊に繋がるそうな気配をビシバシ感じつつも…この街に新たな仲間が加わった。魔王ミリム…彼女を迎えたテンペストは、熱い夏を超えて……これから秋へと向かうのであった。