こんにちわ、ハイドです。今日も今日とて街は平和、秋の実りの収穫祭も終わり、皆が秋の実りに舌鼓を打ったり何やかんやで楽しい日々を過ごしています。
俺も今日は仕事は休み、子供達の引率とかその辺の仕事もないので先程まで軽くハクロウさんのところで特訓していました。最近は剣での戦い以外にも色んな武器を使えるようになってきたので、個人的にはどうやってハクロウさんに勝つかの目下研究中と言ったところ……とまぁここまで来て、ふと気がついたことがあるわけで。
「……なんか騒がしいな?人だかりが出来てる」
《どうやら『お客様』が来ているようで》
客…?いやテンペストは常にそんな感じで……って、要は何かしら重要な役職のどなたかが来たってことか…?ミリム様も単独で突っ込んできたし、他の魔王とかその配下とか……そんな嫌な予感を抱きながら、『お客様』とやらを目に入れる。
「━━━ほう…街並みは素晴らしいな…」
比較的統一された黒っぽい鎧…それに人間のものとは違う気配。どうやら魔物…というよりかは亜人?みたいな種族だろうか。先生、分かる?
《
なるほどな…ミリム様が覗いてきたんだし、ほかの魔王が見に来てもおかしくないよな。というか、ミリム様が来たこの国を見に来たって可能性もあるし。なんて見学してたら、リグルドさんがやってきた。
「おやおや、何か御用ですかな?」
「俺達は魔王カリオン様の配下、獣王戦士団が一人フォビオ……ここはいい街だな、魔王カリオン様が支配するに相応しい…そうは思わんか?」
「ははっご冗談を゛ッッ!!?」
リグルドさんが殴られた。いや、だいぶやばい…かなり血が出たようで今の一撃だけで大怪我を負ってしまっている。そして何も考えずに二撃目を入れようとしたので━━━
「ふんっ!!!」
蹴りを入れて止めようと、俺が動いた……が、それじゃあダメだったようで。片手で蹴りを止められていた。まぁ素直に蹴り飛ばせるとは思ってなかったけど…片手かぁ。
「なんだお前?」
「善良な街の市民の一人……だ!!」
が、蹴りは囮だ。腕から粘鋼糸を出し、大きな腕状に編んで相手の…フォビオ?を掴んでぶん投げていた。
「うおっ…!?ちっ!てめぇ…!」
「このまま追い出してやるからな!!」
「てめぇ…!この俺に生意気言ってんじゃねぇぞ…!豹牙爆炎━━━」
《━━━伏せてください》
え?
《超が両手足の指じゃ足りないほど着く危険物体が飛んできます》
「マブダチの子分に何をしているー!!!!」
「なっ!?魔王ミリム!?」
何やら技をはなとうとしたフォビオ。粘鋼糸の腕で戦闘開始しようとしてた俺。飛び込んでくるミリム様。一瞬で様子が混沌としてたが、ミリム様の突然の一撃とフォビオの必殺技がかち合い…俺たち三人を爆炎が包み込み、それは点まで高く上り詰めていくのであった。
,
「おいハイド!大丈夫か!?」
「……リムルさん?えーっと……あ!そうだ不埒者!!」
意識が飛んでいたようで、気がつけばリムルさんに肩をゆすられていた。だが別に怪我をしていたとかそんな訳ではなく、単に衝撃が凄まじすぎただけのようだ。
「大体は状況を見て把握してる……で、多分お前の言ってる不埒者はあれか?」
そういいつつリムルさんが指をさした先には…泡吹いて気絶してるフォビオがいた。どうやら俺とは逆に、ミリムさんの一撃を受けてしまっていたらしい。
「あれですね…あの、ミリム様怒らないであげて欲しいんですけど……リグルドさんとか俺を守るためだったでしょうし……」
「もう怒った……けどまぁ、とりあえず次なんかしたら晩飯抜き程度に言ってある…昼飯抜きって言ったらフォビオが塵になりそうだったし」
…今更だけど、飯で釣られてる魔王ってなんなんだろう。そしてその魔王の上に立ってるこの人…というかスライムは何なのだろう。
「とりあえず気絶してるうちに運んじまうか」
「ですね…ほいっ」
糸でぐるぐる巻きにして、お米さま抱っこ…というより肩に担ぎあげる俺。その様子を見てリムルさんがため息を吐いていた。何故…?
「お前なぁ……お前『自身』が勝てる相手じゃないんだぞ?そいつ」
「いやぁ…リグルドさんに追撃入れようとしてきてたので…」
「…ま、それは俺も少し腹に据えかねてるけどな。戦わないまでも、俺をすぐ呼ぶくらいはしてもよかったんだぞ?」
あとから聞いたところによると、どうやらこのフォビオというのはベニマルさんより強いらしい。リムルさんの方が強いのは強いらしいが……この国の中でミリム様除きNo.1が出ないと勝てないとか…相当な強さのようだ。
《仮に本当に戦うことになったとしても、私が勝たせます》
先生の応援が身に染みるぜ……まぁ先生のサポート能力はバッチリだしね。仮に戦うことになっても勝って見せよう。なんてことを考えながら、議事堂に到着。
なんやかんやで時間が過ぎて……フォビオとリムルさん達との対話が始まろうとしていた。因みに当事者ということもあり、俺も参加である。
「……で、君達は何をしにここへ来たんだ?」
「ふん…スライム風情に答える義理はないな」
いきなりぶっ込んでくるのやめて欲しいなほんと…実力としてはかなり上の方ってのは理解できるが、今この人アウェーってことが分かってるんだろうか。というか後ろにミリム様いるんだから下手なこと言わないで欲しい。案の定一気に雰囲気が悪くなった。次のスイッチこのまま踏めば戦闘開始である。
「…いいからお前らは下がってろ」
「…はっ」
リムルさんが収めてくれたはいいが…向こうは逆に調子に乗ったかのようにヘラヘラと笑みを浮かべていた。う、うぜぇ…!
「はっ!!こんな下等な魔物に従うのか!!雑魚ばかりだと大変だな!!」
「……そう言うからには、お前の主は『大層』大物なんだろうな」
「ああ?当たり前だろ、お前カリオン様知らねぇのか?」
あんたはミリム・ナーヴァを知らないのか…?必死に抑えてくれてはいるが、怒ってるのが背中越しに伝わるレベルなんだぞ?さっき痛い目に合わされたのになんで地雷原でゴロゴロ転がってるんだ、マット上での運動じゃねぇんだぞ。
「では言葉に気をつけた方がいい、そもそも先に手を出したのはそっちだからな。お前の態度次第では今すぐ俺達は敵対関係になる。このジュラの大森林全てを敵に回す覚悟はあるのか?そしてそれを…お前が決めるのか?主である、カリオンじゃなく」
「てめぇ……」
「……それと、リムルさ…様が言わないからこちらから言わせてもらうが…この国の主であるリムル様…その盟友たる魔王ミリム様との戦争を望むんですか?」
「ぐ……ちっ…雑魚が吹かしやがって…」
つい『さん』と呼びかけたが…まぁ一応様付けで。一国の軍のちょっとしたお偉いさんが、国のお偉いさんをすっ飛ばして最強兵器との戦いを決めるわけにはいかないだろう。きちんとその言葉を聞いて引いてくれたようでよかった。
「なんならドライアドを呼んで支配領域の証明をしようか?」
「………ちっ」
「フォビオ様……」
「…ここへはカリオン様の命令で来た…
どうやら素直に話してくれるようだ。そして…案の定というかなんというか…ミリム様がオークロードとの戦いを把握していた、と言うことはほかの魔王も把握している可能性があるというのは出ていた話だったが…まさか本当に見てるとはな。しかし魔王カリオンとやらも随分と喧嘩っ早いやつを送り込んできたもんだ…
「おい、フォビオとやら。リムルのことを下等な魔物と呼んだな?私の友達を愚弄するような発言は許さな」
「ミリムお前今度なんかしたらまじで晩飯抜くからな」
「……………」
…ミリム様はこんなに素直だと言うのに……いやまぁ喧嘩っ早い所は一緒だし実力がマジで天上のレベルだからやばさで言ったらミリム様なんだけど。
「…遮って悪かったな。一先ず魔王カリオンに伝えてくれ、日を改めて連絡してくれれば交渉には応じる、と」
「………」
「フォビオ様!?」
すんごい不服そうな顔してる…どう考えても納得も理解もしてない顔だ。言われてることは理解できるが、『何故しなければならない』っていう系統の理解をしていない。ライカンスロープは皆こんなんなのか?とか思ってたら、フォビオは無言で席を立ってそのまま扉へと向かっていく。
「………きっと後悔させてやる…!」
捨て台詞を吐きながら部屋から出ていくフォビオ。部下の人達もついて行って、ここには俺達だけとなった…が、あまりにも直情的というか感情的すぎる。見下してる奴らに言いくるめられたのがそんなに堪えたのだろうか。
「━━━よし!ミリム、魔王カリオンについて話が聞きたい」
と、話を切り替えるリムルさん。まぁもう国から出ていくだろうし、追う理由もないしな。今は魔王カリオンとかの話だ。正確にはミリム様を含むオークロード戦を見ていた魔王達の事、だけど。
「それはリムルにも答えられないぞ!お互い邪魔をしないという約束なのだ!」
この人は素直すぎるな…なんか秘密があるって言ってるのと変わらないだろこれ。
「カリオンだけとの約束か?それとも他の魔王とも約束してるのかな?」
「いや、それは……」
人型になりながらミリム様へと近寄り、笑顔で語りかけるリムル様。俺にはわかる、あれは悪い笑顔だ。子供を騙す悪い大人の構図だ。
「教えてくれないか〜…残念、『
「むむむ…約束……でも、マブダチ……」
「まじで悪い大人の手口じゃんあれ…」
「めっちゃいい笑顔してるなリムル様…」
ベニマルさん共々ちょっと引いてしまう。罪悪感とかないんだろうかこの人。
「そうだ!今度ミリム用に武器を作ってやるよ!マブダチの証としてさ!」
「本当か!!?やはりマブダチが1番なのだ!なんでも聞くがいい!」
うわぁ……この人まじで罪悪感とかないんだろうか。いやまぁ知らなきゃいけない、ってのは分かるけどこの手口を目の前で見せられるとほんとにドン引きしちゃうな…
……とまぁ、ちょっっっっっと思うところはあるけど…必要な情報をミリム様は話し始めたのであった。いやマジで怖いなリムルさん…