Fate/GrandOrder_RPG 格闘ビルドで《全員生存》を目指すゆっくり実況プレイ 作:クラウディ
ソロモンよ!私は帰って来たぁ!!
「────バーサーカー」
「■■■■■■■■────!!!」
「────……えっ?」
────「藤丸立香」は、自他ともに認める『普通の一般人』である。
ちょっと大きな病院で生まれ、
自然がそれなりに豊かな田舎町で育ち、
保育園の時から一緒の幼馴染と、
それなりに充実した生活を送っていた。
────そんな、現代ではどこにでもいそうなごく普通の環境で育った一人の少女……それが「藤丸立香」だ。
運動能力は幼馴染の少年を見習って体を動かしてきたからか、アスリートとまではいかなくともそれなりに高い。
コミュニケーション能力も高く、初対面の相手でも臆せず話しかけ、数分後には笑いあって会話ができるほど。
しかし一般人の生まれであるが故の魔術的な能力のなさは、カルデアの面々から気を付けておくようにと言われている程度には絶望的だ。
────だからこそ、「藤丸立香」自身にこの状況を打開できるような力はない。
背後から突如として膨れ上がった膨大な敵意を感じた立香は、直感のままに振り返った。
その瞬間────彼女の視界に映ったのは、石柱のごとき巨大な斧剣を振り上げる灰色の大男であった。
「先輩────!!」
「!? マシュ危な────!?」
カルデアに来てから何かときにかけてくれる健気な少女……「マシュ」が、立香をかばうかのように目にもとまらぬ速さで斧剣との間に割り込んでくる。
マシュの身体能力の高さは聞いていた。
彼女が過去に実在していた英雄から「
実際、マシュの持つ「力」というものがどれほど強いのかは、道中で遭遇した骸骨などをたやすくなぎ倒していった姿から理解してもいた。
────だがそれでもだ。
「■■■■■■■■────!!!」
走馬灯を見ているかのようにスローになる世界の中で立香は、不意打ちをしてきた相手……否、その巨体からは想像もできない『暗殺』を行おうとしていた灰色の巨漢の姿を完全に認識した。
────その手で握りしめる斧剣に負けず劣らずの太い腕。
────衣服を身にまとわぬことで惜しげもなくさらされている筋肉の鎧。
────まるで『獅子の鬣』のように振り乱されている毛髪。
────怖気を感じさせるほどの敵意を見せる相貌。
それらを全て持つ『未知の存在』が、自身に対してあらん限りの敵意を放ってきているのだ。
怖い……なんてものじゃない。
マシュが庇ってくれなかったら一瞬にして殺される一歩手前にいたのだ。
いや、もしかしたら庇ってくれたとしてもこのまま二人とも両断されて────────
────轟音が鳴り響いた
「くぅっ!!!」
「ひっ────!?」
「■■■■…………!!」
斧剣は、振り下ろされた。
衝撃が体を突き抜けた。
だが、痛みは来ない。
マシュが受け止めてくれたからだ。
今なお盾と斧剣が擦れ合う不快な音が響いているが、それでも立香は生きている。
「ほぉ……不意打ちのために魔力を制限していたとはいえ、バーサーカーの速度に追いついた上、受け止めるとは────おっと」
「────よそ見をするとは腑抜けていますねアルトリア」
「それができる程度には余裕があるのですよ姉上。それと────」
「てっめぇ!! 『ヘラクレス』を不意打ちで使うとか変な真似してくれやがって!!」
「カイニス……だったか? あれは本人が提案したんだ。私は悪くない」
「ヘラクレスが暗殺まがいなことを提案するだぁ!? よっぽど切羽詰まってんなぁ!! お前らも!!」
「ヴィイ、皆を邪魔しない程度に暴れて」
『────────!!!』
「飛ばし過ぎるなよキャスター!!」
「■■■■■■■■────!!」
「させんッッ!!!!」
「立香の元へは行かせません!!」
「お願いしますっ!」
「項羽様っ!!」
「否ッ、まだ動けん……! これ以上の乱戦はまずい……!!」
身がすくんで動けない立香を巨漢の男からかばうように、一組の男女……『シグルド』と『ブリュンヒルデ』が男の前に立ち、『オフェリア』の支援を受けながら嵐のような剣戟と切り結び始めた。
そんな二人をバックアップするかのように、『項羽』と『ヒナコ』が構える。
一先ずは、取られた先手を返すことができた。
「先輩! 立てますか!」
「う、うん……ありがとうマ────」
だが、立香がそれに安堵している暇もなく────
「!! おい盾の嬢ちゃん!! こっち側に向けて構えな!! 『
「! はい!!」
『……そう簡単に察知されてしまっては弓兵としては自信を無くしてしまうな……だが────『
────別方向から空間を抉り取るかのような一矢が放たれた。
「────!?」
「っ!! 絶対にッ、通しませんッッ!!!!」
先ほどの巨漢の男が振り下ろした一撃以上の衝撃が、マシュの構えた盾越しに立香に届く。
警告してくれた男性……『アシュヴァッターマン』の言う通りならこれは「狙撃」……だがこれほどの衝撃となるともはや「大砲」だ。
マシュですら後ずさるほどの衝撃が発生したのであれば、マシュよりも貧弱な立香はまたしても体勢を崩してしまう。
「チッ! オラァッ!!」
『……!!』
それに対し、矢が放たれたであろう場所に向かって『アシュヴァッターマン』が得物としている巨大なチャクラムを、飛んできた矢と同じほどの速度で投げつけた。
その威力にはたまらず、弓兵も回避を選んでその場から飛びのいた。
だが、その弓兵はただ飛びのいたわけではない。
『────『I am the bone of my sword』────『
虚空から取り出すようにして現れた「赤い剣」を弓につがえ、矢のように変形させてから速射してきたのだ。
「シッ!!!」
「うおっと!? あっぶねっ、ってクッソ! 餓えた獣みてぇな矢だな!!」
「カイニス!! すぐに支援を!!」
「いらねぇ!! もうちょっと温存しとけ!! ラァッ!!」
アルトリアに斬りかかっていた女性……『カイニス』へと向けて放たれたその矢は、一度は躱されたものの匂いを覚えた猟犬のように空中で軌道を変え、またしてもカイニスに襲い掛かる。
焦ってサポートを行おうとしたキリシュタリアを制止しながらも危なげなく矢を破壊したカイニスは、アーサー王の近くに降り立った青年を見据える。
「ハッ! そういやテメェもいたなぁ未来の英霊さんよぉ!!」
「……私は貴方達ほどの存在ではないのだがね……」
色素の抜けた白髪、焼けたような褐色の肌、赤い外套を身にまとうその青年は、カイニスの言葉に苦虫をかみつぶしたかのような表情で独り言をつぶやく。
だがすぐさま切り替えた青年はアルトリアに声をかけた。
「さて、どうするセイバー? 不意打ちは失敗したが……」
「そうだな……貴公はバーサーカーの支援を頼む。こちらは────私一人で十分だ」
「了解した。では────」
「おいマスター! もうちょい魔力回せ! 油断すりゃ
「分かったわアーチャー!」
言葉短くアルトリアからの指示を受けた青年は、空中に剣を呼び出し戦場全体に向けて放ってくる。
巨漢の男……『ヘラクレス』すらも巻き込むようにして放たれた無数の剣は、地面に突き刺さっていった。
「これが……サーヴァントの戦い……!?」
人智を超えた力が乱れ飛ぶその光景は、今まで魔術のことを欠片とて知らなかった立香には大きすぎる衝撃でしかなかった。
一歩でも皆の後ろから出てしまえば簡単に死んでしまう。
少しでも油断すればバラバラになってしまう。
────怖い……
────怖い、怖いよ……
────助けて、誰か助けて────!
「た、助けてもり────!?」
「!? 先輩ッ!! 気をしっかり────!!」
思わず心の中で出た言葉が口からこぼれそうになって────
『────立香!』
「あ……」
────ふと、名前を呼ぼうとした相手の姿が鮮明に思い浮かんだ。
幼馴染み。
友達。
親友。
マブダチ。
気の置けない人。
家族みたいな人。
自分よりも強い人。
体だけでなく心も強い人。
おじいさんの地獄の特訓にも耐えてるリアル修行者……
────気になっている、『異性』。
立香にとっては、一緒にいることが当たり前とすら思ってきていた存在に思わず助けを呼ぼうとしてしまうのも無理はないだろう。
────だけれど、ここで助けを呼んで、もし彼が来てくれたら……?
安心する? 助けてもらえる?
否、そんな甘い考えじゃ駄目だ。
彼なら助けてくれるだろう、安心もできるだろう。
────だがその場合は彼が無事だとは思えない。
だから…………………………嫌だ。
彼が消えてしまうことが一番嫌だ。
────
「っ!! ごめんマシュ!! ボーっとしてた!!」
「! はいっ!! 先輩、私は貴方のサーヴァントです!! 指示をお願いします!!!」
何とか意識を切り替えた立香は相手を見据えつつ、マシュに向かって力強く声をかける。
先程、脳裏に流れた『
────戦いの火ぶたが本格的に斬られるのであった。
『ねぇ守人! 守人はこの人理修復の旅が終わったら何をしたいの?』
『え? ちょっと浮かれすぎじゃないかって? うぅ……そうだね……ちょっと浮かれてたかも……』
『でもでも! 守人って小学校の時も中学の卒業式でも『将来の夢を探したい!』って言ってたでしょ? で、今は高校生活満喫する前にカルデアに来たから……』
『……考えたことない、かぁ……そうかぁ……守人はいつも忙しいもんね……料理当番にドクターをベッドに放り込んだり……うーん、もうちょっと頑張らないと……』
『……じゃあさ、もしこの人理修復が無事に終わったら、一緒に夢探しに行こうよ!』
『世界中旅してさ! マシュとかドクターとかダヴィンチちゃんとかも一緒にさ! 世界中回って色んな夢を探しに行こうよ!!』
『サーヴァントの皆の歴史とかも辿りたいな~! あと本場のフィッシュアンドチップスとかも食べたい!』
『え? 『立香の方は?』って? うーん……あんまり考えたことないけど……あはは、似た者同士だね?』
『でも一先ずは、皆が笑顔でこの戦いを乗り越えられるといいなぁ……』
『人理修復終わらせたらご飯一杯食べて……旅行に行って……あと、守人と……これからも……一緒に……いられると……』
『すぅ……すぅ……』
『もり、と……もりとぉ……』
『やだ……やだ、やだやだやだやだやだ!!!??? もりとっ、しんじゃだめ!!!???』
『おいてかないで!! いっしょがいい!!! もりとまでいっちゃったらっ、わ、わたしは……!!??』
「────…………ごめんね、立香……あともうちょっとだから、あともうちょっと頑張れば『一歩先』に進めるんだ……」
「────だから────甘えるなよ、『ボク』」
「────気を緩めるのは、
「────あんな『
「────…………皆の思い出も全部奪い取って、都合のいい時に返した『ボク』が言えた義理じゃないけどね……」
「────どんな罰も受けるよ」
「────どんな辱めも受けるよ」
「────たとえ、この身が全てを背負うことになったとしても」
「────今度こそみんなで最高のハッピーエンドを迎えるために」
「────……さてと! 今のうちに整理しておかないと! 最終的には皆に来てもらって『ボク達』と『相棒』の『融合』を補助してもらわないと!!」
「────…………あぁ、その前に────」
「────お前、見てるよな?」
「普通の私」から、「普通ではいられなくなった貴方」へ