マルドゥック・マジック~煉獄の少女~   作:我楽娯兵

14 / 73
今頃になって評価の一言に気づく俺。
早く九校戦終わらしたな。


プリモ・ピアット7

 2095年8月4日(木)--夜

 

「お風呂だ~!」

 

 ぺたぺた鳴る足音/目を輝かせる灯子/真っ直ぐ風呂へ――ダイブ。

 飛沫を立てるお湯――他の第三校の生徒が入ってくる。

 

「灯子、飛び込んじゃダメだってば」

 

 保護者のように甲斐甲斐しく世話を焼く鈴玉/灯子の後を追う。

 ホテルの地下――人工の温泉/軍人の療養用に作られた場所。

 ドクターの気遣い――早撃ちを見ていたせい/リアムを遣し伝言を伝える。

 それが灯子に伝わり、鈴玉他数人を誘い温泉に来た。

 先に入った灯子を追う/着替えの中から錠剤を取り出す――三つ出し飲む。

 錠剤――代謝性金属繊維の安定剤。

 早撃ち以降、肌がやけに不安定/元々不安定に作られた場所以外でも繊維の発達が多い。

 服を脱ぐ/着衣の内側に付着する銀の粉――発達した金属繊維。

 顔を顰め籠に服を入れる。

 籠の中に他の衣服――丈の短い女性用の湯着/フリーセックス時代後の悪習。

 風呂は体の老廃物を排出し、自律神経をコントロールする場所。そして服は己を外見という装備で武装し大きく見せる、逆にいえば服で己を拘束している道具。

 無駄なことを基本したくないナナはフリーセックスが終わって出来たこの風習はあまりよく思っていない。

 湯着を取ってみる/白の丈が短い/間違いなく濡れれば透ける――そのまま籠に戻す。

 男性に裸を見られるのは嫌だが同性なら大丈夫だ。

 あの中に同性愛(レズビアン)が居てもでも公衆の面前でことを起こすとも思えない/日本人は恥多き民族(シャイ)だ。

 下着を脱ぐ/ウフコックが抜けたチョウカーのクリスタルが音を立てる/適当に畳む――大浴場へ向う。

 

「ナナちゃん、なんで湯着着てないの?」

 

 鈴玉に頭を洗ってもらっている灯子が気づく/その言葉に全員がこちらを向く。

 全員驚きの表情――そこまで驚くことだろうか。

 

「そんなに驚かないでよ、私が露出狂のようじゃない」

 

 答えながら体を流す/お湯が体のラインを伝い落ちる。

 

「ナナ、どうして湯着着ないの?」

 

 鈴玉の質問――その目はなんとなく回答がわかったよう。

 他も聞き耳を立てる/聞こえるように言う。

 

「体を洗うのに邪魔じゃない、あれ」

 

 思っていることを素直に言葉にする。

 他は困惑――フリーセックス時代後の教えが枷になる。

 本来の目的から外れた教え=頭が痛くなる/体を流し終え風呂に入る。

 

「お風呂の本来の目的は体の老廃物を流すことよ、それをこんな布きれで阻害したら本

 末転倒よ」

 

 身を抱え入る――アルカリ性の温泉が体の筋肉を解す/思わず吐息が漏れる。

 

「灯子も脱ぐ~」

 

 灯子の元気な声――湯着が空を舞う/飛び込む。

 また大きな飛沫が上がる/頭から被るお湯/数秒潜った後、出てくる。

 

「ぷは~」息を吸う灯子。

 

「もー何度飛び込むなって!」怒る鈴玉。

 

 顔を出した灯子――豊満な胸が水面に浮く/泳ぐように近づいてくる。

 

「とーちゃーく」

 

 灯子の笑顔が胸元に来る/ナナの膝の上に座る――脇の下から腕を回してやる。

 

「家族みたい」

 

 スピード・シューティングの出場者、武田礼がいう。

 

「やめてよ、家族なんて」

 

「でも、いい感じだよね。イースターさんと灯子ちゃんと鈴玉の雰囲気て。鈴玉がお母

 さん、イースターさんがお姉ちゃんで灯子ちゃんが妹みたい」

 

 バトル・ボードの出場者、長嶋圭子が納得したように宜なう。

 

「私はまだ子は孕んだことないわよ」風呂の中に入る鈴玉。

 

「でも私服で一緒に居たらそう見えるよね?」武田礼――長嶋圭子に同意を求める。

 

「あ、見えるかも」曖昧に同意する長嶋圭子。

 鈴玉が否定する「違うわよ」

 

 嫌では無さそう――いつも通り/灯子が膝の上から退く。

 安心したように鈴玉の膝の上に座る――灯子の定置。

 

「イースターさん、本戦の早撃ちの『魔弾』。どうやって手に入れたの?」

 

 目を輝かせ聞いてくる長嶋圭子。

 『魔弾』――恐らく最後に使ったイライジャのプレゼント。

 

「あれは知り合いからの出場プレゼント」

 

「『魔弾』を新人戦で使ったら優勝間違いないよ」

 

「その可能性はあるかもね、でもまだわからないわ」

 

 同じスピード・シューティングの出場者/やはり魔法ことは気になるらしい。

 不意に疑問。

 

「ねえ、その『魔弾』て誰が付けたの」

 

「ネットの九校戦スレッドよ、『妖精姫(エルフェン・スナイパー)歌姫(ディーヴァ)の対決』って名前で出来てた」

 

 答える鈴玉――ネットのネーミングセンス/なんとなく理解。

 

「でも歌姫(ディーヴァ)てあだ名どうにかならないかな、少し恥ずかしいわ」

 

「え~、いいと思うな歌姫(ディーヴァ)かこいいよ~」暢気な灯子

 

「そうそう、歌姫(ディーヴァ)って異名ぴったりだと思う」――長嶋圭子。

 

「クリムゾン・プリンスと歌姫(ディーヴァ)語呂がいいよ」――武田礼。

 

 唐突に一条君の名前が出で来る――心臓が跳ねる。

 

「なッ! なんで一条君の名前が出てくるのよ」

 

「だってねえ、ここ最近一緒に帰ってたんでしょ、噂が立ってるよ」

 

 真相を知りた気な鈴玉/膝に座る灯子の頬を弄ぶ/変な形になっている口から「私も聞きたい」

 

「私も私も」武田 礼――楽しそうな目/長嶋圭子も興味津々のよう。

 

 一条将輝――最初の生身『人間』の友達/気を許せる人。

 最近はよくモノリスの練習をしていたため彼の存在がよくわかる。

 考えれと心臓が高鳴る/よくわからない高鳴り――この感情をウフコックに聞きたくなる。

 煮え切らない感情――ウフコックの癖が移ってしまっている/自然に下を向いていた。

 顔を上げる/皆、生暖かい笑顔。

 

「な、なに?」

 

 たどたどしく答える/灯子が頬を押さえながら答える。

 

「ナナちゃん、将輝くん好きなの?」

 

 直球の質問――心臓が跳ねる/体も跳ねる。

 好きという感情がよくわからない――この心臓の鼓動が示していることナナはいまいちわかっていない。

 余計に混乱する思考/混乱する理由もわからない。

 

「ほほう、これは脈ありますね」茶化す長嶋圭子。

 

「ナナさんは一条君か~」納得したような武田礼。

 

「ち、違う、違う!」必死に否定するナナ/顔は赤い。

 

 鈴玉はその反応に嬉しそうに微笑む/灯子はナナの反応に「わあ」と反応している。

 必死に否定するナナ=その行為が茶化しの要素になることもわかっていない。

 

「違うってばー!」

 

 

 2095年8月5日(金) - バトルボード競技会場

 

 

 観客席に腰掛ける――バトルボード観戦/観客の喧騒――日光を反射させる水路の水。

 席の前方/右からナナ/一条/吉祥寺。

 後方――鈴玉/灯子/大隅――忙しなくきょろきょろ。

 一条とナナとの間に空く僅かな距離/昨日の入浴の影響――微かに意識しあける隙間。

 ナナ――多少もじもじしている。

 一条――僅かな距離に困り顔/何か不快なことをしたのかと記憶を掘り出す。

 鈴玉と灯子――ナナの反応を楽しむ/その初々しさを。

 吉祥寺――よくわからず状況に困惑/大隅――会場を何か不安そうに目を走らせる。

 

「イースターさん。俺、何かしたか」一条――顔色を伺うように聞く。

 

「え、あ、ち、違うの、ちょっと気分が落ち着かないだけ」

 

 両手を振り言い訳/昨日のせいでやけに意識してしまっている。

 異性としての意識=わからない感情――その影響で混乱する思考。

 鈴玉と灯子は嬉そうにくすくすと笑いう。

 睨む/さっと視線を逸らす。

 

「よかった。何か嫌なことしたのかと思った」

 

 ほっとする一条/ナナは申し訳なさそうに笑う。

 開始の一回目のブサーが鳴る/構えを取る選手達。

 静まる会場/二回目のブザー――開始されるレース。

 先頭に出る姿――一高の渡辺摩利。

 後ろに張り付き走る生徒――七高の選手。

 第三高は出遅れ二人の後ろを走っている。

 激しく波立つ水面――魔法の影響/先頭を走る者達の魔法の影響。

 一高の渡辺摩利――先頭を走る/引き波の相乗効果で有利。

 七高の選手――巧みなボードさばき/位置的不利をテクニックで補う。

 

 《嫌な匂いだ》

 

 無線通信/ウフコックの声――何かを嗅ぎ取る。

 

 ――出場選手で何か見つけた?

 

 《いや、彼女達ではないんだ》

 

 ――じゃあ、何?

 

 《あの水路、水で嗅ぎ取り難いが悪意の匂いがする》

 

 ――水路に何か潜んでる?

 

 《わからない、だが嫌な匂いだ》

 

 煮え切らない答え/だが信用に値するウフコックの嗅覚。

 

 ――わかった、肌で会場をスナークしてみる。

 

 《頼む、俺は彼女のCADを警戒する》

 

 会場とは別の警戒対象に首を傾げる――CAD?

 

 ――なんでCADを警戒するのよ。

 

 《七高の選手のCADから悪意の匂いがするからだ》

 

 CADから悪意の匂い――そんな事があるのだろうか/それに該当する魔法を思い出す。該当する魔法が一つ――SB魔法に一つ。

 

 ――電子金蚕(でんしきんさん)

 

 《我々の外敵だ》

 

 ウフコックの嫌そうな声/機械化している者達の外敵。

 ナナも侵入こそされていないものの、嫌悪感があった。

 先頭二人がコーナーに差し掛かる。

 一高の渡辺摩利――減速魔法で綺麗なターン/再度加速。

 七高の選手――減速しない/どんどん速度を上げる。

 

 《きたぞ!》ウフコックの叫び声/最大の警戒。

 

 オーバースピードを起こした七高の選手――ボードは水面に触れていない/ボードから投げ出される/思わず把握(スナーク)を使う。

 会場で起こること全て感覚できた――投げ出される七高選手/前に渡辺摩利。

 渡辺摩利――受け止める姿勢/加速を止め新たな魔法の構築/保険――フェンスに飛ばされないように組む魔法。

 水中に反応――人間大の反応/それに肌のピントを合わす。

 蛇のように体をくねらすそれ/全身を透過させる繊維を纏う――腕にCAD/操作し僅かに水面を陥没させる。

 体勢が崩れる渡辺摩利――魔法の発動が遅れる/飛んでくる七高選手/全身で受け止める。

 ボードから投げ出される/飛ばされる勢いが強く、フェンスを突き破る。

 会場に上がる悲鳴/レースの中断を示す旗。

 水中の見えない影――その体をくねらせる/人間では入れない南排水路へ。

 席を立つ――鈴玉の声。

 

「ナナ、何処行くの」不安そうな声。

 

 会場が騒然の中知人が立てば誰だって不安になる。

 

「ちょっと、お手洗い」

 

 会場を出ようと通路に出る/無線通信でもっとも近くに居る者を探す。

 

 《この通信聞こえてる人いる?》最大出力の通信――反応する者。

 

 《何ですかな、ナナ》

 

 ベンジャミン・バトラーの声――盲目の老執事/警戒する声。

 

 《バトラーさん。今の『見てた』でしょ、南排水路の一番近いで出口は?》

 

 《南会場入口近く、排水施設です》微かなノイズ/すでに向いだしている。

 

 《わかりました。今から向います》

 

 《御学友達を置いて来ていいのですかな?》

 

 《大丈夫です》

 

 それを最後に通信を切る/走り難い制服――できるだけ走り排水施設向う。




どうも、こんにちはこんばんは。運珍です。

書くことはあまりありません。
書けるのは恋愛描写が書けないことです、これでいいのかな?
出来るここならもう書きたくない。

誤字脱字報告。感想、意見、要求などはどんどん受け付けます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。