マルドゥック・マジック~煉獄の少女~   作:我楽娯兵

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アンティパスト2

「君、ちょっといいかな」

 

 一条将輝は入学試験に参加していた/その中には特に気を引く人物が一人。

 

『イースター』

 

 苗字だけだが明らかな外国の名前/基本的に魔法技能の持つ者の渡航はどの国もしない/渡航=遺伝子の流失

 彼女のように知識も技術もある者がなぜ?/俺は試験終わり彼女に話しかけていた。

 

「何でしょう」

 

 鈴のような声――だが何処か機械的な声/外国の名前なのに顔の作りはアジア系。

 後ろを振り向けば靡く白い長髪/微かに灰色/目は赤=虹彩の色素の欠如/独特な色。

 綺麗な子だ――モデルをやっていると言われても疑いはしない。万人を魅了する野生的な美しさ。

 だが違和感/目の色=否定/髪の色=否定/答えはその目つき――澱み濁り、真っ黒に焦げ付いた目/兵士の目。

 このような子が戦場に出たのか/否定したい――瞳の奥にある光輝は歪んだ魅力(やせい)/佐渡島の戦闘を経験した将輝だから確証があった。

 

「少し話さないか近くにいい店があるんだ」

 

 俺は彼女を喫茶店に誘う/いい珈琲を入れている店に。

 

「少しだけなら」

 

 彼女の了承/俺は店に案内する/そこでゆっくり聞こう彼女ここに来た理由(いみ)を。

 

 

*/******

 

 

 私は彼の紹介で近くの喫茶店にやってきた/微かな騒ぎと珈琲の匂いがいい塩梅だ。

 

「窓際でいいかい」

 

 彼の声/イエスと返答/窓際の多少日差しの入るいい席。

 

「さて自己紹介をさせてくれ。俺は一条将輝だ。おそらく同じクラスになるはずだ。よろしく」

 

 一条将輝

 佐渡侵攻事件に際し、当時弱冠13歳で義勇兵として戦列に加わり父の一条剛毅と共に数多くの敵を屠った一端の魔法師/その際に「敵と味方の血に塗れて戦い抜いた」ことへの敬称として「クリムゾン・プリンス」の名で知られている。

 戦の申し子/一条の長男/血濡れの貴公子(クリムゾン・プリンス)

 あの一条の長男が私に話?。

 可能性――四葉事件の情報流失の尋問=不可能、事件ファイルは『失楽園』のサーバーの中/可能性の除外/では何?

 

「ナナ・イースターです、よろしく。話とは何かしら」

 

 警戒心丸出しの声/ウフコックの溜め息。

 

――なによ、ウフコック

 

『君は本当に疑り深いな』

 

 ウフコックの呆れ声/私は少し困る。

 

――じゃあ、彼は何が目的?

 

「警戒させてすまない、唐突に話掛けられたら誰でも警戒するよね」

 

 一条の声/私はウフコックとの会話をやめ一条との会話に戻る。

 

「で、要求な何です」

 

 私は本題に入らないことに少し腹立つ/高圧的に言い放つ。

 再度ウフコックの溜め息。

 

「要求も何も俺は君と自己紹介をしたかっただけだよ」

 

 一条の返答に更に苛立つ/ウフコックの叱り。

 

『君は疑い過ぎだ、彼は本当に君と話がしたいだけだ。今回の事件との匂いはしない』

 

「......え」

 

 私は途端に恥ずかしくなる/これだけ疑ってしまった/恥ずかしさで彼の顔を見るのがつらい。

 彼は微かに笑う/店員を呼び彼は飲み物を頼む。

 

「俺はホットコーヒー、彼女は......」

 

「彼と同じもので......」

 

 気まずい。どうしたものか――ウフコックにどうすればいいか聞く。

 

『これは君の問題だ。どうすればいいは君が考えろ』

 

 ウフコックの冷たい回答。私はどうすればいい/同世代の会話経験が極端に少ないナナにとっては恥辱の拷問も同じ。

 

「君の実技試験すごかったね、あんなクリアの仕方初めて見たよ」

 

 彼が会話の糸口を作ってくれた/さてどうしたものか。

 

「ありがとう......」

 

 そこからの会話の糸口が見当たらない/話を自分から切ってしまった。

 

――ウフコック~

 

『俺を青い狸みたいに呼ぶな』

 

 ウフコックとの会話はもうどうしようもない/すると彼からの会話。

 

「あれはどうやったのかな?」

 

「えっ......ああ、あれは計測機を斜め方向に飛ばしたんです。それで真上に来たら硬化魔法で相対位置を固定したんです、その後解除、台との位置ぎりぎりで停止させたんです」

 

 彼は楽しそうに腕を組む/目は探求者の目。

 

「硬化魔法を面白い使い方をするんだね。普通は加速・移動・減速・停止の4工程なのに」

 

 彼は私に魔法の使い方を聞く。

 

「私、あの方法綺麗過ぎて嫌いなんです」

 

「嫌い?」

 

 彼の疑問の顔/更に私は続ける。

 

「完成され過ぎて、機械みたい。私はもっと荒い方法の方が好き」

 

 店員ホットコーヒーを運んでくる/私は受け取りミルクと砂糖を入れる。

 

「君のような意見は初めてだ、ああ、敬語じゃなくていいよ」

 

 彼の言葉遣いの了承/そして疑問。

 

「初めて?」

 

「ああ、魔法に綺麗、綺麗じゃないを求めるなんて、俺はてっきり君は作業的にやるかと思った」

 

「どうしてそう思ったの」

 

「なんというか、君は女の子だ。あんな荒い方法を選ぶなんて思わない」

 

「なにそれ」

 

 他愛もない会話、初めてだこんなに近い年の子と長時間話したのは/その後も続く会話。

 

「じゃあ、これで最後の質問、気分を悪くしたならごめん」彼は言った。「君は人を殺したことがあるのかい」

 

「......えっ」

 

 驚愕――突然の話に私はたじろぐ/確かに人は何人は捜査で殺した、私の『体』の試運転のために戦場にも立った。

 それだけの殺気を出していただろうか。

 

「どうしてそう思っの」

 

「俺は自慢じゃないが戦場に立ったことがある。その時に見てきたんだ、兵士の目を君はその目をしている」

 

「私は兵士だって言いたいの?」

 

「他意は無い。間違いならなら、すまない」

 

 私はどうすればいいのだろう/次にどう言えばいいか頭を働かせ適切な単語を繋ぎ合わせる。

 

「人を殺したかどうかは想像に任せるわ、でも私の周りは死に近いものだったわ、幼少期は特に」

 

 四葉の実験の死者達/どれも人の死に方ではない/それをいくつも見てきてしまった。

 ビジョン――あの子達の死に際/皆燃え朽ち/血を流し死んだ。

 これ以上は思い出したくない/これ以上は感情を抑えられそうにない。

 落ち着けるためコーヒーを飲む/時間も経ちちょうどいい温度。

 

「すまない、これ以上この話はやめよう。」

 

「ええ......」

 

 気まずい――どうにも今日はこういう日のようだ。

 にわか声――ウフコックの声。

 

『ナナ、悪意の匂いだ』

 

――場所は

 

『四列後ろカウンターの男』

――どうする

 

『USNAより緊急時の戦闘行為は了承済みだ、もみ消しは依頼人がしてくれる。炙り出すぞ』

 

――了解(コピー)

 

 私は席を立つ/一条の彼に時間がないことを説明する。

 

「一条君ごめんなさい、今日ちょっと用事があったの。そろそろいいかしら」

 

「ああ、そうだったのか。呼び止めていたのは俺だ、すまない」

 

「いいの、いいを店だわ。機会があればまた誘ってね」

 

 一条は驚く/そして応える。

 

「もちろん」

 

 私はコーヒーのお代を渡す/店を出る。

 

――ウフコック、どうする

 

 ウフコックに対応を仰ぐ/ウフコックの返答。

 

『ここは人が多い、路地に入るんだそこでやるぞ』

 

 私は近場の路地に入る――後ろより足音。

 足を速め更に奥くへ/次々と増える足音。

 人気のない裏路地/適度な広さ/追跡者の対処の開始。

 

「私に何か用ですか、追跡者(ストーカー)さん」

 

「こんなところに来て、あんたも誘ってんだろ。北アメリカの犬(ウルフドック)

 

 振り向く/顔にをいくつもピアス/オーストラロイド系の顔立ち/黒のニット帽/楽しそうに笑う男/他中国系、数人の成人男性/皆同じ目つき――私も彼等も。

 

「誘う? 私が? 私が売女(ビッチ)に見えますか駄犬(カー)

 

「おお、怖い怖い。そんな怖い顔したら僕ちんおしっこ漏らしちゃう」

 

 あからさまの挑発/もっと情報を引き出さねば。

 

「名前を応えろ糞犬(カー)

 

「口の悪い糞女(ビッチ)だ、黙ってりゃあいい女なのになぁ」

 

 男は半笑いで肩をすくめる/馬鹿に見せいるのか/私には感じる――背中に隠している二丁の短機関銃が。

 私はいつでもウフコックを銃変身(ターン)出来るように身構える/それを感じたのか男達は更に笑う。

 

「本当にどうしようないじゃじゃ馬(はねっかえり)だ。早く殺されたい(ファック)されたいらしい」

 

 後ろの男達が拳銃を取り出す/誰も素人――半笑いの男だけ違う。

 

「じゃあ、望みどうり殺して(ファック)やるよ。死んで死体を犯される準備はオーケー?」

 

 男は指を鳴らす――後ろの発砲。

 男達の銃より飛来する弾/弾/弾――全てが真っ直ぐに私の体を貫こうと。近づく虚無/感じる死の匂い――私は死なない。

 私は四肢、脳の装置を起動する――発射される弾丸が次々逸れる。男達も負けじと撃つが/逸れる――擬似重力(フロート)の壁の防御。ピアスの男がこの茶番に男が痺れを切らせる。

 

「おいおい、この女の体に弾ぶち込むだけだろ下手糞共!」

 

 背中に隠していた銃を抜く――けたたましい発砲音。

 二丁の銃が弾を吐き100発もの弾丸が打ち込まれる/地面に壁に当たる――一発として私には当たらない。壁や地面が弾丸で抉れ――土煙が上がり視界をさいぎる。

 

「ウフコック――お願い......」

 

「ああ」

 

 ウフコックが形を変える/両手に感じる独特の重み/命を穿つ道具――銃/完全に形を変え両手に収まる――白銀の五○口径の超大型の回転式拳銃。

 

「ハロー、リトルモンスター......」

 

 心が凍る/囁きだす虚無/音が消え眼前の敵の呼吸音――自身の心臓の鼓動。

 重力(フロート)で腕をギプスのように覆う――土煙の中ぽっかりと半球状に開いた場所でナナは相手に狙いを定める――発砲。

 手元で爆発/全身に響く炸裂/耳に響く銃声/(リトルモンスター)の叫び声――敵へ飛ぶ弾丸。

 

 

*/******

 

 

「!?」

 

 ピアスの男はそれを感じ上へ飛ぶ――信じられない人間離れした脚力。

 男が飛んだ後――その場には虚無が溢れる/取り巻き――千切れ、裂け/、穿たれる。

 壁のパイプを掴み女を見る/殺す(ファック)筈が相手に殺され(ファック)てしまった哀れな虚無達。

 

「ははは、ひゃあははっは! なんて顔してんだ、それじゃあまるっきりの怪物だ!」

 

 表情消えた女/感情を消し人を殺すだけの機械と化した物――ピアスの男が守る『お嬢』を脅かすには充分な要素。

 地に降り銃を構え駆け出す――連射。

 

「死にやがれ!」

 

 駆け出す――速度を上げどんどん近づく/一発として避けていく。女の手前/停止――体を回転/渾身の回し蹴り。

 その回転を利用し発砲/女はそれを避け後ろに飛ぶ/そのまま後ろ壁へ落下(、、)/そして壁を立つ。

 

「おいおい、魔法かよ卑怯だな」

 

 女は答えず/銃を俺に構え――撃つ/撃つ/撃つ。正確過ぎる機械的な射撃/避ける/さっきまで居た場所が抉れる。

 露出する地面に埋まっていた下水管――とてつもない威力/五発装填の筈の銃を乱射――等に五発以上連射している。

 

(なんだあの銃は!)

 

 後ろへ後退――女は側面の壁へ移動/走り――追撃。動きを止め女へ――飛脚。

 

(ゼロ距離なら弾もよけねえ!)

 

 女も驚愕――途端俺の動きが止まる――空中での静止。腕に違和感――俺の腕が回転/五回ほど回転する――肉が裂ける、骨が砕ける。

 異常な出血。腕は回転を続る――ついに千切れ落ちる。

 

「っきがぁ!」

 

 俺を縛る『何か』が解かれる/頭上より圧力――地面に叩きつけられる。

 女は優雅に(じめん)から地面(かべ)へ降りる。

 

「さて尋問の開始です」

 

 女の冷徹な声で尋問が開始された。




どうも、こんにちはこんばんは。運珍です。

今回は初めての戦闘描写です。どうだったでしょうか。
もう少し書く予定でしたがこれ以上は長くなるのでやめました。
そして私事ですがこの話の大まかなストーリーが出来ました、ない知恵を絞って出したネタです。暖かく見守ってね。では今回はここまでです。
次回はオリキャラ登場させます。第三校を選んだ私を呪ってやりたいです。

感想、意見、要求などはどんどん受け付けます。
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