プリモ・ピアット1
室内に響く銃声――輝く魔法式/四方から発射音/三ローターから放たれる160㎞の速度が出た硬式ボール。
自身の『体』を
後方にボール――4球=約1m/前方――3球=約2m/左右――合計6球あと40cm
左右のボールを――撃つ。
左手の
右手の自作特化型CADがサイオンを喰らい輝きだす/光を吐き、右側のボールは大きく膨れ上がり――炸裂。
私の作った魔法の一つ――『膨張』
24時間前のエイドスを書き換え使用対象を膨張させる/文字通りの必殺の対人対物専用魔法/惨たらしく殺せば敵意を削げると思い作った/結果かなりエグイ仕上がりになってしまった。一発必殺の魔法。
然れど、『彼女』には利かなかった――赤い刀身の刀を持つ少女。
あの瞬間を思い返す――生身では生じ得ない膂力。それに追随する我流の剣術。
異常な身体能力/禁じられた技術=否定/
彼女自身の身体能力――400m/sの弾丸を斬り避ける力。
最大の脅威――『膨張』ごと斬る特異な赤い刀身の刀。思い出すたび身震いしてしまうくらい色鮮やかな妖艶な輝きを放つ刃。
前後のボールが近づき
「はぁ…はぁ…」
息が荒くなり体も熱くなり始める。
『彼女』が
あの場面が頭にちらつく/それだけで嫌で無茶苦茶になりそう/一種の
更に体は熱くなる――まだ
床に落下――着地/最後の
六十四口径
かつて、ウフコックのパートナーの愛銃/『
到底人には扱えない大砲の如き銃。
がちりと噛み付くような音――撃鉄を引き銃口をボールに/狙いを定め引き金を――引けなかった。
顔の真横を通過するボール/ボールが起こした風で髪が靡く。
銃を確認――引き金の無い六十四口径。
「これ銃は君のような
「ウフコック、私はもう年端もいかない
ウフコックは銃から
「ナナ、今日はここまでだ学校もある。これ以上は『濫用』と見なすぞ」
「わかった、朝食は昨日の残りのシチューでいい?」
「ああ、かまわない」
ウフコックを肩に乗せ一階へ/もう日も昇りている/体に染み付く汗と硝煙の匂い。
シャワーを浴びに浴室に/衣服を脱ぎ籠に入れる/白くシルクのような肌――日焼けの出来ない肌。
肌を撫でる――撫でた箇所を舐める静電気の感触――ぴりぴりする感覚。
この感覚を感じる度に自分は普通の人から離れた物になったと思う。
浴室に入り無意識的に電子水栓を
私は一つのビジョンを繰り返し思い返す――四葉いた頃――煉獄の業火――共に死んでいく子供達――思い出せないお兄ちゃんの笑顔。
そして最後のビジョン/赤い刀を持つ少女――彼女を思い出すたび自分を見ているような/もはや同情に近い不快感。
心が揺れるたびに体が熱くなる/ここ最近ずっとそう。
魂魄の奥底に鎮座する氷岩――音を立て割れるのが分かる。
内より焦がす破壊衝動の灼熱/自殺願望にも似た破滅の逡巡。
熱も形も持たない筈が身を焦がした。
「あッッつ!」
突然お湯が熱湯に変わる/パネルを操作――表示される温度はさっきと同じ。
不思議に思いながら水栓を締め浴室を出る。
――2095年7月12日(火) -国立魔法大学付属第三高校
学校に来て授業を受ける。何とも作業的で機械的。
しかもその授業が始めての知識ではなく無意識的に分るものばかり/退屈であくびが出てしまう。
ウフコックは音声変換チョーカーに
灯子は白昼堂々居眠りをしている/鈴玉、一条君、吉祥寺君は授業に参加中。
「はい、じゃあこれで授業終わりな。予習ちゃんとして来るんだぞ」
教員が授業を終わらす。
実技試験の試験官/やけにフレンドリーな教員=沖山先生。
彼は歴史科の担当/この時代には珍しい生徒に真剣に向う態度/そのこともあり生徒から人気がある。
「イースター、三島寝とんのか」
「寝てます、完全に」
「よっしゃ、成績から引いたろ」
沖山先生は懐からメモ帳を取り出す/別の教員曰くあのメモ帳には生徒の居眠り、減点日時などが書かれているらしい。
「おお、そうだった。イースター後で職員室来てくれ。伝えたい事があった」
チャイムが鳴り授業終了/私は沖山先生に着いて職員室に行く。
「珈琲でも飲むか」カップを二つ持ち私に聞く。
「紅茶がいいて言ったら紅茶を出してくれるんですか?」
「いいや、あいにく珈琲しかないんでね」
沖山先生は珈琲を入れる/ほしいと言っていないのに私の分も。
「じゃあ横筋反れるのも面倒だし本題から。イースター、九校戦でねえか」
「九校戦?」
「あれ、知らない? 今生徒会とか躍起になって魔法技能の高い奴かき集めて回ってるけどなあ」
「先生、まずその九校戦てなんですか」
私はまずそこからわからない/先生は驚きのあまり目が点のようになっている。
「わかった、じゃあ説明しよう。九校戦と言うのは全国魔法科高校親善魔法競技大会の
ことだ。日本国内に9つある国立魔法大学付属高校の生徒がスポーツ系魔法競技で競い合う全国大会、普通の学校で言う合同体育祭見たいなもんだ、例年“富士演習場南東エリア”の会場で10日間開催される。で、この九校戦は学校の面子争いでもあり優勝した次の年は入学人数なども多少影響がある」
「学校の面子のために私に九校戦に出ろと?」珈琲を受け取り砂糖を入れる。
「面子のためと言うかどちらかと言えば俺の出世のためだな」
沖山先生は隠さず堂々と己の欲望を話す/呆れながら珈琲を啜る。
とんでもない量の砂糖を入れながら沖山先生は笑い話のように続ける。
「先生のキャリアのために私を使うと」
「生徒会も声を掛けてないみたいだし、これで優勝できたら先生内での俺の評価が上がるしな」
先生は笑い椅子に座る/腕を組み苦笑い/本当に欲望に素直で子供のような人。
「お前は入試で最高点を叩き出した、これはすごいことだ。一条も吉祥寺も参加する見たい出し今回は優勝できるんとちゃうんかな」
「一条君も出るんですか?」
「でるだろ、あの一条だ力試しもかねてな。でもな俺はお前に出てほしい理由は別にある」
先生は今までとは打って変って真剣な口調に変わる。
「別の理由?何ですそれは」
「それは単純明快、お前に敗北を味わってほしい」
先生のまさかの言葉に私は驚く/負けてほしい?
「なんで負けてほしいんですか、教員なら勝ってほしいじゃないんですか」
「そりゃあ勝ってほしいさ俺の出世のために、でもな生徒の成長が俺にとっては一番大事なんでな、俺の見立てではお前は魔法関係で負けたことが無い、それじゃあいけねえ。負けてないことは修繕すべき点がないに等しい事になっちまう。勝利か敗北か、この二択で優先は勝利が当たり前に先行する。勝利してしまえばそこで止まっちまう」
「それで私に停滞を避けるために負けて成長してほしいと」
私はカップを机に置く/先生は満面の笑みで負けて欲しと答えた。
本当に不思議な人/この時代、人のことをこれだけ考える人はあまり居ないだろう。
「まあ、出場は自分で決めろ。強制は出来ないからな」
「出ますよ、それだけ言われたら」私は珈琲を飲み干す。
「まあ、そう言うと思って枠は取ってたわ」
資料を取り出し私の前に出す/スピード・シューティング/アイス・ピラーズ・ブレイク/ミラージ・バット/私の出場できる競技の資料。
「勝手に決めすぎです、先生」
「いやー、なんとなく出る言う思ってたんだ。それはさておき、この競技の中から好きな競技を選んでくれ。全部出るもよし、一つだけでもいいぞ」
「調べてきますので返事は後日でいいですか?」
「おお、かまわんぞ」
私は資料を取り席を立つ/先生はいつも以上に楽しそう/それだけ私の返事が嬉しかっ
たのだろうか?
「失礼しました」
「おう、いい返事を待ってるぞ」
私は職員室を出て教室に戻った。
どうも、こんにちはこんばんは。運珍です。
ようやく九校戦が書ける、完全オリジナルじゃないから楽です。
そして前回がかなり長いから今回短く感じる。そして相変わらずの文章力の無さどうしよう…
そんなこんなで今年はもう終わりでもって今年の投稿は今回で最後です。
来年もがんばるぜ。
誤字脱字報告。感想、意見、要求などはどんどん受け付けます。