そのライネルはガノンドロフを否定する   作:ムラムリ

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またまた続きました。
まあ、書いた理由は色々あるけど、ぶっちゃけると一番は評価が後1つで5個だからですね。
ください。
後は、自分がドハマりしたクリーチャーに関しては、最終的にはその世界でそれらしく健やかに生きていて欲しいなぁってところに落ち着くという点で、その点で色々ゴリゴリ書いてる感じなのと、
始まりの黄金が主人公だったのに、気付いたら前作主人公にかなり出番奪われてたなーって思ってたところで、再びスポットライトを当てたかった気持ちと、
リザルフォスも好きだからそれを絡めて何か書きたかったところ。


ついでに15000文字超えです。
番外編3つだけで十分な短編1つの長さになっちゃってんの。


ガノンドロフを二度殺したライネルとリザルフォスの話

 太古のライネル。

 ガノンドロフがソニアから秘石を奪った時に生まれ、賢者達に殺され生き返る事を繰り返す内にガノンドロフに疑問を抱き、そして反逆を翻したライネル。

 ハイラル建国の時と、そして現代において二度もガノンドロフを殺したそのライネルは、今を好きに生きている。

 

 ある日、リザルフォスに呼び止められた。

「やっト見つけましタ……」

 礼儀正しいその黒のリザルフォスは、ハイラルの広大な大地を自由にに歩き回るライネルを見つけ出すのに心底疲れた様子を隠せないまま、聞いてきた。

「我らの長が会いタがっているのですが、少し時間を頂いテもよろしいデしょうか?」

 少し癖のある話し方。

 それに対し、ライネルは怪訝そうに聞いた。

「……己なんぞに会いたいとは、用は何だ?」

 ガノンドロフを二度殺したとは言え、一度目は不意打ち。二度目は無力になったガノンドロフに止めを刺しただけ。

 黄金に至った実力はあるにせよ、ガノンドロフを討伐したあのハイリア人と始まりの黄金たるライネルに比較してしまえば、余りにも常識的なものに過ぎない。

「以前、始まりの黄金が我らを訪れテ、貴方様の事も話されていきましテ。

 邪から直接生まれ、そしテガノンドロフに反逆を翻した、そんな貴方に相談しタい事があるトの事デす」

「……具体的には?」

「ゾーラ族トの争いを終わらせタいのです」

「……どんな形で?」

「それを相談しタいとの事デす」

「…………」

 確かに、それはハイリア人は愚か、始まりの黄金にも相談出来ないだろうな。

 ただ……。

「アイツから己の事をどのくらい聞いたんだ?」

「え、ええ。ガノンドロフが生きテいタ時代に生まれタライネルダと。そしテ、ガノンドロフに反逆を翻しタ」

「そうだ。己は邪から直接形を為して生まれた。最初は赤髪だったがな。

 そして……生きている時間は未だ十年にも程遠い。肚から生まれたライネルならば、未だ幼体である時間しか生きていない。

 こんな己に何を聞く事があるのか……」

 ガノンドロフに反逆を翻せた理由は、言ってしまえば、優れた肉体と知性を持ち合わせたこのライネルという魔物に生を受けたから。それに過ぎない。

 更に言ってしまえば、己の助力がなくとも、ガノンドロフは討伐出来ていた。確実に。

「それデも、今のハイラルに満足しテいる訳デはないのデすよね?」

「それもどうだか」

 番と交わり、子を育てる喜びを知った。それに比べてしまえば、無限に殺し合いを続けてただひたすらに高みを目指す事など、虚しいもののようにしか思えなくなっている。

 リザルフォスからも怪訝そうな表情をされるも、ライネルは加えて聞いた。

「言う通り、薄っぺらい己が参考になるような話なんぞ出来るか、かなり怪しいが……会いたいと言うなら別に構わない。

 各地を巡っているとはいえ、別に目的があってそうしている訳でもないのでな。

 ただ」

「タダ?」

「貴様は、どうしたいと思っているんだ? 赴く前にそれを聞いてみたい」

 多分それは、長とやらが考えているのと近しいのだろうという期待を込めつつ。

 その黒のリザルフォスは困惑したようにしながら答えた。

「私は……今のゾーラ族に、特にあの秘石を手にしたゾーラ族の長には、我らの長デも勝テないダろう。もし勝テタトしても、他の部族達がこぞっテ私達を討伐しにくるに違いないト分かっテいます。

 それならば、あの水源を求めようトするのはもう諦めテ、これまデ通りに他の大した事のない水場で生きるのが最も賢い、トも分かっています。

 デも……僅かな可能性デも、得られる栄華が刹那デしかないトしテも、それを味わえるのなら、命を賭しても求めタいトいう気持ちも、捨テきれないのデす」

 その気持ちは、邪から直に生まれた魔物であるライネルとしては十分に分かるものだった。

 ただ、今となればその為に命を捨てても良いとまでは欠片たりとも思えないのも事実であったが。

「……まあ、本当に参考になる事を話せるとは思えんが。行ってみるとするか。

 それで、貴様等の住処は、確か……」

「はい、ここからダト、かなり遠いデすが……」

 雷獣山の裏側、ウルラ峡谷の近く……今居る南の湿地帯からはかなりの距離があって、少し溜息を吐いた。

 

*

 

 別に急ぐ訳でもなく。

 数日を掛けて辿り着いたウルラ峡谷にて出迎えた黄金のリザルフォスは、十年も生きていないライネルからすれば、積み重ねた歳月の重みが段違いである事をすぐに察せられた。

 一つ一つの歩みにも細心の注意が払われているような。身につけている武具もどれも丁寧に手入れされ続けてきた事が分かる。鍛治も大して出来ない自分が、ゴロン族の武器をただ担いでいるのが恥ずかしくなってくる程に。

 ……己がこれより優っているのは、ライネルに生まれたから、ただそれだけだ。

「遥々来テ頂いテありがトうゴざいます」

 変わらず癖のある喋り方。

「ワタシには名前はありませんガ、周りからは長ト呼ばれテいます」

「……己も名はない。太古の、と周りからは呼ばれている。

 それで、己なんぞに聞きたい事があるのか? 十年も生きていない、ただライネルに生まれただけが取り柄の己なんぞに」

「そんな謙遜しないデくダさい。

 ライネルに生まれたトしても、直に邪から生まれテガノンドロフに逆らう事が出来タのはアナタダけデす。それダけ強い意志を持テタのは、これまデ生まれテきタ魔物の中デも、ライネルの中デもほぼほぼ居ないのは確かなのデすから」

 ライネルに生まれる事がガノンドロフに反逆を翻せる前提だったとしても、実際に翻せたのは己だけだった、か。

 どれだけのライネルがガノンドロフから生まれたのかも分からないが、その中で己だけである事は誇って良い、か。

 少し恥ずかしくなったように行き場のない腕を組む。

「それで、改めて聞くが。その、ガノンドロフから生まれて、ガノンドロフに反逆を翻したライネルである己に、何を聞きたいんだ?」

「以前訪れタ始まりの黄金様から、ガノンドロフトいう男の人格も、そしテアナタ様の事も聞きましタ。

 ……その太古の時代において、ガノンドロフを殺しタ後の事を聞きタいのデす。

 何故、子を為そうと思っタのか。ドうしテ、柔和な魔物達を集めテ、纏まっテ暮らそうト思っタのか。

 それがこれからのワタシ達の道標になるのデはないか、そう思っタのデす」

「……余り面白いものではないと思うが、それならば。

 少し長くなる。落ち着いた場所で話そう」

 

*

 

 リザルフォス達も、始まりの黄金が話したガノンドロフの人格や、それが望んだ世界というものを信じているようであった。

 その理由は多岐に渡る。

 ガノンドロフが死亡してから、ライネルと比較すればとても頻繁に生まれてくる子供達が、どれもこれも強さや征服といったものにそこまで執着していない事。

 ライネルと等しく、試行錯誤の果てに作り出した武具の大半が使い物にならなくなった事からの懐疑心。

 そして……ガノンドロフが死亡した後、長であろうともゾーラ族への敵意が薄れてしまった事。

 しかしそれでも、これまで水源を得る為に争い続けてきた血の歴史は消えない。

 そこまでを聞いてから、空高くに登っている太陽を目を細めながらも見上げつつ、ライネルは口を開いた。

「……己がガノンドロフを踏み潰した後に、大穴を這い上がって地上へと出た時に出迎えたのは、丁度今のような、輝かしい太陽だった。

 意識のある時間としては大した時間は経っていないがな、今でも鮮明に覚えている。

 ガノンドロフの魔力に空まで覆われて赤黒く覆われていたその光景は、ガノンドロフの唾棄すべき本性をそのまま表しているようだった。……頭を踏み潰しても、全く腹の虫が収まらなかった程にな。

 それに比べてしまえば、ただの日常的な風景でさえ美しいものに感じられた。何にも上書きされない自我を持てる事、それがどれだけ恵まれている事なのか、体でも理解したようだった。

 それからは、今のように当てもなくハイラルを歩き回った。魔物がどうなったのかを知りたくてな。

 とはいえ、復活出来なくなった事も知らずに力を振るい続けて、ふんだんに使われるゾナウギアやらで一掃されていく魔物が大半だったな。ライネルですらそうなっているのは少なくなかった。

 ガノンドロフが自ら生み出した魔物達に根付かされた本能に逆らう事は、ガノンドロフ自身が死んだとしても難しいもののようだった。

 だが、いつまで経っても死んだ奴が復活しないぞ? と気付いた魔物達の中で死を恐れ始めたのは多少なりとも居た。

 そこからの反動は、賢い奴程酷かった。死んだ後、気付いたら生き返っていた。それが、死んだままだったら? 自分はもう何も考えられない。手足を動かす事も出来ない。生きていた痕跡すらもがハイリア人やらと違って、骨すら残らない。考えてしまえば恐ろしいにも程がある、本物の死に対して、眠れなくなる奴も少なくなかった。

 そして、己がそんな世界を生み出したのだと言えば、大半は敵に回った。大半は、死が絶対であれど自由な意志を持てるよりは、死んでも生き返る事が出来る、好きに暴力を振える世界を望んでいた。

 ……。

 ガノンドロフが死んでも、力に訴えるしか能のない魔物が大半だった。

 僅かに死を恐れるようになった魔物の中でも、その自由意志を得られた事よりも、生き返れる事の方が重要だった魔物の方が大半だった。

 ……結局、己に着いてきたのは極々僅かだった。己を恨んでいるが、死ぬ事はそれよりも嫌で庇護を求めてきた魔物達。そして、ほんの、ほんの少しだけ、生き返れなくなった事よりも、自由意志を得られた事の方が強かった魔物達。

 その中に、己の番となった白髪の同胞が居た」

 

「……太古の時代にて生きた時間と、今に受肉して再び生きてきた時間を併せても、己はまだ十年も生きていないがな。あの時が己にとって最も幸福だった。

 己の隣を歩いてくれる者と日々を生きる事そのものが、どれだけ満たされたものであるのか、己は初めて知った。

 一つで完結していた、力でしか自らの存在価値を認められなかったガノンドロフの事がつくづく哀れに思える程だった」

 この太古のライネルの体感としては、数年前の事に過ぎない。しかし、実際には万を超える歳月が過ぎている。

 吹っ切れたように懐かしむように、それでいて寂しげに。

 空を、遠い物を見る目で。

「共に朝を迎えて、何でもない時間を過ごす事。同じものを食べる事。理由もなく身を寄せ合う事。体を交えて、愛し合って。言葉も何も要らない時間を過ごす。

 己達は……あの時生まれた魔物達は等しく、何の為に、という理由すらも植え付けられて、生まれてすぐの時から殺し合いを続けていた。それは最早、受け入れられない事になっていた。

 ……あの時は、死にたくないだけで付いてきた中には、ボコブリンやらモリブリンやらも居た。

 それだけ、反動は大きかった。誰もが生まれながらにして、今の時代の誰よりも色濃いガノンドロフの意志に冒されていた。そこから解放されて、平穏を享受する事は、死を恐れてしまった魔物達には等しく、強く魅力的だった。

 今は無理だろうがな」

 ラウルが命を賭そうとも、ガノンドロフの封印は完全ではなかった。

 漏れ出した力の一片は地上へと漏れ出してハイラルに厄災を及ぼし、新たな魔物を生み出し続けた。

 そうして生み出された魔物達は……とりわけ、数の多い魔物達は戦場と日常が近付き過ぎた。争いながら交わった。交わった次の日には争って命を落とし、そして生まれた新しい子供も等しく、恨みだとかも関係なく、ただ快楽の為だけに争う事を日常としてしまった。

 日常を過ごせる事の幸福は争う事と同義に成り果ててしまった。

 それはリザルフォスも変わらなかった。

 太古のライネルは、貴様等もそうだろう? と言うように長をじっと見つめた。

 長はそれに対して。

「……ワタシ達は、生きテいる事そのものに感謝すべきダと?

 ……ワタシ達は……敗者トして生きろト?」

「言ってしまえば、そうだな。ライネルだって今はそうしている」

「それは、敗者トしテも、その気になれば、舐められない事が分かり切っテいるからデは?

 舐めタ事をすれば、その何倍もの後悔を、誰しもが与えられるからデは?

 ワタシ達は……群れを為して賢者の一人に勝テるくらいしかない。舐められタとしても、等身大の後悔も、与えられない」

「……かもしれない。

 だが、そうだな。結局言ってしまえば、貴様等にとって敗者でない事が、もしくは、勝者となる事がどれだけ大切かという事だ。

 敗者である事を受け入れられなかったライネル達は、知っての通り例外なく散っていった。ライネルですらそうなった。勝者となろうとしても、何にせよ待ち受けているのは破滅だけだ。

 それでも貴様等は求めるのか? 貴様等の、ガノンドロフの意志とは関係なく元からあったであろう誇りというものは、自らの命と、そしてこれから生きるであろう子供達に暗い未来を渡してまでも求めたいものなのか?」

「……冷静に考えれば、そんな重タいものデはない事なド、ワタシ達は分かっている。

 デも、ワタシ達が今まデ積み上げテきタものが、何も活かされないまま絶えテいくのも絶えられないのも、事実なのダ」

「……」

 ライネルは敗者になろうとも、これまで培ったものはこれからも続いていくと確信している。

 だが、リザルフォスにとってはそうではないらしい。

 その理由は、少し考えてみればすぐに分かった。

 ライネルが鍛え上げてきたものは、自分達がより高みに向かう為に……言ってしまえば、誰かを殺す為にだとか、そんな外的な目的があるものではなかったから。

 リザルフォスが鍛え上げてきたものは、水源を得る為に、ゾーラ族を打ち滅ぼす為という明瞭な目的があるものだったから。

 ライネルは最初から強かった。その気になれば、ハイリア人をいつでも滅ぼせたかもしれない程に。なのに何故そうしなかったのかは、ライネル自身はハイリア人達を滅ぼす事そのものを目的としていなかったからだろう。それは強く生まれたが故の矜持であり……そして傲慢でもあった。だからこそ、研鑽が内側へと向いた。

 リザルフォスはそうではなかった。弱いが故に、ハイリア人を滅ぼせる機会が訪れれば望んでそれに突き進んだだろう。このハイラルで最も恵まれた水源を独占している、相容れないゾーラ族を滅ぼす為に牙を研ぎ上げてきた。今の時代を受け入れる事は、代々受け継がれてきたその悲願すらも捨てるという事だった。

「……すまない」

「謝らないデ欲しい。謝られテも、ワタシ達が惨めになるばかりダ」

 太古のライネルは、再び謝ろうとして咄嗟に口を噤む。そして、行き場を失った言葉を捻り出すように、再び口を開いた。

「……もう少し、昔話を続けようか」

 

*

 

 己は、ガノンドロフが完全に滅された後……全てが終わった後に、せめて、己の妻や子供達がどのように生きたかのそ痕跡を見つけたくて、ミネルと……賢者の一人と、ハイラルの外の旅をした。

 北に見える大陸だ。

 その大陸に近づいていくに連れて、体から力が失われていくのが分かった。すぐには影響はないだろうが、長く居てはハイラルには戻れなくなる可能性すらあると思えるような。

 ハイラルの外には、光も邪もなかった。ハイラルで生きていた者ならば、等しくどちらかの恩恵を受けているそれが、微塵も無いようだった。それを、邪から復活したばかりの己と、魂をゾナウギアに移す力、光の力に属する事は違いないそれを操るミネルもはっきりと理解した。

 己はその時秘石を持っていたからな、秘石を交互に使って、身体から本質そのものが抜け落ちていくような脱力から身を守りながら旅を続ける事にした。

 ……とは言え、どれだけ歩き回ろうとも、北の大陸には大したものはなかった。どこまで行っても何の変哲もない草木が生えているばかり。魔物はおろか、多少は探検しに行ったというらしいハイリア人がそちらで村を興しているとかもなかった。

 鳥は流石にある程度見かけても、鹿や猪、熊といった動物も多くは見かけなかった。

 更に言ってしまえば、ヘブラより北な訳だからな、ライネルたる己や、ゴーレムに身を宿しているミネルは何ともないが、ハイリア人やただの魔物が生きるには流石に厳しいだろうというような冷たい……それより何より、寂しさを感じさせてくる風が吹いていた。

 あったのは、過去に村を興した、その痕跡だけだった。

 そしてガノンドロフが封印された後、それでも地底から色濃く溢れ出す邪に自我を奪われる事を恐れて、移り住んだ魔物達の痕跡が、岩壁に刻まれていた。事細かに、自分達はここで生きたのだという証明を示すように。

 体から邪が急激に消え失せていこうとも……魔物ですらなくなろうとも、ここでで生きていくと決めた魔物達。

 ただ、ハイラルに戻った魔物も多かったようだったが。

 そして己の番は、ここで生きていくと決めた魔物達を献身的に支えながら……最期にだけ、ハイラルへと戻ろうとしたようだった。

 

 太古のライネルは、背中に担いでいた山崩しを手に取った。

 

 自我が奪われる事を恐れて北へと避難しても、果てるならば、山崩しの中に身を封じた己が眠っている、ハイラルで果てたかったようだった。

 その時、この山崩しは……己はローメイの遺跡に隠されていた。

 己の番はきっと……己が眠っていた場所からそう遠くない場所で果てた。眠っていた己が何かを感じる事もなかったが……それを知れただけでも探索した甲斐はあった。

 そしてまた、己の子供も北に暮らす魔物達が少なくなってくると、ハイラルに戻る事もなく当てもない旅に出たようだった。

 

 その後、帰ってからゾナウギアなどを使って収集した痕跡をゼルダに渡すと、とても目を輝かせていたのを思い出しながら。

「痕跡が見つかるかも怪しいと思っていた己にとっては、ここまで事細かに分かるとは思っていなかったが。

 ただ、貴様にとっては別につまらない話だったろう?」

「いえ……あの、一つ、聞いテも?」

「何だ?」

「何故……一時は殺し合っタ間柄ト、そこまデ共に出来タのデすか?」

 ……そこか。北の大陸の事とかではなく。

「そうだな……。

 言ってしまえば、己はガノンドロフの力によって生まれてから、ガノンドロフに反逆を翻すまでに、少なくないハイリア人を殺している。リト族を射落とし、ゴロン族を石屑に戻し、ゾーラ族を真っ二つにし、ゲルド族を踏み潰し、ハイリア人を焼き殺した。その度に賢者によって最後は殺され、生き返った。

 自我などなく、ガノンドロフの意志に連られるがままだとは言えそれは事実で、ミネルもそれは理解していただろう。

 己がガノンドロフを敵と見做して共闘した時も、ミネルが一番己を警戒していたからな。

 それに加えて、共闘した理由も贖罪をしたかったという訳でもなかった。

 ただ……それでもガノンドロフという共通の敵と戦うその最中に……いつか、ミネルは己を赦したのだろうな」

「赦しタ?」

 山崩しを背に戻し、少し悩むように腕を組んでから。

「……いや、赦したというのは流石に少し違うな。

 そうだな、ガノンドロフに逆らうと決めた己が、それを死ぬまで貫き通したからだろう。この身が一時邪に呑まれようとも、己はガノンドロフに抗った。それできっと、ミネルはガノンドロフの意志に従っていた頃の己とはもう全くの別物である、と認めたのかもしれん。

 産み付けられたばかりの殺意に呑まれて悪戯に虐殺をする事はない。ただ隣に居るだけで警戒すべき存在ではない、と。

 ミネルはもう完全に果てたから、答え合わせを出来る事もないが」

「……敵同士ダろうと、互いに理解されれば、共に歩める、ト?」

「そんな簡単な話でもないと思うが、己とミネルは、きっとそうだった」

「…………やはり、ワタシ達には、縁のない話ダ。

 タダ…………縁がないのは、ガノンドロフが地底に根ざしテいタ時に生まれタ、ワタシ達ダけダ」

 どこか、諦めたような、覚悟したような顔つき。

 そのままこちらを向き直して。

「協力、しテ欲しい事が、ある。ワタシ達からアナタに差し出せるものは無いに等しい、が」

「中立としての立場なら、聞こう。何せ暇なのだしな」

 一瞬呆れた目をされたような気がした。

 

*

 

「シッ、シド様っ、里の、里の近くに、ライネルがっ! しかも黄金のっ」

 いきなりの報告に一瞬慌てるも、シドは落ち着いた口調で聞き直す。

「襲いかかってくる雰囲気ではないのだろう?」

「え、あ、はいっ、外で誰かを待っている様子ですが、それでも、あれがもし入ろうとしてきたら、私達に為す術はありませんっ!!」

「落ち着けっ! もう、ガノンドロフに忠誠を誓うライネルは、このハイラルには居ないんだゾ! リンクがそういうのは全て片付けたゾ!

 それで、そのライネルに特徴は何かあるか?」

「特徴? あっ、背中に担いでいる武器は、どうにもゴロン族のものでしたっ!」

 それはあの時受肉した……。

「……オレが行くゾ。皆は待っていてくれ。無駄に刺激させたくない」

 

 そう言って出迎えると。

「遅い」

 待たされた事に不機嫌な様子で、その太古のライネルはシドを睨みつけてきた。

 ただ、やはり、あの始まりの黄金と比較してしまえば威圧感も普通であるそのライネルに対しては、シドも怖気付く事はなく。

「何の用だ? まさかゾーラの里を襲いにきた訳ではないのだろう?」

「……そういう捉え方も出来るかもしれんな」

 シドは、思わず槍を握る手に力を込めた。

「別に己が、じゃない。己はただの伝令役であり、そして中立としてここに居る」

「伝令役、中立……?」

「貴様等と長年争ってきた、リザルフォスの、その長からの言葉だ。

 『雷獣山で翌日、待つ。太陽が最も高くにある時、長同士で、一対一で決着をつけよう。それで因縁は終わりにしたい。

  ワタシが勝っても水源を渡せとは言わない。

  その代わり、ワタシが負けてもワタシ達を滅ぼすな。

  そして来なかった場合、ワタシ達は最期の戦いを、全勢力を以て仕掛ける事とする。

  その後に何があろうとも、刹那の栄光を掴む為に戦う』

 ……との事だ」

 唐突の、避けられそうにない、果し合いの宣言。

 唖然とするも、シドは言われた内容を咀嚼し終えると、ライネルに目を合わせて聞いた。

「中立という事は、もし、あの長が雷獣山で群れを率いてオレを一方的に殺して来ようとした場合だったり、

 逆に、オレが数を率いて雷獣山に向かって、あの長を一方的に殺そうとしたりした時は、

 その両方に対し、オマエは卑怯を働いた側の敵になる、という事でいいのか?」

「そうだ。

 加えて言えば、貴様が勝った後にリザルフォスの群れを滅ぼそうとした時、

 はたまた、リザルフォスの長が勝った後にリザルフォスの群れが水源を奪おうとした時、

 そのどちらにも、己は中立に動く」

「……随分と、お人好しで」

「どうせ、やる事も無いのでな」

 ……やる事がない、で引き受けるような事か? しかも期限が定められていないのならば、いつまでもこのライネルはこの近辺に居る事になるのでは……。

 また、始まりの黄金程に絶望的ではないにせよ、秘石を活用したとしても、シド単体ではこの太古のライネルに勝てるかは怪しい。

 だからこそ中立であるには相応しいのだが……。

 色々と思う事があれど、それらは全て飲み込んだ上で、シドは答えを返した。

「……承諾するゾ。ただ、数人、見届け役として付いてくるのは構わないだろう?」

「長にも、三匹の配下が付いてくる。同じく三人までなら良いだろう。

 他に聞きたい事は?」

「秘石を外せだとか、妖精を持ってくるな、とかは言ってないのか?」

「長は『そちらの長としての矜持に期待する』だそうだ」

「……そこまで買ってくれているとは」

 もしくは、挑発か。

 

*

 

 雷獣山。

 元々ゾーラの里の中央に立っていたミファーの像が、今はその頂上にある。

 そこかしこにこびりついていたヘドロも丹念に洗い流され、今は清らかな水が尽きる事なく湧き出し続けている。

 太陽が頂点へと届こうとする少し前。

 シドと、ヨナを含む三人のゾーラ族は雷獣山の頂上へと足を運ぶと、長である黄金のリザルフォスと、白銀のリザルフォスの三匹が、太古のライネルと会話している最中だった。

「……来たゾ」

 するとライネルは、戦闘の邪魔にならないように端へと移動した。その山崩しにも手を付けず、腕を組むばかり。

 そして、シドは身につけていた秘石を黄金のリザルフォスに見せつけてから、ヨナへと手渡し、槍の一本以外何も持っていないかを示すかのように、体をゆっくりと一回転させた。

「手加減しテくれるのか?」

 長は挑発するように言ったが。

「後腐れの無い事を優先しただけだゾ」

 それありきで勝っても、リザルフォスの中には永劫に残り続ける鬱屈が生まれてしまう。

 いつか、再びの火種になるかもしれないものは、残してはおけなかった。

「死んデ後悔しテも遅い事を、そして我等の積み重ねテきタ強みを知らしめテやろう」

「積み重ねてきたのが貴様等だけだと思うのか? そして、一度も水源を奪えなかった癖にか?」

「奪えなかっタ? 奪わなかっタダけダ。貴様が一匹デここデヘドロを分解しテいタ時、貴様を殺そうト思えば殺せタのダからな」

「その時奪っても、得られたのはヘドロだらけの里でしかないのに良く言うゾ」

「…………」

 リンクが居なければ、ゾーラの里はとうにリザルフォスの手に落ちていてもおかしくなかったのかもしれない。

「…………」

 リンクが居なければ、ゾーラの里は手に入れられたのかもしれない。だが、ヘドロ塗れな事は解消出来なかった。

「……無駄話は終わりにするゾ」

「そうダな」

 長たる黄金のリザルフォスは、一歩前に出た。背中には、瘴気がなくなってから再び鍛造したであろう、複雑な形状をした各種の武器を、それぞれ幾つも携えていた。

 加えて、腰には道具袋。きっと、属性の木の実などが入っているのだろう。

 それに対し、シドが手に持つのは、一本の光鱗の槍、ただそれだけ。

「……気をつけて」

 続けて前へと出ようとするシドへ、ヨナが短く言う。

「ああ」

 シドは振り向かないまま、短く返した。もう、一瞬たりとも目は離せない。

 そして戦いの直前、太古の、黄金のライネルが確認する。

「どちらが勝とうと負けようも、互いにもう手は出さない。出した場合は、例外なく、己が報いを与える。

 それで構わないな?」

「理解しテいる」

「構わない」

 静かに、戦いが始まった。

 

*

 

 ……始まりの黄金の強さの一端は、何でもする事にある。

 より多くの小手先の技術を扱う為に、鞄を身に付けるようになった。

 武器に鎖を付けて投擲しつつ回収出来るように試みていた事もあれば、盾で弾く事や後ろ足も積極的に使う、剣術と体術の組み合わせも真っ先にしていた。

 瘴気によって属性矢が使い物にならなくなってからは、真っ先に代替となる属性の木の実を使い始めた。

 そして……その内の、ブーメランの技術に関しては、このリザルフォスに学んだと聞いていた。

 

 まず初めに、リザルフォスはそのブーメランを幾多に投げ飛ばした。シドに向けて真っ直ぐに飛んでいくものもあれば、大きく孤を描いていくものが数多に。

 シドは真っ直ぐ飛んできたそれに、電気の実が刺さっている事を察すると、弾き落とすのではなく躱してリザルフォスへと駆けた。リザルフォスは槍を手に取った。先には変わらず電気の実が付いているそれ。

 ゾーラ族が雷に酷く弱いのを理解している。それに比較して、黄金にまで至ったリザルフォスも雷を浴びれば痺れてしまうとは言え、瞬時に立ち直れるまでの耐性がある。

 しかし、一発でも受けてしまえば止めを刺されてもおかしくないそれに、シドは微塵も恐れず槍を突き出した。

 リザルフォスは避けて反撃を叩き込もうとするも、今度シドはその穂先を己が水を操る力で包み込んで受け止める。

 シドに届いたのは、槍を落とすまでもいかない程度の、僅かな痺れのみ。そのまま打ち合いになる前に、シドの耳に届いてきたのは風切り音。戻ってきたブーメラン。

 シドは身を伏せつつ後退し、リザルフォスはブーメランの全てを手と尻尾と舌まで使って回収した。

 

 ……新たな賢者達は、誰しもが始まりの黄金に勝てない事を恥じて、ガノンドロフが滅ぼされた後も研鑽を積んでいる。

 しかし、その中でもシドは、手に持つ武器も変えたりしなければ、水を操る力に新しい使い方を模索する事もしていない。

 その代わりに、ただただ純粋な技量の研鑽に励んでいたような、以前とは見違える程の一撃の鋭さを得ていた。

 ……その要因は、全力の一撃を始まりの黄金に叩き込めたとしても、碌なダメージにならないであろう事から来ているのだろう、とライネルは想像する。

 太古のライネルからしても、黄金に至ったこの肉体では、これまでのシドは全く脅威に見えなかった。

 久々に会ってみれば、様変わりしていた事に内心驚いていたものだった。

 そして、その一閃をリザルフォスも避けた。どれだけの速さと威力だろうが、ただ突き出すだけであれば反撃を叩き込めるまでの素早さと技量はリザルフォスも持ち併せている。

 ……やはり己はまだ、強く生まれたばかりだな。

 そんな太古のライネルの心の中の自嘲は誰も梅雨知らず、再びリザルフォスはブーメランを投擲した。

 

 シドは四方八方から迫り来るブーメランを、水を操る力で電気を散らしながら、一つずつ丁寧に打ち捨てていく。リザルフォスはそんな隙を与えまいと共に襲いかかるも、時に上手くいなされ、時に自らの黄金たる肉体をも貫いて見せるであろう一閃に怯まされて深くに切り込めず、手数だけが減らされていく。

 だが、リザルフォスは焦らなかった。数の少なくなったブーメランを再び振るうと、再び打ち落とす姿勢に入ったシドを傍目に、今度は弓矢を手に取った。シドは警戒するも、リザルフォスはシドへと……ではなく、遥か頭上へと矢を打ち上げた。

「まさか……?」

 シドは小さく呟く。ライネルの猿真似か?

「いや」

 違う。ブーメランはいつもより孤が大きく、届くまでに時間がある。それに併せて矢も時間だけは合わせた。等しく電気の実を取り付けられている矢。

 地面には、その電気を散らばらせる為に都度集めた水が溢れている。近くに複数着弾するだけで、シドには致命傷になる。猿真似だとしても、計算されていた。

 そしてリザルフォスは、槍を構えて突進してきた。

 最初から……これが狙いだったのか。前後左右から、そして頭上から。更に自らも含めた波状攻撃。

 ここまで含めれば流石に綻びが起きると確信している、その顔つき。

 しかし、それでもシドは焦る事もなく。自らへと水を集め、真上に掲げた。

 瞬く間にシドの体長よりも大きい直径にまで成長した水の塊。

「!?」

 思わずリザルフォスの目が見開き、足すら止まる。

 秘石は、渡していたはずだ。リザルフォスは記憶を反芻せずにはいられない。

 過去の戦闘の記憶からしても、まるで異なるその大きさ。

 ならばこれは、槍の一撃の鋭さと同じく、純粋に鍛える事によって得られた……。

 降り注いだ矢は、水球の中で雷を散らされ、地面に落ちてもすっかり乾いた地上を伝播する事もなく。

 ブーメランを避けつつ、シドはその水球をリザルフォスへと差し向けた。

「ッ……!!」

 それでも、足は止めないべきだった、突っ込むべきだった、その制御に集中は必要としていたはずだったから。

 致命的なミスをした、と理解してしまったリザルフォスは、長は、それでも前へと走った。襲いかかる水の塊の中に体を突っ込ませ、僅かに泳いで潜り抜け。

 しかし、ブーメランや矢の援護もなく、どうしても地上を駆けるよりは遥かに鈍る、そんな見え見えの動きをしてしまえば、シドにとっては格好の的であり。

 構えていたシドの一閃は、リザルフォスを……貫かなかった。

 

「グッ、ガッ、ゲアッ!?」

 喉元を穂先ではなく、石突で打ち据えられたリザルフォスは、背中から倒れて武器をも手放し思わずのたうち回る。

「やはり頑丈だゾ」

 黒リザルフォスまでならば、石突だろうとも喉を貫いて首の骨まで折れていただろうに、黄金リザルフォスの喉は凹んだだけで、血も出ていない。

 そんな長たるリザルフォスが少し落ち着くまで待ってから、シドは槍の穂先……ではなく、石突を改めて喉元にひたりと当てた。

「こ、殺せっ!」

 叫んだ長に、シドは冷淡に返す。

「何故だ?」

「な、何故ダト!? そんな当タり前な……いや、ワ、ワタシに生き恥を晒せトデも言うのか!?」

「そうだゾ。貴様だけ……」

 来ていた側近であるリザルフォスの三匹も、ブーメランを取り出していた。しかしそれはどうにも戦う為ではなく、自害する為に。

「いや、貴様等だけ、死んで楽になろうとだなんて、このオレが許すものか。

 オレ達が、ずっとずっと、あの始まりの黄金に生き恥を晒されているというのに?」

 シドはやや薄暗い笑顔を浮かべた。

 それを聞いて、見て、長のリザルフォスは次の言葉を失った。

「始まりの黄金から聞いているかもしれないが、言うゾ?

 オレ達は賢者だとか騎士だとか言われるようになったが、ガノンドロフの討伐には何も出来なかった。

 あの場所は、遊びのように死を繰り返してまで研鑽し続けたリンクとあの始まりの黄金の独壇場だった。

 オレ達はあの一人と一匹の足元にも及ばない。

 オレ達は、結局リンクと始まりの黄金に助けて貰ったに過ぎない。

 だからこそ今も必死に鍛えているが、足元にも及ばないのはずうっと変わっていない。

 毎日のようにアイツの、虫を見るかの如く蔑んだ目つきが脳裏に浮かんでくる。

 なのに、貴様等だけがそんなオレに一度敵わなかっただけで、死んで楽になろうと?

 そんなバカな事をオレも、誰もが許す訳がないんだゾ!!」

 思わず、鬱屈した感情がこれでもかと籠った発露を聞かされて、長は力を抜いた。

 そして聞いた。

「…………。

 ワタシは長トしテ、幾度ト貴様達ゾーラ族に襲いかかっタ。

 どれダけ、殺しタのか、ワタシにも分からない。

 それデも、ゾーラ族は、ワタシの首さえも要らないト言うのか?」

 シドは怒りを抑えるように、一呼吸置いてから答えた。

「確かにな、貴様の首だけは獲っておくべきだと言っているのが大多数だ。

 だが、今はオレが長だ。そのオレが生き恥を晒せと言っている。

 それに……貴様は、既に数の少なくなった群れの、その長が死んだ後の事も深くは考えていないだろう」

「…………」

 リンクも、始まりの黄金も。

 ガノンドロフを討伐する前に、各地で暴れている魔物達の掃討を行なっていた。

 そして、個々が突出した強さを持つ事までは早々にないリザルフォスは、ガノンドロフの瘴気に当てられて、自我まで怪しくなってしまった個が半数以上を占めており。

 それらは等しく討伐される末路を辿っていた。

「あのライネルがどれだけ目を光らせようとも、貴様の後を追おうとする者が止まると思っているのか?

 今の貴様はただの死にたがりに過ぎない。きちんと生きて、これからの群れが一匹たりともあのライネルに殺されないようにしっかり最期まで監視してから、死ね」

 そこまで言い切ると、シドはリザルフォスから背を向けて、ヨナの元へと歩く。

 再び秘石を身につけ、それから。

「さっさと帰れ。ここはオレ達の場所なんだゾ」

 そう、邪魔者を扱うように手を払った。

 

*

 

*

 

 喉元を抑えながら帰路に着くリザルフォス達に、太古のライネルは付き添っていた。

 自害しないかしっかり見張ってくれという、シドの頼みでもあった。

「ゲフッ……太古の……太古の?」

「……ん? ああ、何だ? 少し考え事をしていた」

「何を?」

「何故、ガノンドロフを信奉するライネルは生かされなかったのか。

 ……当たり前だがな。己も大半には会ってすらいないが、奴等の願いは、言ってしまえば、どこまで行っても殺し合いたいという、共生とはかけ離れた場所にあったからだな。

 自分達が暴力を振るうに値する奴等と、永遠に戦っていたかった。そんなものは、どうあろうと生かしてはおけない」

「共生……」

 そんなもの、リザルフォス達は望んでいない。……ガノンドロフが居た時代に生まれたリザルフォス達だけは。

「時代が変わっテいくのに耐えられなかっタ。勝者になれないならば、誇りト共に散りタかっタ。

 それはドれだけ取り繕うトも、死んデ、楽になりタかっタ、には変わりない……」

 そんな事を説教される羽目になるとは微塵にも思わなかった。

 ゾーラ族の長は、負けたなら自分を終わらせてくれるものだとばかり思っていた。

 勝てなかったとしても……それを望んでいた。

「加えて言えば、ライネルはリザルフォスのように群れないからな。継承する事はあるし、子を作ったり、身だしなみを整える為に集まる事は多少あれど、繋がりはリザルフォスと比べれば酷く薄い。

 誰が死のうが全体に影響は薄い。それと比べて長たる貴様は……」

「ワタシの命は、ワタシダけのものデはない、ト?」

「そういう事だな」

「…………これからの時代、ワタシは、ワタシ達は、必要なくなる事を望んデいタ。

 ワタシ達が居なくなっテも、残る新しい時代の皆ダけデ、生きテいけると信じ込んデいタ。

 そうしなければ、死にに行く事なド出来ないから」

 長は立ち止まった。付き添いの三匹のリザルフォス達も立ち止まる。

 そして聞いた。

「……生き恥をこれからも晒すのに、耐えられるか?」

 一匹が返した。

「ゾーラの長も生き恥を晒しテいるならば、我等が負ける訳にはいきませぬ」

「そうか、そうダな……。ここまデされテ、それデも死ぬなら、生き恥より恥ダな。ゾーラの言う通りにしテいる事は癪ダが」

「私達は、付いテいきます」

 長は、諦めたように前を向いて、再び歩き始めた。

 

 そんなやりとりを見た太古のライネルは立ち止まったまま、とても小さな声で独りごちた。

「……羨ましいな」

 太古のライネルは、露骨にハイラルの民に与する事はどうにも気が乗らなければ、暴力ばかりに訴えるしか能のない、同族を含む魔物達を庇う事もしたくはなかった。

 更に言ってしまえば……ハイラルの民と魔物が共に在る未来が、太古のライネルには全く想像が出来なかった。

 やはりそれは、純粋に邪から生まれた魔物だからか。

 鍛治を教わろうにも、いつの間にかゴロン族と共にする事が前提になっていて躊躇した。

 自分から話せるハイラル建国時代の歴史は、タイムスリップしたゼルダがより事細かに記憶していて、更に始まりの黄金とも共有していて、最早大した価値でもない。

 そんな最中、中立で在ってくれとこのリザルフォス達に依頼されたのは、太古のライネルにとっても都合の良い役割だったのだ。

 ……このリザルフォス達を見守っていれば、この己にも分かる事もあるだろうか? 変わっていく事もあるだろうか?

 そんな期待を込めつつ。元の住処へと帰っていくリザルフォス達に気付かれる前に、太古のライネルも再び歩き始めた。




太古のライネル:
まだ、秘石持ち賢者より強い。
でもこのままだとそう遠くない内に追い抜かれる。

元々が邪から生まれた魔物なので、かなり丸くなったとは言え、立場としてはかなり中立……というか魔物寄り。

北の大陸の旅は多分長くても2~3ヶ月くらい。いや、元々数年は行ってるつもりだったんですけどね。光も邪もないってところは決めてたところがあるし、それで詳細を書いたら、短くなっちゃった。

これからは、暫くリザルフォスと共に生きてると思う。
ミネルはとっくにトゥルーエンド済み。


リザルフォスの長:
黄金のリザルフォス。ブレワイで壁画に書かれていたリザルフォスの子供か孫か、そこ辺り。
ゾーラ族を多数殺している。
リザルフォスの中では最も強い……が、始まりの黄金を上回ろうと研鑽を積み重ねているシドには、気付かない内に置いて行かれるくらいに実力がかけ離れていた。
戦い方としてはとにかく手数で攻めるタイプで、平地でも十二分に戦えるけれど、真に実力を発揮するのは森の中とか、起伏の激しい、身を隠せるところがある場所。
そう言う場所だと、擬態と隠密を組み合わせて暗殺してくるので、多分秘石持ちのシドや黄金のライネルとかも場合によっては上回るかもしれない。
シドからしたら、負けても死んで楽になろうとしているのが見え見えだったのが腹立たしかったのと、お前を殺したら余計厄介な事になると踏んでいたので逆に生かされた。
以前書いた勝利ifみたいなやつ
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21050171


シド:
とりあえず、黄金のライネルに届く攻撃力は手に入れた。
クリスがゴリスになったみたいな?
ついでに元々の水を操る力も強化されたけれど、秘石があってもライネルの巨体を押し流せる程までではないので、そっちは対ライネルとしてはあんまり意味がない。
因みに、一話にて、
『貴様は背骨を断ち切られる感覚を知っているか? 氷漬けにされて体を叩き割られる苦痛を知っているか? 雷に全身を焼き焦がされるのも、激しい水流が臓腑すら掻き乱してくるのも、何も知らないだろう。そのような事、想像にも出来ないだろう』
と、太古のライネルの死因の一つに、キアに口の中に水を突っ込まれて内臓をぐちゃぐちゃにされた、的な事書いてたんだけど、
まあ、多分シドはそんな残虐にも程がある事は思いつきもしない。
別に深い事考えて書いたところでもないんだけれど、キアは……やりそう、というか封印戦記レベルの闘争に身を置いていたらやるだろうな、って感じ。


始まりの黄金:
化け物扱いされてる事には、リンクと違って別に何とも思ってない。
言ってしまえば捻くれてる。


また何か書くかは、今度こそ怪しいかなあ。
バイオ9やって書きたいもの出来たし。
自作追ってる人なら大体予想付くかね。

武器コレクション欲しいもの

  • 竜骨ボコブリン系
  • 竜骨モリブリン系
  • 最強リザル系
  • ガーディアン系
  • 獣神系
  • ロッド系
  • イーガ団系
  • 骨系
  • 古代兵装系
  • 近衛系
  • 属性武器系
  • イベント系(一撃の剣、光の弓)
  • amibo系
  • 他
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