トルキナ連邦召喚   作:mogatoku

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誤字報告、ありがとうございます。



24 臣下と君主 ―― それぞれの理由

同3月6日 午後 パラディス城 〈謁見の間〉

 

 

(これはいったい…どういうこと…?)

 

 第1外務局の局長、エルトは信じられなかった。

 目の前で繰り広げられる光景、その何もかもが信じられなかった。

 

 銃弾を防いだ魔法。

 近衛兵を眠らせたという魔法。

 そんなものは皇国にはない。

 それどころかどこの列強でも、見たことも聞いたこともない。

 

 さらに信じられないのは、ニムディスと、その同僚だというジローの二人だ。

 

 即位して10年、パーパルディア皇国の急速な発展を生み出した皇帝陛下が…

 優秀であるがゆえに、臣下を無能とみれば容赦なく切り捨て、放り出してきた皇帝陛下が…

 

(誰もがその言葉を恐れ、議論を避け、失敗を隠そうとするというのに…)

 

 イノスのように率直に失敗を報告する臣下はほとんどいなくなってしまった。

 それも皇帝陛下自身が優秀であるがゆえに、起こっていること。

 その優秀で恐ろしい存在であるはずの皇帝陛下が――この二人に完膚なきまでにたたきのめされている。

 

「この調子であなた方の全陸海軍を制圧するとしましょう。果たしてこちらの死者は何人になるでしょうか? どんなに多く見積もっても二桁で済むのではありませんか?」

 

(そんな……)

 

 その言葉にエルトは愕然とした。

 

 皇国軍はまだ負けていない──

 そう信じていた思いを、この男はわかりやすい言葉で粉砕したのだ。

 

 トルキナ軍はまだ一人も死んでない――と。

 

 エルトは軍事のことは詳しくない。

 そう皇帝陛下に叱責されたこともある。

 だがジローの言葉は、軍事の知識を必要としなかった。

 それは算数が分かれば誰にでも理解できる――そんな明白な現実だった。

 

(このままでは……皇国軍は……)

 

 そう思った瞬間、エルトの背筋は凍り付くしかなかった。

 皇帝陛下も、他の重臣たちも、声を失っていた。

 そんな〈謁見の間〉に響くのは冷徹な事実の余韻だけだった。

 

 すでに二度の話し合いがあり、そこでニムディスと対峙してきた。

 彼女の“言葉の(やいば)”には、何度か痛い目に遭わされた。

 

(だからこそ、彼女の知性には注意が必要だと警戒していた。でも――)

 

 ――この男のことは、気にしていなかった。

 

(ニムディスに話を合わせているだけの、単なる腰巾着(こしぎんちゃく)に過ぎないと思っていたわ)

 

 ――でも違った!

 

 その知性は確かに、あのニムディスと並び立つにふさわしいものだ。

 なのにその印象はまったく違う――

 

 ニムディスは皇帝陛下によく似ている。

 横柄な態度で正論を語り、その場を支配するその姿は、まるで鏡に映したよう。

 

(でもこの男は違うわ!)

 

 威圧ではなく、数字と事実で静かに相手を追い詰めて逃がさない。

 語る言葉はあまりにも明白で、反論の余地がない。

 

(この男の言葉には、(やいば)がない。でも、だからこそ怖いのよ)

 

 ――逃げ場がない!

 

 ニムディスとジロー。

 二つの異なる知性――

 

 ――どちらも皇国にとって致命的な程の脅威。

 

 実際、あの傲慢で横柄なニムディスが、あのジローに対しては対等に振る舞っている。

 それだけ実力を認めてるんだわ。

 これで二人が使者に過ぎないというなら、トルキナ連邦の高官はどれほど有能だというの?!

 

 そして、それでも食い下がる陛下に対して、ニムディスがその知性で、これまでにないほどの強烈な“言葉の(やいば)”を放った。

 

 ――放ってしまった!

 

「国が君主のためにあるのではない! 君主が国のためにあるのじゃ! 君主のために国が滅ぶくらいなら、国のために君主が死ぬ方が良いと思わぬか!」

 

 エルトは一瞬、ニムディスが何を言ったのか、分からなかった。

 でも、その言葉は、まるで水に垂らされたインクのように、エルトの心に入り込んだ。

 垂らされたインクは、あっという間に薄く広がり、心という“水”と混ざり合い、もはや取り除くことはできない。

 

 ――危険な言葉だわ。

 

 否定しようとすると、出てくるのはまるで“国家滅亡を望む亡者(もうじゃ)の言葉”に聞こえてしまう。

 一度耳にしたら、どんな国の君主も、もう安穏(あんのん)とは過ごせない。

 そしてその臣下も……考えずにはいられない。

 

 ――わたしは今まで陛下のために働いてきた。

 

“国が君主のためにあるのではない!”

 

 ――けれど…

 

“君主が国のためにあるのじゃ!”

 

 ――もうこれを聞く前の自分には戻れない。

 

 それはもはや確信であった。

 

 

〈謁見の間〉から〈皇帝の間〉への扉をくぐると、皇帝陛下の怒声が響いてきた。

 

「おのれ! 図に乗りおって!」

 

 普段なら身がすくむエルトだが、もはやそんな気も起こらなかった。

 エルトは変わってしまっていた。

 皇帝の執務机に歩み寄る。

 もう結論は出ている。

 

(わたしはそれを陛下に伝えるだけ)

 

 ――皇帝は国のためにあるのだから。

 

 そう思うと不思議と怖さはない。

 

「陛下!」

「何だ、エルト」

 

 皇帝がジロリと睨んでくる。

 でも、やはり恐ろしいとは感じない。

 

(ああ、わたしはもう変わってしまったのね)

 

「停戦を具申いたします。交渉して軍艦と捕虜を取り戻すべきです」

 

 水兵20万人。これは大きい。

 たしかアルカオン提督も話していたわ。水兵を育てるのは時間が掛かると。

 これを失うわけにはいかない。

 

 そんなことは国のためにならない。

 

「あの女に屈しろというのか!」

 

 皇帝の怒鳴り声があまりにうるさく、エルトは耳を押さえる代わりに肩をすくめた。

 するとよく知る声が割り込むように入ってきた。

 

「恐れながら陛下」

「何だ、カイオス」

 

 第3外務局長のカイオス。

 エルトとともにトルキナ連邦との話し合いを担当している男である。

 

「軍艦346隻と20万の兵を失えば、我が海軍兵力が大きく損なわれ、威信が失墜します。そうなれば周辺国の中には不穏な動きをする所も現れるかもしれません」

 

 軍事力が損なわれれば、周辺国も黙っていないかもしれない。

 そういうことね。

 

(それは国のためにならないわ!)

 

「お前もあの女に屈しろというのか」

 

(国のためになるならそれも必要よ!)

 

 そう考えていると、カイオスが話を続ける。

 

「今なら、軍の損害は竜騎士400だけで済みます。カネなど属国からむしり取れば良いのです。貿易で取り戻すこともできます。ですが軍艦346隻を失えば、海軍を立て直すのに数年はかかります。その間、わが国の威光は地に落ちます」

 

 カイオスはカネで済むのだからカネで済ませようという考えのようね。

 わたしも賛成。

 皇国軍ではトルキナ連邦軍に勝てない。

 それはさっきのジローの言葉で良く分かった。

 

「今なら少し妥協するだけで済みます」

 

 エルトも加勢するように、そう付け加えた。

 

「ふん。我が皇国はまだ負けてはおらぬ。アルデよ。あやつらを倒せるか?」

「は! ですが各地の陸海軍を集める必要があります」

 

 この言葉にエルトは焦る。

 

(アルデはまだ戦うつもり? 勝てるつもりなの?)

 

「なら、早急に集めるがよかろう」

 

(何ですって!)

 

 エルトは皇帝の言葉に耳を疑った。

 それは捕虜20万と殿下を見捨てるということだ。

 そんなことは国のためにならない。

 

「ですが、今動かすと捕虜20万が戻ってこなくなります」

 

 そう言ったのはカイオスだった。

 そのとおりだとエルトは思う。

 

「く、なら一時的に停戦するしかないと言うのか」

 

(そのとおりよ!)

 

「は、今回は妥協して艦隊を取り戻し、入念に準備した後に改めて宣戦布告するのがよろしいかと。まだ奴らの国の位置も東方にあるということしかわかっておりません。戦うにもしっかりと情報を集める必要があります」

 

(カイオスはとりあえず停戦することを優先してるのかしら?)

 

 確かに「宣戦布告は後でもできる」と言えば、停戦への抵抗感は薄れるものね。

 ならわたしもそれに乗っかろうかしら。

 

「だが賠償金を支払わねばなるまい」

 

(来た! それについては考えがあるのよ)

 

 エルトは自分の案を述べることにした。

 

 

 

同日同刻 パラディス城 〈皇帝の間〉

 

 

「おのれ! 図に乗りおって!」

 

 皇帝陛下が執務机を叩いた。

 普段のカイオスなら身がすくむ思いをするのだが、今はまったく恐ろしいと感じなかった。

 

 だが、それはエルトとは理由が違った。

 

 なにしろ今はそれどころではない。

 皇国存亡の危機に直面しているのだ。

 

(とにかく、今はこの危機をしのがなくては!)

 

 カイオスは危機から脱出すべく意見を述べようとしたが、そこに先を越す者がいた。

 

「陛下!」

「何だ、エルト」

 

 エルトだった。

 カイオスを押しのけて第1外務局長になった元部下である。

 

「停戦を具申いたします。交渉して軍艦と捕虜を取り戻すべきです」

 

 これにはカイオスも同意見だ。

 

「あの女に屈しろというのか!」

 

 陛下が怒鳴りつけた。

 そのあまりの剣幕にエルトが肩をすぼめる。

 

 まずい。これではエルトがひるんでしまう。

 

(なら、このわたしから話すしかない!)

 

 カイオスは意を決した。

 

「恐れながら陛下」

「何だ、カイオス」

 

 皇帝陛下が(にら)むような視線を向けて威圧してくるが、今はそんなことを気にしている場合ではない。

 

「軍艦346隻と20万の兵を失えば、我が海軍兵力が大きく損なわれ、威信が失墜します。そうなれば周辺国の中には不穏な動きをする所も現れるかもしれません」

 

 そんなことはありそうにないのだが、百歩譲って仮にトルキナ連邦の艦隊を退けることができるとする。

 だがそれでも、ここで停戦しなければ確実に生じる損失があるのだ。

 そしてその損失によって、さらに失われるものがある!

 

 カイオスはその損失の意味をよく分かっていた。

 

 属国も近隣国も軍事力を背景に押さえつけてきたのである。

 それが第3外務局の仕事なのだ。

 その背景たる軍事力を損なえば、第3外務局は仕事の拠り所が極めて小さくなる。

 

 その軍事力が激減するのか、ほとんど変わらないのか、どちらを選ぶべきか?

 

(答えは明白!)

 

 カイオスにとっては当然の結論である。

 

「お前もあの女に屈しろというのか!」

 

 憤怒の表情で怒鳴る皇帝に、カイオスは言い聞かせるように説明する。

 

「今なら、軍の損害は竜騎士400だけで済みます。カネなど属国からむしり取れば良いのです。貿易で取り戻すこともできます。ですが軍艦346隻を失えば、海軍を立て直すのに数年はかかります。その間、わが国の威光は地に落ちます」

 

 その間に攻められたらどうするのか?

 皇国の相手はトルキナ連邦だけではないのだ。

 

 するとエルトも加勢してきた。

 

「今なら少し妥協するだけで済みます」

 

 彼女も同じ考えなのだろう。

 軍事力を損なうようなことは避けるべきなのは、誰の目にも明らかだ。

 

「ふん。わが国はまだ負けてはおらぬ。アルデよ。あやつらを倒せるか?」

 

 陛下は違うようだが。

 

「は! ですが各地の陸海軍を集める必要があります」

 

 アルデの返事はつまり「勝てない」という意味だ。

 

「なら、早急に集めるがよかろう」

 

 なっ…

 

(そんなことをすれば、属領が反乱を起こすかもしれないじゃないか!)

 

 カイオスは慌てて反論する。

 

「ですが、今動かすと捕虜20万が戻ってこなくなります」

 

 すると、陛下はようやく現実を受け入れたような表情を見せた。

 

「く…なら一時的に停戦するしかないと言うのか」

 

 陛下が逡巡(しゅんじゅん)したこの機を逃すまいと、カイオスはたたみかける。

 

「は、今回は妥協して艦隊を取り戻し、入念に準備した後に改めて宣戦布告するのがよろしいかと。まだ奴らの国の位置も東方にあるということしかわかっておりません。戦うにもしっかりと情報を集める必要があります」

 

 そもそも半日で海軍の大艦隊を制圧した相手と、どうやって戦えというのか!

 こっちはヤツらのことを何も知らないんだ!

 せめてよく調べてから、戦って勝てる相手なのかよくよく確認してから戦うかどうか決めるべきだ!

 

「だが賠償金を支払わねばなるまい」

 

(だから、カネなど問題ではないとさっき言っただろ!)

 

 カイオスがそんな不遜な言葉を内心で叫んでいると、エルトが声を上げた。

 

「おそれながら支払いについては案があります」

「なんだ? エルト」

「賠償金の減額と分割払いを要求します。交渉の結果分割払いとなれば、途中で宣戦布告してしまえば、残りを支払う必要がなくなります」

 

 なるほど。

 それなら損失は減らせるか。

 とりあえずはエルトの案でいいな。

 

(まあ入念に準備したところで勝てるとは思えないがな…)

 

 カイオスは先が思いやられるのだった。

 

 

 

同刻 パラディス城 〈皇帝の間〉

 

 

 皇帝ルディアスは苛立ちを隠せなかった。

 二人の臣下の懸命の具申が、実に気に入らなかった。

 

 ルディアスは負けたことがなかった。

 屈服したことも譲歩したこともなかった。

 譲歩のように見えることはあっても、それはあくまで温情としてであり、慈悲としてであった。

 彼は優秀であるがゆえに、負ける機会がほとんどなく、珍しく負けそうになっても、身分も高さゆえに、相手が譲った。

 譲るのは常に他者であり、自分ではなかった。

 だからこそ、譲歩を迫られる今この瞬間が、彼にとっては敗北以上に受け入れがたい屈辱だった。

 

 いつもは余の望みを果たすために提案する二人の臣下が、余の望みを押さえ込もうとしている。

 

 ――腹立たしい。

 

(余にはわかる)

 

 エルトは戦うことをあきらめている。

 カイオスは失うことを恐れている。

 

(だが二人の言うとおりだと余も分かっている)

 

 今、軍を動かせば、軍艦346隻と兵20万、そしてレミールを失う。

 これは余にとっても大きな損失だ。

 

 くそ。

 

 ――あの女に屈するしかないのか。

 

(おのれ! ニムディスめ!)

 

 ――いつかこの屈辱を晴らしてやる!

 

 ルディアスは復讐を心に誓いつつ、決断した。

 

「では停戦する!」

 

 

 

同刻 パラディス城 〈謁見の間〉 控え室

 

 

 ジローは皆とともに〈謁見の間〉の控え室にいた。

 本来は謁見の順番を待つ部屋である。

 

 隣にはニムディスと、外務局長のジョアンナがいる。 

 周囲には、監査府の職員達がいて、その周囲を直轄軍の隊員達が取り囲んでいた。

 

“では停戦する! だが賠償金は減らせ! 減らせない場合は支払いを遅らせろ!”

“わかりました。ですが一つ問題がございます”

“なんだ? エルト”

“支払いを引き延ばせば、殿下を取り戻せないかもしれません”

 

 空中に浮かぶ魔方陣から声が聞こえている。

 ニムディスが魔法で盗聴しているのである。

 

 その横で――

 

 ジローは一人、頭を悩ませていた。

 

(確かに、監査府は盗聴が認められているけどさ…)

 

 あくまで犯罪捜査の場合だよね?

 そもそも外邦政府の、しかも中枢の会議を盗聴して良いのか?

 まあ禁じてないんだけど……

 というより、想定してないんだよ。

 距離が離れていると使えない魔法だし。

 こんなに中枢の会議室に距離が近づけることなんてなかったし…

 

(でも、だからっていいのか?)

 

 これは監査府で基準を作った方が良いかもしれない。

 でないと今後の国際的な信用に関わる恐れがある。

 

 一方のニムディスは、そんなジローの考えに気付いてもいない様子だ。

 

「まだ戦うつもりでおるのか。度しがたい奴らじゃな」

 

 まさに呆れたという声である。

 その声にジョアンナが頷いた。

 

「随分と好戦的よね。戦争は避けられないんじゃない?」

「まあ今回は停戦することになったから、それで良しとしよう」

 

 ジローは自分に言い聞かせるように言った。

 

(戦争するとわかっていれば、備えれば良いし)

 

「そうじゃな。防衛省にはしっかりと準備してもらおう」

「外務局もそのつもりで警戒しておくわ」

「内務省にも準備してもらう必要があるかな?」

 

 戦争となり、パーパルディア皇国を占領した場合は、総督府を設置しなければならない。

 

「領土とするのか? じゃが『これ以上の領土は不要』との結論じゃったはずじゃが」

 

(そのとおりだ)

 

 連邦はこれ以上の領地領民を必要としていない。

 結果的に増えてしまった場合は議会もしぶしぶ認めはするだろうけど、その後が大変だ。

 監査府はその混乱の責任をとらなくてはならない。

 それに自分の考えとしても、やはりなるべく増やしたくない。

 国土というのは、ただ広げれば良いというものじゃない。

 

(ダキアを占領して滅亡を早めたというローマ帝国みたいになるのはゴメンだし…)

 

 ジローは考えを巡らせながら、天井を見上げた。

 

「そうなんだよなあ。まあ皇国政府には残ってもらうか、新政府でも作ってもらう。そんなところかな」

 

(うん、それがいい!)

 

 ジローはこの思いつきが気に入った。

 

 執政府も負担が少ないはずだ。

 両院も納得するだろう。

 

「飛竜対策が要るのではないか?」

 

 戦うとすればそうなる。

 

「そうだね。ドラゴン用の砲弾や誘導弾では勿体ない。もっと安く倒せるようにしておきたい」

 

 あの飛竜には50センチ砲はもちろん、20センチ砲でも威力が過剰だ。

 第15軍が放った対ドラゴン用の500㎏誘導弾は、飛竜を“撃墜した”なんてものじゃなかった。

 

(跡形もなく消し飛ばしちゃったよ!)

 

 成形炸薬弾だったせいかもしれないけど…威力が過剰すぎる…

 誘導弾1発の値段で、同じ威力の砲弾がいくつ作れると思う?

 

 100発以上だ!

 

 そんな高価な誘導弾1発で撃墜したのが、飛竜1体だけ…

 それを25発使って、飛竜25体撃墜したように見えた…

 

(うわぁ…また税金の無駄遣いだと責められそう…)

 

「輪空の兵装も誘導弾じゃぞ」

「そうだわ!」

 

 ジョアンナが何か思いついたように声を張り上げた。

 

「ロウリア国王と同じようにすれば良いんじゃない?」

「何をだい?」

「皇帝よ!」

 

 するとニムディスの顔に納得の表情が浮かんだ。

 

「確かに。さすれば、あやつもおとなしくなるのではないか? ジロー」

 

 演示か……

 

「砲撃を見せて輪空に乗せるのかい? それはいいかもしれないけど…」

 

 確かにロウリア国王には充分に効果があった。

 

(けどこの国には、単発の威力より、数で脅した方が良い気がするんだよなあ)

 

 ジローは考えながら話す。

 

「…それより輪空隊に訓練してもらうのはどうかな? 編隊で皇都上空を飛んでもらうんだ。そうすれば戦いを避けようと思うんじゃないかな」

 

(うん。これならかなりの心理的効果がありそうだ)

 

 ジョアンナが理解したように頷く。

 

「つまり、こっちにはまだまだ余力があることを見せつけるのね」

 

 ニムディスも頷いた。

 

「良い考えじゃ。じゃが輪空だけか? 航空機は飛ばさぬのか?」

「航空隊にも訓練してもらおう。すぐに飛べるならだけど」

 

 輪空100機に航空機30機。

 

「飛竜が邪魔してきたりせぬじゃろうか?」

「それは直轄軍に相手してもらおう。大群で来られたら、その時はさすがに艦載機に対処してもらうしかないけどね」

 

(そうなるとまた費用が…)

 

「邪魔をせぬよう、皇帝に釘を刺しておくとしよう」

「それがいい!」

 

 ニムディスの案に勢いよく賛同するジロー。

 

(随分と派手な航空ショーになりそうだ)

 

 ――これは楽しみになってきたぞ。

 

 ジローは目を細めた。






次回の投稿日は未定です。
今のところは週末あたりを目指しています。
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