成長した利守(20代後半)がカルデアで職員やってて、で、その利守に原田が絡む話 ほんのり腐った気配があるので腐向けタグつけときます
▼最初に書いた話で一ちゃんが利守に絡んでたんで、多分新選組を引き寄せる何かを持ってますねこの利守
pixivより転載

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【FGO×結界】「でかい平助みたいだな」

 ざらり、長い黒髪が重くたなびく。それが、最初に目についた。

「新所長、この件なんですがね」

「ふむ、聞こう」

「……」

 常に忙しそうに艦内を走り回るその職員は、髪を長く伸ばしていたが男性のようだった。見たところ、年齢は20代後半だろうか。若そうなのに、目元にはくっきりと隈が滲んでいた。

 彼はどうやらこのカルデアで重要な立場らしい。ゴルドルフやダ・ヴィンチに次いで作戦会議に参加し盛んに意見を述べていた。そのほとんどが採用されるので、それを霊体化して眺めていた自身は「大したものだ」と嘆息したものだ。

 ──密偵ならば、さぞ重宝される存在だろう。ただ、自身と同様、密偵と言うには大柄で目立っていたが。顔立ちは整った眉が印象的なぐらいで、取り立てて目立つことはない。彼は存在感が重かった。

 ダ・ヴィンチに聞いた話では、人理焼却のときに、所長代理を務めていた男に後任を頼まれてしまったらしい。それ以来、このカルデアは事実上彼を中心に回っているとも。

 それほどの重要人物が、いつも誰も傍に連れていなかった。ゴルドルフは新所長と言う立場ゆえに常に人間の職員が誰かしらいる。ダ・ヴィンチはそもそもが人工とは言えサーヴァントだ。しかし、彼の傍には誰もいない。それが彼の立場を暗に示していた。彼自身の意思も。

 だから、自分ぐらいはいいではないか、と自身は思ったのだ。

 

「あ、忙し。あ、忙し」

 今日も駆け回る彼を、いつもならスルーしているところだ。しかし今日は実体化当番なため、掴める手があった。

 だから、すれちがいざま。彼のしっぽを思い切り掴んだのだ。

「あだぁ!?」

 小走りだった彼は、それで転びそうになる。たたらを踏んだ彼は、即座に自身に声を荒げる。

「何するんですか原田さん!」

「あんたの髪掴んだ」

「事実そのままですね! 何の目的があってそうしたかって訊いてるんです! いだだ、痛いって!」

 力を緩めたつもりだったが、まだ引っ張られる感触が強いらしい。もう少し力を緩めると、抗議の声は小さくなった。しかし彼は言う。

「ちょっと原田さん!?」

 睨みつけて来る彼に、自身は言った。

「あんたの髪、ざらざらしてきれいだなって」

「それはどうも! キューティクルは母譲りなので! それで手を離してくれません!?」

「やだ」

「『やだ』!?」

 ギョッとした様子で自身を見て来る彼に、──墨村利守に自身は言う。

「あんた、いつも走り回ってるから、少しぐらい錘になる奴がいた方がいいかなって」

「……ただでさえ重責担ってるんだから、これ以上の錘は要りません」

「そんなこと言わず。まぁまぁ、俺も同じ速度で移動するから気にせず仕事に戻って」

「戻れるか!」

 それからやや押し問答があったが、利守は諦めた様子で駆け出した。宣言通り、自身も同じ速度で走って。

 それから、次の日から髪は掴まなくなったが、自身は霊体化当番の日も利守の傍にいるようになったし、実体化できる日は傍にべったり貼りつくようになる。

 それで暇があれば利守の髪を愛でる自身のことを、周りは遠巻きに見ていた。新選組の仲間などは「うわぁ」という顔を隠さなかったのが、自身は構うことはなかった。

 マスターは大事だ。しかし、マスターの傍にいる重要な人間を守ることも仕事のはずだ。自身はどこかで言い訳しながら、利守の髪を撫ぜた。

 

「立香。原田さん君が召喚したサーヴァントでしょ。これどうにかして」

「すいません、それ狼なんで……」

「飼いならして!」

 

 

 

 

 

End.


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