ウルサス帝国 とある貴族の屋敷
「いや〜〜君のボウガンの腕はいいね〜〜」
「本当だよ。在野にあそこまで腕がいい狙撃手はいないよ!」
「あなたウチに来ない?高待遇で迎えるわよ!?」
「そうそう!そのままにするには勿体無い!その腕前は保つべきだ!!」
「勿体なきお言葉。しかし私には目的があってボウガンの腕を磨いているのです。それまではそのお誘いをお断りしたく」
その貴族の屋敷では複数の貴族が1人の平民を口説いていた。そして平民はそれを断った。普通ならウルサスの貴族は強引に参加に加えるところだが
「そうか。それは残念」
あっさり退いた。
「申し訳ありません」
「いいってことさ。その眼を見る限り簡単に来てくれそうにないしね。それより優勝賞金だけど、思ったより良かったから倍にして出そう」
「本当ですか!感謝いたします!」
予想外のことに望外の喜びとばかりに描いになる平民女性。それを微笑ましそうに見る貴族達。
「さて、賞金は別室にある。取って行くといい」
「わかりました!!」
平民女性は礼をして退室する。その姿は心底嬉しそうであった。
退室してしばらくして貴族達の顔は人好きの笑みから冷酷な、貴族としての笑顔に変化した。
「どう思う?」
「当たりかと。特徴と一致してますし」
「やはりか。彼女が噂の」
ウルサスでは一つの噂が立っていた。なんでも日本の偉い人を殺すために資金援助を求めている女性がいると。殆どの人間はそれを与太話だと断じている。何せ超大国たる日本王国の偉い人である。そんな人物を狙ったらどうなるかなんて火を見るより明らかである。なので殆どは信じなかった。しかしごく一部はそれを本当にあると信じた。だから調べ上げてその人物を見つけ出して表向きは射的大会の招待として呼び出した。
そこで腕前を見て本物だと確信した貴族達は優勝賞金として軍資金を渡したのである。
「しかしこんなことやって大丈夫なのですか?もしバレたらただじゃ済まないですよ?」
「そうです!それにあの賞金持って逃げる可能性があります!」
「安心したまえ。上手く隠すことはできるさ。それに彼女の目を見たが強い意志を感じられた彼女なら成してくれるさ」
そう断言するのはここにいる貴族達の中心人物の伯爵だ。彼は自分の観察眼を信じた。
「あなたがそこまで言うなら何も言いません。それと確認ですがウルサス併合の前に視察に来る人物はそこまで高位の人物ではないのですよね?」
「そこは確認が取れた。確かにそこそこ地位が高いだけの役人らしい。それくらいなら日本は目くじらを立てることはないだろう。精々が現場の移動都市の市長が死刑になるだけさ」
「ならばいいのですが………」
自信満々に断言する中心の貴族と心配する他の貴族。
「問題ない。我々のすることはウルサスの為だ。貴族位を剥奪されるのは癪だが日本で生きるためには仕方のないこと。しかしただ無抵抗で併合されるのも癪だ。これはその意思表示さ」
「そうですか」
「それに他の意味で大丈夫さ。彼女はボウガンの腕はそんなに良くないからね。上手くいっても体をかすめるだけだろうさ。それを期待しようか」
彼の思惑は進む。
「ウルサス貴族達よ。あなた達の思惑は分かってます。私を利用としてることくらい。されど使われてあげましょう。それで日本の高官を殺せるなら」
平民女性、リィナ・トンスタンはそう呟いてチェルノボーグへ向かった。
400:札幌大公
えー皆さん、チェルノボーグに到着しました
今日は少し視察してあとは明日に備えて休みます
401:名無しの日本国民
は〜〜い
402:名無しの日本国民
ゆっくり休んでくれ
403:名無しの日本国民
明日は本格的に視察だからな
404:名無しの日本国民
それにしても明日か
405:名無しの日本国民
1096年12月23日のチェルノボーグ
原作を知る身としてはなんと言っていいのか
406:名無しの日本国民
原作開始の日
407:名無しの日本国民
何もないよな?
408:名無しの日本国民
大丈夫だよ
日本のお貴族様に手を出したらどうなるか分かってるだろうし
409:名無しの日本国民
力の信奉者たるウルサス人がやるとは思えん
410:名無しの日本国民
となると他国人かな
411:名無しの日本国民
やるならな
412:名無しの日本国民
それにしても原作と大きく変わったな
もう原型ないだろ
413:名無しの日本国民
何を今更
414:名無しの日本国民
アーミヤは母と姉共々保護者の愛人になって子供いるし(妊娠4ヶ月)、ドクターはプリースティスとケルシーと一緒に大学の講師や研究所の所長とかやってる
テレジアは失った家族を乗り越えて貴族の男性と結婚してる
415:名無しの日本国民
そしてテレジアは今妊活中
416:名無しの日本国民
そういやプリースティスはドクター、じゃなくてオラクルと結婚してたよな
417:名無しの日本国民
そうだよ〜〜。子供までできてる(今2人目妊娠中)
それに嫉妬したケルシーが石棺使ってMon3tr切り離して(あと人化させた)普通の人間になってオラクルに猛アタック。OKもらって彼と子作りした
当然妻のプリースティスは大激怒。
418:名無しの日本国民
幸せ絶頂の時にコレだからものすごいブチギレてそう
そしてケルシーは例の構文で反撃してそう
419:名無しの日本国民
ちょっとトラウマになるくらいやばかったよ
見せたろか?
420:名無しの日本国民
あとで見る
それで本当に大丈夫なのか?いくらウルサス人が従順とはいえ不逞の輩ってのは存在する
犯罪に巻き込まれなければいいが
421:札幌大公
大丈夫ですよ
仮にいたとしてももう拘束してるでしょう。現に治安維持には成功していると報告があります
安心して視察できます
422:名無しの日本国民
だといいんだが
423:名無しの日本国民
それにしても急に視察する役人が高熱で倒れるとは
424:名無しの日本国民
だね〜
そのお鉢が大公に回ってきたのは驚きだったよ
425:名無しの日本国民
僕達は原作知ってるから万が一のために捨て駒用意したのにその捨て駒がダウンとは
426:札幌大公
私としては良かったですけどね
ロシアとか一回行ってみたかったんですよ
死んでしまったので代わりにここにいますけど
427:日本国王
まあ怪我とかに気をつけてくださいね。あと風邪とか
428:札幌大公
分かってます
さて、今日はもう遅いので寝ます
明日は早くに起きて視察してホールで演説しなければならないので
おやすみなさい!また明日!
チェルノボーグ とあるホール 深夜
「これで……!設置………完了っと!ハァ…ハァ……あとは待つだけ……………ッ」
暗くなり人がいなくなったホール。その2階で作業をしている女性がいた。彼女は苦痛に耐えていた。設置したのは時限爆弾である。
「金と時間はかかりましたがようやくできました。警備員に気付かれそうでヒヤヒヤしましたが」
そう言いながらホールから脱出した彼女は懐中時計を開いて時刻を確認した。
「(それにしても幸運でした。まさか小役人じゃなく大公という大物も大物が来るとは。これは神のお導きです)」
彼女今の気持ちは天にも昇るものだったろう。何せ今までの苦労が報われる絶好の好機が到来したのだから。
「(予定では大公は視察を行なった後、あのホールに入って演説を行う。その時柱を背にするからその時刻に爆発するように時間を合わせて柱にセットした。上手くいけば一撃で殺せる)」
彼女は想像する。演説中に後ろの柱が爆発して瓦礫に埋もれる大公の姿を。『大公死亡』という文字が紙面を踊らせるものを。民衆がそれに混乱する様を。
「ふふふふふふ。明日、いえ、日付が変わったので今日ですか。号外が飛び交うのが待ち遠しいです。みててくださいお父様、お母様、そしてご先祖様。このリィナ・トンスタンは見事敵討ちを果たして見せます」
女性ーーリィナは夜の街に晴れやかな笑顔を浮かべながら止まっているホテルに帰ってゆく。
爆弾設置の場面については映画『ヒトラー暗殺、13分の誤算』の冒頭映像をご参照ください。