「エーヴィリーベの実」〜わたくしのゲドゥルリーヒはヴィルフリート様です〜 作:ピースちゃん?
わたくしの名前はツェルフリーナ。アウブ・エーレンフェストのもとに生まれた長女です。
わたくしのお父様は、このエーレンフェストの領主、アウブ・エーレンフェストことジルヴェスター様です。
そして、わたくしを産んでくださったお方は、ジルヴェスター様の第一夫人のフロレンツィア様。
その子供は、長男であり、わたくしのお兄様でもあるヴィルフリート様。そして、1つ年下のシャルロッテ様。2つ年下のメルヒオール様。
しかし、わたくしは自分の家族であるジルヴェスター様やフロレンツィア様にこれまで一度もお会いになったことがございません。ヴェローニカ様いわく、わたくしは次期領主になると決まっている双子の兄であるヴィルフリート様の「邪魔」になるのだそうです。
わたくしは双子としてこの世に生を受けました。
ここでは、双子は忌み子として不気味がられます。
色々と神話に基づいた理由はありますが、まず1つ目は、双子を生むということはとても体に負担がかかり、大半は母親が生むときに死んでしまうこと。
2つ目は、もし双子が一番上に生まれてしまうと、家を継がせるのは誰だという争いのもとになることが多いからです。
わたくしは、双子の中でも「エーヴィリーベの実」と呼ばれ忌み嫌われるものだったので、今でも命の髪の化身のような真っ白な髪を見ると、ヴェローニカ様は露骨に顔をおしかめなさります。
ですから、わたくしは今、ヴィルフリート様がいらっしゃる離れから一番遠い南の離れにいます。
側仕えは数人ほどいますが、わたくしが姿を見ることはほとんどなく、また、全員がヴェールを被っていて顔が見えず、言葉を話すこともありません。それに、直ぐに人が入れ替わりますので思い入れも何もございません。
護衛は一人だけ、ルツィウスという上級貴族がわたくしに仕えております。しかし、ルツィウスもわたくしと会う機会は殆どありません。
ほとんど人がいないこの離れですが、この離れにはとても大きい図書館があります。
図書館の中にあった日記いわく、昔この離れにとても本が大好きなお方がおらっしゃって、一人で沢山の本を買い占め、この離れで一人っきりで暮らしたのだそうです。
わたくしは勉強や稽古をなるべく早く終わらせて、この図書室に就寝時間のギリギリまで籠るのが日課になっております。
本は、とても面白いのです。
わたくしが実際に体験できないことでも、本を通して知ることができます。
わたくしは、自分が知らないことを知るのが大好きなのです。
わたくしは「エーヴィリーベの実」ですから、いつか自分の「ゲドゥルリーヒ」を選ばなくてはございません。
わたくしの「ゲドゥルリーヒ」が本のお好きであるお方であれば・・・と、私はエーヴィリーベに願わずにいられませんでした。