「エーヴィリーベの実」〜わたくしのゲドゥルリーヒはヴィルフリート様です〜 作:ピースちゃん?
「・・・ああ、できれ、ば、フェルディナンド様・・・のところへ・・・いきましょう・・・」
わたくしはマインたちと別れたあと、まっさきに神殿に入っていきました。
こっそり忍び込んで、トートバッグに入れてあった灰色神官の服にすぐさま着替えました。
「フェルディナンド様?こんにちは、シュウです」
「ん?・・・ああ、其方か」
フェルディナンド様とわたくしが始めてお会いしたのはちょうど一年前です。
わたくしが始めて平民の街へ行こうとした時、ルツィウスはそんなわたくしを止めました。
平民街はとても嫌な匂いがして、始めて行った貴族はあまりの臭さに吐いてしまうらしいです。
それで、わたくしはこの神殿で平民に慣れることにしたのです。
フェルディナンド様は、少し特別な貴族で、貴族院を卒業しているのですが、
自分の異母兄の母親にとても嫌われていて、彼女の手が届かない神殿に逃げたらしいのです。
フェルディナンド様の文官であるユストクスと、ルツィウスの仲が良いらしいので、そのおかげで、私はフェルディナンド様の側仕えとして時々神殿で仕事の手伝いをしているのです。
「ああ、シュウ。風邪はやっと治ったのですか?」
「ええ、もう治りました。神々のご加護があったようです。ありがとうございます、アルノー」
同じフェルディナンド様の側仕えであるアルノーが心配してくれます。
わたくしは一応「没落貴族の病弱な嫌われ息子」としてここに来ています。
両親に溺愛されている長男であるわたしの兄がわたしを庇ってくれたので、一応家から通うことはできている・・・という、とても面倒な設定を作っております。
しかし、貴族院に入ると流石に神殿にも平民街にもいけなくなってしまいますので、「9歳になるとアーレンスバッハの貴族に売られるので、ここには来れなくなる」と話しています。
「フェルディナンド様。わたしはもう大丈夫です。お仕事をください」
「ああ。もちろんだ。私は君に暇を与えるつもりはない」
そう言って、大量の書類をドンッと私の手に置きました。
「この計算をし、それからこれらの書類をすべてまとめてくれ」
「はい」
私は大量の書類を自分の机に置き、トートバッグから自分の計算機を出して右手で素早く計算していきます。
左でペンを持ち、計算したそばから書類の欄に書き込んでいきます。これはフェルディナンド様に教えられた方法で、これを使うと作業効率がとても上がるのです。
しかし、これはあまり普通の方法ではないようです。今まで、これを使うのを見た神官や巫女たちは驚いていました。
・・・ふぅ。ここの計算は終わりでしょうか?・・・
次に、書類の整理に移ります。神の御心、神への供物、たくさんの欄がありますが、実際に言うとただのお供え物や、賄賂の一種です。
そうして神殿で精一杯仕事をしたあと、私は南の離れに戻りました。