「エーヴィリーベの実」〜わたくしのゲドゥルリーヒはヴィルフリート様です〜 作:ピースちゃん?
「ただいまー!・・・あれ?シュウちゃん?」
帰ったら、トゥーリとシュウちゃんが二人でかまど近くの席で刺繍をしていた。
「あら、マイン。おかえり」
「マイン、おかえり。大丈夫か?意地悪されてないか?」
「あ、マイン!おかえりー!」
「・・・」
家族は、わたしが帰ってきたのに気づいて、挨拶をしてくれたけど、さっきからずっと刺繍をしているシュウちゃんは顔を上げることもなく、ただ黙々と刺繍を続けている。
「シュウ?マイン、帰ってきたよ?」
そう言って、トゥーリがシュウちゃんの肩を揺さぶった。すると、やっとシュウちゃんは私の方に顔を向けた。
「・・・あ。マインか。おかえり。ごめんな、刺繍が、思ったより面白くて」
シュウちゃんの手の中にできている途中の刺繍を見てみると、シュウちゃんのペットのロリーナが可愛く刺繍されている。
「えー!なにコレ、かわいい!これ、シュウちゃんが刺繍したの?」
「そう!シュウって、すごく刺繍がうまいんだよ!」
シュウちゃんは、恥ずかしそうに自分が作った刺繍のロリーナをそっと撫でた。
わたしは、そんなシュウちゃんの姿を見て、麗乃の幼馴染、修ちゃんを思い出していた。
名前が同じなせいで、頭にふわふわと修ちゃんとの思い出が浮かんでくる。
修ちゃんは、とても好奇心がいっぱいで、なんでもすぐにハマってしまった。
いつもお母さんがわたしを巻き込んで始めるおかんアートに、わたしが意地悪にと修ちゃんも巻き込んだら、お母さんやわたしよりもシュウちゃんのほうがハマってた。
ピアノに、ギター、プログラミング、それに、編み物に刺繍。
何でもすぐに手を出す様子は、麗乃のお母さんによく似ていた。
しかも、修ちゃんは器用貧乏タイプで、なんでも人以上にはできた。ハマったら、ネタが有る限り何でもやってしまうのが、修ちゃんだった。
お母さんとわたしがとっくに相手放り出している中、それを完成させたり、一人で黙々とやっていた。
「・・・マイン?」
「・・・へ?」
つい、考えてこんでしまったみたいだ。トゥーリが心配そうにこっちを見つめている。私は、首を左右に振って、大丈夫だとトゥーリに伝えた。
すると、トゥーリは安心したように、またシュウちゃんの隣りに座って、刺繍をし始めた。
「じゃあ、マインも帰ってきたことだし、夕飯にしましょうか」
母さんが夕飯を作って、今日は、母さん、父さん、わたし、トゥーリ、シュウの5人で夕飯を取ることになった。シュウは私とトゥーリの間だ。