「エーヴィリーベの実」〜わたくしのゲドゥルリーヒはヴィルフリート様です〜   作:ピースちゃん?

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マインの病気

「・・・マインが?」

 

 

背筋がすっと寒くなりました。確かに、少し前にマインの魔力を見て、「いつか発作が来るだろう」といいましたが、まさかこんなに早く来るとは思いませんでした。

 

 

「・・・大丈夫、なんだよな?」

 

 

「・・・多分・・・ギルド長の家から、魔術具を譲ってもらえるらしいんだ」

 

 

「魔術具か・・・なら、大金貨ぐらいか?」

 

 

「「「「大金貨!?」」」」

 

 

ルッツとエーファとトゥーリとギュンターの声が重なりました。

 

 

「だ、大金貨なんて・・・わたし、金貨なんて見たことないよ!」

 

 

「うちに大金貨なんてないぞ、どうやって払うんだ!?」

 

 

「大金貨・・・マイン、払えるのか?」

 

 

たしかに、マインの家は貧民の平民です。大金貨はかなりの大金です。わたしもそこまでは出せません。

 

・・だとしても、

 

 

「・・・まぁ、けど流石に壊れかけを渡されるだろうから、まぁ、小金貨ぐらいだと思うぞ」

 

 

「小金貨でもわたし達には大金なんだよ・・・」

 

 

そう言って、トゥーリはうなだれました。

 

 

「けどさ、ルッツとマインはあの珍しい紙を作ってるんだろ?動物の皮じゃなくて植物でできてるなら、かなり売れると思うし・・・マインなら、出せると思うぞ」

 

 

「だとしてもなぁ・・・」

 

 

それから、マインの無事を知らされたのは2日後。わたくしたちはギルド長の家に向かいました。(ギルド長の娘へルッツとわたくしは髪がツヤツヤになる液、リンシャンを持って)

 

 

「お邪魔します」

 

 

「マイン!!」

 

 

「父さん!母さん!トゥーリ!ルッツ!!シュウ!!」

 

 

マインはエーファとギュンターに勢いよく抱きつきました。元気そうで何よりです

 

それを羨ましそうに見つめている小さな女の子がいます。この子が、ギルド長の愛娘でしょうか?

 

「マイン、そちらの方は・・・?」

 

「あ、母さんたちとシュウは初めて会ったよね」

 

「ギルド長の娘、フリーダといいますわ。以後、お見知り置きくださいませ」

 

平民にしては驚くほど細かい動きが丁寧です。まるで、下級貴族のようでした。

 

「ルッツ、シュウ、リンシャンは持ってきた?」

 

わたくしとルッツは揃ってマインにリンシャンを差し出しました。それから、マインはまだ大事を取って2日ほどギルド長の家に泊まるそうです。

 

「いやー、それにしても、マインの病気が治ってよかったな」

 

マインが家に帰ってきたその日の夕飯、ギュンターが漏らした言葉に、私はきょとんとしました。

 

「本当にね・・・あんなに体が弱くて、いつ死ぬかいつ死ぬかって心配してたのに、それがやっと治るなんて・・・」

 

「マインが元気になったら、一緒に森に行けるんだよね!」

 

「・・・うん、そうだね」

 

そんな感じにエーファさんたちは和やかに話しています。わたくしは、意味がわかりませんでした。

 

「・・・?何を言ってるんだ?ギュンターたちは」

 

 

空気が凍りました。マインの顔が、悲しそうに歪みます。

 

 

「え?・・・マイン、治ったんでしょ?確か、ギルド長のお孫さんのお陰で・・・」

 

「・・・」

 

「・・・なるほど、エーファたちは『身食い』がどんな病気か知らないんだな」

 

それならわかります。これはかなり珍しい病気ですし、そもそも平民の中では『魔力』なんて言葉も聞き馴染みがないでしょう。マインもこの間まで自分の中にある熱が魔力だとわかっていなかったようですし。

 

「・・・どういうことだ。シュウ」

 

ギュンターが、さっきの表情とは打って変わって厳しい顔になります。

 

マインに向かって、ちらりと「話して良いのか?」と見ると、マインは悲しそうな辛そうな顔で、首を縦に振りました。

 

「んー・・・そもそもな、簡単に言うと、マインの病気は、治ってない」

 

「なんだって!?ギルド長は俺達に嘘をついたのか!?」

 

「違う!違うよ!!この病気、『身食い』は・・・」

 

「そもそも、治らない病気なんだ、これは。単純に言えば、シュウも『身食い』だ。だけど、その症状は殆ど出てない」

 

皆がわたくしを驚いたように見ます。それはそうです。言ったことはないのですから

 

「『身食い』っていうのは、体の中にある魔力が暴走するものだ。普通の貴族は魔力を定期的に魔術具に貯めるから、そんな暴走は殆ど起こらない。だけど、魔力を持ってるのに魔術具が使えない没落貴族とか、なぜか魔力を持っている平民とかは

 

 

・・・体の中の魔力が溢れ出して、パンッ、ってなっちゃうんだ」

 

「パ、パンッ、って・・・?」

 

「想像しないほうが身のためだぞ?マインなら考えただけで気絶しそうだ」

 

「ひぃ!」

 

マインが怖がるように自分の体を自分で抱きしめますが、このままだと将来そうなるのは確定事項です

 

「・・・けど、確かにフリーダが言ってたよ。・・・私はあと3年ぐらいしか生きられないって、貴族に飼い殺されて生きるか、家族とともに朽ちるか、選べって・・・」

 

「・・・シュウは、もう寝るな・・・・みんなで、じっくり考えてくれ。」

 

わたくしは、途中で話し合いから抜け、先に寝ました。

 

この話は、わたくしが関わることではございません。「家族」ではないわたくしが簡単に立ち入ってはダメなところなのです。

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