「エーヴィリーベの実」〜わたくしのゲドゥルリーヒはヴィルフリート様です〜 作:ピースちゃん?
ギルベルタ商会へ招待状を送って数日後。
わたくしは平民たちの住む下町で、木の靴をかつかつと鳴らしながら、お気に入りのトートバッグを手にぶら下げて、南の門に向かっていました。
このトートバッグは、平民の下町で買ったもので、どこか懐かしくなる、可愛らしいトートバッグなのです
平民の街では貴族より何倍も子供の死亡率が多く、ただでさえ体が弱い双子が生き延びることは少ないので、わたくしの白髪はどうしても目立ってしまいます。
ですから、下町へ遊びに行くときはいつも、ルツィウスがくれた髪の色を変えることができる魔術具で髪の色を黒に変えているのです。
下町で買った茶色い帽子を目深に被り、男の服を着れば、わたくしも立派な平民の男の子です。
下町は、貴族街と比べてとても汚く、臭いところです。今ではわたくしは慣れてしまいましたが、一番最初に来たときは吐いてしまったほどです。
口調も汚いのですが、わたくしも伊達に何年も下町に遊びに行っているわけではございません。下町の口調も完璧に使いこなしています!
しばらく歩いていると、やっと南の門が見え始めました。茶色い髪の人と、見覚えのある青い髪の男の人が、わたくしに手を振ってくださいます。
「ギュンター!おはよ!」
「ああ、おはよう、シュウ!元気にしてたか?」
「ああ!シュウは元気だ!」
わたくしがそう言うと、ギュンターは楽しそうに目を細めて、わたくしの頭を帽子ごとをワシャワシャと動かします。
「シュウくん。次は人攫いに合わないようにね。あんな派手な銀細工なんかつけていたら、狙われるからね?」
「オットー!シュウはあれからちゃんと気をつけてるんだからな!もう二度とあんなことさせない!」
「よし、いい子だ!・・・ああ、そうだ。ちょうど、シュウくんに会わせたい子がいるんだ」
「シュウに、か?」
「ああ、シュウくんみたいに頭が良くて、コリンナの店で商人見習いになる予定なんだ。班長の娘さんなんだよ」
オット―はわたくしを門の奥へと手招きします。
コリンナはオットーのお嫁さんで、オット―さんは彼女をとても溺愛しています。
コリンナのお店は服を作っているお店であること、その名前はギルベルタ商会という名前であることは聞いていました。
それに、なんとその店では珍しい髪飾りが売っているというのです。一度つけてみたいです。
門の奥に入ってみると、そこでは、小さな女の子が机の上で紅茶を飲んでいました。
わたくしを見つめる光の女神に愛されたような金色の瞳が大きく開かれています。
「シュウくん。彼女がマインちゃんだ」
マイン。
わたくしは背筋が泡立つのを感じました。