「エーヴィリーベの実」〜わたくしのゲドゥルリーヒはヴィルフリート様です〜   作:ピースちゃん?

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シュウくんからの髪飾り依頼<マイン視点>

さっきは人見知りをして喋られなかっただけなのか、シュウは私にたくさん質問をしてきた

 

 

「マイン。その棒はなんだ?」

 

 

と、わたしのかんざしを指さした。

 

 

「これは、かんざし。わたしの髪って編んでもすぐほどけちゃうから、こうやって棒で結んでるの」

 

 

そう言ってかんざしを外してまたつけてみせると、シュウはおおーっと感嘆の声を上げた。

 

 

「すごいな、マイン・・・そういえば、去年の洗礼式で、マインみたいな髪飾りをしてるやつを見たぞ。それ、売ってるのか?」

 

 

「あー、それ、わたしのお姉ちゃんだよ。トゥーリっていうの。

髪飾りは、私が考えて、棒の部分を父さんが、花の部分を母さんとトゥーリがやったんだよ。やっぱり目立ってたんだね。さすがわたしのトゥーリ!」

 

 

「・・・マインが考えたのか?それはすごいな・・・なぁ、マイン。それ、シュウは欲しい」

 

 

いきなりの相談に、わたしは目を瞬いた。

 

 

「え?あの髪飾りを?なんで?シュウはつけないでしょ?」

 

 

「えーっと・・・・シュウの妹が、もう少しで洗礼式なんだ。だから、綺麗な髪飾りが欲しいんだ。適切なお金は払う」

 

 

シュウはさっきまでの無表情とはころりと変えて、慌てて嘘を付く普通の男の子の顔になった。その表情に思わずくすりと笑う。

多分、妹ではなく、恋人とか、家族とか、そんな感じなのだろう。流石に、初めて会ったわたしにいうのは恥ずかしいだろうしね。

 

・・・まぁ、わたしは別にちゃんとしたお金を貰えれば、誰にあげようと別に良いけどね。

 

 

「うん。良いよ」

 

 

「・・・そんな簡単に、良いのか?」

 

 

「うん。あ、けど、お金はちゃーんといただくよ?お金は、取れるときに、取れるところから、取れるだけとっておくもの、ってわたしは教わったから」

 

 

「ああ、もちろんだ。」

 

 

シュウは心の底から幸せそうにふわっと笑う。すごく子供っぽくて、安心する笑顔だ。

 

お金をいただくと言われた人とは思えない笑顔で、わたしのほうが躊躇ってしまう。

 

 

「え、えーっと、これはまだ市場には出してないものだから・・・だ、大銅貨6枚!!」

 

 

流すときの最初の値段予定が大銅貨3枚だから、一応2倍にしてみたんだけど、言われた本人はなぜかきょとんとした顔をしている。

 

 

「大銅貨・・・?」

 

 

「え、えーっと・・・もしかして、高かった?けど、これは冬仕事で作るものだから、これ以上下がらないからね!」

 

 

値下げを要求されないように、強気で言ってみたが、シュウの方はますます不思議そうな顔をしている。

「・・・マイン、そんなので良いのか?これはとても珍しいものなんだろ?せめて、中金貨ぐらいは必要なんじゃないか?」

 

「ち、ちちちち中金貨!!??そ、そんな大金もらえないよ!!」

 

わたしのような家が貧乏な子は中金貨どころか、銀貨一枚すらもらうことに緊張するのだ。

 

金貨をまるで銅貨を出すようなノリでぽんっと渡された日には、わたし、『身食い』じゃなくて緊張で死んでしまう気がする。

 

 

「ふふっ・・・わかった。じゃあ、せめてものお礼として、小金貨一枚ぐらいは渡させてくれ。シュウからのお礼だ」

 

 

明日個々に持ってくる。そう言って、また幸せそうな顔でわたしに笑いかけるシュウ。

 

 

「うーん・・・ま、まぁ、それならいい・・・の、かな?」

 

 

たくさんお金をもらったはずなのになぜか疲れた気がする。は―っと、ため息を吐く。

 

 

「・・・え?」

 

 

まただ。急に、『身食い』の熱が暴れ出した。

 

 

「・・・マイン?」

 

 

シュウが急に動かなくなったわたしを心配するように声をかけてくる。

 

けど、今のわたしは『身食い』の熱を押し込めるのに精一杯で返事なんてできない。

 

心配したシュウがこっちを覗き込んでくる。心配そうな緑色の瞳が、わたしの顔を見た途端表情をさっと変える。

 

 

「ま、魔力、の暴走!?な、なぜ・・・?平民、に魔力、は・・・」

 

 

わたしの意識がぼんやりとしてきたのか、シュウの言葉が途切れ途切れに聞こえる。

 

わたしはその時なんとか溢れ出た熱を抑え込もうと頑張っていた。

 

――もう!来ないでよ!わたし、まだ本を作ってないんだから!!

 

えいえい!と、熱を抑え込もうとしても、熱は粘り強くわたしに襲いかかろうとしている。

 

やばい!!このままじゃ・・・!!と、私が危機感を感じた時、ふと、手のひらに冷たい石のようなものが当てられた。

 

当てられた場所に向かって、熱はどんどん吸い取られていく。なにか不思議な感覚で、スッキリし始めたときに、その石が私の手から外された。

 

3分の1ほどになった熱をギューッと小さくして、やっと熱の暴走が収まった。

 

疲れ切って、思わず机に突っ伏してしまう。

 

 

「・・・マイン。大丈夫か?」

 

 

いつの間にか横に立っていたシュウが、小さな黄色の宝石を持ちながら、わたしを心配するような目を向けてくる。

 

手の感触からして、おそらくシュウがその小さな宝石でわたしの熱を吸い取ってくれたのだろう。

 

 

「うん。もう大丈夫・・・この頃はこういうことが多くなってきたから、もう慣れちゃったよ」

 

 

笑って手を振って見せても、まだシュウは心配そうな顔している。

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