「エーヴィリーベの実」〜わたくしのゲドゥルリーヒはヴィルフリート様です〜 作:ピースちゃん?
その様子を見ていたオットーさんがわたしのところにやってきた。
「マインちゃん、今から帰るのかい?」
「いいえ。ちょっとベンノさんに話があるので、ギルベルタ商会によってから帰るつもりですけど・・・」
「じゃあ、俺がそこまで送っていこうか?そこには俺の家もあるし」
これでも、一応門の兵士だからね、と笑うオットーさん。その優しさには甘えておくことにする。
「じゃあ、おねがいします。オットーさん」
「ああ、任せてくれ、マインちゃん」
そうして、わたしはルッツとオットーさんとシュウでギルベルタ紹介に行くことになった。
途中、シュウの足が早すぎて私が倒れそうになったり、ルッツの知る「下街の常識」をシュウもわたしも知らなくて、二人で首を傾げたりして、いつもより賑やかな道になった。
「じゃあ、またな。マイン」
「うん。また、5日後に。シュウ」
シュウは北の方でもさらにお金持ちが多い奥の方に住んでいるみたいで、ギルベルタ商会の前で別れて、奥の細道に入っていった。
「失礼しまーす」
ギルベルタ商会につくと、ちょうどマルクが店の片付けをしているところだった。
「ああ、オットー様、おかえりなさいませ。マイン、ルッツ。こんにちは。いったいどうされたのですか?」
「えっと、ちょっとベンノさんに話があって・・・」
「旦那様なら二階にいらっしゃいますよ」
「ありがとうございます、マルクさん」
わたしはルッツとオットーさんと一緒にベンノさんの部屋に入った。ベンノさんはなんだか疲れたような顔をしている。
「ん・・・ああ、マインか。何だ、新しい商品でも思いついたのか?」
「いえ、髪飾りのことなんですけど・・・」
わたしが今日あったことを話した。
「この、アホ!!」
「ひゃん!!」
ベンノはすごい顔をしてわたしに向かって怒鳴った。
「オマエは重要な情報をホイホイと他の人間に渡すなと何度言ったらわかるんだ!!危機感を一体どこにおいてきた!!」
「え、えええ!?こ゚、ごめんなさい!!」
勢い余って思わず謝ってしまったけれど、一体なぜ怒られているのかわからない。
わたし、また何かやらかしちゃったのかな?
「おい、マイン!そういう商談は、ちゃんと俺を絡んでしろ!!お前はまだここの見習いでも成人しているわけでもないんだぞ!!まず、こういうことは保護者である俺に相談しろ!!この馬鹿!!」
これで何回目かわからない「馬鹿」を聞いて、わたしはハッとした。
そう、わたしは一応ここに仮登録しているけど、まだまだこの仕事に慣れたわけではなく、まだ甘い部分もある。
たしかに、こういうときは仕事上の保護者であるベンノさんに聞くのが先だ。これは、わたしの失敗だろう。
「・・・ごめんなさい」
わたしが素直に謝ると、一瞬ベンノの顔が緩まった。しかし、すぐに厳しい顔になって、ルッツとオットーの方に向いた。
「ルッツ!!オマエ、その時マインのそばにいたのか!?」
「いや、俺はただ話を聞いただけで・・・」
「話を聞いたときでも、その商談相手とマインを今すぐに止めて、俺に話を持ってこさせろ!!マインに流されっぱなしで居るんじゃない!!」
「す、すいません!!俺、シュウと話してるうちに忘れちまって・・・」
ベンノの説教が一度止まった時、ベンノの説教が始まってから、ずっとなにか考え込んでいるオットーがポツリと呟いた。
「・・・なぁ、ベンノ。これ、おかしいと思わないか?」
「何のことだ?こいつらがアホすぎることについてか?」
「いや、そういうことじゃなくて・・・」
オットーは真剣な顔で言った。
「その話、俺もすぐ横で聞いてたんだよ・・・けど、あのときはなんの違和感も感じなかった」
ベンノはそれを聞いて、眉をぴくっと動かした。オットーは更に話を続ける。
「まだまだ商人として甘いルッツくんやマインちゃんはわかるけど、何年も旅商人としてやってきた俺がそんな事に気づかないなんてありえない」
「・・・結局、何が言いたいんだ、オットー」
「まぁ、よくわからないけど、シュウくんには注意したほうが良いってことだよ」
いつもは冷静なオットーさんは、苦笑いをした。