「陛下、私からもご挨拶させていただけますかな」
私が
王に次ぐ重鎮、今回の行幸の立役者、ザヴィエ・エネ・エン・ガイユール公爵。
「ザヴィエ殿、これはすまない。先に引き合わせるべきだったな、気を急いてしまったようだ」
「いえいえ。
王と大公の短い挨拶、この会話の中にも多くの意味が、私に聞かせる意図がある。
そのままの意味か。もしくはその逆か。
「ウジェン・エン・リジューです。本日はこのような機会を頂き、幸甚の至りでございます」
再び
「今回は
「とんでもございません。私はたまたま居合わせただけです。ですがそれが少しでもお役に立ちましたなら幸いです」
私は巻き込まれたのではない。私は巻き込まれることを選んだ。私の
大公殿下は「ふむ」と短い相槌を挟み、ややゆっくりとした口調で続けた。
「君と一緒にいたフォングラー家の若者だがね、
余計なことはするなという釘刺し。"たち"ということは
「ご高配を賜り、感謝の限りです。」
どうにか礼の言葉を吐きだす。ここまでは間違えていないはずだ。しかしそこまでだ。続かない。
酔いが回って来たせいだろうか。何を言うべきか、言わないべきか。考えがまとまらず、散らばっていく。好みではないと遠ざけずに、慣れておくべきだったかもしれない。
「私もザヴィエ殿も
整理できず幾重にも積み重なった思考の山の上に、さらに王の言葉が覆いかぶさる。しかし考えている時間もない。返さなければいけない。何か返事を。
王が空になったグラスをそばにいた侍従に預ける。いつの間にか二杯目を飲み干していた。いや、三杯目だろうか。私の手にはまだ、一杯目のそれが残っている。
会話のキャッチボールは難しい。