「えっ」と思わず漏れ出た声に私自身驚いてしまった。彼女は
いや、事前に調べさせただけだろう。
私の悲観的な予想。しかしそれも
「ゾフィ様は、覚えていてくださったのですね。二回しか会っていないのに」
「二回目に会ったときはあまりお話ししてくださいませんでしたね。楽しみにしていたんですよ、ウジェン様のお話」
「ゾフィ様にそう仰っていただけるなんて嬉しい限りです」
私が考えるよりも早く、僕は思いのままに喋る。
「最初にあった時のこと、覚えていらっしゃいませんか?」
「すみません。初めてお会いしたときは緊張していて、よく覚えていないのです」
私が覚えていることはわずかだ。そして
「僕が覚えているのはただひとつだけです」
ただ無難に、何事もないように。
「ひとつだけ、それはなんですか?」
彼女の問を受けてふと足元を見る。そこに変わったものは何もないのに。
これから言おうとしていることの気恥ずかしさからだろう。僕は少し顔をそらしていた。
顔をあげると彼女の顔がある。
「笑わないでくださいね」
無意味な前置きだ。彼女は何もいわない。
「変な話をしてゾフィ様に悪く思われたくない、そう考えていました」
言葉の最後に軽く息が漏れる。笑い声にならない程度に。
「ふふ」
その先は彼女が続けてくれた。失笑なのか、愛想笑いなのか、片手を口に当てている。
「ごめんなさい、笑ってしまって。そうだったんですね。それでは」
一息だけ間を空けて言葉を続けた。あのときの笑顔で。
「それでは、教えて差し上げますね!」
ああ、僕が惹かれた彼女だ。
「教えてください。あのときの
私は覚えていない。しかし忘れたわけでもない。
「トゥーリマスからいらしたと紹介されたので私は尋ねたのです。そこはどのような街なのか、と」
彼女の言葉が私に思い出させてくれる。僕がなんと返したかを。
「僕はなんと?」
それでも
「ウジェン様は少し
少ししょげた調子の声色。あの日の
「そしてこう続けてくださいました。"次に会うときにまた
だから
「さあ、お聞かせください!トゥーリマスはどのような街ですか?」
最後までご拝読いただきありがとうございました。「僕」の次の物語にご期待ください。