翌日の午前、市庁舎大ホールで行われた関税改定の会議、
もっとも会議の内容は既に
新王による税制改革という前宣伝だったが、国外関税はほとんど据え置き。内容の中心は国内関税の簡素化についてだった。
これが私の、いや、
私と同様に締め出された参加者たちの何人かと形だけの挨拶を済ませる。宿として用意された市街の商館の客室に戻れば商館の別棟で開かれている商談会の様子を見に行くこともできるだろう。
お客様と言っても私が直接出る場ではない。
それでも、その場に近づけばなにか彼女と言葉を交わすきっかけになるかもしれない、そんな下心があった。
馬車が商館につく。とその手前で馬車が止まった。
「すいません、前の馬車の御者がなにかもめているようです」
御者の声が御者窓から聞こえてきた。そのまま前方の様子を見ると一台の馬車が止まっている。
御者と思われる男と商館の衛兵が何やら口論になっている。
馬車の装飾からそれなりの貴族の家のものだろう。掲げてる旗印に見覚えはないが
黒服の衛兵の一人がこちらの馬車に気づいて駆け寄ってくると御者が割符と書状を見せ身分の確認をする。
「はい、確認できました。どうぞお通りください。と言いたいところですが、いまちょっと通れない状態でして」
「そのようですね。商館も目の前なのであとは歩いていくことにしましょう」
「申し訳ございません。歩かせてしまいまして」
「いや、構わないよ」
馬車から降り、御者に後を頼むと衛兵に先導され、商館の入口に向かう。
途中、別の衛兵と何やら言い合いになっている男が目に入る。
「普段は通してくれているだろう。いつもの衛兵だったら・・・」
なるほど、普段と警備体制が異なるためのもめごとか。となるとこの男は普段商館を出入りしている人間だろうか。
男と目が合う。
「「あっ」」
見知った顔だった。男はそれ以上はなにも言わず、急に馬車を走らせ去ってしまった。
「お知り合いでしたか?」
「ええ、低地諸国の帝国伯爵家の一人です」
正確には伯爵家の次男。当主は昨日の晩餐会にいたから一緒に来ていたのだろう。
「あれ?さっきは
ん?他人の空似だろうか?それだったら目が合って驚くのもおかしい。
身分を偽っていた?なんのために?
ようやく何か事件が起きそう。