私は火を見た。
カズデルは轟々と燃え、カズデルそのものが、"溶炉"と化していた。
そのカズデルはテラ全土のエネルギーを賄い、必要不可欠な存在だった。
私は穴を見た。
カズデルがあった場所には大きな穴が開き、底のない大きな洞穴となっていた。
私は組織を見た。
ロドスとカズデルは協力、及び合体をして"ロドデル"となっていた。
『これは過去の語り手の語ったカズデルだ』『お前にも語ってもらうぞ、新たなカズデルを』
「...は?」
私は心底困惑していた。
突然溶炉に入れと言われて、入ってみたら、いろんなカズデルが私の目の前に広がって、縦横無尽に駆け巡る。
「語れって、ど、どうやって?」
『お前にはその口があるだろう』
「文字通り語れって?それになんの意味が...」
『...これだから異種族は。』『やはり失敗だったのではないか?』『貴様も眼が眩んだか?』『...』
「わかった、わかったよ。語るって。」
『それでいい。』『速くしろ、退屈だ。』
「...私の見た、未来のカズデルは━━」
私の見た未来のカズデル。
その言葉を自分の口で発した瞬間、足元が覚束なくなったような気がした。
浮くような、一瞬にして家を失くしたような。
不安だったが、語るのを止めようという気持ちには不思議とならなかった。
「異種族がたくさんいて、盛り上がっているカズデル。」
「...いや、全世界がカズデルなわけじゃない。そして、カズデルが一番盛り上がってる都市っていうわけでもない。」
どこかで見たようなカズデルを否定し、自分だけの夢のカズデルを懇々と語る。
「ただただ、周りに受け入れられて━━」
私はふと思った。
この表現では、今のカズデルはまるで周りに受け入れられる未来がないように感じてしまった。
「いや。」
「調和、と言うべき、なのかな...」
「カズデルが、ただの国として。存在する。」
「そんなカズデル...そんなテラ。」
『...』
『杜撰だな。』『単調だ。』『端的に言えばつまらない。』
「ひ、ひどい!」
まあ、ご老人から寄せられる感想はひどい物だったけど...
それでも、私は語り続けた。
聞き手の全てが、私の話に耳を傾けてくれているから。
『そのカズデルは、魔王はどうなっている?』
「魔王は...」
「いない。」
『いない?』『愚弄しているのか?』
「王冠はサルカズだけの物じゃなくなって、サルカズとカズデルの象徴になったの。」
「だから、魔王はいない。」
「これを成し遂げたのは、桃色の優しい人だった。」
私はふと口を抑えた。
何故かと言えば、この文言は意図して出た物ではなかったからだ。
CEOやヘドリーさんの歴史書、議長から聞かされる話で、「テレジア」という魔王がいた事は知っている。同様に、「テレシス」がいた事も...これはロンディニウム事変で有名だったから知ってたけど...
でも、「テレジア」がどんな人だったかを聞いた事はない。
それでも、私の口から出た桃色の優しい人は、「テレジア」だと、何故かわかってしまっていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「チッ、やってくれたわね、老いぼれ!」
「...あれは一人でに動けたのか?」
「あったり前でしょ?あれもレヴァナントなのよ!」
「溶炉はアナンナがある...今の状態がよくわかってないアイツが
「...持ってきておくべきだったな。」
「今までにないくらい焦ったわ。おいておいた場所に一部しかないんだもの。」
「アタシの目を欺くなんて...老いぼれの癖に随分と悪知恵が回る物ね。」
「ふっ。ケルシー女史が閣下に害された時とどちらが焦った?」
「あんのクソババアが死ぬわけないでしょ。...」
「...それもそうか。現に...」
「?」
「またよくわからない形で、実質的に生きているわけだしな...」
「というか、意外ね。てっきりアンタは忙しくって見向きもしないと思ってたけど。」
「カズデルで大惨事が起こる危険性があるんだ。私が動かないわけにはいかないだろう。」
「見てみろ、この顔ぶれを。まるでバベル時代のようじゃないか?」
「後はテレジアがいれば完璧ね。」
「それもそうかもしれないな。」
「...大溶炉の中に生体反応はない。ニンフやマドロックが語っていた状態と同じとみて間違いないだろう。」
「なんとも不思議よねえ、レヴァナントが物語の中に人を入れちゃうなんて。」
「ほら、行くわよ。」
「...何故俺達もなんだ?」
「はぁ?いたからに決まってんでしょ。」
「先陣切りなさいよ。アンタロドスで前衛張ってんでしょ?ヘドリー。」
「...はぁ。貴方はどうするんだ。」
「私もすぐに入るとしよう。...重役が勢揃いだな。爆破でもしたら、カズデルは大変な事になってしまうんじゃないか?」
「その為に戦力かき集めてきてんでしょうが。というか、アンタの大事な副砲くらい持ってきたらどうかしら?」
「あれはロンディニウムだぞ。...だが、ふむ...カズデルにああいった物を作るのも悪くはないかもしれないな。」
「まさか本気にしてるのか?...冗談はほどほどにしろ、マンフレッド。」
「君に怒られるのも久しぶりだな、アスカロン。」
『全員配置についてくれたようだな...マンフレッド、強力に改めて感謝する。』
「ロドスのドクターとバベルの議長から直々に頼まれたら、断るわけにはいかないだろう。旧知の友人もいるわけだしな。」
『...目標は、オペレーター・ファイアフライの救出、及び大溶炉、レヴァナントの性質解明だ。』
『すまない、迷惑をかける...Mon3tr、以後は君に一任する。何故かアーミヤが頭を抱えているんだ。』
「了解した。治療と指揮は私に任せろ。」
「...興味深いな、いつ見ても。あのMon3trが少女の姿で顕現してると言うんだから。」
「閣下でも驚いてしまうんじゃないか?」
「是非とも見てみたい物ね、テレシスが口をあんぐり開けて剣を取り落としてる姿なんて見た暁には、面白すぎて笑い死んじゃうわ。」
『...突入するぞ。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
思わぬ遭遇-考慮外の同行者
ファイアフライが大溶炉に入った時、ロドスはとある者に協力を依頼した━━これを貴方達はどう受け取る?
戦力としてとても頼りになる、ありがたい助けだ。
→Manfredが前衛オペレーターとして防衛ラインの前に配置されるようになる。
指揮に従わない可能性がある、必要ではなかった。
→秘宝を一つ獲得。
貴方は彼の助けをありがたく受け取った。
カズデルは今後も、ロドスと仲良くやる事だろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「テレジアさんは...カズデルを一つの都市として完成させた。」
「そのまま王冠を誰にも継承せず、封印した。」
『テレシスは何をした?』『整合性が取れなければそれは物語と言えん。』
「テレシスさんは、自分を都市の代表とした。魔王ではなく、新たな肩書、摂政王として。」
「クルビアの大統領、炎国の皇帝のように。代表という事を宣言したの。」
「背景には、カズデル、サルカズの武装があった。」
「色々な武器を取り、傭兵だったサルカズを招集して、軍隊を結成した。」
「サルカズは軍事力に優れた種族だったから、カジミエーシュの銀槍のペガサスにも追随するくらいの軍隊になった。」
『...』『ほう。』『続きは?』
「カズデルは、立派な国として成立した。でも、ある時、他の国の連合軍が、カズデルを滅ぼしに来た。」
『正史通りと。』
「そう。でも、カズデルは勝った。...辛勝だった。」
桃色の魔王は話す。
「...確かに私達は勝ったわ。カズデルを、サルカズの家を守り抜いたの。」
「でも、これは本当に勝ちと言えるのかしら?土地はぼろぼろで、多くの人々が息を引き取った...」
「確かに我々の勝ちだ、テレジア。連合軍は撤退し、我々は我々の土地を守り抜いた。」
「もちろん、犠牲は多くあった。しかし、それが戦争という物だ。」
「テレシス。」
「こんなものが、連合軍から届いたわ。」
「ふむ。降伏勧告書、か。」
「これを、少し条件を変えて受諾しようと思うの。」
「和解、として。」
「...我々の損害も無視できるものではない。」
「他のサルカズも納得する物でなければいけない。」
「ええ。」
「そうして、最終的に、条件はカズデルの国家としての承認。そして、取引が始まったの。」
「...あれ?」
私は未来のカズデルについて語っていたはず。
いつの間にか、なかった未来のカズデルになってしまっている。
私の口を突いて出ているのは何?
「カズデルは大きな国...にっ、なって...!」
私は突然怖くなって、私の口を手で塞ごうとした。
何故か、口が止まらない。
手が何かによって剥される。
『どうした。もう終わりなのか?』『オチがついたとは言いずらいな。まだ続くのであろう?』
「ゲホッ、カズデルは大きくなった。とても、とても。小国一つでは、とても太刀打ちできないほどに。」
「やめっ、止まっ...カズデルはとても、とても大きくなった。止まらない。カズデルは止まらない。」
「止まらない。止まらない。止まらない。」
『...壊れてしまったか?』『同じ事を繰り返すだけのようになってしまったな。』『少々負担が大きすぎたか?』
「...らない。」
「ある時。」
「シラクーザに一人の狼主がいた。』
『ほう、新たな物語か?』『シラクーザとは...カズデルに関連する話題なのであろうな?』
「退屈しきってしまったその狼主は、シラクーザを抜け出した。」
「この狼主は終わりのない殺し合いに飽き飽きしてしまった。」
「ある時。」
「ウルサスで、面白い物を見つけた。」
『...話が飛び飛びだな。』
「それは棺のようであり、機械のようであった。好奇心に負けた狼主は、そこに入ってみる事にした。」
「それは、狼主ではなくなった。」
「意識体であり、源石と融合。」
「相容れない存在であった源石と狼主は互いに融合を果たし、内なる宇宙に在りながら現実に在る物となった。」
「人に見えぬ、姿を以って。」
「ある時、シラクーザに死にかけの小娘がいた。」
「ある時、炎国にこの世に憂いを持った男がいた。」
「ある時、イベリアに海に怯えるエーギルがいた。」
「ある時、カズデルに帰れなくなった迷えるサルカズがいた。」
『...何を言っている?』『やめにしてしまえ。』『ふむ。やはりお前の人を見る目は信用ならんな。』
レヴァナントは暴れ始め、叙述を終わらせにかかった。
しかし、いくら干渉を試みても、その少女の口が止まる事はなかった。
辻褄の合わない、全く意味不明の物語を語るその口は。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「いつ見ても意味不明ね、溶炉の中は。」
「溶炉の中というより、語り手の物語の中、だろうか?私は聞き及んだものしか聞いた事がなかったが...」
目の前には「ムシカズ」がいた。
「...これもサルカズなんだな。」
「そうだよ」
「...喋るんだな、これ...」
「昼ごはん食べてね」
「幽霊にはきをつけてね」
「先代魔王は命を落とし、黒き王冠がテレジアとテレシスの手のひらの上に浮かんでいる。魔王の力はそのあるべき場所を、サルカズは魔王を、カズデルは主を求めている。そして、我々が目にしたのは――」
「目の前が光によって目が眩む場面...?」
「突然どうしたの、ウィシャデル。」
「何よ、これ。あたしにもわかんないっての。」
「お前、何をしたんだ...?」
『ドクター。報告だ。...テレジアとテレシスの壁画の前で、ウィシャデルが意味不明な事を言い出した。...直後、謎の物品が私達全員の手に落ちて来た。』
『は...?聞いた事がないな...ニンフ。心当たりは?』
『ない、ないよ!その壁画の前では、王冠を被せ合う場面と、摂政王が殿下に冠を被せる場面しか見た事なかったもん!』
「黒き王冠は光によって見えなくなり、二人の魔王は互いに前の景色を遮られた。
前が見えなくなったカズデルに残るのは、大きな光に照らされた物と、その陰だけだ。」
宿願を獲得-閃光
「ちょっと老いぼれ!何よ、これ?聞いてんでしょ!さっさと返事しなさいってか、さっさと出しなさいよ!」
「...報告にあった、二人の魔王の物語とはまた別の場面が浮かび上がっているのか?...ファイアフライという少女が入っているだけで?」