『三好in艦これ1945』   作:零戦

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第十六話 沖縄沖海戦その2

 

 

 

 

 

「信じられん!! 聞こえて来るのは我が軍の敗報ばかりではないか!!」

 

 そう怒鳴るのは第五艦隊司令長官のスプルーアンス大将であった。第五艦隊の主力は慶良間諸島にて待機をしていた。スプルーアンス大将が乗艦する旗艦『ニューメキシコ』もそうであった。

 

「気をお鎮め下さい長官」

 

 そう言うのは第五艦隊参謀長のデービス少将であった。

 

「緒戦の敗北は連勝による気の緩みから来る油断がもたらしたモノ……我が軍の実力がこんなモノでは無い事は長官も御存じの筈ではありませんか? 幸運の女神はいつまでもジャップにばかり微笑んではいませんよ」

「フム、確かにな……」

 

 デービス参謀長の言葉にスプルーアンス大将は頷く。だが幸運の女神(エラー娘)はむしろ日本の味方をしていたりするが今の彼等に知る由もなかった。

 

「しかし、『ヤマト』は後退しても新しい戦艦がいるというじゃないか。しかもリンガエンを焼いた戦艦だと言うじゃないかね? 今日のジャップの大規模航空攻撃といい……我が軍はオキナワ戦が終了するまでに一体、どれ程の犠牲を払ったら済むというのかね?」

「ご心配には及びません。今のジャップの国力では航空攻撃、ましてやカミカゼ等も限りがあります。同様にジャップの新型戦艦なども我が軍の物量の前には対した問題ではありません」

「成る程」

「はい。ですから長官はジャップの新型戦艦の事など気になさらずに明日に予定されている陸海合同の一大反攻作戦の方に心置きなくご専念下さい」

 

 デービス参謀長はそう言うのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は大きく変わり、米合衆国の首都ワシントンDCにあるホワイトハウス。そこでは病床にあるフランクリン・D・ルーズベルト大統領が沖縄戦の報告書を見ていた。

 

「……些か性急過ぎたか……」

 

 ルーズベルトは報告書をテーブルに放り投げて咳き込む。

 

「やはり……オキナワ戦にはもう少し準備が必要だったのだ……ゴホッゴホッゴホッ……」

「落ち着いて下さい大統領」

 

 咳き込むルーズベルトに顧問官のハリー・ホプキンスはそう落ち着かせる。

 

「過ぎてしまった事を悔やんでは仕方ありません。今は静養に努められる事が必要かと……」

「………だがねハリー。私はこの命あるうちに今の戦争を何とかしたいのだよ」

「大統領ッ」

「ジャップをこの戦争に引き込んだのは確かに私だ。だから何としてもこの戦争は私の代で終わらせたい。私はジャップとの開戦を今でも後悔はしていない……だが、少々ジャップを甘く見過ぎていた傾向はあるようだ。このままでは私は合衆国を戦争に巻き込んだだけの大統領として歴史に汚名を留める事になるだろう。何としてもこの戦争には勝利せねばならん」

「大統領……」

「そのためには私は手段を選ばんつもりだ。例え共産主義者(コミュニスト)どもと手を組む事になろうとも……いや、もっと最悪の選択を……『あの計画』を発動させる事になろうとも……」

「…………………」

 

 ルーズベルトの言葉にホプキンスは何も言えないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「一体どうしたというのか神よ? 緒戦は連戦連勝、破竹の勢いではないか?」

 

 日吉にある聯合艦隊司令部で草鹿参謀長は何やら浮かない表情をする神参謀に視線を向けていた。

 

「はぁ……それがどうにも敵戦艦部隊の動きが気になってならんとです。それと………」

「それと?」

「……勝ち過ぎているとでも申しましょうか、戦力比から見ても敵にはまだまだ圧倒的な余力があるはずでありもす。にも関わらず積極的な攻勢に出てくる様子もなくこの静寂……こういう時は必ず敵は何かを企んどるのでごわす」

「……確かに……しかし深読みのし過ぎではないか神よ? 敵は目標を三好艦隊か第一機動部隊のどちらかに定めて航空攻撃で片をつけようとして復旧に全力なのかもしれんぞ?」

「はぁ……杞憂であってくれれば良いのでごわすが……」

 

 神は何かあるかもしれないと踏み、将和や第一機動部隊には待機命令を出していたのだ。神はそれでも自身を納得させるために海図を取り出した。

 

「もう一度沖縄周辺の海図を確認しどのような策謀が可能か検討してみるとです。草鹿参謀長、申し訳無か。三上参謀らの応援ば欲しかとです」

 

 海図を準備する草鹿参謀長は苦笑しつつも三上参謀らを呼び寄せ自身も参加するのである。

 しかしながら、彼等も以てしてもその何かを確認出来なかったのである。

 

「分からん!!」

 

 神は思わず机を叩いてしまう。

 

「この周辺の海域は何処にも問題は無か!! ……にも関わらず、米軍は必ずこの周辺に何か大きな罠を仕掛けてくる筈!! 理屈では無か!! おいの勘がそう告げちょっと!! じゃっどん、そいが分からん!! おかしか!! この辺の海図は残らず調べ尽くしたのに……」

 

 そう呟いた時、神は何かを思い出す。

 

「ッ!? 海図は残らず……? では罠は陸上か!?」

 

 そう言って神は電話を取り交換手を呼び出したのである。

 

「富岡定俊軍令部作戦第一部長を頼む!!」

 

 ふと時計を見ると既に四時になろうとしていた。

 

(イカン!? 夜が明ける!! 夜が明ければ敵機動部隊が動き出してしまう!!)

 

 焦る神だったが仮眠していた事もあり富岡が出たのは朝方の四時半過ぎであったのである。

 そして米軍も先に陸軍が総攻撃を開始したのである。また、慶良間諸島に待避したミッチャー中将の第58任務部隊も修理が完了した正規空母から攻撃隊が発艦を開始したのであった。

 

「修理の終わった空母から順次発艦せよ!! ジャップの艦隊にトドメを刺すのだ!!」

 

 旗艦を『アラスカ』級大型巡洋艦二番艦『グアム』に移動したミッチャー中将はそう叫ぶのである。そして将和の艦隊にも沖縄から電文が届いていた。

 

「海軍陸戦隊の太田少将から入電!! 敵上陸部隊が一斉攻撃を開始!! 敵機動部隊も活動を開始しました!!」

「…………………」

「相棒……これ以上は待てんな」

「……だな。伊平屋島に出した瑞雲と彩雲も島には『ドーラ』は確認していない」

 

 将和は展開が某不沈戦艦の物語に類似していると確認すると直ぐに瑞雲と機動部隊から彩雲を飛ばして伊平屋島とその北端の海域を偵察したが島には原作ではある筈の80サンチ列車砲『ドーラ』は存在していなかった。

 

(つまり、『ドーラ』は史実通りに爆破処分されてるって事だ……。それに島には大量の魚雷発射管も存在していなかった……だが、どうにも気になるが……やむを得んか)

 

 将和は制帽を取り、頭をポリポリとかいてから被り直す。

 

「全艦に発光信号。伊平屋島沖の米主力部隊と決戦を行う!! GF司令部にも打電しろ!!」

「はッ!!」

 

 そして将和の三好艦隊は伊平屋島沖に展開する米戦艦部隊に向かうのである。

 

「ッ!? 現れました!! ジャップの戦艦部隊です!!」

「……フフ、来たか」

 

 米戦艦部隊の旗艦『ミズーリ』で艦隊司令官のリー中将はニヤリと笑みを浮かべる。

 

「ディヨー少将、首尾は良いな?」

「ハ!!」

 

 ディヨー少将の自信満々の頷きにリー中将は頷き、『Iowa』級戦艦部隊司令官に就任したオルデンドルフ中将に視線を向けた。

 

「良かろう……作戦(ミッション)開始だオルデンドルフ」

「ハッ。各艦、作戦通りに展開!! ジャップの艦隊を迎え撃つ!!」

 

 オルデンドルフの号令に米戦艦部隊は動き出したのである。

 

 

 

 

 

 米戦艦部隊

 司令官 ウィリス・A・リー中将

 参謀長 モートン・ディヨー少将

 旗艦『ミズーリ』

 米戦艦

 『Iowa』『ニュージャージー』『ミズーリ』『ウィスコンシン』『ノースカロライナ』『ワシントン』『サウスダコタ』『アラバマ』『インディアナ』『マサチューセッツ』

 米甲巡洋艦

 『ボストン』『キャンベラ』『クインシー』『ピッツバーグ』『ミネアポリス』『ウィチタ』

 米乙巡洋艦

 『デンバー』『サンタフェ』『モービル』『ヴィンセンス』『ビロクシ』

 米駆逐艦38隻

 

 

 

 

「敵艦隊、動き出しました!! 戦艦10、甲巡洋艦6,乙巡洋艦5,駆逐艦多数!!」

「……動き出したか……」

「やるぞ……相棒?」

「あぁ、頼む」

「ん、砲雷撃戦用意!!」

 

 動き出した米戦艦部隊に対抗するように三好艦隊も動き出す。

 

 

 

 

 三好艦隊

 司令長官 三好将和中将

 旗艦『武蔵』

 戦艦

 『武蔵』『陸奥』『金剛』『霧島』『伊勢』『日向』『山城』『長門』

 甲巡洋艦

 『高雄』『摩耶』『妙高』『那智』『衣笠』『熊野』『足柄』『羽黒』『青葉』(『利根』『筑摩』は機動部隊へ合流)

 乙巡洋艦

 『大井』『鬼怒』『川内』『北上』『酒匂』

 駆逐艦

 『長波』『漣』『叢雲』『時津風』『沖波』『秋雲』『白露』『山風』『朝潮』『早潮』『潮』『響』『浜風』『雪風』『初霜』『霞』

 

 

 

「敵は左右四隻ずつ展開、『ノースカロライナ』級二隻は後方に待機しています!!」

「フム……気に食わんな。まるで我が艦隊にド真ん中を進めと言わんばかりの展開だ。しかもその海域を航行した場合は伊平屋島北端か……」

「明らかに匂いますな」

 

 『長門』艦長杉野大佐の言葉に副官らも同意する。

 

「米軍め、何を企んでいるかは知らんがその手には乗らんぞ。裏をかき、それぞれの艦隊を真っ向から各個撃破してくれよう!!」

 

 その時、『武蔵』が射撃を開始したのである。『武蔵』が放った51サンチ砲弾は『Iowa』級戦艦部隊に着弾する。

 

「ッ、流石は三好長官。考えは同じ……『武蔵』は『Iowa』級に照準を絞ったか」

「艦長、『陸奥』より隊内電話ですッ」

「何? 『陸奥』から?」

 

 副官の言葉に首を傾げつつ杉野大佐は隊内電話を取る。

 

「『長門』艦長の杉野です」

『陸奥よ、杉野艦長。三好長官から伝言を預かっているわ。杉野大佐は戦艦『陸奥』『伊勢』『日向』を率いて『サウスダコタ』級と交戦せよよ』

「成る程、分かりました!! 直ぐに向かいましょう!!」

 

 電話を切ると杉野大佐は叫ぶ。

 

「面舵20!! 発光信号を送れ!! 『陸奥』『伊勢』『日向』は我に続行せよ!!」

 

 斯くして杉野大佐以下の戦艦四隻は右舷の『サウスダコタ』級に向かうのであった。

 そして『武蔵』『金剛』『霧島』『山城』は『Iowa』級戦艦部隊と砲撃戦を展開していたのである。

 

「敵『Iowa』級戦艦部隊の第一斉射到達!! 命中弾はありません!!」

「フ、敵もやるな」

 

 見張員からの報告に武蔵はニヤリと笑う。

 

「夾叉されてるぞ!! 転舵、取舵20!! 第二斉射の準備は良いか!!」

 

 『武蔵』の第一、第二砲塔は中で妖精さん達が動き回り51サンチ砲弾と装薬を装填する。

 

『仰角良し!! 旋回角良し!! 発射準備完了!!』

「撃ェェェェェェェェェェッ!!」

 

 『武蔵』は第二斉射目を開始し砲弾は『Iowa』級戦艦部隊に向かうのであった。

 艦隊決戦はまだ始まったばかりであった。

 

 

 

 

 

 




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